扉を開いて（2012.7.15号）

2011年7月15日（日）曇り時々晴れ

・長寿企業の生命力。

　戸田工業　<4100> ［終値362円］アップル接触。
　1823年創業次々返信遂げてきた企業。2013年3月期連結純利益前期比3.4倍21億円。配当2円増配年6円見込む。

　住友鉱山　<5713> ［終値871円］現在の主戦場はペルーやアラスカなど海外の鉱山開発。海外売上高約4割に。1590年創業。

　松井建設　<1810> ［終値320円］日本最古の上場企業。400年超の歴史。伝統的な社寺建築で培った技術を最新の耐震工事などに生かす。
　
・創業年の古い順に50社リストアップ、日経平均株価と比較。2002年6月末を100として指数化、日経平均は84、老舗50社は121に。
　老舗企業2008年リーマン・ショック後の下げにも抵抗力強く。景気の変動に左右されにくい「究極のディフェンシブ銘柄」と。

・日本創業200年以上の企業が4000社弱に上る世界一の老舗大国。
　2012年100周年企業は1854社（非上場含む）大正元年開業ブーム。来年以降も1000社単位で100歳企業増加。

　キッコーマン　<2801> ［終値1005円］醤油の国内需要は頭打ちとなること見越し、欧米など海外市場開拓。
　世界に点在する10工場のうち7つは海外。次なる標準は南米やインドに。

　伊藤忠　<8001> ［終値839円］2011年度から新入社員や新任部長が同社創業地、滋賀豊郷長で研修、
　「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の哲学を外国人スタッフも学ぶ。

　養命酒　<2540> ［終値705円］1602年創業。上場企業長寿ランキングでは3位。
　社有地に太陽光パネル据え付け。14年度までに養命酒以外の売上高比率15%に高める計画。

　戸田工　<4100> ［終値362円］「変化が危機を救い、成長の源になってきた」
　次は「おサイフケータイなどNFC（非接触型ICの国際標準規格）素材作りで先行する」と前を見据える。

　トヨタ　<7203> ［終値3010円］東レ　<3402> ［終値519円］など祖業の技術を変化させ新たな製品や市場切り開くのは日本企業の得意技。

・財務安定、投資家に安心感。

　自己資本比率（2011年度）
　小野薬　<4528> ［終値5090円］91%　田辺三菱　<4508> ［終値1178円］87%　鳥居薬　<4551> ［終値1714円］86%
　養命酒　<2540> ［終値705円］90%　かどや製油　<2612> ［終値2005円］78%　上村工業　<4966> ［終値3000円］10年前56%から69%へ改善。

　営業外収益の意比率高く。
　セキチュー　<9976> ［終値441円］岡谷鋼機　<7485> ［終値895円］丸紅　<8002> ［終値524円］

　株主還元重視・配当利回り高く。
　かどや製油　<2612> ［終値2005円］配当性向40%、1株当たり20円以上。直近65円。
　養命酒　<2540> ［終値705円］安定して18円配当続ける。

・長寿企業国別では創業200年以上、日本3937社（非上場含む）。2位ドイツ1850社弱、3位英国467社、中国75社、インド0社。
　海に囲まれた島国で近世以降他国の侵略受けず、経済社会安定していた時期長く。

　

・韓国銀行（中央銀行）12日3年5ヵ月ぶりの利下げに踏み切る。政策金利3%と0.25%引き下げ。
　市場は景気下支えへの期待感より、長引く欧州危機による輸出鈍化を起点とした景気落ち込み能かさに警戒感強める。
　利下げを受けた12日韓国総合株価指数（KOSPI）は前日比2.3%の大幅安。時価総額上位銘柄軒並み3%前後下落に。

・ユーロ・キャリートレード急拡大。欧州中央銀行（ECB）利下げ受け外国為替市場ではユーロがほぼ全通貨に対して売られる。
　債務問題抱えるユーロには買い材料が乏しく、内外金利差に着目したユーロ売りが当面続くとの見方増加。
　新たなユーロ安の要因はユーロ建てMMF（マネー・マーケット・ファンド）の相次ぐ販売停止。

・欧州経済研究センター（ZEW）17日、7月のドイツの景気予測指数発表。ドイツの景気の先行きをいち早く知る手がかりに。
　6月はマイナス16.9と前月比27.7ポイント下落。7月はマイナス幅縮小との見方。

・夏の個人消費、レジャーや観光は比較的好調。家電など耐久消費財の販売は全般に振るわず。
　小売りは二極化、時計や宝飾品など高額品好調、クールビズ衣料販売も伸びる。節電商戦は盛り上がらず。

・中国の景気減速が鮮明に。13日発表4-6月期実質国内総生産（GDP）成長率前年同期比7.6%増。6四半期連続で鈍化、3年ぶりに8%下回る。
　7日温家宝首相不動産バブルの再燃に改めて懸念表明。大胆な財政出動に踏み切る意欲は見受けられず。

