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扉を開いて(資源安に潜む火種)

2015年11月15日(日)雨

・資源安に潜む火種 グレンコア・ショックは終わっていない。
 昨年後半から原油や銅といった資源価格が下落局面に転じ、グレンコア社は業績悪化。
 鉱山買収などで膨らんだ300億ドル(3兆7000億円)もの純有利子負債が経営圧迫するとの懸念が広がり、
 グレンコア株はヘッジファンドなどから売り浴びた。
 9月下旬には株価が1日で29%も急落、
 信用リスク取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率が急騰。
 日米欧の株価がつられて下落し、「グレンコア・ショック」との言葉が市場を駆け巡った。
 「中国鉄鋼企業の社債で初の債務不履行」。中国中鋼が社債の利払い延期。資源安でシナリオ狂う。
 ブラジル鉄鉱石事業の損失などで1-6月期決算が赤字になった英アングロ・アメリカンもCDS保証料率が急騰、
 株価は今月だけで17%も下落。

 日本企業にとっても対岸の火事ではなく、3メガバンクの資源関係投融資は今年3月末時点で約15兆円。
 貸し倒れに備えた引当金はほとんど積んでおらず、海外資源大手の経営難に対し、無傷でいるのは難しい。
 
 資源価格は下落基調に歯止めかからず、このままでは資源各社の業績回復はおぼつかない。
 信用不安が再燃し、株式相場に冷や水浴びせるリスクはなお残っている。

・資源安に潜む火種 巨人グレンコア解体新書 
 下落が続く資源価格は消費国に恩恵がある一方、産出国の打撃は大きい。
 グレンコアの設立に大きな影響及ぼしたのが、伝説のトレーダー、故マーク・リッチ氏。
 ユダヤ系米国人のリッチ氏は、自身の名を付けた商社であらゆる資源を売買し、
 石油メジャーが牛耳っていた原油を商品取引の対象に仕立てたことで知られる。
 94年リッチ氏から経営陣が株式取得してグレンコアが誕生。11年ロンドン取引所に上場。
 グレンコアは他の資源大手に比べて借入金に占める短期資金の比率が高い。
 企業買収や資産取得に積極的で、金利の低い短期資金で必要額調達してきたため。
 だが、ひとたび信用不安が浮上すれば、資金の借り換えに追われることになる。

・資源安に潜む火種 次のグレンコアはどこだ。
 特に標的になっているのが英資源大手のアングロ・アメリカン。
 銅先物が1トン5000ドル台に下落した11/5、同社の株価は前日比8%も下落し、6日以降の上場来安値で推移。
 約340億ドル(約4兆1500億円)に上る負債の削減が進まないことも悪材料視。
 有利子負債が自己資本の何倍あるか示す負債資本倍率(DEレシオ)で財務の健全性を見ると、
 グレンコアは2014年度で1.08倍。
 過去5年平均では2倍で、過剰な債務が経営危機の憶測呼び、9月下旬に「グレンコア・ショック」もたらした。
 株価が急落するアングロのDEレシオは0.7倍で、
 豪英資源大手BHPビリトン(0.5倍)、英豪リオ・ティント(0.5倍)などに比べ負債の多さ目立つ。
 アングロよりDEレシオが高いのは、1.03倍の米フリーポート・マクモラン。
 フリーポートは350億ドル超の負債抱え、原油やガス事業で80億ドル程度の原則を計上。

・資源安に潜む火種 資源バブル崩壊、世界に明暗。
 消費国、中長期ではプラスの恩恵。
 現在、資源国産出国で特に苦境に陥っているのがブラジルで、2015年の経済成長率はマイナスに陥る見通し。
 資源安で関連企業の収入が減ったうえ、自国通貨がドルに対して大幅に下落し、苦境続く。
 資源安は地政学リスクも呼び起こしかねない。
 国民の間で閉塞感が強まり、過激派組織「イスラム国」(IS)が勢力を拡大しかねない。
 
