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扉を開いて(原油 新秩序)

2015年5月24日(日)くもり

・原油 新秩序。サウジとシェール、世界を揺らす。
 地中深くの岩盤層を水圧で砕いて取り出すシェールオイル。当然、一般の油田よりは採掘コストがかさむ。
 米ではシェールオイルのお新規開発投資が急減速、「リグ」と呼ばれる生産設備の稼働率が急低下。
 直近の稼働率は659基と1年前から6割減り、原油が1バレル100ドル前後だった昨年後半まで順調に増えていた生産は頭打ち。
 シェールオイルの生産減速が40ドル台まで急落した原油相場は底入れ。足元は60ドル前後で推移。

 原油相場の底入れは、産油国には追い風も、本心から喜んでいない国もある。
 石油輸出国機構(OPEC)の盟主、サウジアラビアだ。サウジは昨年11月のOPEC総会で減産見送り、原油価格急落の引き金引く。
 「原油安がコストが割高なシェールオイルへの投資阻止したのは間違いない」とサウジの政府関係者は今月、勝利宣言。
 「6月5日の総会でも減産は決まらないだろう」とも。

 OPECでもサウジでもなく、米国のシェールオイルが相場に応じて増減して需給調整。
 新秩序下の原油市場では、シェールオイルの生産コストなどから相場の均衡点が「50〜70ドル」となる見方が広がっている。
 乱高下した原油相場がこの水準で安定することは、世界経済にとってプラス。

 原油安が燃料費削減につながり、業績を押し上げる。そんな期待が後退したのが海運株。
 川崎汽船 <9107> [終値308円]株価は、
 原油相場が急落した昨年11月下旬から今年3月中旬まで23%上昇、原油相場が底入れした以降は14%安。
 日本経済全体にとっては、原油が100ドルから40ドル台に下がると日本企業の経常利益約10兆円押し上げる。
 だが、60ドルでは押し上げ効果は2兆円ほど減る。
 今期は円安の恩恵が薄れる可能性が高いだけに、原油安という追い風が弱まるのは日本企業にとって痛手。

・原油 新秩序。相場の均衡点どこに。

 有力シナリオ50〜70ドル:シェール生産、損益分岐点70ドル。
 米エネルギー情報局(EIA)12日、供給が日量9500万バレル弱、需要が9400万バレル弱との予測。
 中国の景気動向によっては需要が下振れする可能性があるが、シェールオイルの生産の伸びも鈍化、中期的には影響は相殺と。
 EIAは世界経済の緩やかな成長前提に、需給が小幅ながら改善していくシナリオ描く。
 米国でシェールオイルの生産が明確に増える損益分岐点は65〜70ドルとされる。
 シェールオイルが需給の調整弁として機能するなら、70ドル超えの水準が長く続けば生産が増え、価格は落ち着いていく。
 逆に損益分岐点を大きく下回る50ドル割れのような水準になれば、生産は減って価格が反転するはず。
 6/5に控える石油輸出国機構(OPEC)総会では、市場の期待値は低く、
 OPEC総会後は小幅に下落する局面があっても、需給の安定支えに相場は徐々に落ち着き取り戻しそう。

 上昇シナリオ70ドル以上 地政学リスクくすぶる火種。
 サウジアラビアは5/17にイエメンに空爆再開。
 サウジとイランがイエメンで衝突するような事態となれば、地域紛争では済まなくなる。
 金の先物相場は既にこうしたリスク織り込み、2月以来の高値つける。

 下落シナリオ40ドル台 中国失速で投機資金流出。
 「投機資金の巻き戻しが起きること」を条件に挙げる声が多い。
 先物市場の過熱を見る限り、リスクは今もくすぶっている。
 中国経済が失速すれば原油を「爆食」する時代は終わり、世界全体の需要押し下げる要因になる。

・原油 新秩序。マネーの流れ変える原油価格。
 底入れで債券買いに冷水、株・不動産には流入。
 マクロ経済で見れば、原油高は物価高を招き、インフレにつながる。
 「アジア最大級のディール」と海外メディアがはやしたのが、
 アラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンド(SWF)であるアブダビ投資庁が4/30に発表した案件。
 グランドハイアット香港など3つの高級ホテルの権利半分取得。その額12億米ドル(1440億円)。
 原油価格の底入れと歩調を合わせるように発表された大型案件に、市場はオイルマネ―の復活感じ取った。

・原油 新秩序。「追い風」「逆風」の銘柄は。
 世界各国の積極的な金融緩和で長期金利がゼロ近くに向かって低下する局面では、
 債券の代替となる利回り商品として値動きが少なく配当利回りが高い銘柄が買われてきた。
 原油価格の底入れで一変。米原油先物相場でWTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物が
 6年ぶりの安値を付けた3月半ば境に、軟調だったエネルギーや機械関連の株価が急回復。

 原油価格とともに上昇しやすい傾向はエネルギー資源株や商社・卸売株、建設・資材株。
 原油価格との連動性が特に高い国際石油帝石 <1605> [終値1501.0円]石油資源開発 <1662> [終値4110円]
 三菱ガス化 <4182> [終値701円]などはPBR(株価純資産倍率)が解散価値示す1倍下回る。

 一方、原油価格が上昇すると下落しやすい関係が強い銘柄には、
 森永乳業 <2264> [終値431円]沢井製薬 <4555> [終値7120円]明治HD <2269> [終値13570円]など食品、医薬品が多い。 春先まで機関投資家、個人投資家の双方から好んで買われたため、PBRやPER(株価収益率)といった指標で割高な水準にある。 
 原油価格の底入れは、企業業績にも陰を落とし始めている。
 野村証券 <8604> [終値830.0円]予想する2015年度の日本企業(金融除く)の経常増益率は、
 4月初め時点16.3%から足元では13.5%に縮小。
 原油高の影響を受けやすい化学や鉄鋼といった業種の減速が目立つ。

