
ユーロ復活は本物か
- 2017年06月25日
- 日経ヴェリタス
2017年6月25日(日)雨のち曇り
・ユーロ復活は本物か。迫る統合20年、構造問題なお消えず。
投資マネーの還流裏付けるように、欧州単一通貨、ユーロの上昇が止まらない。6月には1ユーロ=1.12ドル前後と年初来高値。
反ユーロ掲げたポピュリズム(大衆迎合主義)の嵐収まり、政治リスクは後退。
欧州の主要企業で構成する株価指数ストックス600は昨年末比7%上昇、独株価指数DAXは最高値圏。
1-3月期実質国内総生産(GDP)が前期比2.3%増(年率換算)という景気回復が後押しする。
ちょうど1年名前の6/24、英国は国民投票でEU離脱を決め、世界に衝撃が走った。
・ユーロ復活は本物か。迫る統合20年、構造問題なお消えず。
ギリシャ危機、欧州債務危機と相次ぐ危機に見舞われたユーロは2018年、通貨統合から20年目という節目迎える。
南欧や中東欧の新興国を取り込んで拡大も、域内では経済の体力が異なる国々が混在する。
英米との分断を迫られるEUは「強い欧州」を掲げる仏マクロン大統領と独メルケル首相が強調しながら立て直す道を探る。
・ユーロ復活は本物か。続く南北格差。
単一通貨使うユーロ圏は金融政策は統合されていても財政は国が主権持って運営する。
日米のように金融と財政を総動員した経済対策は打ち出せない。
金融政策をつかさどる欧州中央銀行(ECB)は景気回復を支えに緩和縮小視野に入れ始めたが
国によって経済情勢が異なり、難しい調整を迫られる。
ドイツにとって今の「ユーロは弱すぎる」(独メルケル首相)。一方で南欧の回復は弱弱しい。
ECBのドラギ総裁はあくまでも慎重な姿勢崩さない。
細心の注意で臨まなければ、弱い南欧諸国のおどこかで債務不安再燃するリスクがあるから。
20年目の先のユーロの行く末は、まだ混とんとしている。
・日経平均株価は先週、19日に2万円台の大台を回復し、20日には年初来高値更新、終値でも2万円維持。
電子部品株やゲーム関連株が相場を引っ張るが、物色対象の広がりは限られている。
日経平均は週間で189円(0.9%)高。20日には2万0230円と、2日に付けた年初来高値上回り、約1年10カ月ぶりの高値に。
ただ、東証1部銘柄で20日に年初来高値更新した銘柄は275銘柄と、今年最高の5/8の366銘柄より4分の1少ない。
東証1部の1日平均の売買代金も先週、2兆1717億円となり、年初以降平均2兆3007億円下回った。
日本株を買い越してきた海外勢の動きも変化。東証取引所発表、海外投資家は6/12~16日の州まで2週連続現物株売り越しに。
市場では「1ドル=115円近辺まで円安に振れなければ企業業績の拡大への期待は高まらない。
積極的に上値を追う投資家は増えない」といった慎重な見方も少なくない。
・ユーロ復活は本物か。マクロン戦風、リスク一服。
親・欧州連合(EU)掲げるマクロン仏大統領選の誕生で、漂流の危機に直面していた欧州はひとまず安定。
足元で投資マネーは戻ってきたが、前途になお難題も残る。
・ユーロ復活は本物か。マクロン戦風、リスク一服。
政治:独仏結束し改革機運。英米とは水深まる。
マクロン氏のユーロ圏改革構想の骨子は「共通予算」。
ユーロ圏加盟国は共通予算を持ち緊急時にお互いを支援したり成長投資に回したりする。
域内不均衡抱えるユーロ圏はギリシャが発端になった危機の連鎖を止められなかった。その反省が背景にある。
新しいEUの中軸と期待されるマクロン声援にも不安。内閣改造発表した21日には架空雇用疑惑などが出た閣僚4人が辞めた。
9月と見込まれる労働規制緩和では内政の執行力が試される。
・ユーロ復活は本物か。マクロン戦風、リスク一服。
財政政策:域内不均衡是正、焦点はドイツ。
「強いユーロ」を目指すうえで避けて通れない課題が経済通貨同盟の深化。
仏大統領選で親EUのマクロン陣営が勝利しユーロ圏改革の機運は高まるが、
その前途には財政は「各国の自己責任」と強く主張するドイツが立ちはだかる。
欧州委員会が公表したユーロ圏改革のたたき台「リフレクション・ペーパー」は
2025年にユーロ圏の経済通貨同盟の完成目指すとの目標掲げた。
欧州委にとって追い風は、ユーロ圏の共通予算といったユーロ圏改革で同じ構想を掲げ、
「強いフランンス」の復活と結びつけようとするマクロン仏大統領の登場。
相次ぐ危機を経て、ポピュリズムの嵐がひとまず去り、
冷静になった欧州は、域内不均衡の是正という時間と手間がかかる難題と向き合わなければならない局面にある。
・ユーロ復活は本物か。マクロン戦風、リスク一服。
金融政策:ECB緩和縮小にらむ。物価上昇の鈍さ懸念。
