
扉を開いて(2012.11.25号)
- 2012年11月25日
- 株式投資・経済ニュース全般
2011年11月25日(日)はれ
・円安時代の足音。トレンド転換を促す構造変化。21日夕、円相場1ドル=82円の節目たやすく突破。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、ジム・オニール会長円相場の転換点示唆。
円相場の変化の臭いをいち早く嗅ぎ取ったのは海外の投機筋。
シカゴ通貨先物市場で売り越しに転じたのは10月下旬。その後円売りポジション維持。
・実需の円売り、ジワリ浸透。31年ぶりの経常収支の赤字。経常赤字への転化は円という通貨の構造的な需給変化につながる。
外国為替市場ではヘッジファンドなどによる金利差益や売買益目的にした取引が9割程度占める。実需は1割程度。
投資目的の為替取引はいずれも反対売買する必要があり中長期の相場への影響は中立的と。実需に基づく取引は一方向にじわじわ影響与える。
持続的な円安に至る経路は海外と国内それぞれにある。
海外景気が回復して各国の中央銀行が利上げに踏み切り、日本との金利差が拡大した場合は円を売って外貨を買う投資活発になり円安へ。
国内要因で「悪い円安」になるケースは経常収支の赤字に加え、財政赤字の拡大で「双子の赤字」が膨らんだ場合。
円安とインフレ・金利上昇が連鎖する悪循環を招く。
・ドル円相場の適正な水準はいくらなのだろうか。
基礎的な需給変化によって2007年からの長期円高トレンドに転換の兆しが見えてきた一方、
物価変動の影響などを考慮した「実質実効為替レート」や「購買力平価」といった指標で測ると
円はまだ上昇余地があるという見方も根強く残っている。
日本はデフレが続き、欧米に比べ消費者物価上昇率の低い状態が長期間続き、
円は他の通貨に比べモノやサービスを買う力が強まり、それを反映して円相場上昇しやすい。
・株式市場では円安の恩恵を受ける企業に注目が集まる。株価の対ドルレート感応度ランキング。
自動車関連や精密機器、機械などの海外売上高比率の高い企業が上位に。
1位富士重工 <7270> [終値903円]対ドル感応度2.70% 海外売上高比率67.1%
2位大日本スクリーン <7735> [終値461円]2.48% 75.1% 3位タカタ <7312> [終値1626円]2.42% 81.2%
4位ニコン <7731> [終値2177円]2.39% 85.7% 5位小糸製作所 <7276> [終値1128円]2.32% 41.8%
・円安は逆風となるところは原料や商品を海外から輸入に頼る食品や小売業。
ニトリ <9843> [終値5860円]ハニーズ <2792> [終値1235円]のように商社を通さず自社で為替リスク取ってきた企業は影響大と。
電力会社にとっても円安は懸念材料。火力発電比率上昇で燃料費拡大。東電 <9501> [終値128円]1円尾円安で330億円ほど調達コスト増える。
電力料金値上げという形で調達コストの転化が進めば国内製造業の競争力低下につながる可能性も。
・日経平均株価22日、約半年ぶりに9300円台回復。週間で3.8%上昇。
テクニカル分析上の代表的指標は上昇トレンド入り示唆、株式相場当面上値試す展開予想。
日経平均20日、過去一定期間の株価平均値つないで描く25日移動平均線が75日移動平均線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」形成。
中期的な上昇基調への転換示すとされる。2/2にゴールデンクロスした時は2か月足らずで日経平均は1400円上昇。3/27年初来高値(1万255円)。
為替との関連性でも株価には上昇余地も。2012年はきれいに逆連動。円が1ドル=83円台まで下落した3月中旬、日経平均は1万円回復。
東証1部騰落レシオ(25日移動平均)は22日時点で105%。買われすぎ水準とされる120%までは届いていない。
