
ネット証券 大変身
- 2017年03月05日
- 日経ヴェリタス
2017年3月5日(日)晴れ
・ネット証券 大変身 長期マネーに照準、20年目の挑戦。
ネット証券業界で新たな革命が起きつつある。林和人氏立ち上げたスマホ専用証券、ワンタッチバイ(東京・港)。
スマホで「買う」ボタンを押すまでの3タップで取引完了する利便性が売りで、口座開設者の7割が投資未経験者。
ソフトバンクグループ <9984> [終値8440円]孫正義社長も同社に目をつけ、出資。
1999年に株式売買手数料が自由化され、個人の株取引代金の9割がネット証券経由。
手数料も自由化前に比べ平均で10分の1以下。
ただネット証券は国内に30万人とされる「デイトレーダー」の株取引に過度に依存する。
各社が「次の本丸」として照準を定めるのは個人の長期マネー。
投資信託でも第二の手数料革命が起きてもおかしくはなく。
ネット証券の戦略を通じて個人投資家の「未来像」探る。
・世界の証券・金融市場は急速に米国の3月利上げ織り込む。
米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの利上げに前向きな発言が米景気の強さの証明と受け止められ、
米ダウ工業株30種平均は1日に2万1115ドルまで上昇、安全資産とされる金先物は週間で2.5%の大幅下落となった。
トランプ政権の防衛費拡大や財政政策への期待も支えに、株高の持続を見込む声が広がっている。
ダウ平均は4週連続の上昇。2万ドルに達してから2万1000ドル到達に要した営業日は24日と、
1000ドル上昇の期間としてはIT(情報技術)バブル期の1999年以来の早さとなった。
最大のけん引役は利上げ観測。トランプ米大統領の議会演説も買い安心感につながる。
金融政策の影響受けやすい米2年物国債利回りは2日、1.32%と2009年6月以来、約7年9カ月ぶりの水準に上昇(価格は下落)。
日米金利差拡大で円相場は1ドル114円半ばまで下落、日経平均株価を1万9500円まで押し上げた。
短期金利の市場からは8~9割の確率で利上げすると読み取れる。
10日発表の2月の雇用統計がよほど悪くない限り、利上げは既定路線との見方広がる。
もっとも週末にかけてダウ平均の上値は重く、ドル買いの勢いも弱まった。
3月の利上げはすでに織り込まれたとの声も。
期待先行の株高にはなお不安定さが残るとの声も。
・ネット証券 大変身 フィンテック 陣取り合戦。
ロボアド参入、仮想通貨でも火花。脱・株式売買依存へ提携加速。
2/21夕、三菱UFJFG <8306> [終値758.5円]のフィンテック研究会。
「ネット証券ではなく、金融インフラの会社になります」と
カブドットコム証券 <8703> [終値396円]斎藤正勝社長は約30人の地方銀行幹部を前に力説。
一人1台の時代に突入したスマートフォン(スマホ)を窓口にした金融サービスの展開。
システム構築手掛けるのが斎藤社長の狙い。
・ネット証券 大変身 フィンテック 陣取り合戦。
ロボアド参入、仮想通貨でも火花。脱・株式売買依存へ提携加速。
ネット証券がフィンテックを触媒に第二の創業ともいえる改革に挑もうとしている。
背景にあるのは新規口座の頭打ち。
主要ネット証券6社の16年末の口座数は997万口座。10年前比2.6倍も、16年の伸び率は6%台と過去最低。
まず火花散らすのはコンピュータープログラムが資産運用指南する「ロボット・アドバイザー」。
ノウハウ持つベンチャーとの提携が相次ぐ。
SBIHD <8473> [終値1666円]はウェルスナビ(東京・千代田)と業務・資本提携し、
GMOクリック証券 <7177> [終値812円]はお金のデザイン(東京・港)と業務提携模索。
さらにSBIは、お金のデザインにも出資し、年内にサービス接続する方針。
ウェルスナビのロボアドは上場投資信託(ETF)など通じ国際分散投資し、世界経済の成長率を上回るリターン目指す。
一方、松井証券 <8628> [終値939円]の「投信工房」や
マネックスグループ <8698> [終値300円]傘下のマネックス・セゾン・バンガード投資顧問による
「MSV LIFE」はサービスをグループ内で手掛ける。
ロボアドを活用すれば、証券や個別企業などの知識が不足していると二の足踏んでいた個人でも証券投資に踏み切りやすく。
・ネット証券 大変身 デイトレーダー台頭支えたサービス競争。
個人投資家とプロの垣根崩す。
