米利上げ、「終結宣言」なき休止
- 2023年11月03日
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2023年11月3日(金) 晴れ 藤本誠之さんセミナー開催日
・政府は11/2の臨時閣議で賃上げや国内投資の促進策を盛り込んだ総合経済対策を決めた。
対策の規模は所得税と住民税の減税を含めて17兆円台前半になる。
岸田文雄首相は首相官邸で記者会見し
「来年夏の段階で賃上げと所得減税を合わせることで、
所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実につくる」と語った。
・住民税の非課税世帯には1世帯あたり7万円を給付する。
3月に決めた物価高対策の3万円の給付と合わせて10万円分の負担減とする。
減税と防衛費増額に必要な増税との整合性に関しては「順番が何よりも重要だ」と指摘。
「今回の減税と同時に防衛の税制措置を実施することは考えていない」と言明した。
ガソリンの価格上昇を抑える補助や電気・ガス料金を差し引く措置は24年4月末まで延長する。
電気・ガスへの対策は24年5月には激変緩和の幅を縮小すると記した。
・日本製鉄 <5401> [終値3202.0円]11/2、電磁鋼板で特許が侵害されたとして
トヨタ <7203> [終値2760.0円]と三井物産 <8031> [終値5553円]を
訴えていた損害賠償請求を放棄し終了させたと発表。
取引関係にある日本を代表する企業同士の異例の訴訟は約2年で終結した。
同じく訴えていた鉄鋼世界最大手の中国宝武鋼鉄集団の子会社、
宝山鋼鉄とは引き続き訴訟を続けるとしている。
今回の訴訟放棄について、トヨタは「業界を超えて未来に向けた取り組みを進める」とコメントした。
三井物産は「今後も良き事業パートナーでありたい」と述べた。
・セブン―イレブン・ジャパン <3382> [終値5518円]
2024年春から商品企画に生成AI(人工知能)を導入し、企画にかかる期間を最大で10分の1に短縮する。
全店舗の販売データやSNS(交流サイト)の消費者の声の分析を基に商品の文章や画像をAIに作成させて、
流行やニーズに合った商品を素早く売り出す。
先行して導入したシステム関連部署では社内会議は1つの企画あたり平均5回程度から1回まで減った。
商品企画でも10カ月前後かかった期間のものが最短で10分の1の1カ月程度に縮まる見通し。
時間やコストを減らすだけでなく、浮いた時間を他の業務や品質改善の取り組みに充てる。
・中国製電気自動車(EV)の補助金調査に乗り出すなど、
中国依存からの脱却を目指している欧州連合(EU)。
域内のEV供給網の一角を担うとされた英国の新興電池企業の経営危機が表面化。
脱中国の難しさが浮き彫りになっている。
EV化の流れはもう止まらない。中国など外の力を使ってでも成長を優先するか。
それともEV化を遅らせても自国の企業や供給網を育てながら産業競争力を高めるか。
英新興企業の危機が映すのは、欧州各国に突きつけられている課題ともいえる。
・パレスチナ自治区ガザから1日始まったエジプトへの外国籍保有者らの退避について、
上川陽子外相は11/2、初日の約400人の退避者の中に邦人10人が含まれると明らかにした。
ガザにはおよそ7500人の外国籍者がいるとみられ、11/2以降も退避が続く見通しだ。
イスラエル軍のガザへの攻撃拡大にアラブ諸国は批判を強めている。
ヨルダンは11/1、駐イスラエル大使の召還を発表。
バーレーンも11/2に追随。
バーレーンは2020年にイスラエルと国交を正常化する「アブラハム合意」に署名していた。
・米連邦準備理事会(FRB)は11/1に開いた
米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げを2会合連続で見送った。
パウエル議長は次回以降の追加引き締めを否定しなかったが、
市場は利上げがすでに終結したとの見方を強めている。
パウエル氏はFOMC後の記者会見で政策金利がすでに
経済を引き締めるのに十分な水準に達しているのか聞かれ、こう答えをはぐらかした。
