最新の経済ニュース・最新株式情報はコロ朝経済ニュース・株式掲示板で!

扉を開いて(背水のアベノミクス)

2016年5月22日(日)はれ

・背水のアベノミクス 政策総動員いざサミットへ。
 安倍晋三首相「日本がサミットに先駆けて少子高齢化の克服に向けた道筋を示すのは大きな意義がある」。
 26〜27日に迫った主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けて改革の進展を精一杯アピール。

 アベノミクスは4年目。だが日銀 <8301> [終値38500円]ととも掲げた2%の物価目標は遠く、
 景気回復の足取りも重い。安倍首相の自民党総裁としての任期はあと2年。
 基礎的財政収支(プライマリーバランス)の20年度黒字化という「国際公約」の期限も迫ってきた。

 背水のアベノミクスは新任取り戻すため、
 最後の総力戦に挑む。先進7カ国(G7)の首脳が集まる伊勢志摩サミットに照準定め、
 ニッポン一億総活躍プラン、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)、
 そして成長戦略「日本再興戦略」と、急ピッチで弾を込めた。

 議長役の安倍首相が目指すのは、構造改革に取り組む姿勢を率先して示し、
 世界経済を安定成長に戻すための「政策総動員」へ国際的な協調体制固めること。
 これを錦の御旗に大型の財政出動や17年4月の消費税引き上げの延期に道を開き、
 失速したアベノミクスを救うシナリオ描く。

 財政出動と増税の先送りで時間を稼ぐ間に、
 構造改革の歯車を回すことが出来なければ、アベノミクスが失敗の烙印押される。

・背水のアベノミクス 市場の視線、構造改革に。
 市場が期待するのは、日本が抱える長期的課題を解決するための成長戦略。
 財政出動は必要だが、日本の信用力が低下し、金利が急騰するリスクも伴う。
 株高持続、人口減対策カギ。アベノミクスは厳しい時間との戦いも強いられる。

・背水のアベノミクス 課題解決へ具体策半ば。
 市場「観光」高評価、次の焦点は「労働分野」。
 アベノミクスは当初から、成長戦略こそが大事だといわれ続けていた。
 日本経済の実力示す潜在成長率は0.2%程度で、安倍政権下でも高まっていない。
 成長戦略で示した目標を達成する具体策を急がないと、市場の期待をつなぎとめることはできない。

・背水のアベノミクス 米大統領選、高まる財政出動論。
 金融政策の限界論、日欧の中銀が量的緩和やマイナス金利を繰り出しても
 経済の本質的な体質改善にはつながらない。
 利上げ路線の継続をうかがう米国ですら、緩和で低成長を克服出来たとは到底言えず、
 「低成長なりの控えめな利上げ」に理解を求めているのが現状。
 財政出動論は、米大統領選にも影響。
 共和党候補指名が確実となったドナルド・トランプ氏は低金利政策を長引かせつつ
 「インフラ投資を急ぐ」と主張。この点はサマーズ氏の主張と驚くほど重なる。
 もともと「大きな政府」の志向は、民主党の専売特許。
 同党候補指名が濃厚なヒラリー・クリントン氏もインフラ投資や低所得層への歳出拡大を重点施策に並べる。
 議会で与野党対立が続く限り、どちらが勝利しても、新政権が一気に財政拡張にカジを切る可能性は低く。
 進むべき道は結局、最近のG20会議で繰り返される「政策総動員」に行き着く。
 安易な財政拡張論は危険と隣り合わせ。

・背水のアベノミクス 支出拡大、足並みそろわず。
 各国が「機動的な財政出動」に応じられない政治事情抱えていること。
 英国は6月に欧州連合(EU)から離脱するかどうかを国民投票に諮る(はかる)。
 いま英政府が「欧州経済を救うため」と財政拡大に踏み出せば、EU離脱派の格好の攻撃材料になる。
 英国の健全財政はキャメロン政権の数少ない果実。「それぞれの国の事情を反映すべきだ」とクギ。
 ドイツは1970年代から米国に財政拡大求められながら応じて来なかった歴史がある。
 もちろん日本の要請は素通り。
 G7の中で財政拡大を通じて景気支えたいとの思いでは7月に参院選控えた日本が突出。
 残る6カ国が日本に付き合うメリットは少ない。

