扉を開いて(ドイツ銀行危機の教訓)


2016年月日(日)曇りのち晴れ
・ドイツ銀危機の教訓。落日の金融業、適温相場に影。
ドイツ銀27日発表、2016年7-9月期決算、市場の赤字予想に反し、約300億円の黒字に。
地元メディアは「つかの間の休息」と報じた。
銀行の過剰なリスク傾斜に原因があったリーマン危機と違い、ドイツ銀は「稼げない銀行」という新たな問題浮き彫りに。
間接金融主体の欧州では投資銀行では稼げず、マイナス金利で商業銀行の利ザヤは縮小した。
ドイツやイタリアでは上位5行の市場シェアは3~4割で、金利の引き下げ合戦が厳しい。
日本も4割程度と欧州と同じ。「ドイツ銀行問題は過当競争の象徴」でもある。
投資家も銀行株や債券への投資に慎重さ強めている。
米国では「堅実経営」の代名詞だったウエルズ・ファーゴに不正な鋼材開設が発覚。
銀行の再編やリストラは続き、巨額の損失も表面化しかねない。
規制強化は網にかからないシャドーバンクの台頭を許しリスクの在りかをわかりづらくする。
日経平均株価が1万7000円台半ばを回復するなど、世界の市場は「適温相場」の様相強める。

・ドイツ銀危機の教訓。欧州銀襲う三重苦。
ドイツ銀のみならず、多くの欧州銀に重くのしかかる「不良債権」「規制」「マイナス金利」の三重苦だ。
米銀と比較して「稼ぐ力」で大きく引き離されている点では、日本の3メガ銀行も状況はあまり変わらない。
欧州銀行の動向に市場が振り回される状況は当面続きそう。

・ドイツ銀危機の教訓。リストラの嵐、吹きやまず。
三重苦をどうすれば克服できるのか。欧州銀行は再び吹き荒れるリストラの嵐の渦中にある。
9月末、市場関係者を慌てさせたのがドイツ銀行に次ぐ同国2位のコメルツ銀行だった。
2020年にかけて総従業員の約2割に当たる9600人削減し、配当金の支払い停止するリストラ案発表。
投資銀行部門と中小企業向けの部門などの再編計画も明らかに。
マイナス金利の影響でコメルツの16年7-9月期決算は赤字となる見通しで、通期の見通しもすでに引き下げ。
直後にはオランダのINGグループが今後5年間で全世界で従業員を7000人以上削減し、
支店網を大幅に縮小し、デジタル化の推進でコスト削減する計画発表。
10月初めにかけての1カ月で欧州中心に2万以上の人員削減が明らかに。リストラに再び火が付いた格好。
なぜ欧州はリストラが終わらないのか。
最大の理由は欧州銀行が「ポスト金融危機」の事業モデルがいまだ構築できていないこと。
新たな収益源や成長モデルを確保できるか、課題は重くのしかかる。

・ドイツ銀危機の教訓。日欧銀、構造転換で後れ。株価、米銀より割安に放置。
08年リーマン危機以降、欧米の金融機関は事業構造の変革迫られた。
自己資金使った直接投資の取引を縮小し、富裕層ビジネスや企業の資金管理や貿易決済の業務拡大。
一方で、自国の事業に集中するために海外事業を売却する動きも目立つ。
特に米銀は金融危機を契機に構造改革やリストラが進む。
世界に広く拠点を持ち、企業の貿易に伴う資金決済などを支援する米シテイグループや英HSBC、
富裕層ビジネスに強いスイスのUBS、
商業銀行から資産運用で幅広い事業抱えるJPモルガン・チェースと各社のすみ分けも進む。
一方、日欧の主要行の多くは事業モデルの転換で後れ取った。
マイナス金利に苦しむ日本のメガバンクは投資銀行業務や資産運用を拡大しようともがく。
3メガ銀行については米利上げによる押し上げ効果は限定的とも。
日本の長期金利が上昇しなければ、株価で米銀にさらに突き放されてしまいそう。