「そうであるとも、ないとも現時点で自信は持てない」
・米債券市場では政策金利の動きに敏感な2年債利回りが一時、
前日比で0.1%ほど低下し、4.9%台前半と約3週間ぶりの低水準になった。
長期金利の指標になる10年債利回りも4.7%台前半まで下げた。
10月に一時5%に達し、足元で金融引き締めの効果を強める役割を
果たしている長期金利の動向も読めない。
パウエル議長は「金融環境の引き締まりがどれだけ続くかが大事で、
まだそれは分からない」と慎重な見方を示した。
ほどよいペースの景気減速を実現して
経済のソフトランディング(軟着陸)を実現することはできるのか。
利上げの最終局面でも食い違うFRBと市場の見通しは、
なお続く視界不良を象徴している。
・市場では金利上昇に歯止めがかかるとの見方が広がってきた。
米利上げ終結観測に加え、11/1に米財務省が公表した米国債増発規模は
市場の予想よりも小さく、需給悪化懸念が薄らいだ。
景気減速を示す指標が相次いだことも大きい。
金利の落ち着きは投資家に安心感をもたらす。
・米ジョーンズトレーディングのストラテジスト、マイケル・オルーク氏は
債券利回りが大幅低下となった1日の米市場を「3つの重要マクロイベントが影響した」と。
1つは米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。
市場は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長発言を「利上げ終結」と解釈した。
次に米財務省が公表した23年11月~24年1月の国債発行計画だ。
幅広い年限で発行額を増やす方針を示したものの、
10年債や30年債といった長い年限での増発規模は前の四半期(23年8~10月)よりも小幅だった。
市場は財政赤字の拡大に伴う国債増発を警戒していた。
財政悪化リスクから投資家が国債に要求する追加利回り「ターム・プレミアム」が上昇し、
米長期金利が一時5%を超えた一因となった。
今回、長期国債の発行増を抑えたことで「財務省が市場の懸念に配慮した」との受け止めが広がった。
米経済は強力な金融引き締めにもかかわらず堅調だ。
これがインフレ再燃と金利高止まりへの懸念が消えない原因だった。
「弱い景気指標」によって利上げ終結の可能性が高まり、「米金利の上昇はピークアウトした」との見方につながった。
・金利上昇の一服は債券・株式投資家の双方にとって追い風。
安全資産である米国債で5%近い利回りは投資家にとって魅力的に映る。
金利上昇に歯止めがかかれば、購入後に含み損を抱えるリスクは減り、買い手は増える。
金利高で売られやすいハイテク株にも資金を戻しやすくなる。
・日本製鉄 <5401> [終値3202.0円]がトヨタ <7203> [終値2760.0円]と
三井物産 <8031> [終値5553円]に対する特許訴訟で請求を放棄した。
中国宝山鋼鉄への訴訟は残るものの、虎の子の電磁鋼板に関する知的財産を巡る争いから大きく撤退。
急転直下の展開となった。
先端素材の性質を示す特許について侵害を立証するハードルが高く、
2年以上の争いに白旗をあげた格好だ。
日鉄関係者は「訴訟の動向とは関係なく決断。
脱炭素化対応などの流れで一刻も早くトヨタとの関係を正常化するのが狙いだ」と話す。
訴訟の顛末(てんまつ)は、日本を代表するメーカーの日鉄とトヨタが直面する課題の大きさも示した。
・岸田文雄首相は11/2の記者会見で経済対策を説明。
報道各社の世論調査で内閣支持率は急落し、
自民党内から一時的な所得税減税への反対が相次ぐ。
年内の衆院解散・総選挙は難しいとの見方が強まる。
解散時期の選択肢が狭まる状況で、
首相は賃上げを実現する成長戦略での反転にかける。
・岸田文雄首相は11/2の記者会見で、
消費税減税について「いまは考えてはいない」と述べた。
消費税が8%と10%の複数税率なのは、
軽減税率により低所得者に配慮するためだと言及したうえで
「複数税率を見直すことは考えていない」とも言明した。
・政府が11/2にまとめた経済対策は事業規模が
37.4兆円と新型コロナウイルス禍前の平時の対策以上に膨らんだ。