 政策協調が出来ない2つ目の理由が中長期の景気認識で日本と欧米が一致していないこと。
 世界景気が悪いから追加的な財政出動に踏み切ろう。そんな理屈を唱えるのは日本だけ。
 サミットでの合意を消費増税先送りする口実にしたい日本と欧米勢の思惑はすれ違う。

・先週の金融・証券市場では米国の利上げ観測が一気に強まった。
 18日公表の4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、
 多くのメンバーが6月の利上げ視野に入れていることがわかり、市場を驚かせた。
 外国為替市場ではドルが買われ、円相場は1ドル110円台半ばと3週間ぶりの円安・ドル高水準となった。
 株式市場では円安への反応が限られ、19日の日経平均株価は前日比2円弱の上昇にとどまった。
 商品市場では、原油や金の価格は議事要旨公表後に下落したが、週末にかけて値を戻す場面もあった。

・米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースを巡って米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーらの発言が相次ぐ中、
 27日に予定される討論会に参加するイエレン議長の発言に注目が集まっている。
 6月会合での利上げの有無を巡り、イエレン議長の真意を探ろうとしている。
 6月のFOMCは14〜15日。
 6/6にもイエレン議長の講演が予定、今週の討論会がどこまで踏み込んだものになるか分からない。
 しかし市場は「6月もしくは、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票を待って7月か」
 といったシナリオの確度をイエレン議長の言葉で測ろうとしている。

・財務省23日、輸出額から輸入額差し引いた貿易収支(通関ベース)の4月分発表。
 原油安で輸入が大きく減っているため、3カ月連続で黒字確保する見通し。
 貿易黒字の継続は、為替市場で円高・ドル安を定着させる一因となり、輸出企業への影響が意識されそう。
 貿易黒字はいつまで続くか。市場の見方は分かれる。
 原油価格はサウジアラビアなど産油国の減産調整が進めば大きく上昇する可能性がある。
 輸出は海外景気や為替によって一段と弱含むリスクがあり、不透明。

・新日鉄住金 <5401> [終値2226.0円]保有する韓国鉄鋼大手ポスコ株の一部を売却。
 買収の脅威薄れ、目下の経営課題は財務体質維持しつつ、国内外の戦略投資の資金をどう確保するか。
 市場では今後も資産売却や資金調達の動きが出てくるとの見方が出ている。

・発掘実力企業:ニッチで稼ぐ(15)丸輪運輸 <9090> [終値2906円]
 食品スーパーなど小売業界向け物流に特化する形で2014年4月の上場以来、増収増益続けている。
 物流を一括受託するサード・パーティー・ロジスティック(3PL)業者でありながら、
 かつてのスーパー再建に携わった経験も。
 2019年3月期までの中期経営計画では連結売上高が前期比34%増の810億円、経常利益で同67%増の65億円見込む。
 「日本の低温食品物流でトップになればアジア市場も狙える」。

・大手ゼネコン(総合建設業)が配当拡大。利益拡大に加え、自己資本比率の上昇など各社とも財務体質が改善。
 19年ぶりの自社株買いに踏み切った大成建設 <1801> [終値800円]はじめ、株主還元に前向きな姿勢鮮明。
 2020年の東京五輪に向けた工事や首都圏の再開発、インフラ更新などで国内の建設需要が急増。
 16年3月期は大成建、大林組 <1802> [終値1136円]清水建 <1803> [終値981円]が
 いずれも年間配当前の期比8円増。鹿島 <1812> [終値733円]も同7円増配。