 資源消費国下の影響は、「原油価格が10%下がると、日本の国内総生産(GDP)を0.1%押し上げる効果」と試算。
 日本以外でも、資源消費国では追い風が吹く。
 経常赤字や高インフレなど構造的問題抱え、「フラジャイル5(脆弱な5か国)」の一角、インド。
 資源高の際には、燃料h所金支給して国民生活の窮乏を防いできたが、財政圧迫要因となっていた。
 しかし、資源の輸入コストも下がったことで「経常収支と財政赤字は着実に改善、経済は好転している」と指摘。
 15年のGDP成長率は7.4%と、中国の6.7%を上回る見通し。
 さらに資源安の恩恵はタイやフィリピンなどアジアの新興国にも及んでいる。
 インフレを警戒せずに金融緩和ができるのは資源安の「副産物」ともいえる。

・資源安に潜む火種 日本企業には好影響、利益9兆円押し上げ。
 
 資源価格の下落で株価が上昇しやすい業種
 
 1.空運業 JAL <9201> [終値4697円]ANAHD <9202> [終値374.9円]
 2.繊維製品 東レ <3402> [終値1121.5円]帝人 <3401> [終値421円]
 3.陸運業 JR東日本 <9020> [終値12045円]JR東海 <9022> [終値22440円]
 4.医薬品 武田 <4502> [終値6150円]アステラス <4503> [終値1753.0円]
 5.小売業 セブン&アイ <3382> [終値5788円]ファーストリテイリング <9983> [終値47490円]

 資源価格の下落で株価が下落しやすい業種

 1.鉱業 国際石油帝石 <1605> [終値1178.5円]石油資源 <1662> [終値3400円]
 2.鉄鋼 新日鉄住金 <5401> [終値2400.0円]JFE <5411> [終値1818.5円]
 3.石油石炭製品 JX <5020> [終値462.7円]東燃ゼネ <5012> [終値1239円]

・13日夜にフランス・パリで起きた同時テロが、世界の株式市場揺さぶりかねない情勢になってきた。
 テロが伝わると米国株先物は急落。日本株への影響も避けられない見通し。
 シカゴの日経平均先物(12月物)は1万9415円で取引終え、大阪取引所の終値(1万9630円)を215円下回った。
 週明けはさらにテロの影響を織り込む展開に。日本、中国の株式市場の反応が、テロ事件の深度推し量る物差しに。

・内閣府16日、7-9月期国内総生産(GDP)速報値発表、
 民間予測は、物価変動の影響除いた実質季節調整値(年率換算)で前期比0.3%減と2期連続のマイナス。
 中国経済の減速が想像以上に大きく効いたほか、物価の影響除いた実質賃金の伸びが低かった。
 2期連続のマイナスになれば消費増税後の2014年4-6月期、7-9月期以来。
 15年4-6月期(1.2%減)は輸出と個人消費が落ち込んだが、7-9月期は期待外れの設備投資がマイナス要因となった。
 政府は狂った景気回復シナリオの修正に、企業のお踏み込んだ行動求めている。
 政府の求めに合わせた内容なら、景気回復に期待が持てるようになるかもしれない。

・次世代磁気テープ 大量データ保存、耐久・コスト強み。
 磁気テープは今なお現役。
 より多くのデータを記録するための進化も続いており、開発・製造ではまだまだ日本のメーカーの独断場が続く。
 世界シェアの半分強を持つといわれる富士フイルム <4901> [終値4969円]は4月、
 米IBMとの共同開発で、現在の90倍に相当する220テラバイト保存する技術開発。