労働力の底上げや国内投資を促し、
潜在成長率を米欧並みの1%に引き上げることを目指す。
過去の対策でも経済の体質改善は進んでおらず、
巨額支援で成長底上げが続くかは見通せない。
成長力の底上げが伴わぬまま政治がバラマキを競い続ければ、
次世代への財政のつけはさらに増えていくことになる。
・公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は11/2、
2023年7~9月期の運用成績が6832億円のマイナスだったと発表。
22年10~12月以来、3四半期ぶりのマイナスだった。
国内金利の上昇による債券価格の下落が逆風となった。
GPIFは年金積立金を株式や債券などに投資している。
運用資産は219兆円に及び、世界最大規模の機関投資家として知られる。
資産規模が大きいため収益は四半期でブレやすい。
4~6月の運用成績は18兆9834億円のプラスと、
四半期としては過去最高のプラス額だった。
・東京電力 <9501> [終値675.0円]福島第1原子力発電所で、
3回目となる処理水の海洋放出が11/2、始まった。
処理水に含まれる放射性物質のトリチウムの濃度に問題はないと確認しており、
11/20ごろまで7800トンを流す見込みだ。
・中国の自動車大手、比亜迪(BYD)11/1から電気自動車(EV)など一部車種を値引きした。
値引き額が最大の車種で、割引率は1割程度となる。
中国市場では年初から各社が相次いで割引などを実施しており、価格競争が激しくなっている。
浙江吉利控股集団のEVブランド「ZEEKR(ジーカー)」も、
高級EV「001」について12月末までの期間限定で1割前後の値引きに踏み切った。
・デザインソフト大手の米アドビが、画像の生成AI(人工知能)で経済圏を広げている。
3億点以上の画像がある自社サービスをAI学習の強みにし、
簡単にデザインを生成できる新機能を既存ソフトに入れる。
学習素材を提供したクリエーターへの報酬制度も設け、
画像の生成AIで問題となる著作権の保護を鮮明にし、
独自のエコシステム(生態系)をつくる。
「全ての人にクリエーティビティー(創造性)を提供する時代を再び切り開く」。
生成AIの民主化には、フェイク画像の拡散といった課題もある。
アドビは画像にAIで生成されたことを自動で明記する仕組みを主導し、
米マイクロソフトなど2000社超が賛同した。
AIの進化は速く、次々と起きる課題に向き合い続ける経営が欠かせない。
・ミネベアミツミ <6479> [終値2504.0円]11/2、日立 <6501> [終値9547円]から
電力制御に使うパワー半導体製品などを手掛ける事業を買収すると発表。
買収金額は非開示だが400億円程度とみられる。
ミネベアミツミはパワー半導体の製品化技術を取り込み事業強化につなげる。
・商社、円安で今期純利益が堅調
三菱商事 <> [終値円]11/2、
2024年3月期の連結純利益、前期比20%減の9500億円になる見通しだと発表。
従来予想から300億円引き上げる。
資源価格の下落が影響するが、為替が想定より円安で推移し、
自動車や総合素材などの非資源分野が堅調に伸びる。
24年3月期も収益の柱である原料炭事業で価格が高い水準で推移しており、
業績はさらに上振れる可能性がある。
同日発表した23年4~9月期の連結純利益は前年同期比35%減の4660億円だった。
原料炭価格の下落が響くものの、上期としては過去2番目に高い水準だった。
・商社、円安で今期純利益が堅調
丸紅 <8002> [終値2284.0円]11/2、2024年3月期の連結純利益、
前期比17%減の4500億円になる見通しだと発表。
従来予想から300億円引き上げた。資源価格が下落しているが、
電力事業が堅調なほか円安も収益を押し上げた。
年間配当を5円増の83円と従来予想から5円引き上げ、
200億円を上限とする自社株買いも実施する。
通期の為替レートを1ドル=140円と前回予想から10円円安方向に見直したことが、
純利益を約200億円押し上げる。
銅など資源価格の下落影響が約200億円増えるが、円安で相殺する。