ネット証券の収益は信用取引も駆使するデイトレーダー中心とした個人の株取引に集中するいびつな構造。
株式売買手数料収入と信用取引から得られる金融収益が大部分。
最大手SBI証券 <8473> [終値1666円]でも営業収益のうち7割弱、松井証券 <8628> [終値939円]は9割強占める。
一方、野村HD <8604> [終値748.9円]の個人向け営業部門が稼ぐ収益は約3割にとどまる。
個人の株式保有額に占めるネット証券の預かり資産割合は増加基調も、依然として2割程度にとどまる。
SBI証券でも全体の預かり資産は10兆円、野村の100兆円には遠く及ばず。
松井証券・和里田聡常務取締役、
「人工知能(AI)活用し銘柄選択支援するサービスが広がれば、株式投資のハードル下げられる」と強調。
・ネット証券 大変身 「対面からネットへ」資産移転に商機。相続マネー50兆円に的。
日本では1700兆円の個人金融資産の大半を高齢者が握る。
「高齢者=投資家」の図式成り立つ中、ネット証券はより若い世代を開拓できた数少ない存在。
対面型荘園が顧客の高齢化に頭悩ませる一方、ネット証券は今後起きる世代間の「資産移転」を虎視眈々と狙っている。
国内の相続市場は年間50兆円弱。うち預貯金は51%、不動産30%、有価証券15%という内訳。
有価証券だけでも7兆円弱の資産移転が起きている計算。
ネット証券の主な顧客層は20~50歳代の現役世代。最大手SBIの場合、口座数ベースで60歳以上は2割に過ぎず。
30歳代(24%)、40歳代(30%)が顧客の中心占める。
相続人(相続を受け取った人)の年齢は平均で50歳程度。40~30歳代はこれからまさに相続マネーの受け皿となる世代。
ただ相続を受けた人のうち7割は相続資産をそのまま放置。
さらに預金受け取った場合、その資金を投資に回す人は7%にとどまる。
年間50兆円の相続マネーをいかに証券投資に振り向けさせるかは証券業界全体の課題。
・ネット証券 大変身 大手5社トップに聞く。
SBIHD <8473> [終値1666円]口座数374万口座(5社の順位 1位)預かり資産10兆3294億円(1位)北尾吉孝氏
法人業務拡大、手数料ゼロで野村超え。
・ネット証券 大変身 大手5社トップに聞く。
楽天証券 <4755> [終値1091.0円]口座数218万(2位)預かり資産3兆9112億円(2位)楠雄治氏
資産運用の土台、楽天全会員に提供。
・ネット証券 大変身 大手5社トップに聞く。
松井証券 <8628> [終値939円]口座数108万(4位)預かり資産2兆2582億円(4位)松井道夫氏
「餅は餅屋」を重視。専門性磨き時代に対応。
・ネット証券 大変身 大手5社トップに聞く。
マネックスグループ <8698> [終値300円]口座数167万(3位)預かり資産3兆7984億円(3位)松本大氏
高品質の商品販売、投資家啓もうと両輪。
・ネット証券 大変身 大手5社トップに聞く。
カブドットコム証券 <8703> [終値396円]口座数103万(5位)預かり資産2兆1075億円(5位)斎藤正勝氏
「証券会社」に限界。システム売る黒字に。
・宅配便ビジネスが転換点迎える。
ヤマトHD <9064> [終値2543.0円]傘下のヤマト運輸が荷受総量の抑制と従業員の残業削減に乗り出す。
大口荷主に値上げ要求する見通し、他の宅配業者への波及も必至。
株式市場の反応は、荷物が増え続けても再配達などでコストばかりかさむ「利益なき繁忙」が警戒されており、
値上げによる採算改善への期待が高まった。
最近の株価は宅配便関連株が上げる中、ネット通販各社の株価は軟調な展開。一定の負担増など織り込む動き。
「サービスが先、利益は後」との言葉で知られる「宅配便の父」故小倉昌男氏は「社員が先、荷物は後」との言葉も残す。
・米連邦準備理事会(FRB)が月内に利上げに踏み切る可能性高まる。
FRB幹部から3月利上げ容認する発言が相次いだほか、
3日にはイエレン議長が講演で「経済指標が想定通りであれば、緩やかな利上げが適切だ」とのべ、3月利上げを事実上予告。
最終関門は10日発表の2月の雇用統計で、雇用者数や賃金の堅調な伸びが確認できれば確実な状況となりそう。
FRBは3/14~15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。
相次ぐ利上げ容認発言で先物市場から算出する3月会合での利上げ確率はこの1週間で30%から80%程度に高まった。