・ドイツ銀危機の教訓。邦銀の稼ぐ力、海外勢に見劣り。
高コスト体質、海外展開にもリスク。構造改革待ったなし。
三菱UFJFG <8306> [終値543.9円]今年度から総合職を10年かけ3500人減らす計画。
三井住友 <8316> [終値3619.0円]2018年1月にSMBC日興証券とCMBCフレンド証券を合併し、グループ再編に乗り出す。
店舗の統廃合や人員再配置などで年100億円規模の経費削減効果見込む。
みずほFG <8411> [終値175.3円]今春、業務効率化推進する専門部署設け、18年度までに500億円のコスト削減目指す。
投資家の信頼回復する本気の構造改革ができるか。

・外国為替市場で円売り・ドル買いが進んでいる。
27日の米市場では一時、7/29以来3カ月ぶりに1ドル105円台まで円安・ドル高が進んだ。
米経済指標の改善受け、12月の米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切るとの見方強まった。
円安・ドル高の背景には米金利の上昇がある。
一方市場心理の改善も円売り・ドル買い後押ししている。
「クリントン大統領」の可能性が高まったとし、安心感がジワリと強まっている。
3カ月ぶりの円安水準だが、海外投機筋の円の買越額は依然高水準で過熱感は小さい。

・米連邦準備理事会(FRB)は11月1~2日に米連続公開市場委員会(FOMC)開く。
直後の8日に大統領選控え、焦点の利上げは12月中旬の会合で決まるとの見方が大勢。
ドル相場は8カ月ぶりの高値になるなど、早くも利上げ観測が市場を揺らし始めた。
金融市場は11/1~2日のFOMCでの利上げをほとんど見込んでいない。
先物市場から算出する利上げ予測で見ると、わずか9%どまり。
8日の大統領選は民主党ヒラリー・クリントン前国務長官が支持率でリードするが、
共和党ドナルド・トランプ氏が逆転すれば、市場は大きく荒れかねない。
FOMCも大統領選の結果見極める必要があり、次回のFOMCでは利上げ見送るとの見方が大勢。
12月13~14日のFOMCで利上げするとの観測は、すでに8割弱に達する。

・任天堂 <7974> [終値25590円]26日、2017年3月期連結経常利益前期比65%減、100億円になるとの見通し発表。
従来の6割増益予想から一転大幅減益となる。円高による為替差損が響く。
本業のゲーム事業は堅調、下期からスマートフォン(スマホ)ゲームの大型新作「スーパーマリオラン」と、
新型ゲーム機「Nintendo Switch」投入。
市場関係者は会社側の保守的な予想の上振れ余地に移っている。
翌27日に任天堂株は朝方、前日比4%安まで急落。
今期営業利益予想も前期比9%減、300億円に引き下げ、本業の競争力低下懸念された。
ただし、その後株価は切り返し結局1%高で引けた。
株価反転の理由は3つ。
世界的ヒットとなったスマホゲーム「ポケモンGO」の増益効果がわずか3カ月で約100億円に達したことが発表、材料視。
2つ目が新型ゲーム機「スイッチ」発表会を来年1月に開くと公表。会社側今期中に200万台販売計画で期待に変わる。
3つ目は12月にiPhineとiPad向けに配信開始を予定するスマホゲーム「スーパーマリオラン」の配信開始通知希望する人が
2000万人突破したと会社側発表したこと。
これまで強気の予想立てては下方修正してきた任天堂。
あえて堅めに見込んだ業績予想の裏には業績上振れへの自信が透ける。

・富士フイルム <4901> [終値3970円]27日、2017年3月期連結業績予想下方修正。
純利益は前期比9%減、1120億円となり、従来予想(1%増、1250億円)から一転し減益見通し。
翌日の株価は3%下落も、下方修正の要因はほぼすべて円高。円高の影響除けば、業績上振れ。
今後の成長力秘めているのがヘルスケア。
今後の成長ドライバーとして医薬品・再生医療分野の育成急いでいる。

