
扉を開いて 上方修正のクセを読む
- 2021年10月17日
- 日経ヴェリタス
2021年10月17日(日)雨のち曇り
・上方修正のクセを読む 中間決算目前、「買い」「売り」の選球眼
秋の中間決算発表シーズンは、波乱を予想させる幕開けとなった。
きっかけは安川電機 <6506> [終値5140円]の上方修正。
2021年3-8月期決算発表にあわせて通期予想引き上げ、連結純利益が前期比2.2倍の425億円になる見通し発表。
今期の上方修正は7月の3~5月期決算発表時に続き2回目で、アナリスト予想平均とほぼ一致。
週明けの東京株式市場の「答え」は売り。日経平均株価が一時500円超高となる中、逆行安となった。
「絶好調」の決算に売りが向かったのは、強気な発言の中に投資家が先行きへの懸念を嗅ぎ取ったからだ。
小笠原社長は決算会見で「受注には前倒し分も含まれており、今後は少し下がると想定している」との見通しを示した。
・上方修正のクセを読む 中間決算目前、「買い」「売り」の選球眼
10月下旬から本格化する4-9月期決算発表では、コロナ禍からの世界経済の回復傾向を織り込み、製造業中心に上方修正期待が高まっている。
ただ安川電機 <6506> [終値5140円]への売りが示す通り、好決算や上方修正が必ずしも素直に買い材料となるわけではない。
・上方修正のクセを読む 中間決算目前、「買い」「売り」の選球眼
国内政治の情勢や世界的なインフレ、中国景気の不透明感などに振り回される日本株。
市場には「4-9月期決算発表で上方修正が相次げば『緩和相場』から『業績相場』へのシフトで上昇基調に戻る」との見方もある。
業績予想のクセを押さえ、中間決算の最盛期に備える。
・上方修正のクセを読む 業績予想の3つにクセ
投資家にとって、上場企業が示す業績予想は、投資判断の基準となる最も重要な情報。
会社予想やアナリスト予想、そして株価の反応には業績や企業ごとに独特の習性がある。
3つのクセに注意。
・上方修正のクセを読む 業績予想の3つにクセ
慎重な見通し貫く車業界 広い販路、原材料費や為替も読めず。
日本企業の中で、業績予想を保守的に出す傾向が目立つのが自動車セクター。
自動車メーカーが保守的に予想を出すのはなぜか。
1.販路が広く販売台数予想が立てにくいこと。
2.鋼材価格などコストがよめないこと。
3.為替による利益変動が大きいこと。
正確な見通しが立ちにくい以上、万が一の場合でも達成できる業績予想を示す誘引が働く。
自動車企業の業績見通しが立てにくいのはアナリストにとっても同じ事。
・上方修正のクセを読む
ゲームセクターも会社予想が保守的になりやすい業種の一つ。
「ゲームソフトは販売本数の予想が難しく、見込みの2割しか売れないこともある。利益予想はどうしても控えめになる」と指摘も。
総合商社の業績予想も独特。資源価格などブレ幅が大きい要因で利益水準が変動する上、投資先の減損損失が発生することも多い。
そのため「バッファー」として数百億円程度の損失発生を織り込んだ形で業績予想を作ることが多い。
・上方修正のクセを読む
半導体・不動産、上方修正の常連。
毎年のように業績予想を修正する「常連企業」がいる。
直近5期連続で純利益が期初予想(期中に初めて示された会社予想を含む)を上回って着地した銘柄は約350社(金融除く)あった。
需要が伸びている半導体関連や、一過性の利益が出やすい不動産が上方修正の常連。
一方、下方修正の常連に対しては企業統治(Governance)の観点から厳しい視線が注がれている。
・上方修正のクセを読む
直近5期連続で期初予想を上回って着地した主な企業
ファナック <6954> [終値24525円]2022年3月期純利益の会社予想 1560億円(前期比66%増) QUICKコンセンサス1720億円
アドバンテスト <6857> [終値9100円]750億円(7%増)817億円
日産化学 <4021> [終値6570円]341億円(2%増)364億円
TBSHD <9401> [終値1784円]140億円(43%減)205億円
テレビ朝日HD <9409> [終値1792円]140億円(11%増)152億円
・上方修正のクセを読む
直近5期連続で期初予想を下回って着地した主な企業
平和 <6412> [終値2115円]2022年3月期純利益の会社予想 139億円(16倍)
亀田製菓 <2220> [終値4595円]47億円(1%減)
アイダ <6118> [終値1011円]30億円(2.3倍)
カッパ・クリエイト <7421> [終値1365円]14億円(黒字転換)
AOKIHD <8214> [終値702円]13億円(黒字転換)
・上方修正のクセを読む 修正と株価の関係読み解く鍵は
市場予想超え?/発表時の株価水準/来期への安心感
上方修正は株価にとってポジティブな材料であることは間違いないが、
上方修正した銘柄が素直に買われ、下方修正すれば売られる、といった単純な展開ばかりとも限らない。
業績修正に対する株価の反応にもクセがある。修正と株価の関係を読み解く鍵は主に3つある。
最初に重要なのは、修正後の会社予想が市場予想を上回ったかどうか。
好決算を発表しても、通期の予想が市場の目標を下回れば、失望売りにさらされることが多い。