サマーズ元財務長官によると過去20年間利上げ確率が70%に達した場合にFRBは利上げに踏み切ったと。
市場での織り込み度合いでは、すでに7利上げにゴーサインが出ている。
金融を除く多くの企業にとっては利上げは逆風、最高値圏の株式相場に水を差すとの懸念はある。
ただし「現在の株高はトランプ政権の政策に対する期待感に支えられており、
1回の利上げの影響は大きくない」との見方は少なくない。
もっとも年内の利上げペース加速となれば話は別。
3月会合で今後の利上げペース加速まで示唆すれば「トランプ相場」を揺さぶる可能性はある。
・コマツ <6301> [終値2816.5円]日立建機 <6305> [終値2746円]など建設機械大手株が一段高。
コマツ株は2日に一時昨年来高値に並び、日立建機は2800円と約3年9カ月ぶりの高値を付けた。
背景には中国の建機需要の回復と米国のインフラ投資期待。
「景気の先行指標」との異名も持つ建機株の値上がりは、今後の世界景気を占ううえでも明るい材料になりそう。
・発掘実力企業:連続増配(12)日本ハウズイング <4781> [終値3085円]管理戸数42万戸。
毎年1万4000戸のペースで管理戸数増やし、2016年度中には大京 <8840> [終値236円]系抜き業界トップになる見込み。
特徴はオーダーメイド形式の管理受託。住民が組織するマンション管理組合の会計業務や議事録作成、
管理人や清掃業者の派遣など多岐にわたるメニューの中から、必要なものだけ選べる。
必要のないサービス削り、その分料金は安くなる。
マンション管理は一度受託すれば内燃安定した現金が入るストックビジネス。
管理戸数が増えるにつれ利益も増え、毎年5円前後のペースで増配し、16年3月期で7期連続増配に踏み切った。
管理戸数業界トップ級とは言え、シェアは7%程度。
管理会社は国内に2000社以上あり、ほとんどが地元の不動産業者など中小企業。
後継者不足に直面する会社も多く、日本ハウズはこうした企業も徐々に買収、シェア伸ばしている。
また老朽化したマンションが増え、大規模修繕工事の需要が伸びているため、もう一つの柱の修繕工事の事業も拡大へ。
・太陽光発電所を売却する企業やファンドが相次ぐ。
丸紅 <8002> [終値729.4円]2/28、運営する大分市のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を400億円で売却。
日本アジア投資 <8518> [終値473円]も22日、太陽光発電所を手放すことを公に。
背景には、発電した電気を電力会社が買い取る固定価格の段階的な引き下げがある。
引き下げによって従来よりも採算性が悪化する可能性が高く、今のうちに売却し資産効率高める狙い。
このほか、ジオネクスト <3777> [終値59円]やジー・スリーHD <3647> [終値119円]も発電所売却。
・「しわ改善」巡り、資生堂 <4911> [終値3054.0円]とポーラ・オルビス <4927> [終値10290円]の株価に明暗。
資生堂が2/28、厚生労働省からしわを改善する効能効果の承認受けたと発表、
ポーラHDの大型商品「リンクルショット メディカルセラム」の販売減速が懸念され、
翌日ポーラHD株は一時前日比10%の急落。資生堂株は一時6%高と逆行高に。
・パーク24 <4666> [終値2969円]カーシェアリング事業が失速。
一段の加速へ向けた一時的な成長痛か、成長の限界か。
株式市場を驚かせたのはカーシェアなどモビリティ―事業の減速で、同事業の部門利益は29%の減益に。
ただ同事業そのもののは失速しているわけではなく、部門売上高は14%増。
カーシェアは拠点増やし「面」を取るドミナント戦略がモノをいう。
会員数は1年で30%伸び、1月末時点で75万5000人に迫る。カーシェア市場の7割超占める。
月額基本料1030円(個人会員)で、15分利用ごとに206円という使い勝っての良い料金体系も魅力。
都心では休日の日中はほぼフル稼働状態。
・日本株、2万円超えるには3つの条件がありそう。
1つ目の条件は、14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での米利上げ。
現地時間3日にイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が「経済指標が想定通りであれば、3月の利上げは適切」と言及。