商い回復も先高観にも。東証1部売買代金解散表明後6日連続で1兆円超。海外投資家11月第2週(12-16日)買い越しに転じる。
円高の修正がどれだけ収益改善に繋がるか市場は注目。
・日銀をめぐる主な論議。
日銀の外債購入:法解釈上可能との見方も日銀本来の役割逸脱と。実現へのハードルは高い。
日銀の国債引き受け:財政ファイナンスと見られると日銀は反対。長期金利上昇招く恐れ。ハードルはかなり高い。
無制限の金融緩和:日銀に禁止規定はない。自主的に定める「銀行券ルール」撤廃する必要。効果未知数。ハードルやや低い。
インフレ目標の引き上げ:現在1%の物価上昇目標。自民党は2%主張。ハードルは低い。
政府に総裁解任権:日銀法の改正必要。独立性の確保が課題。ハードルはかなり高い。
・中国習近平総書記中心とする新しい共産党指導部発足。既得権益握る党長老に連なる面々が目立ち、改革志向見えにくい。
「3つどもえの構図」の権力抗争。最終的な新指導部の顔ぶれは妥協の産物に。「3者皆、自分を勝者と思える絶妙の人事」
・会社がわかる 特集鉄鋼、劣勢の日本が急ぐ収益強化。競争を勝ち抜くには独自の戦略と継続してキャッシュを生む収益力がカギに。
新日鉄住金 <5401> [終値193円]まず追求するのが「コスト競争力の強化」統合後3年で1500億円としていた相乗効果を2000億円に積み増す。
JFEホールディングス <5411> [終値1286円]タイのサハビリやグループと手掛ける自動車用鋼板などの合弁工場出資比率引き上げ。
生産能力を増やさずに事業基盤を固める。
・日本株式市場に海外投資家の資金流入。衆院解散を材料に円高修正進み、株式相場の先高感が台頭したため。
従来持ち高を圧縮してきた輸出関連の大型株を改めて物色する海外勢が増える。
前週(19〜22日)の日経平均株価は週間で342円(4%)上昇。野田佳彦首相衆院解散方針表明した14日以降上昇率は8%超。
22日に終値9366円となり、5月から続いていたレンジ相場の上限(9月高値の9232円)を上抜ける。
衆院解散後「海外投資家の買いの勢いは増している」との見方も。
円安・株高が予想外の速さで進み、日本株を保有しないことで運用成績が相対的に悪化する「持たざるリスク」を意識せざるを得なくなった。
東証1部上場主力30銘柄「TOPIXコア30」15日以降の上昇率は9%、東京規模別「大型」8%、「中型」「小型」は6%に。
トヨタ <7203> [終値3515円]15% ホンダ <7267> [終値2750円]17% 日産 <7201> [終値788円]15%上昇。
株価が予想1株益の何倍まで買われているか示す予想PER(株価収益率)は東証1部平均で15倍と米国株水準(16倍)に接近。
日本株の割安感は薄れつつあるとの指摘も。
・OUT Look:今週の株式相場は上値を試す展開か。
解散総選挙材料にした円安進行で主力輸出関連企業中心に収益改善期待高まる。
テクニカル面でも過熱感強くなく日米相対株価で日本株になお出遅れ感も。日経平均9500円目指す展開に。
米景気の底堅さも投資家心理を明るくさせていると。今週は27日、9月のケース・シラー住宅価格指数、28日10月の新築住宅販売件数。
米景気改善期待高まれば「米長期金利上昇→日米金利差拡大→円安・株高」とも。
・Wall Street:今週の米株式相場はダウ工業株30種平均で1万3000ドル台を巡る攻防に。
米年末商戦や「財政の崖」回避に向けた協議に関心高く。一進一退の展開か。
今週は29日、7〜9月期米国実国内総生産(GDP)改定値発表。約2.8%と速報値(2.0%)から大幅な改善が見込まれている。
年末商戦の序盤の本バイ動向も伝わる見通し。「財政の崖」問題では議会が26日から協議再開。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派50% (前回比-17)弱気派23%(同+6)中立派26%(同+10)