ユーロの先行きを大きく左右するのが、欧州中央銀行(ECB)の金融政策。
ドラギ総裁は欧州経済に「より強い動き」が見られるとし、安定成長への自信深めつつある。
ECBは8日理事会で、先行きの金融政策方針(フォワードガイダンス)をこれまでの追加緩和に軸足置いた表現から、
より中立的な表現に変更。市場は「織り込み済み」「緩和縮小のペースは緩やか」としてユーロ売りで応じたが、
長い目で見れば、緩和の出口に向かって一歩踏み出した意味合いは小さくない。
ECBは同日経済見通しで、2017年の成長率は1.9%、18年を1.8%、19年を17%にそろって上方修正した。
国際通貨基金(IMF)などほかの国際機関よりも強気の数字示した。
イタリアやスペインなど南欧は、成長率が上向いたとはいえ、失業率はなお10%上回る。
賃上げは進まず、物価は上がらない。銀行の不良債権問題も収束しておらず、ECBは域内格差に配慮せざるをえない。
こうした経済・物価情勢のもと、ECBはどのように出口に向かうのか。
最初の注目点は、早ければ9月にも決める来年以降の資産購入額。年末までは月600億ユーロ(7.4兆円)ペースで買い続ける。
市場ではECBが来年1月以降の資産購入額を月400億ユーロ程度減らすとの見方。
たとえ緩やかでも出口に向かい始めれば、欧州の長期金利も少しずつ上がり始めるとみられる。
ドイツの10年債金利は現在0.2%程度、いつまでも物価上昇率より低い水準にとどまるとみるのは無理とも。
米独の長期金利がじわじわ縮まっていくならば、金融政策の正常化にあわせて、ユーロを買い戻す余地も生まれる。
・ユーロ20年、導き出した答え。「果実守れる」欧州に自信。
ポスト・クライシスの欧州には3つの新潮流が生まれている。
ひとつは国際政治の担い手としての自負。米国の国際協調に背を向け、失政続きの英国は漂流する。
残ったユーロ圏は、自由貿易や民主主義の守り手になるという自信を深めつつある。
二つ目はドイツの存在感の大きさ。戦後ドイツは沈黙する巨人だったが、今は外交・安全保障にまで口を出す。
3つ目は、他の国に干渉されるのを嫌がっていたフランスが欧州統合の推進派に転じたこと。
圧倒的な力を持つ「域内超大国」のドイツを希望に燃えたフランスが支える。
英米のオウンゴールで独仏には国際政治のけん引役まで転がり込んできた。過去に例のない構図に。
戦後秩序は瓦解し、欧州は新しい政治の枠組みに移行した。
・ユーロ復活は本物か。ユーロ「年内は緩やかな上昇」来年以降は懐疑的とも。
政治リスクの後退や景気回復が追い風、今年の最も大きな焦点は欧州中央銀行(ECB)の金融政策。
2018年以降の景気の持続力については見方分かれる。
米商品先物取引委員会(CFTC)、投機筋のユーロの買い越し幅は今月、約6年ぶりの高水準に。
ここ3年間は売り越し基調が、仏大統領選境に投資筋が急にユーロ買いに動いた様子がうかがえる。
市場の一部には、2018年以降の欧州景気の持続力に懐疑的な見方も。
米バンク・オブ・メリルリンチは
「ドイツの対中輸出は減少に転じており、ユーロ圏の製造業景況感はピークに近づいている」と分析。
もう一つは利上げに向かう米連邦準備理事会(FRB)の動向。ドイツ証券は欧州の経済成長が続いてもユーロ安が進むと見込む。
欧州株には割安感に着目した資金流入が続くとの見方も多い。
・報道各社の世論調査で安倍晋三内閣支持率が軒並み10ポイント前後急落、一部では40%割れ。
今回は身内や「お友達」に甘い首相本人の「体質」が火種となった点でより深刻。
「安倍1強」長期政権の最大の敵は外からくるのではなく、自らのうちに潜む。
・安倍内閣支持率低下は株式相場に不安材料の一つ。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://info.koronoasa.com/
・米商務省は30日、5月の米個人消費支出(PCE)デフレーター発表。米連邦準備理事会(FRB)が政策決定で重要視する指標。
伸びが鈍いインフレ率は、FRBの追加利上げを阻みかねない。
利上げペースが鈍れば、米長期金利は一段と上がりにくい。
PCEデフレーター変動率がプラスなら物価上昇、マイナスなら物価の下落を示す。
・海外子会社の会計問題発覚した富士フイルム <4901> [終値4045円]29日、定時株主総会開く。
遅延していた2017年3月期決算発表は12日実施。
コーポレートガバナンス(企業統治)の甘さについて、株主から厳しい追及は避けられない。
今回の問題を真摯に株主に説明できるかが今年の総会の注目点となりそう。