・急騰バイオベンチャー株 第三の波。大化けは少数、戦略見極め。
 「上場バイオベンチャー」に明確な定義はないが、一般に株式上場が2000年以降の企業を指し、現在は約40社。
 再生細胞、遺伝子情報、免疫機構など生物物質活用した「バイオ医薬品」手掛けるのが特徴で、
 化学物質を合成して作る従来の「低分子医薬品」と区別される。
 そのビジネスモデルは「創薬」「創薬技術の提供」「創薬を支援」の3つに分類できる。

・急騰バイオベンチャー株 第三の波。

 ビジネスモデル(1)薬をつくる
 創薬型の先駆けがアンジェスMG <4563> [終値601円]。
 大阪大森下竜一氏(現教授)の研究成果応用すべく1999年に発足、2002年にマザーズに上昇した。
 健康な人の遺伝子利用した「遺伝子治療薬」開発。
 田辺三菱製医薬 <4508> [終値1831円]と進める足の血管疾患向け治療薬は最終段階の臨床試験(治験)実施。

 がん治療薬で小野薬 <4528> [終値5193円]などと組むオンコセラピー・サイエンス <4564> [終値301円]
 アイルランドのアラガンと組むそーせいグループ <4565> [終値19000円]も創薬型。
 開発失敗のリスクがあり投資対象としてはハイリスクだが、成功すればリターンは大きい。

 ビジネスモデル(2)創薬技術を提供
 医薬品の候補物質を作り出す技術をライセンス供与するのが「創薬技術の提供」型。
 創薬型とは異なり、候補物質の探索という開発の「核」部分に特化し、治療などへのかかわりは少ない。
 代表銘柄はペプチドリーム <4587> [終値5820円]「特殊ペプチド」を作る技術を持つ。
 16年に入り塩野義 <4507> [終値6100円]旭化成ファーマと契約結ぶなど、契約先は国内外計16社に達した。
 窪田規一社長は「今後も黒字にこだわりたい」と話す。
 「創薬型」に比べると治験など持ち出しが少ないため費用負担が軽いほか、
 提携先が広がれば安定した収益確保できる。
 一方、開発過程で関わる部分が限定的で、契約金の水準は相対的に低いことも多い。

 ビジネスモデル(3)創薬を支援
 「創薬を支援」する形は、研究用試薬や遺伝子解析サービスを提供する企業。
 収益性は高くないものの、安定している。
 タカラバイオ <4974> [終値1416円]などの企業がある。

・急騰バイオベンチャー株 第三の波。
 株価騰落率2015年末と16年5/20の終値比較。バイオ企業時価総額上位20社

 創薬
 アンジェスMG <4563> [終値601円]株価騰落率2.6倍 今期最終損益予想▲64億円 血管疾患の遺伝子治療薬
 OTS <4564> [終値301円]▲1.6% ▲27億円 がん向けの分子標的治療薬
 そーせいグループ <4565> [終値19000円]91.0% 130億円 アルツハイマー治療薬
 メディシノバ <4875> [終値700円]60.9% ▲11億円 気管支疾患の治療薬
 ジーエヌアイ <2160> [終値269円]40.8% ▲4.99億円 肺疾患治療薬。遺伝子解析技術に強み。
 J・TEC <7774> [終値1434円]30.7% 0.05億円 皮膚や軟骨の再生医療製品
 ナノキャリア <4571> [終値1310円]25.2% ▲34億円 がん治療薬、高分子技術利用。
 UMN <4585> [終値1894円]8.5% ▲33億円 インフルエンザワクチン
 アキュセラ <4589> [終値5060円]6.1倍 ▲40億〜▲41億円 網膜疾患の治療薬
 サンバイオ <4592> [終値1627円]57.2% ▲36億円 脳梗塞の再生細胞薬
 ヘリオス <4593> [終値1858円]65.5% ▲9.8億円 iPS細胞使った再生医療製品。
 グリーンペプ <4594> [終値920円]3.5倍 ▲13億円 免疫機構応用したがん治療薬。

