
扉を開いて(2012.3.4号)
- 2012年03月04日
- 株式投資・経済ニュース全般
2011年3月4日(日)くもり
・市場が語る円安物語。プロが注目する変化のシグナル。
円の下落が鮮明になったのは、日銀が意表を突く追加金融緩和に動いた2月14日以降。
日経通貨インデックス2月月間で円は世界25通貨中最も下落。
為替のプロ注目は「リスクリバーサル」と呼ばれる指標。
あらかじめ決めたレートで将来ドルを売って円を売る権利(ドルコール・円プット)と
ドルを売って円を買う権利(ドルプット・円コール)の価格差示す。
昨年末2007年以降初めてドルコール・円プットの価格がドルプット・円コールの価格上回る。
この現象はドル高・円安を予想する市場関係者が多いことを示し、買いがtファンドは察知し、いち早く円売りに動く。
転換点は欧州中央銀行(ECB)が昨年12月実施欧州の銀行に対する巨額資金供給オペ。
円売りの流れ後押ししているのが米金利の動向。「期待インフレ率」1月から物価上昇率の目標である2%超。
日米の名目金利現在ほぼゼロ、日本物価が下落するデフレで実質金利はプラス、
米国実質金利でマイナスで円が買われる従来のロジックも急速に高まる米景気の回復期待。
・戦後ドル円相場に移行してから長期チャート、円安トレンド時期は5回、今回といくつかの共通点見られる。
1回目:1978〜84年 第2次オイルショックっで石油価格高騰。石油輸入代金急増し、日本は貿易赤字となる。今回と構図似る。
2回目:87〜90年ごろ バブル期の株価や不動産価格の上昇で投資余力増した機関投資家や企業が海外の資産購入するため円を売ってドルを買う。
今回当時ほど熱気はないモノの新興国などに活路求める企業も。海外企業のM&A(買収・合併)加速。
3回目:95〜98年ごろ 阪神大震災が発生し、生保など海外投資資産が本国回帰するとの見方から円相場急伸、
1995年4月当時として最高値(1ドル=79円75銭)つけ日本が7月協調介入(七夕介入)実施。
今回東日本大震災後の急騰に対し日米欧協調介入、その後日本が単独介入。
4回目:2000〜02年ごろ 01年9月の米同時テロによる「有事のドル買い」の裏返しで円安進む。
その一方で米国IT(情報技術)バブル崩壊。米連邦準備理事会(FRB)は経済下支えするための利下げ繰り返す。
日銀も異例の量的緩和策導入、円安誘導の姿勢強めた。
今回も日銀は追加金融緩和に動いた共通点。
5回目:05〜07年ごろ 03年には日本の金融危機で株価急落、
危機感抱いた当時の小泉純一郎首相はブッシュ大統領の盟友関係をテコに、
ブッシュ氏から円安容認発言引き出し、日本は大規模な円売り介入に踏み切る。円キャリー取引が活発化。
今回も日銀の量的緩和で円キャリー取引に復活の兆し出ている。
・5日開幕、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)中国が更なる改革に踏み出すかどうかの分岐点とも。
最高指導部が交代する5年に一度の共産党大会まであと半年。保守派と改革派の攻防激しくなる兆し。
・米労働省9日、2月の雇用統計発表。
2月の改善傾向続けば米連邦準備理事会(FRB)の追加金融緩和に対する市場の期待感薄らぐ可能性も。
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長はあくまで慎重と。
・バフェットからの手紙(上)2月25日毎年恒例の「手紙」公表。
「コカコーラ」「IBM」「ウエルすファーゴ」「アメリカンエクスプレス」をビックフォー(4代銘柄)と呼び「永久保有銘柄」と。
MMF(マネー・マーケット・ファンド)や銀行預金、債券といった通貨(現金)に近い性質をもち、
一般に安全とされる金融商品を「最も危険な資産」と警鐘を鳴らす。長期的にはインフレに伴う貨幣価値の下落で損失被ると主張。
金には2つの問題、使い道限られ何も生み出さず。
次に誰かが自分の買った値段より高く買ってくれるだろうという期待感だけで投資する危険性指摘。
・欧州中央銀行(ECB)2/29実施3年物資金供給オペの2回目入札、
年1%、破格の長期の資金を無制限で得られるおそらく最後の機会となるだけに800の金融機関が5295億ユーロ(約57兆円)藻の巨額応札。
初回の巨額供給は債務危機と言う暗闇の転換点に。今回はかすかな明るさが混じる中で轟いた号砲に。
銀行が国債投資再開したことで、国債利回りは危険水準から大幅に低下(価格は上昇)。
2回目の供給はECB欧州景気の土台となる中小企業への貸し渋り対策と位置づけ。
・インド2011年10-12月期実質国内総生産(GDP)前年同期比6.1%増。11四半期ぶりの低い伸びに。
