
株2万円、この先
- 2017年06月04日
- 日経ヴェリタス
2017年6月4日(日)晴れのち曇り
・株2万円、この先。大台定着の条件さぐる。
トヨタ <7203> [終値6092円]など自動車株が中心だった日本株の主役が変わりつつある。
投資家が関心強めているのは、日本企業が鍛え上げた「イノベーション力」と「値上げ力」。
自動運転やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など産業構造の変化が商機となる東京エレク <8015> [終値3545円]、
創薬ベンチャー、ペプチドリーム <4587> [終値6380円]、値上げに挑む森永製菓 <2201> [終値6610円]。
外部環境の追い風がなく、政治リスクがくすぶる中でも、2000年以降、3回目の2万円回復をようやく実現した日本株。
緩和マネーが流入し、株価を押し上げる構図もまだ続く。日本株は出遅れ修正のスタート地点に立ったに過ぎない。
「イノベ」と「値上げ」をけん引する日本株独自の買い材料が評価されれば、15年6月につけた2万868円という次の節目視野に。
・東証株価指数(TOPIX)やS&P500種株価指数といったインデックスとの連動を目指すパッシブ運用の台頭で、
アクティブ運用は冬の時代を迎えている。
上場投資信託(ETF)含め、国内の公募投信市場でのパッシブファンドの割合は、ETFを含め今や8割に上る。
パッシブ偏重の傾向は日本に限らない。米アクティブファンドの約7割が市場平均に届かない。
稼げないアクティブファンドから流出した資金がさらなるパッシブ偏重を加速させる。
適正株価を探るアクティブ投資家が極端に少なくなると株式市場の機能不全を招く。そんな指摘もある。
・膨張パッシブ 光と影
緩和マネーが押し上げる。低コスト強みに投資マネーなど引き込み、膨張続ける。
なぜ、インデックスとの連動目指すパッシブ型ファンドに資金が集まるのか。
1.長期になるほどリターンがアクティブ型を上回りやすい。
昨年末まで5年間で各国アクティブ型国内株投信と株価指数の勝ち負けを見ると、
日本と欧州で7割強、米国で9割強、他の大半の国でも7~8割のアクティブ型投信が指数に負けた。最大の要因はコスト負担。
2.成績のバラツキが小さい。
3月まで過去10年、日本株対象とするアクティブ型(投信分類の大型グロースまたはブレンド)で
最もリターン高かった投信は約6割上昇したが、最も不振だった投信は約5割下落。
好成績の投信を事前に選ぶのは極めて困難。
米統計でもある10年間好成績だった投信が次の10年では成績下位に沈むケース頻繁に。
3.値動きの理由がわかりやすい。
値動きの理由探る際、アクティブ型の成績を見るにはどんな銘柄をいつ売買したかなど逐一追わないとならない。
パッシブ型の基準価格の変動はおおむね指数の動きに近くわかりやすい。
・膨張パッシブ 光と影 「株価に歪み」との声。
低コストや運用の手軽さが魅力のパッシブファンド。
世界的に投資マネーが集まる一方、業績が悪い銘柄でも勝ってしまうという懸念も。
国内では日銀 <8301> [終値37000円]による株価指数連動型の上場投信(ETF)買い入れによって、
市場に出回る株が減り、株価にゆがみが出るとの声もある。
「インデックスファンドのおかげで地銀株は下値を支えられている」と。
・膨張パッシブ 光と影 指数「賢く」多様に。スマートベータ、進化続ける。
TOPIX(東証株価指数)偏重だったパッシブ運用で、今注目されているのがスマートベータ運用と呼ばれる手法。
時価総額の大小に応じて単純に銘柄組み入れるTOPIXと違い、
自己資本比率(ROE)や株価の変動率など様々な物差しで組み入れる銘柄を選別する。
スマートは「賢い」、ベータは「市場全体の連動性」を指し、全体で賢い指数」を意味する。
・膨張パッシブ 光と影 旗色悪いアクティブ、コスト超え「勝つ」低金利下、増す必要性。
今後アクティブファンドの新たな光明となりそうなのは人工知能(AI)。
一時下火になった「クオンツ(システム)運用」も再び脚光浴びている。
・膨張パッシブ 光と影 旗色悪いアクティブ、コスト超え「勝つ」
独自の銘柄選びで好成績を上げている日本株のアクティブ投信も。
イーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンド 運用会社イーストスプリング 1年トータルリターン26.32%
特徴:株式市場全体の時価総額で下位3分の1を構成する中小型株から選別投資。
DIAM国内株オープン アセットマージメントOne 25.76% マクロの投資環境の変化に応じ投資スタイルを変更。
大和ベストチョイス・オープン 大和 25.42% 企業の増益率の変化や商品開発力、独自技術の有無などに基づき厳選投資。