利上げによる日米金利差が円安誘い、日本株高につながる。
1円の円安で日経平均株価はおよそ200円上昇。日経平均2万円まで約500円で、あと2.5円超の円安進行が一つの目安。
2つ目は、需給環境の改善。年初から日本株の上値を押さえてきたのは、個人による利益確定売り。
東証統計では2月第4週までで3500億円の売り越し。
ただ個人の津市余力は着実に高まっている。信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示す信用評価損益率は
2/24申し込み時点でマイナス5.34%と2014年1月以来、3年1カ月ぶりの低水準。
これからは季節的な需給改善も見込める。
「国内機関投資家が期末にかけて機械的な売りに動いているが3月中旬ごろには和らぐ」とも。
また例年4~5月は自社株買いの設定が最多となる。
みずほ証券は17年の自社株買い額は前年より1兆円多い約6兆円になるとみて、日銀に並ぶ買い主体になる。
3つ目が日本企業の持続的な成長。大和証券は18年3月期の国内主要企業の経常増益率を今期予想比12.6%増と見る。
「新興国は米利上げによる資金流出が、欧米は政治不安が懸念され、日本株の魅力が高まる」。
増益基調が維持できれば2万円がぐっと近づく。
・OUT Look:今週(6~10日)の株式相場、日経平均株価は1万9000円台半ばでの値動きとなり、底堅く推移と。
1/4につけた昨年来高値(1万9594円)を試す展開となりそう。
好調な米景気を背景に3月の米利上げに対する期待が続くことが支えとなる。
年度末控えて国内の金融機関の売り需要が強まる点には注意が必要。
週後半には様子見姿勢が強まりそう。
10日には利上げ左右する2月の米雇用統計発表、来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えている。
・Wall Street:今週の米株式相場は引き続き最高値圏で推移しそう。
米連邦準備理事会(FRB)が3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの見方が金融株の買いを誘い、
相場けん引。
トランプ米大統領の経済政策に対する期待感も根強く、投資家はまだ強気。
経済指標では10日発表の2月の雇用統計が注目。
予想外に低い数字が出れば、利上げムードに水を差しかねない。
トランプ政権のメンバーがインフラ投資や減税案の詳細示せば、市場が大きく動く可能性もある。
楽観は禁物と。
・ランキング:成長期待が高い中小型株はどれか。
時価総額1000億円以上の企業で、来期経常利益の市場予想を今期会社予想と比べた増益率が大きい銘柄をランキング。
1位ジャパン・テッシュ・エンジニアリング <7774> [終値1333円]経常増益率1120.0%
2位ジャムコ <7408> [終値2575円]685.0%
3位大阪チタニウム <5726> [終値1777円]575.0% 円安で為替差損解消。
14位放電精密 <6469> [終値1044円]134.5% 航空機分野、けん引。
26位日本CMK <6958> [終値636円]84.1% 車載の電子部本好調。
32位フリークアウトHD <6094> [終値2788円]73.8% ネット広告、海外で新規開拓。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち16指数が上昇。
トランプ米大統領の議会演説が無難に終わり、経済政策に対する投資家の期待がつながった。
上位1位イタリア週間騰落率5.74% 2位フランス3.09% 3位ドイツ1.89% 4位英国1.80% 7位日本0.96% 9位米国0.88%
下位25位ロシア▲1.84% 24位香港▲1.72% 23位中国▲1.08% 22位台湾▲1.05% 21位韓国▲0.73% 20位ベトナム▲0.26%
・トランプ演説「業間」を読む。攻撃姿勢を封印、市場に安心感。
「議会との協調に道」好材料を重視。山積みする難題、夏にかけ直面。
為替相場発言、財務長官に注目。目白押しの重要日程。
具体策欠く内容、「米経済を後押し」投資家なお期待。
通貨に言及なし、日本株逆風回避。
リスク先送り、続く疑心暗鬼。
(日経ヴェリタス)
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