 業界2番手のソニー <6758> [終値3387.0円]14年春に全く異なる方式で185テラバイトのテープを作る技術開発。
 いずれの技術も製品化はこれから。

・発掘実力企業:ネット社会を支える(21)富士山マガジンサービス <3138> [終値4120円]
 雑誌に特化した通販サイト「Fujisan.co.jp」運営。
 定期購読の契約仲介を中心に、自宅や職場に減速送料無料で雑誌届けるほか、
 読者限定サービスなど充実させ、契約者数の増加に努める。
 同社の収入源は出版社からの手数料。定期購読は出版社には返品のリスクや販促費が軽減されるため効率が良い。
 現在登録者数は200万人に達し、取り扱い雑誌数は1万誌以上、購読が続いている利用者は50万院以上。
 雑誌の提供など株主優待は検討中。

・会社がわかる 特集ブリヂストン <5108> [終値4487円]業績拡大続く。
 12月期連結業績は売上高から経常利益まで過去最高更新。車社会の米国が一番の稼ぎ頭。
 今後も経営のグローバル化で、タイヤの世界首位の地位を強固にする。
 1000億円かけ米タイヤ販売店運営ペップ・ボーイズ買収。ペップの店舗数は800店舗。
 ペップ社は(消費者が)ネットでタイヤを購入し、店舗で取り付けるという仕組みも構築している。
 タイヤの電子商取引に一日の長がある。
 業績底堅く、戻り歩調。北米好調、配当20円増の120円に引き上げる。

・先週(9〜13日)の日経平均株価は前の週末比2%高の1万9596円で取引を終え、
 主要25か国・地域の中で上昇率が首位。
 前の週から7連騰という華やかさとは裏腹に、日経平均の2万円台回復までの道のりの遠さが浮かび上がった。
 米利上げによる資金流出が懸念される新興国とは異なり、日本株には通貨安が好材料。
 外国人投資家は11月第1週(2〜6日)まで現物、先物合計で3週連続の買い越しに。
 ただ短期的な過熱感はぬぐえない。日経平均25日移動平均からのかい離率、情報かい離が9日に5.9%と今年最大。
 過熱の目安は5%とされる。
 東証1部の値上がり数を値下がり数で割った「騰落レシオ」も、相場の過熱を語る。
 5日に140%(25日移動平均)と約8か月ぶりの高さ、その後も「買われすぎ」とされる120%を上回り続けている。
 息切れ気味の日本株のカンフル剤になってきたのが2015年度の補正予算への期待だが、
 「1億総活躍社会」に向けた保育サービスの充実といった施策は、株式市場への訴求力は限られるとの声も。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は上値の重い展開か。
 現地時間13日夜発生したフランスの同時多発テロ事件の影響で、
 目先は地政学リスクの高まりへの警戒感から慎重姿勢に転じる投資家が増えそう。
 2万円手前を上値とするボックス圏の値動きになるとの見方が出ている。
 投資家の強気ムードは後退しつつある。「世界の金融市場は米国の年内利上げを7割方は織り込んだ」とされ、
 先週の海外市場では中長期の投資家が様子見に転じる一方、短期筋が目先の利益を確定する動きも。
 そこへ仏テロ事件発生が重なり、上値を追う機運は一段としぼみそう。
 国内では16日に7-9月期の国内総生産(GDP)速報値の発表が予定。
 内容次第では軟調な値動きも予想されるが、
 政府が早期に景気押し上げのための財政出動に踏み切るとの期待も広がっており、影響は限られそう。
 18〜19日には日銀の金融政策決定会合開催される。
 今回は追加緩和が見送られると予想する声が多く、緩和を見越した先回りの買いや失望売りなどは出にくい。
 国内情勢を見ながら一進一退の値動きが続きそう。

・Wall Street:今週の米株式相場は上値の重い展開か。
 先週1週間でダウ平均は3.7%の大幅下落となった。
 先週の市場で懸念材料となった欧州株安や原油などの商品相場の下落、
 12月の米利上げ観測が引き続き相場の重荷になると見られる。
 パリで発生した同時テロ事件も投資家心理を悪化させる可能性がある。
 18日に発表される10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録に市場の関心が集まっている。
 17日にはウォルマート・ストアーズとホーム・デポの8〜10月期決算が発表される。
 個人消費の動向見るうえで両社の決算は市場の関心が高い。