日興キャッシュリッチ・ファンド 日興 21.80% 株主価値重視など経営姿勢の転換が見込まれる、キャッシュリッチ企業選別
MZAM にいホン高配当オープン(3カ月決算型)農中全共連 20.75%
予想配当利回りが高いと判断される銘柄中心に、株価の割安感などにも着目。
コモンズ30ファンド コモンズ 17.2% 収益力や競争力などで30年目線でおよそ30銘柄選択。
ひふみプラス レオス 16.07% 日本の成長企業をファンドマネージャーが厳選。
・日経平均株価が2日に約1年半ぶりに2万円に回復。
これまで日本の株価を大きく左右してきた円相場は1ドル=111円台と、年明けの118円台に比べればなお円高。
にもかかわらず日経平均が2万円の大台に乗せた背景には、日本のマクロ経済環境と企業収益の改善がありそう。
日本経済自体は「内需株だけで景気拡大続ける力はまだない。
世界経済が低調になり、輸出が底割れすれば景気後退になってしまう」懸念も残る。
各種経済指標の改善と株価2万円の回復が車の両輪として日本経済の成長加速という好循環につながるかどうか、
焦点は持続力に移る。
・英国とフランスで相次ぎ、欧州の行方占う国政選挙が実施される。
8日の英総選挙では、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)主導するメイ首相の与党圧勝のシナリオ揺らぐ。
一方、フランスでは11、18日の国民議会(下院)選でマクロン新大統領の与党が過半数を獲得する勢い。
市場では英総選挙で波乱が起きる可能性があるとして警戒強めている。
・伊藤園 <2593> [終値4465円]業績好調。
1日発表2018年4月期の連結業績見通し、売上高前期比3%増、4925億円、純利益2%増、140億円。2期連続で最高益更新。
今夏は猛暑も予想され、直近ピークの05年(4470億円)を超す可能性もある。
・パーク24 <4666> [終値2899円]5/31発表、
2016年11月~17年4月期の連結業績は、純利益が前年同期比7%減、5億円に。8%増の従来予想から一転、減益となった。
ただ両輪の駐車場とカーシェアリング事業の需要はなお堅調で通期は最高益を更新する計画。
成長シナリオが続くのかが市場注視。
上期はカーシェアの車両を1万8360台と23%増やしたことが響く。
設置後に稼働が伸び悩み、より利用が見込める拠点に車両移す作業の費用も増えた。
上期は減益だったが、今後挽回できるとみる。17年10月期通期の業績予想変えず。
・注目企業ここが知りたい 東京ガス <9531> [終値592.0円]昨年春の電力に続き、今年春にガス事業も全面自由化。
構造変化を迎え、首都圏市場を独占してきた東京ガスはどう乗り切るのか。
ライバルの攻勢に東ガスでは2つの戦略で臨もうとしている。
1つ目は電力事業のテコ入れ。2つ目は海外事業。
・日経平均株価は2日、約1年半ぶりに2万円の大台回復。
世界的な株高で余力が増した海外投資家が日本にも資金を振り向けている。
市場関係者に年内の日経平均の見通しは、高値のメドを2万1000~2万2000円と予想する声多く。
日米の企業収益は堅調さ保つとみられるが、米政治リスクには引き続き要注意。
・人民元の下落に悩む中国が大ナタ振るった。
取引の基準となる「基準値」の精度を見直し元の価格決定権取り戻す一方で、
自由に取引できる国際通貨を目指す目標からは後退した。
中国人民銀行(中央銀行)は目先の元高を誇るかもしれないが、管理通貨への回帰が失った信頼は大きい。
事実上の管理通貨に後戻りするのでは、好調をうたう中国経済の基盤が薄氷に過ぎないと示すことになりかねない。
・OUT Look:今週(5~9日)の株式相場、日経平均株価は2万円を挟んだ値動きになりそうだ。
短期的な過熱感から利益確定売りが出る一方、企業収益拡大への期待感からの買いが一定の支えとなる。
米政治巡る不透明感がくすぶり、一本調子の上昇とは行きにくい。
6月の米利上げは既定路線との見方が多い。
日米金利差の拡大に伴う円安・株高は見通しずらいが、日本株が週明けに大きく下げる展開にはならないとみられている。
日経平均の予想PER(株価収益率)は2日時点で14.39倍。市場には「日経平均の2万円は通過点」との見方がある。
8日には英国総選挙が予定されている。想定外の事態が起きた場合、相場の変動幅が大きくなる可能性がある。
また同日にはトランプ米政権とロシアを巡る疑惑で注目されている
コミー前米連邦捜査局(FBI)長官の議会証言が行われる見通し。
・Wall Street:今週の米株式相場は高値でもみ合いか。
先週末にはダウ工業株30種平均など主要な株式指数が連日で最高値更新。
