
扉を開いて(もう中銀には頼れない)
- 2016年03月13日
- 株式投資・経済ニュース全般
2016年3月13日(日)くもり
・もう中銀には頼れない 勝者なき緩和競争 次の一手は。
世界の金融緩和競争で先頭走っていた欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が変節。
「さらなる金利下げが必要になるとは見ていない」。
今回の緩和メニューは、銀行がECBに預ける余剰資金に課すマイナス金利を0.1ポイント引き下げ、0.4%にし、
資産買い取り規模も積み増すなど、予告にたがわず大盤振る舞いだった。
だが「金融政策の限界」示唆するようなドラギ発言は市場の期待に冷や水浴びせ、
会見途中からユーロは対ドルで2%ほど急伸。緩和決定の発表前の水準上回った。
・もう中銀には頼れない 勝者なき緩和競争 次の一手は。
ドラギ総裁のメッセージはなぜ変わったのか。
謎を解くカギはマーケットを取り巻く環境の違い。
1月のECB理事会では、世界の金融市場が不確実性に包まれていた。
中国経済の減速懸念、下げ止まらない原油価格、地政学リスク・・・
悪材料が噴出する中、ECB含め各国の政策当局は慌てて打てる手を打った。
緊張が和らぐきっかけが2/26〜27日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議。
各国の金融だけでなく財政、構造改革といった政策の総動員で一致。
主要な中銀で先陣を切った3月のECB理事会で、ドラギ氏の本音が飛び出した。
そして、バトンは日米に移る。
・もう中銀には頼れない 勝者なき緩和競争 次の一手は。
14〜15日に日銀の金融政策決定会合が開かれるが、「政策効果を見極める」という名目で現状維持の公算大きい
。
15〜16日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ見送りつつ、
6月以降の利上げ再開の可能性織り込まれせるとの見方が多い。
日米欧3極で積極的な金融政策が見込めないなら、世界経済支える次の一手とは何か。
市場が催促し始めたのは財政出動。17年4月に予定する消費税率引き上げの見送り論が首をもたげる。
中国では全国人民代表大会で交通網整備に年2兆元(約34兆円)超投じるとの発表が話題呼んだ。
勝者なき緩和競争を脱するための切り札はあるのだろうか。
・もう中銀には頼れない 危機モード脱出へ 日欧米中はどう動く。
ドル高基調転換、均衡点探る。マイナス金利効果は短命? 円相場110〜115円焦点。
先進国も新興国も、金融緩和が生み出したチープマネー(低金利のお金)に依存し過ぎ、
構造改革がおざなりにされてきた。今になってその必要性に直面させられているのだ。
・もう中銀には頼れない 日銀、狭まる政策の選択肢 市場の期待は財政出動。
「アベノミクスの第三の矢である成長戦略については、より高く、より速く飛んでほしいと願っている」。
日銀中曾宏副総裁は3日、那覇市の講演で政府に注文。
講演後の記者会見で「金融政策だけですべてを解決できるわけではない。
こういう問題意識はより一層強く共有されるようになっている」との語った。
中国・上海での20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がまとめた政策総動員は
金融政策依存が強まる一方の日本にこそ、当てはまるともいえる。
金融、財政政策は景気の下振れを避けるための対症療法。
改革に必要な時間を買うための政策で、アベノミクスの本丸は中長期的な成長力高める成長戦略のはず。
痛みを伴う労働市場改革などが先送りされれば、政策総動員はやがて行き詰りかねない。
・もう中銀には頼れない FRB 3月利下げは見送りの公算。景気下振れリスク 輸出がカギ。
米連邦準備理事会(FRB)が懸念するのはもう一段のドル高。
マイナス金利政策敷く日欧からは投資マネーが逃げ出し、先行きの金利上昇が見込めるドルに必然的に流れ込む
。
FRBは15〜16日に金融政策議論する米連邦公開市場委員会(ふぉmc)開く。
昨年12月に続く追加利上げは見送る見通し。
イエレン議長が今後も市場との対話でつまずくようなら、株価波乱の一因になりかねない。
・もう中銀には頼れない ECB ドラギマジック不発。過度の緩和期待けん制。
欧州中央銀行(ECB)10日の理事会でマイナス金利の拡大に加え、
量的金融緩和の拡充まで盛り込んだ包括的な緩和策決めた。
緩和期待膨らむ金融市場に「満額回答」も、ふたを開けると通貨安にも大幅な株高にもならなかった。
中央銀行が金融緩和で相場を操縦する危うい政策ももはや限界にきている。