・米国で投資信託巡る3つの大きな変化が起きている。
さらなる※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabushiki.koronoasa.com/
・日本郵政 <6178> [終値1386円]19日、野村不動産HD <3231> [終値2141円]買収について事実上白紙撤回発表。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://info.koronoasa.com/
・発掘実力企業:自己資本利益率(ROE)改善(4)グローブライト <7990> [終値1962円]
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・東芝 <6502> [終値307.8円]21日、
経営再建の柱である半導体メモリー事業の売却に関して日米韓連合を優先交渉先に決める。
協業先の米ウエスタンデジタルによる法的措置の動向という最大懸念材料も解決しておらず、先行来なお曲折がありそう。
・ルネサスエレク <6723> [終値990円]売買急増。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/koroasamembers/
・注目企業ここが知りたい ニコン <7731> [終値1853円]合理化、「半導体」の次は。
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・日本株がようやく膠着相場を抜け出す兆し。
米国やドイツなど世界の主要国の株価指数が相次ぎ最高値をつける中、日経平均株価は一足遅れて約1年10カ月ぶりの高値回復。
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・6月に高値を付けた主な銘柄
任天堂 <7974> [終値38440円]先週上昇率6.7% 年初来56.6% 9年ぶり高値
富士通 <6702> [終値833.5円]5.7% 28.3% 2年ぶり高値
ミクシィ <2121> [終値6600円]▲0.8% 54.6% 上場来高値
スタートトゥデイ <3092> [終値2905円]0.7% 43.9% 上場来高値
セリア <2782> [終値5700円]▲0.7% 43.4% 上場来高値
トレンドマイクロ <4704> [終値5850円]3.2% 40.6% 16年ぶり高値
・原油価格が約10カ月ぶりの安値圏。
ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は21日、一時1バレル43ドル割り、
2016年8月以来の安値付けた。原油需要の引き締めに時間がかかるとの思惑が一段と強まり、市場心理が弱気に傾いている。
・OUT Look:今週(26~30日)の株式相場、日経平均株価は2万円台で値固めか。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/koroasamembers/
・Wall Street:今週の米株式相場は底堅い展開になりそう。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://info.koronoasa.com/
・ランキング:2017年の上半期(1~6月)が間もなく終わるが、日経平均株価は2万円回復するなど上昇目立った。
時価総額500億円以上、PBR(株価純資産倍率)が市場平均(約1.3倍)下回っている業績堅調な銘柄集計。
1位東海カーボン <5301> [終値621円]株価上昇率64.3% 黒字転換を評価
2位上新電 <8173> [終値1532円]54.7% 阪神好調追い風
3位日本ケミコン <6997> [終値392円]53.7% 車載向け部品が好調
5位新日本電工 <5563> [終値358円]49.2% 合金鉄市況回復に期待感
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち14指数が上昇。
新興国株への資金流入が目立った。
上位1位台湾週間騰落率2.18% 2位南アフリカ1.90% 3位インドネシア1.85% 4位トルコ1.47% 7位日本0.95% 14位米国0.05%
下位25位豪州▲0.92% 24位ボベスパ▲0.88% 23位フィリピン▲0.86% 22位シンガポール▲0.68% 21位マレーシア▲0.66%
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