伸び率7%下回るのは前期(11年7-9月期=6.9%)に続き2期連続。
インド準備銀行(中央銀行)利下げに踏み切るか注目。3/15もしくは4月の金融政策会合に関心。
・日経平均株価1万円台の大台に接近する中、海外勢の買いと国内勢の売りがぶつかり合う構図強まる。
上値重くしている要因の一つは年金基金や保険会社による保有株の売却。
例年国内勢の売りは決済作業一巡する3月下旬には落ち着くとも。
・NY市場の金先物2/29急落。1ヵ月ぶり一時1700ドル割り込む。「QE3(量的緩和第三弾)期待相場」は転機迎えた。
欧米大口投資家主導の上昇にブレーキかかった状況下では調整長引く可能性も。
・OUT Look:今週の株式相場は高値圏でのもみ合いか。
米国勢に利益確定の動き広がり、1月半ばから続いていた上昇相場の勢いは衰え気味。
中期的な先高期待は崩れておらず、下振れを懸念する声も少ない。
「先行組」証券、保険、海運、自動車、電機機器など景気敏感株業種並ぶが9500円回復後日経平均の上昇率(2.3%)を下回る業種少なくなく。
一方、「出遅れ組」ガス、鉄道、食品などデフェンシブ業種もキャッチアップ鈍く。循環物色で全体の底上げされる動きにならず。
1/16からの上昇率16.7%で市場関係者「上昇ピッチ速すぎた」と。
9000円台後半で戻り売りをこなしながら材料待ちの足踏みとなればむしろ理想的な日柄調整と。
・Wall Street:今週の米株式相場はダウ平均1万3000ドルを挟んでの攻防か。市場は新たな「驚き」を待っている状況。
今週2月の雇用統計注目。市場予測非農業部門雇用増加前月比21万人前後と1月(24万3000人)並みとの見方。失業率8.3%と前月比横ばい。
懸念材料はイランなど中東情勢の混迷受けた原油価格の上昇。
ガソリン高は一段と進めば明るいムードとなってきた個人消費にも打撃を与える影響もある。
しばらくは雇用情勢と原油価格をにらみながら一進一退の展開になりそうと。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派28%(前回比-14)弱気派39%(同+3)中立派33%(同+11)
2月以降の急速な戻りに対して過熱感を警戒する市場関係者も多く、慎重な見通し目立つ。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は先々週に引き続きリスクを取る姿勢を強めた投資家の買いが目立つ。
ベトナムやフィリピン、インドネシアなど経済成長が期待されるアジア中心に上昇。
・会社がわかる 特集 三浦工業 <6005> [終値2261円]海外有力ファンドが注目するナンバーワン企業。
小型ボイラーの製造・販売で国内シェアが50%超える。メンテナンス(保守管理)事業の安定した収益に注目。
過去30年赤字と無縁。手元にはキャッシュ積み上がる。株価は海外での利益伸ばせるかがカギに。
・ランキング:減配リスク低いと考えられる高配当銘柄。
2007年以降赤字でなく、11年3月期末の自己資本比率30%以上、今期売上高営業利益率の見通し5%以上。
1位 卑弥呼 <9892> [終値890円]配当性向5.312% 今期末配当予想の25円から50円に引き上げ。株主への配分積極化。
2位 学究社 <9769> [終値713円]5.610% 自社運営受験情報配信サイトからの好採算の広告収入伸びる。
3位 ゲンダイエージェンシー <2411> [終値75300円]5.312%
18位 アルプス物流 <9055> [終値777円]4.505% 電子部品に特化した事業効率の良さが強み。今期スマートフォン部品の輸送需要堅調。
31位 ベネフィット・ワン <2412> [終値60100円]4.160% 手元資金(昨年12月末で60億円強)も大幅な増配は期待しにくく。
46位 小野薬 <4528> [終値4540円]3.965% 大型のM&A(買収・合併)などなければ現状の配当水準は維持と。
・夏のオリンピックが行われる年は株価が上がりやすいとのデータ。1952年以降15回のオリンピックイヤーで10回年間騰落率プラスに。
大統領選と重なることも見逃せず。
エイチ・アイ・エス <9603> [終値2146円]五輪観戦ツアー発売。全日空 <9202> [終値253円]も恩恵。
ミズノ <8022> [終値441円]ハンマー投げ室伏広治選手活躍すればブランド価値向上へ。
セブン&アイ <3382> [終値2263円]ローソン <2651> [終値4075円]など
時差の関係で主要協議は日本時間の夜となり深夜売上げ伸びるとも。 (日経ヴェリタス)
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