ぎりぎりのところまで踏み込んだECBだが、少なくとも初日の金融市場の反応は空振りだった。
今後の焦点はECBの緩和策が実体経済にじわじわと効くかどうかにかかる。
・もう中銀には頼れない 中国、財政出動拡大のお方針 外貨準備減少、資本規制も浮上。
全国人民代表大会(全人代)で財政出動拡大する方針明らかに。
2016年は国内総生産(GDP)対比の財政赤字率を15年計画比0.7ポイント高い3.0%に。
打てる対策の1つとして資本規制も浮上。
中国経済の「調整」が激震を伴うのか、それとも軟着陸できるのか。
世界がその行方を見守っている。
・日本の長期金利が乱高下。指標新発10年物国債利回りは8日、
過去最低となるマイナス0.1%に急低下した11日には約3週間ぶりのプラス圏に浮上。
日銀 <8301> [終値41950円]の大量購入で市場に出回る国債が少なく価格が上下に動きやすい。
3月期末を控え金融機関などが積極的に売買したとの見方もある。
マイナス金利政策ではECBが先行したがドイツの長期金利が先行したがドイツの長期金利は日本ほど下がらない。
「ECBが国債の買い入れ期限を区切っているため」と話す。市場が出口を意識する要因になる。
「当面は上下に振れやすい」と。
・景気低迷が深刻なブラジルで、株価と通貨レアルが急上昇。
ルセフ大統領の後見人的存在で、現在も政権に大きな影響力がある前大統領のルラ氏巡り、汚職疑惑が拡大。
保護主義的なルセフ氏が2018年末までの任期全うできず、
より開放的な経済政策を打ち出す政権が誕生するとの期待感強まっているため。
・キヤノン <7751> [終値3363.0円]東芝メディカルシステムズ買収する見通し。
買収額7000億円強。18日までに最終合意目指す。医療機器を成長に向けた第三の柱と位置付けたい狙い。
重複も少なく、リストラも不要。世界の医療機器市場は新興国中心に今後も成長が見込まれる。
世界の市場規模は足元の40兆円程度から25年にも74兆円まで伸びる見通し。
課題は業界内競争の激化、日本勢は苦戦。キヤノンは医療分野の実績薄く「相乗効果も少ない」との声も。
・発掘実力企業:ニッチで稼ぐ(8)MRT <6034> [終値3380円]
ウェブサイト介した医療機関への医師紹介手掛ける。現在も東大卒医師の3人に1人は同社の会員。
介入人材の主な対象は非常勤講師。
新サービスが4月投入予定の遠隔診療サービス「ポケットドクター」。
スマートフォン(スマホ)など用いて医師と患者をテレビ電話で結び、健康相談など受けられるサービス。
24時間365日体制敷くなど突然の体調不良にも対応。患者から得られる利用料がMRTの収入になる。
「来期までは投資フェーズで(利益拡大の)勝負は再来期」。
・会社がわかる 特集日清紡HD <3105> [終値1157円]戦後、繊維、自動車関連、化学品と多角化進めてきた。
今は「2026年3月期に連結売上高1兆円、自己資本利益率(ROE)12%超」との目標掲げ、
成長の軸足を「無線技術」と「自動車関連」に置く。
「今後10年間でM&Aで1500億円、研究開発や設備投資に1500億をそれぞれ使う。
合計3000億円のうち半分は既存事業の利益で賄い、残りは借り入れなどで対応する」
「2020年以降、自動運転に自社技術の活用の場は広がる。
傘下の新日本無線 <6911> [終値431円]が持つセンサー技術や
日本無線 <6751> [終値294円]のレーダー技術は自動運転車に生かせる。
自動運転は道路にも無線技術が使われるため、インフラ整備の需要も見込める」
・日経平均株価が1万7000円付近まで戻ってきた。
年明け以降に市場を覆った米中の景気減速や原油安への警戒感が和らぎ、
商社株や電気機器株など投資指標上「割安株」とみなされる銘柄が上昇けん引。
出遅れた銀行株に見直し買いが波及すれば今後1カ月は割安株相場が続く、との声が出ている。
割安株相場の契機は原油価格の反発。売られ過ぎた割安株を見直す動きは日本だけではなく、海外がより鮮明。
15年は成長株のが買われたが、16年は相対的に割安株優位に。
ただ割安株の多くは景気敏感株なので不安払拭がない限り、買い戻し一巡後の上昇は望みにくい。
カギは銀行株にありそう。
・金への資金流入続いている。
金相場は11日、指標となるニューヨーク先物が一時1トロイオンスう1280ドル超え、1年1カ月ぶりの高値。
2015年12月の安値から2割ほど高い。
金の相場上昇に合わせて、金の現物に裏付けされた上場投資信託(ETC)の残高が目立って伸びている。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万7000円挟んで方向感を欠きそう。