2つ目は決算発表時点での株価水準。
「発表に先んじて売られていた銘柄は、決算や修正を機に買戻しが入りやすい」。
逆に株価に過熱感のある銘柄は、好決算を発表しても好材料出尽くしとして売りに押される場合が多い。
「小売り、外食、レジャーなど『リオープン銘柄』は足元で割安で、今後決算をきっかけに見直し買いが入りやすい」とも。
3つ目のポイントが来期以降の業績に対する安心感。
折り返し地点となる中間決算では、投資家の目線が今期から来期に移りやすい。
仮に今期の業績予想が強くても、来期の業績悪化懸念が高まれば買いは入りにくい。
・上方修正のクセを読む 順風海運、一段の上振れ期待 株価乱高下、今後の見方は割れる。
上方修正で株式市場の話題をさらったのが海運。
日本郵船 <9101> [終値7490円]川崎汽船 <9107> [終値4990円]商船三井 <9104> [終値6490円]の大手3社の
2022年3月期の連結純利益はいずれも過去最高更新する見通し。
各社とも6~7月にいったん業績予想を上方修正し、直後の4‐6月期決算発表と同時に再び上方修正した。
純利益は前期比で2~4倍、期初予想比でも4~8倍に膨らむ。
今後については見方が割れる。
・百貨店の業績停滞が長期化している。
14日までに2021年3-8月期の連結決算発表した
J・フロントリテイリング <3086> [終値1091円]高島屋 <8233> [終値1181円]はそろって最終赤字。
衣料品中心に販売不振で、人件費の圧縮などコスト削減では補いきれない。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
・「隠れ円安」新興の不気味さ
経済産業省や市場に対する大きなショックになった10年前の出来事を記憶している個人投資家も多いだろう。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
。凄腕ファンド、荒波に負けぬ極意
株式相場の変動が大きくなる中、日本株のアクティブ運用ファンドが復権しつつある。
変化が緩やかな相場では手数料の安いパッシブ運用に軍配が上がるが、
コロナ禍で社会が大きく変わる中、迅速な投資判断で収益を上げられる機会は増えた。
・凄腕ファンド、荒波に負けぬ極意
レオス・キャピタル・ワークス:現金手厚く、次の波乱の機動力に
マザーファンドの現金比率は8月末で8%強。7月末時点では3%、現金比率を上げた。
10/31の総選挙後に政策に変化があああるか見極めたい
現金比率の引き上げと合わせ、守りの運用も重視。
・凄腕ファンド、荒波に負けぬ極意
日興アセットマネジメント:全天候型、臨機応変に攻める 成長株はROE(自己資本利益率)の伸びしろ、割安株は構造変化重視
「相場下落で割安感が強まり、日本株が再評価される可能性は高まっている」。
投資先をグロース(成長)とバリュー(割安)のいずれにも限定しない、柔軟な戦略で積極投資に動く。
電動化が進む中で鍵になる技術を持つ自動車部品メーカーなど、構造変化の恩恵を受けるバリュー株を発掘する方針。
・凄腕ファンド、荒波に負けぬ極意
スパークス・アセット・マネジメント:あくまで長期、コロナで方針不変 株主還元の手厚さ・参入難しい技術で選別
日本株アクティブファンドは、コロナ禍以前から投資戦略を大きく変えていない。
ビジネスモデルが強固で国際的な競争力が強い日本企業に投資するという基本方針は変わらないから。
運用方針を変えない理由の一つが、コロナ禍が長期に続くものではないという判断。
ファンドの資金を現金で待機させることはせず、ほぼ全額を投資する状態も変えていない。
・発掘 滋味スゴ銘柄 日本電子 <6951> [終値8570円]新薬や半導体、顕微鏡で支える
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
・ここが知りたい ジャフコグループ <8595> [終値7120円]新規株式公開(IPO)活発、業績好調。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
・MARKET 日本株、待ち構える戻り売り圧力 原油高・衆院選・・・2万9000円回復でも不透明要素多く
株式相場の値動きが荒くなっている。
11~15日の週の日経平均株価は前週に比べて1019円(3.6%)高の2万9068円。
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・松井証券シニアマーケットアナリスト窪田朋一郎氏
日経平均株価は年末に2万6500円まで下落する可能性があるとみている。
サプライチェーン(供給網)の混乱に加え、資源価格の上昇が米国でインフレが長引く懸念を高めている。
長期金利が上昇すれば、ハイテク株に比重が相対的に高い日経平均も上値が抑えられる。
・原油など資源価格の上昇が世界的なインフレ圧力を高めている。
物価高が景気の回復にブレーキとなることへの警戒が強まる中でも、原油などエネルギーか下がる兆しは見えない。
過去を振り返ると、2008年のリーマン・ショックの前にも似たような後継もあった。
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