衆院解散で変わる政治への期待高まり、国内外の投資家から買いが集まる。円安が進み輸出関連銘柄の上昇が目を引く。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は総じて上昇。
「国際通貨基金(IMF)がギリシャの債務削減目標巡って譲歩」と伝わり追い風のギリシャが上昇目立つ。
上昇1位ギリシャ 週間騰落率6.9%(年初来騰落率24.2%)2位フランス5.6%(11.7%)3位ドイツ5.2%(23.9%)4位スペイン4.2%(▲7.7%)
下位25位ベトナム▲1.0%(8.6%)24位インドネシア▲0.1%(13.8%)23位タイ0.1%(25.0%)8位日本3.8%(10.8%)10位米国3.3%(6.5%)
・ランキング:野田佳彦首相衆院解散言及した11/14以降上昇した株ランキング。東証1部(金融・証券除く)時価総額500億円以上対象。
1位アコーディア <2131> [終値73300円]上昇率37.52% 同業PGMHD <2466> [終値69600円]が15日TOB(公開市場買い付け)1株=8万1000円。
2位NTN <6472> [終値172円]31.30% 3位日本板硝子 <5202> [終値86円]26.47%
4位三井化 <4183> [終値191円]24.03% フェノール市況反発、石化再編進むとの印象との声。当面利益確定とも。
5位カルソニックカンセイ <7248> [終値386円]22.93% 中国の日本車府大問題で出遅れ。為替相場で円安進み業績悪化懸念薄らぐ。
15位リコー <7752> [終値775円]20.72% 円安の進行。ドルに対し1円の円安で13億円、対ユーロで15億円の営業増益要因に。
26位ダイキン工 <6367> [終値2605円]19.17% 想定レート対ドルで80円、対ユーロ=100円。為替感応度1円変動対ドル7億円、対ユーロ4億円。
・2013年通期の営業利益予想に対する進捗率が高い企業ランキング。「レジャー」「健康」「シニア」のキーワード浮かぶ。
対象は11/22時点の時価総額500億円超で13年3月通期の予想営業増益率が10%以上。
1位富士急行 <9010> [終値481円]進捗率88.53% 富士急ハイランド中心とするレジャー施設入園者数約4%増。
中高年登山ブームで富士登山バスの利用者も増加。冬の来場者も堅調なら上方修正余地生まれる。
2位カゴメ <2811> [終値1614円]79.82% シニア中心とする消費者の健康志向うまく取り込む。トマトの健康効果が話題。
3位ワコールHD <3591> [終値884円]74.10% 4位豊田合成 <7282> [終値1788円]73.49%
8位全日空 <9202> [終値177円]68.46% 最新鋭のボーイング787型機の投入や円高で海外旅行増。2年連続で最高記録更新する見通し。
11位ベネッセHD <9783> [終値3520円]66.14% 収益の柱は「進研ゼミ」主力とする国内の教育事業。シニア層拡大で介護施設事業伸びる。
・サイバー犯罪拡大。守りを固める。
トレンドマイクロ <4704> [終値2138円]対策ソフト提供、業績に追い風。
銀行はネットバンキング利用の度に使い捨て暗証番号発生させる「ワンタイムパスワード(OTP)」利用呼びかけ。
NTTデータ <9613> [終値240600円]OTPシステム構築。すでに70近い銀行導入。さらに多くの引き合いと。
ラック <3857> [終値328円]
監視サービス好調。セキュリティー関連事業が収益源に育つ。9月末約1200ヵ所監視も2000ヵ所まで固定費増やさず対応できる体制。
インターネットイニシアティブ(IIJ) <3774> [終値2057円]閲覧できるサイトをパソコン1台ごとに制限できる。従来難しかったサービス。
デジタルアーツ <2326> [終値42850円]
2013年3月期連結純利益最高益2年ぶり更新。クラウドやスマホ向け収益が貢献し始める。(日経ヴェリタス)
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