日米の中央銀行の政策をにらんだ為替の動きが相場を大きく左右。
追加緩和で円安進めば1万7000円台半ばまで上昇する場面もありそうだが、
為替の反応が限られるなら上値は重くなりそう。
SBI証券の藤本誠之氏は「1万7900円付近も視野に入る」と話す。
3月特有の需給環境も株価はプラス材料。
3月期決算企業の配当・権利確定する28日までは、配当狙いの物色が入りやすい。
空売りのための株式を貸し出し生保など機関投資家も3月末までに株を手元に戻す必要がある。
売り圧力は比較的弱い時期と言える。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用成績を少しでも上げるため、
政府が財政出動策打ち出すとの思惑も出始めている。
日銀黒田東彦総裁が14〜15日の金融政策決定会合後の記者会見でどのような景気判断示すのか注目。
・Wall Street:今週の米株式相場は上昇基調が続くのか回復力が試される。
ダウ工業株30種平均は4週連続上昇で、年初からの世界経済に対する過度な警戒感は和らぎつつある。
今週前半に開かれる日米の金融政策決定会合はどちらも現状維持となる公算が大きいが、
会合後開かれる日銀黒田東彦総裁や米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が記者会見での発言に
市場関係者の関心が集まっている。
今週の注目点は15〜16日開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)。市場のコンセンサスは利上げ見送り。
関心は次の利上げのタイミング。
15日に2月の小売売上高、16日は2月の消費者物価指数(CPI)発表予定。
・ランキング:現預金と有価証券の合計から有利子負債除いたネットキャッシュが、
総資産に占める比率が高い企業ランキング。時価総額500億円以上。
1位任天堂 <7974> [終値16115円]ネットキャッシュ総資産比率67.7% 新型ゲーム機支える原資。
キャッシュため込む一方、下方修正後の年間配当予想維持など株主還元強化する姿勢も。
2位SANKYO <6417> [終値4345円]60.7% 3位メルコHD <6676> [終値2479円]60.0%
4位ヒロセ電機 <6806> [終値12760円]54.4% 高い還元性向と両立なるか
22位持田薬 <4534> [終値8150円]32.7% 大型薬開発で投資膨らむ。
27位信越化学 <4063> [終値5993円]30.6% 米国工場建設に1700億円。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち18指数が上昇。
上位1位イタリア週間騰落率3.88% 2位ロシア3.34% 3位フィリピン2.89% 7位米国1.21%
下位25位中国▲2.22% 24位南アフリカ▲1.0% 23位英国▲0.96% 22位インドネシア▲0.76% 21位日本▲0.45%
・マイナス金利の導入や株式市場の不透明感から、スマートベータ型商品が脚光浴びている。
従来の株価指数連動型に比べ安定した運用成績が期待できることが人気。
スマートベータ型商品の運用残高は現在、米国など中心に世界でおよそ5000億ドル(約56兆7500億円)。
年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)が14年に株式運用で採用きっかけに日本でも浸透。
スマートベータといっても「高配当」「最小分散」「クオリティー」など様々な種類も。
共通は市場の「クセ」に着目し、市場平均より高いリターン狙うという点。
「高配当」配当利回りが高い銘柄や連続増配銘柄を割り出し指数に入れる。
「最小分散」銘柄間の値動きの連動性分析、変動しにくい指数にする。
「クオリティー(質)」ROEなどを使ったスコアや企業価値の推計値で良質銘柄選び組み入れる。
「バリュー(割安)」PERやPBRなどに着目、割安な銘柄を組み入れる。
「モメンタム(勢い)」一定期間の株価の動き考慮してその時流に乗った銘柄選ぶ。
相場の局面で商品特性見極め。
上げ相場では時価総額や自己資本利益率(ROE)などを重視するタイプ、
下げ相場ではリスク低減型や高配当型、もみ合い相場では割安株が強み発揮できる。
スマートベータ型の投信選ぶ際には、対象とする指数と実際の運用成績に差が出ていないかに注意。
理論上好成績でも、実際に運用できていなければ意味がない。
(日経ヴェリタス)
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