・注目企業ここが知りたい JR東日本 <9020> [終値9360円]商業施設・オフィス、柱になるか。
JR東日本が沿線主要駅での再開発に力を入れている。
鉄道への依存度を下げ、事業の多角化を進める狙いがある。再開発が乱立する中、一歩抜け出せるのか。
新成長路線、品川再開発が軸。

・世界の投資マネーが、ジワリと熱が帯び始めている。
米連邦準備理事会(FRB)の年内利上げ観測高まる中、ドルが上昇。一方で原油高背景に、新興国への資金流入が続く。
このマネーの動きが熱すぎず、かといって冷たくもない「適温相場」を生み、投資家の居心地を良くしている。
原油高と新興国の安定感。米利上げに府の影響を和らげる余力が市場を適温にする。
その好影響を、日本市場も円安→株高として、ようやく享受しているのが今の構図。

・円安の進行受け、自動車や電機、機械などの輸出株関連株は堅調に推移。
前週(24~28日)はマツダ <7261> [終値1729.5円]4.2%高、三菱電 <6503> [終値1418.0円]3.0%高、
ブリヂストン <5108> [終値4018円]2.9%高となるなど、円安メリット受けやすい銘柄の上昇目立つ。
想定為替レートを1ドル105円より円高に設定する企業が多いことも、株価の押し上げにつながる。
ただ懐疑的な見方も。トヨタ <7203> [終値6043円]の週間上昇率は1.2%と、日経平均の1.5%下回る。
「業績の先行きには不透明感が残る」との声も。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は堅調に推移しそう。
為替相場が円安基調にあることや2016年4-9月期決算に対する過度な不安が後退。
投資家はリスク取りやすい地合いになっている。週内に相次ぎ発表される景気指標確認しながら、上値を試す展開に。
10/31~11/1には日銀金融政策決定会合、1~2日米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定。
市場ではどちらも「無風」で終わるとの見方大勢。
週内の主な決算発表は、31日ホンダ <7267> [終値3150.0円]ファナック <6954> [終値19535円]、
1日はソニー <6758> [終値3300.0円]など。
需給面では引き続き海外投資家の買いが相場を下支えしそう。
東京証券取引所によると、16年10月第1週以降、外国人は3週連続で日本株買い越し。
12年10月以降、外国人は先物を1兆6343億円売り越しており、「今後も外国人の買い戻しが続く可能性がある」とも。
ただ、11/8に米大統領選迫り、11/1米サプライマネジメント協会(ISM)の景況感指数、4日には米雇用統計などあり、
27日時点「騰落レシオ」(東証1部 25日平均)も136%と短期的な過熱感も。

・Wall Street:今週の米株式相場は年内に米連邦準備理事会(FRB)が
利上げに踏み切るとの見方が一段と強まり、上値が重くなりそう。
翌週の1/8に控えた大統領選巡る不透明感も、投資家のリスク回避の姿勢強めている。
FRBは11/1~2日の日程で米連邦公開市場委員会(FOMC)開く。
声明文で12月会合での利上げを強く示唆する可能性があり、市場は身構えている。
4日の米雇用統計に注目集まる。非農業部門雇用者数が前月比17万人程度見込まれている。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち10指数が上昇。

上位1位ポーランド週間騰落率3.74% 2位日本1.52% 3位イタリア0.92% 4位ロシア0.59% 8位米国0.09%
下位25位フィリピン▲3.21% 24位豪州▲2.59% 23位香港▲1.80% 22位南アフリカ▲1.69% 21位スイス▲1.57%

・市場では「タイムワーナーの呪い」という噂がささやかれる。
同社のM&A(合併・買収)案件が出ると、過熱相場が終わるというもの。
実際、過去にネット大手のAOLと統合した直後にITバブル崩壊。
さかのぼると、タイムとワーナーの統合後の1991年に米国は景気後退に突入。
今も米社債市場がバブルになっているという指摘も多く、米の景気拡大は7年目に及ぶ。
二度あることは三度ある・・・
(日経ヴェリタス)
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