・商社、円安で今期純利益が堅調
住友商事 <8053> [終値3060.0円]11/2、
2024年3月期の連結純利益が前期比12%減の5000億円になる見通しだと発表。
従来予想から200億円引き上げた。
資源価格の下落が影響するが、予想より円安に推移したほか非資源分野も堅調に伸びる。
年間配当は10円増の125円と、従来予想から5円引き上げた。
通期の為替レートを1ドル=140円と前回予想から10円円安方向に見直し、
純利益を約200億円押し上げる。
非資源分野は堅調で、円安影響を除いても計画から80億円上振れする。
・米ウォルト・ディズニーは11/1、
動画配信サービス「Hulu(フールー)」の株式33%を米コムキャストから
約86億1000万ドル(約1兆3000億円)で取得すると発表。
Huluの全株式を保有することになり、
コンテンツ再編などを柔軟に進めて傘下の他サービスとの相乗効果を高める。
10月に100周年を迎えたディズニーは事業再編を加速している。
傘下の米3大ネットワーク放送局ABCの売却や、
スポーツ専門放送局「ESPN」の他社との提携などを模索中だ。
・慶応義塾大学の研究成果がもとになった近視の進行を抑える
目薬の候補薬がまもなく臨床試験(治験)に入る。
細胞内に不良品のたんぱく質がたまって生じるストレスを緩和する新しい仕組みの薬で、
日本発の技術として注目される。
近視進行抑制の目薬は承認された場合に、
すべての患者に保険が適用されるか現時点で分からない。
近視は多くのケースで高校生くらいまで進行する。
一定期間、点眼を続ける必要があるかもしれない。
・11/2の東京株式市場で日経平均株価は3日続伸し、
大引けは前日比348円24銭(1.10%)高の3万1949円89銭だった。
米金融引き締めの長期化観測の後退を背景に前日の米株式相場が上昇し、
東京市場でも半導体など主力株の一角が買いを集めた。
上げ幅は450円を超える場面もあったが、
節目の3万2000円近辺では利益確定目的の売りが目立ち、
朝高後は高い水準を維持しつつも上値は重かった。
・11/2の国内商品先物市場で、原油は5日続落。
同日の東京外国為替市場で円相場が1ドル=150円台前半と、
151円台で推移していた前日と比べて円高・ドル安が進み、
円建てで取引される国内原油先物の割安感が薄まるとみた売りが優勢となった。
・東証名証二市場総合投資部門別売買動向(週間)10月第4週、海外投資家2週ぶり買い越し(+594億円)
個人 2週連続買い越し(+1423億円)信託銀行、8週ぶり買い越し(+887億円)(11/2発表)
・投資部門別売買動向(二市場+先物)(週間)10月第4週、
海外投資家 2週連続売り越し(▲6023億円)個人 2週連続買い越し(+2089億円)(11/2発表)
・東証グロース投資部門別別売買動向(週間)10月第4週、
海外投資家 10週連続売り越し(▲111.89億円)個人 10週連続買い越し(+93.01億円)(11/2発表)
・東証名証二市場総合投資部門別売買動向(月間)10月、
海外投資家 3ヶ月ぶり買い越し(+9648億円)個人 2ヶ月連続買い越し(+7162億円)(11/2発表)
・政府は11/2、臨時閣議で総合経済対策決定。
物価高の家計負担を緩和する所得税と住民税の減税を来年6月から実施、
減税を受けられない非課税の低所得世帯への給付金など合計5兆円強投じる。
・政府は11/2、臨時閣議で総合経済対策決定。
エネルギー価格高騰に対処するための施策が複数盛り込まれた。
目玉はガソリン代など抑える激変緩和措置の延長。
今回の措置による予算規模は今後検討も、すでに6兆円もの予算が計上されている。
・欧州連合(EU)諸国などが加盟する欧州データ保護当局は11/1、
交流サイト(SNS)のフェイスブックとインスタグラムを運営する米IT大手メタに対し、
ウェブ上の閲覧上方修正などに基づいて表示する「行動ターゲティング広告」を欧州経済地域(EEA)で禁止へ。
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