・ランキング:決算発表シーズンに株価を上げた企業ランキング(10/9からの株価上昇率)

 1位日新製糖 <2117> [終値4095円]43.68% 消費増税の影響和らぎ、砂糖など食品事業が順調だ。
 東証1部指定と配当予想修正が好感。

 2位アイスタイル <3660> [終値1403円]41.43% 3位アルバック <6728> [終値2757円]32.93%
 
 6位SCREENHD <7735> [終値839円]30.28% 半導体装置の収益改善

 22位カルビー <2229> [終値4735円]22.04% 2ケタ営業増益を好感 

 31位日本空港ビルデング <9706> [終値6820円]19.86% 訪日客増加で最高益見込む。

 32位テルモ <4543> [終値4020円]1.82% 海外でカテーテル販売伸びる

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち23指数が下落。

上昇1位アルゼンチン週間騰落率2.2%(14年末比騰落率53.7%)2位日本1.7%(12.3%)3位トルコ▲0.1%(▲4.5%)
 4位ベトナム▲0.2%(12.0%)5位上海▲0.3%(10.7%)6位ブラジル▲0.9%(▲7.0%)

下位25位ロシア▲4.6%(3.1%)24位台湾▲4.2%(▲10.5%)23位米国▲3.7%(▲3.2%)22位英国▲3.7%(▲6.8%)

2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン53.7% 2位フランス12.5% 3位日本12.3% 4位ベトナム12.0% 
 5位上海10.7% 6位ドイツ9.2%
 
 最下位ギリシャ▲21.0% 24位インドネシア▲14.4% 23位カナダ▲10.6% 22位台湾▲10.5% 21位タイ▲7.7%
 21位インド▲6.9%

・楽天 <4755> [終値1541.5円]がクレジットカード業界の勢力図を塗り替えつつある。
 同社発行のカードを利用したショッピング取扱高は4-9月、23%増の2兆594億円と初めて2兆円突破。
 業界3位のクレディセゾン <8253> [終値2345円]2兆912億円に肩を並べた。
 拡大するネット通販の顧客を取り込んだ楽天の「独り勝ち」となっている。
 フィンテック生かした新たな相乗効果も狙う。

・株価リバウンド、3つの切り口。2万円目前、有望銘柄を探る。
 注目されたのは財務リスクの小さい高収益銘柄、値動きの小さい銘柄、外国人が好む成長株、
 一段と輝く銘柄を探る。

 財務リスク低い株でショック再来に備え。利益率の高さと財務健全性を併せ持つ主要銘柄。
 オービック <4684> [終値6270円]ROE15.2% 自己資本比率86.8%
 シマノ <7309> [終値18750円]22.0% 83.2% USS <4732> [終値2056円]16.5% 82.2%
 日本M&Aセンター <2127> [終値5230円]32.6% 80.4% 塩野義 <4507> [終値5376円]12.8% 78.7%

 止まらぬ「株式の利回り商品化」。低リスク株に資金流入(変動率が低く、割安な主要銘柄)
 キヤノン <7751> [終値3738円]変動率21.3% PER18.1倍
 阪急阪神 <9042> [終値772円]23.4% 15.2倍 丸紅 <8002> [終値696.3円]24.9% 6.7倍
 リコー <7752> [終値1317円]24.9% 13.4倍 大日印 <7912> [終値1201円]25.3% 25.1倍

 外国人があぶりだす成長株。最近外国人投資家の保有比率上昇が公表された主な銘柄。
 カネカ <4118> [終値1108円]保有者名イーストスプリング(シンガポール)
 ニチコン <6996> [終値1017円]米ウエリントン APC <3175> [終値1478円]米グランジャー・ピーク
 メッセージ <2400> [終値3050円]英シュロイダー 住友ベーク <4203> [終値515円]英シルチェスター 

(日経ヴェリタス)

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