・ブラジル経済に雲行き一段と怪しく。11日8会合連続となる利下げ決定。基準金利0.5%引き下げ年8.0%に。前回に続き過去最低水準に。
　「消費需要の先食い」市場懸念。過去10年積み上げてきた成長の果実を使い果たすことにも。

・欧州具体策決まらず、先送りだらけの長い夏にも。次の予定は9月中旬に非公式会合。昨年は7月下旬に首脳会議の開催迫られる。

・新興企業電子書籍参戦。コンテンツ競争過熱に。

　ハピレス　<3641> ［終値1950円］電子書籍の草分け的存在。低価格路線が特徴。

　イーブック　<3658> ［終値1988円］コンテンツ数武器にハピレスを追い上げる。価格平均紙の8割と安くはないがタイトル数は5万8000冊。

・自動車部品大手各社の懸念事業が改善へ。

　小糸製作所　<7276> ［終値1061円］欧州事業の営業損益2013年3月期5年ぶりに黒字転換見通し。
　独フォルクスワーゲン（VW）などの現地完成車メーカーとの取引縮小。赤字受注も生産効率改善せず。

　曙ブレーキ　<7238> ［終値347円］北米事業も2013年3月期営業損益均衡するとの予想に。
　米GMとの取引縮小で赤字解消。

　
・会社がわかる　特集　LIXIL　<5938> ［終値1730円］出遅れていた海外事業強化に動き出す。収益力向上へ聖域なき改革。　
　2014年3月期までの3ヵ年で営業利益1100億円押し上げる目標。従業員の適正化がカギに。

・海外企業の業績悪化が日本株の重荷になる。先週は米企業中心に2012年4-6月期業績見通しがの下方修正など相次ぎ発表。
　投資家は日本企業の利益成長シナリオに懸念の目を向け始めた。半導体関連株に警報響く。日経平均株価は1週間で3%下落。
　米国勢の業績不振受け週間でアドバンテスト　<6857> ［終値1084円］13%安　SUMCO　<3436> ［終値649円］9%安と急落。
　売りは電子部品株にも広がり、村田　<6981> ［終値円］日東電工　<6988> ［終値円］なども大きく下げる。
　
　今週は米国で4-6月期決算が本格化。17日インテル、18日IBM。国内企業4-6月期決算は今週末から本格化。

・ＯＵＴ　Ｌｏｏｋ:今週の株式相場は下値を探る展開か。今週から本格化する米企業決算も弱含みの内容が予想される。
　先週までに悪材料はかなり織り込んだとの見方もあり、一方的な下げは予想しにくいものの積極的な買い手不在に。
　中国景気減速に対する警戒感強くコマツ　<6301> ［終値円］ファナック　<6954> ［終値円］など輸出関連株の下げ目立つ。
　今週も相場の地合いは弱そうと。
　投資主体別売買動向7月第1週まで2週連続海外投資家（外国人）は売り越し。
　資金の逃げ場は内需株の一角である通信株、不動産株が20%以上上昇に。

・Ｗａｌｌ　Ｓｔｒｅｅｔ:今週の米株式相場は一進一退の動きか。米企業4-6月期決算に関心高まり、敏感に反応する展開に。
　ダウ工業株30種平均先週、2週ぶりに上昇。週末13日に本業の収益力改善が目立ったJPモルガン・チェースなど個別決算に好反応。
　今週はインテル（17日）グーグル（19日）ゼネラル・エレクトリック（20日）シティグループ（16日）など大手金融機関の決算も出そろう。
　17、18日は米連邦準備理事会（FRB）バーナンキ議長の議会報告も。

・プロの相場観　向こう１週間の【ブルベア調査】強気派27%（前回比-8）弱気派34%（同-4）中立派39%（同+12）
　中立派の増加は当面の様子見を決め込みたい投資家心理映す。

・世界市場往来：先週の世界の株式相場は総じて下落。米雇用統計や中国の貿易統計などが弱含み、世界的な景気減速懸念が広がる。
　米半導体大手の業績下方修正でハイテク企業の先行き懸念台頭。
　韓国利下げで韓国ウォン安が進めば台湾の輸出競争力低下につながる警戒感から台湾株値下がり目立つ。

・ランキング：2012年3月期、固定資産が増えた会社

　1位長瀬産業　<8012> ［終値円］固定資産増加率71.94%　経営破たん林原（岡山市）完全子会社化。支援総額700億円。

　2位東急不　<8815> ［終値円］62.89%　特別目的会社（SPC）を連結対象に加える。財務の透明性を向上。　

　3位フジ・メディア　<4686> ［終値円］55.10%　サンケイビルをTOB（公開市場買い付け）によって連結子会社化。

　4位日清紡HD　<3106> ［終値円］23.45%　2011年11月約460億円投じ欧州摩擦材メーカーTMD社買収。

　8位大阪製鉄　<5449> ［終値円］17.13%　手元資金の運用の一環として親会社新日鉄　<5401> ［終値円］に100億円貸し付け。

　12位日清製粉グループ　<2002> ［終値円］12.52%　今年3月米中堅製粉会社買収。増収効果。（日経ヴェリタス）

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