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岡本昌巳氏からのレポート

昭和電線ホールディングス 富井俊夫社長 新中期経営計画を語る
<真のグローバル企業集団として『信頼』されるSWCCブランドを浸透させる3年間とする>

 大和IR主催のセミナーで、昭和電線ホールディングス(5805)の富井俊夫社長は今09年3月期(08年度)から始まった新中期経営計画について語った。その内容についてまとめてみたい。

 その前に、内容がより分かりやすくするために、別掲の「新中期経営計画」の資料を手元に置いて、資料を参照しながら読んでいただきたい。

http://www.daiwair.co.jp/e-cast/pdf/0802205805.pdf

 また、内容がより理解しやすいように、同社グループには大きく分けて3つのセグメントがあることを知っていただきたい。それらは以下の3つである。
 
① コミュニケーションシステム事業〜光ファイバー・通信ケーブル、ネットワークソリューション、通信エンジニアリングなど情報通信関連。
② デバイス事業〜精密デバイス(ローラ)、免震、制音(クワイセント)、ワイヤーハーネス(電子ワイヤ)など電子関連デバイス。
③ エネルギーシステム事業ほか〜電線・線材、電力用機器(サイコネックス)、巻線、超電導線材、熱電変換素子など電力・エネルギー関連。

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では、富井社長のセミナーでのコメントのポイントとなる部分をまとめてみます。
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「この4月から新中期経営計画をスタートさせる。計画の主題は、真のグローバル企業集団として『信頼』されるSWCCブランドを浸透させる3年間とするものだが、まず、新計画について話す前に、その前の中期経営計画について振り返ってみたい」

 「前中期計画は持株会社となって初めての計画だが、営業利益ベースではほぼ計画を達成したが、セグメント別に見ると、問題点もあった」

 「計画に比べて、前07年度のコミュニケーションシステム事業の営業利益は半減、デバイ事業は赤字となった。一方、エネルギーシステム事業の利益は倍となった」(資料4P)

 「なぜ、こうなったかのついての分析だが、まず、成果についてだが、サイコネックス(電力用機器)は3年間で70%増、免震も4倍と成長事業は拡大、電線・線材、電力ケーブル、巻線など基盤事業も安定化したこと。一方、反省点は精密デバイス、ワイヤハーネスでの海外展開の遅れ、通信ケーブルの国内需要の低迷。有利子負債の圧縮については資産の効率化は進んだが、07年度有利子負債目標620億円は結局、銅価格の上昇による運転資金の増加から650億円と未達だった。会計基準厳格化、構造改革など損失処理は3年間で80億円、その前年を入れた4年間で120億円の処理を行なった」(資料5P)

 「さらに不振のセグメントの構造改革を進めた。まず、デバイス事業で国内拠点の集約化(6拠点から3拠点に)、制音関連製品への注力、SPS(いわゆるトヨタ生産システム)の水平展開、コミュニケーションシステム事業では需要規模に見合った体制作りのために宮崎電線工業の再構築と冨士電機との生産統合などを行なった」(資料6P)

 「新中期計画では①グループ力の再結集、②既存事業の収益力強化、③海外市場への進出加速、④次期成長を見据えた事業育成、⑤財務体質の強化が課題だ」(資料7、8P)

「① では、グループ内での昭和電線HDの求心力を求めたい。
新規事業の創出のための戦略的な活動の強化も課題で、具体的には、まず、サイコネックス。07年度は35億円、10年度には60億円の計画だが、世界に誇るオンリーワンとして早く100億円に乗せたい。
制音はこれまでの制震単体からいろいろと組み合わせたソリューション事業として育成、すでに新型新幹線700系の54%に防振デバイスとして採用されており、制音カバー、防音ボックスなどの開発も進めたい。
自動車向けは巻線や、シートヒーター、ハンドルヒーター、止水材関連のニッチ製品が主体だが、現在は65億円程度だが、10年度には80億円に引き上げたい。
超電導材はイットリウム系に特化、ケーブル、電圧器向け線材で開発を進めて来た。
熱電変換素子は廃熱利用発電向けで量産法にメドをつけた。従来使われなかったエネルギーを使うもの」(資料10P)

 「②では、エネルギーシステムでは、生産性の向上とサイコネックス、超高圧電力ケーブル、細物平角線など高付加価値製品の拡大。デバイスでは、ワイヤハーネスの海外生産拠点の最適化、制音の拡大、精密デバイスのSPSの水平展開など。コミュニケーションシステムでは、中国など海外での光ファイバーの拡大などだ」(資料11、12P)

 「③は海外展開の加速。具体的には、サイコネックス、高圧電力ケーブルの拡販、提携強化、巻線での中国再展開、光ファイバーの中国生産強化などで、海外の売上高は07年度300億円が10年度400億円の見通し」(資料13、14P)

 「④は吸音材、銅銀合金、超電導線材、熱電変換素子などに研究開発費を投じて行く」(資料15P)

 「⑤では、10年度5円配当とともにDEレシオ(有利子負債÷自己資本)1をめざす」(資料16、17P)

 「設備投資は3年間で電力ケーブル増強約30億円、巻線の増強約30億円、精密デバイス約5億円、IT投資約40億円などを計画している」(資料18P)

 「今08年度のセグメントの営業利益予想はコミュニケーションシステムは回復、デバイスは構造改革、ベトナムの赤字脱却から黒字化、エネルギーシステムは銅価上昇、減価償却費の増加から減少する見通し」(資料19〜22P)

 「これらの施策により、営業利益は07年度53億円、08年度57億円、09年度65億円、10年度80億円、経常利益は同じく28億円、39億円、47億円、62億円に引き上げて行く計画だ」(資料9P、23P)

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 <その後の変化>
 円高、原料高などマイナス要因も増幅したが、親会社的な存在の東芝が3月以降、米国で3兆円近い原子力発電受注を内定、この原発需要はマイナス要因を補って余りあるものとなりそうだ。

岡本昌巳氏のブログはこちらから

http://ameblo.jp/okamoto-blog/

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