 創薬技術
 カルナバイオ <4572> [終値2848円]4.6% 4.56億円 創薬で使う「キナーゼたんぱく質」
 カイオム <4583> [終値682円]9.1% ▲12億円 抗体作製する技術。
 ペプドリ <4587> [終値5820円]50.2% 8.3億円 ペプチド使った候補物質の探索技術。

 創薬を支援・その他(素材提供) 
 新日本科学 <2395> [終値558円]34.5% ▲29億円 治験の受託、試料分析。
 タカラバイオ <4974> [終値1416円]16.8% 13億円 バイオ医薬品向けの研究用試薬
 3DM <7777> [終値1026円]1.3% ▲23億円 再生医療で使う素材。
 ユーグレナ <2931> [終値1585円]▲12.7% 5.4億円 「ミドリムシ」を使ったバイオ素材
 リプロセル <4978> [終値435円]18.9% ▲8.01億円 iPS細胞分野の研究試料

・米指標原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の原油相場、
 7カ月ぶりの1バレル50ドル台に迫っている。
 産油国の政情不安などによる供給減で、需要引き締まり観測も広がる。
 ドル高進み、原油は弱含んだが需給は引きしまると見方は根強い。
 米追加利上げに関し、景気回復を示唆する一方「ドル高は商品相場を押し下げる」との声も。
 当面は強気、弱気が交錯し、値動きの荒い展開になりそう。

・会社がわかる 特集 <> [終値円]

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万6000円台後半でもみ合う展開か。
 26〜27日に主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を控えて財政出動への期待が株価の下支えとなるものの、
 一段と上値を追うにはやや手掛かり不足。
 6月の日米の金融政策を見極める投資家が多く、商いも先週に続き低調となりそう。
 先週は東証マザーズ指数が急落しるなど、堅調だった銘柄への買いが一巡する兆しも見えた。
 今後物色の流れが変わるとすれば「次は銀行株をはじめ、これまで売り込まれた銘柄が反発する局面」とも。

・Wall Street:今週の米株式相場は神経質な展開か。
 早期利上げ観測背景に弱含みとなった先週の地合いを引き継ぎそう。
 先週4/26〜27開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表され、
 大半のメンバーが今後発表される経済データ次第で「6月の利上げが適切となる可能性がある」との認識示す。
 雇用情勢の改善鈍化など背景に利上げは9月以降にずれ込むとの予想多かったため、株式に売りが広がった。
 ダウは1週間で約0.2%下落。4週連続の下落となった。
 27日1-3月期米実質国内総生産(GDP)改定値発表。
 成長率は市場予想0.8%で、1.0%超えるようなら6月利上げの可能性がより強く意識される。 

・ランキング:今期英豪増益率の高い企業ランキング

 1位アコム <8572> [終値632円]17年3月期営業利益予想648億円 317.6% 

 2位IHI <7013> [終値270円]650億円 194.8% 海洋工事、改善見込む。

 3位日立工 <6581> [終値731円]76億円 187.3% 4位日新製鋼 <5413> [終値1396円]255億円 152.8%

 13位コロワイド <7616> [終値1917円]120億円 88.9% 積極買収で収益向上 

 22位住友林業 <1911> [終値1509円]460億円 52.9% 米豪で住宅販売好調

 23位レンゴー <3941> [終値631円]240億円 52.6% 段ボール販売回復。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち12指数が上昇。

上位1位南アフリカ週間騰落率2.49% 2位日本1.97% 3位シンガポール1.06% 4位台湾0.96% 5位スイス0.90%
下位25位ブラジル▲4.02% 24位ロシア▲3.12% 23位トルコ▲1.86% 22位フィリピン▲1.85% 14位米国▲0.20%

(日経ヴェリタス)

———————————————————————–

株式会社アスリーム
INTERNET MEDIA OF INVESTMENT NEWS             
  〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-14-5      

URL : http://koronoasa.com/
———————————————————————–

記事の続きはコロ朝プレミアムで!

コロ朝プレミアム入会はこちらから