今週の市場関係者の関心は、8日に実施されるコミー米連邦捜査局(FBI)前長官の議会証言に集中している。
ロシア疑惑をめぐってトランプ大統領に不利な発言が出てくるかどうかが焦点。
コミー氏の議会証言ではロシア疑惑に絡み、トランプ氏が大統領補佐官だった側近、
フリン氏への捜査中止要請したとされる言動が「司法妨害」に当たるかどうかがポイント。
6/13~14日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが確実視されているものの、
その先は利上げペースが緩やかになるとの見方が広がり、株式相場には追い風となった。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち16指数が上昇。
米株式市場で主要3指数が連日で最高値更新するなど、米景気に対する堅調な見方がけん引役となった。
上位1位日本週間騰落率%2.49 2位ドイツ1.75% 3位トルコ1.37% 4位香港1.11% 5位インド0.79% 8位米国0.60%
下位25位ロシア▲2.52% 24位ブラジル▲2.46% 23位南アフリカ▲2.13% 22位イタリア▲1.33% 21位ポーランド▲0.99%
・株2万円突破、3つの力学。
円安頼みでない株価上昇のエンジンとなったのが、日本企業が鍛え上げた「イノベーション」と「値上げ力」。
一方で欧米発の政治リスクはなお市場の波乱要因。
・株2万円突破、3つの力学。
イノベーション:半導体関連、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や自動運転などの新市場で成長する企業への期待。
株式市場では半導体は3~4年周期で需要が増減した時代が終わり、
10年以上の名が良い需要拡大が見込める「スーパーサイクル時代に入った」との強気な声も。
・株2万円突破、3つの力学。
値上げ力:円安頼らず、価値創出。
森永製菓 <2201> [終値6610円]オリエンタルランド <4661> [終値7417円]ポーラ・オルビスHD <4927> [終値3120円]
2日の東京市場では値上げ力の高い銘柄が年初来高値更新。
単に原材料高を転嫁するのではなく、商品やサービスの付加価値を高めて消費者に値上げを受け入れられる企業群。
値上げ力を高める企業と景気の回復基調がうまくかみ合えば、日経平均株価が2万円台で定着する可能性はさらに高まる。
・株2万円突破、3つの力学。
欧米リスク:選挙・トランプ氏、火種残る。
いま世界の金融市場で「9.24リスク」が話題。今年の9/24は独連邦議会選挙とフランス上院議会選挙が重なる。
さらにイタリアで前倒し総選挙の可能性が高まっている。その有力候補の日が9/24で、独仏伊のトリプル選挙の可能性浮上。
とくにイタリアではポピュリスト政党の「五つ星運動」が勢力拡大し、世界の金融市場の波乱要因になりかねない。
トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱発表。
「ロシアゲート」疑惑の長期化に加え、北朝鮮問題など「小康状態の地政学リスクが再燃する可能性も」。
・前回2万円だった15年12月比株価上昇率ランキング
イノベーション:1位ペプチドリーム <4587> [終値6380円]株価上昇率2.1倍
2位東京エレク <8035> [終値16375円]94% 3位古河電工 <5801> [終値5170円]91%
4位アルバック <6728> [終値6120円]81% 5位SCREENHD <7735> [終値8300円]81%
6位アドバンテスト <6857> [終値2024円]76% 7位ダイフク <6383> [終値3450円]70%
値上げ力:1位森永製菓 <2201> [終値6610円]2.1倍 2位ラウンドワン <4680> [終値1097円]2.0倍
3位ライオン <4912> [終値2373円]93% 4位フマキラー <4998> [終値825円]72%
5位ポーラ・オルビスHD <4927> [終値3120円]45% 6位信越化 <4063> [終値10150円]44%
イノベーション(時価総額1500億円以下)
1位平田機工 <6258> [終値11060円]7.4倍 2位日特エンジ <6145> [終値3150円]2.9倍
3位フロイント産 <6312> [終値1493円]2.1倍 4位技研製作所 <6269> [終値2498円]77%
5位福島工 <6420> [終値4330円]71% 6位テイカ <4027> [終値974円]59%
(日経ヴェリタス)
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