・原油 新秩序。原油高で上昇しやすい銘柄

 第一生命 <8750> [終値2164.5円]3月中旬からの騰落率 22.2% 
 コスモ石油 <5007> [終値202円]21.7 三菱ガス化 <4182> [終値701円]19.8
 オークマ <6103> [終値1364円]16.2 日電ガラス <5214> [終値653円]15.6
 国際石油開発帝石 <1605> [終値1501.0円]13.7 JXホールディングス <5020> [終値533.4円]11.3

・原油 新秩序。原油高で下落しやすい銘柄

 ユニ・チャーム <8113> [終値2758.5円]3月中旬からの騰落率 ▲14.4%
 ヤクルト本社 <2267> [終値6940円]▲13.3 小野薬品 <4528> [終値12460円]▲10.9
 明治HD <2269> [終値13570円]▲9.8 オリエンタルランド <4661> [終値8403円]▲9.7 
 キッコーマン <2809> [終値2880円]▲9.7 森永乳業 <2264> [終値431円]▲7.5

・東京証券取引所 <8697> [終値3785円]第1部上場する企業の時価総額が22日、
 591兆3007億円となり、バブル絶頂の1989年末の590兆9087億円超え過去最高。
 2014年度過去最高益となった「ニッポン株式会社」が、株主価値の規模でも新たな高みに達する。
 東証の時価総額が過去最高を更新するのに要した25年間で、世界の株式市場全体の時価総額は5倍近くに膨らむ。
 「日本株はスタートラインに立ったばかり」と多くの市場関係者に共通する思い。

・米連邦準備理事会(FRB)20日公表、
 4/28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨読んだ市場関係者の多くは、頭を抱えたに違いない。
 続く22日の講演でイエレンFRB議長は米景気に楽観的な姿勢堅持したが、
 FOMC内部では潜在成長率が低下する中で事実上、追加緩和の必要性を示唆する声まで出始めている。
 場関係者の利上げ予想時期はまだ9月のFOMCが優勢。

 議事要旨で市場の目を引いた記述が2点。
 1つは1人の参加者が現在、2%としている長期インフレ目標の「引き上げを検討すべきだ」と提案した点。
 もう一つは、金融政策に大きく影響する「均衡実質金利についての考え方」の議論の中で
 「複数の参加者は歴史的にみて異例なほど低いと報告した」という踏み込んだやり取り。

 市場は物価や雇用動向、6月FOMCなど鈴なりの経済指標や重要イベントに神経とがらせている。

・発掘実力企業:北米で稼ぐ企業(7)エフテック <7212> [終値1231円]シャシーの技術、現地に浸透。
 高い技術力はホンダ <7267> [終値4124円]以外にも評価されている。
 全体の売上高では1割以下にとどまる米ゼネラル・モーターズ(GM)との取引は、北米に限れば2割に上る。
 エフテックは独フォルクスワーゲン(VW)など欧州企業との取引増やし、
 全体の売上高高めながら20年までにホンダ以外の売上高全体の3割以上まで高めるのが当面の目標。
 
・通信教育「Z会」の増進会出版社(非上場)が19日、学習塾大手の栄光HD <6053> [終値1545円]買収。
 学習塾・予備校の国内市場規模は少子化の影響でここ10年、頭打ちが続く。
 さらに、2020年度には大学入試センター試験が廃止となり、生徒数の減少に拍車がかかるとの見方もある。
 株式市場では「再建機運が高まる」との思惑から、関連銘柄を先回りして買う動きも出ている。 

・LIXIL <5938> [終値2308円]相次ぐ買収で海外事業の強化図ってきたが思わぬつまずき。
 中国で水栓金具製造販売する子会社で不正会計の疑いが強まっていた「ジョウユウ」が、
 ドイツの地方裁判所に破産手続き開始の申し立て決めた。
 2014年3月期と15年3月期に410億円の持ち分法投資損失が発生する可能性があり、株価は年初来安値付けた。
 M&A(買収・合併)戦略にも影を落としている。
 「LIXILの予想PER(株価収益率)が23倍と東証1部平均(約17倍)より高いのはM&Aでの成長期待、
 だが今回を機に戦略が見直されるようなら、株価は割高と判断されることになる」との指摘も。
 評価が落ち着くまで、株価の上値の重さは続きそう。

・会社がわかる 特集資生堂 <4911> [終値2524円]外部から初の社長「魚谷雅彦改革」じわり。
 製販一体化など創業以来の抜本的な見直しに着手。
 国内シェアは2割と最盛期の半分まで下落。日本の化粧品市場を創造してきたブランドは、輝き取り戻せるのか。
 2020年12月期に営業利益1000億円目指す「魚谷改革」に注目が集まっている。

・円相場が1ドル=122円乗せうかがっている。22日には一時1ドル=121円57銭と3/13以来2ヵ月ぶりの円安・ドル高水準になった。
 円相場はここ1ヵ月、118〜120円の狭い値幅でもみ合いも、そのレンジを久々に突破した形。
 市場関係者は、3/10に付けた7年8ヵ月ぶりの円安水準の122円4銭を抜けて円安・ドル高が進むかどうかに注目。
 円相場がこう着を完全に脱するには今後、米指標がはっきりと改善し、
 景気が力強さ取り戻したという確信を市場が抱く必要がありそう。

・株主還元強化した銘柄が相場を押し上げている。
 増配や自社株買い公表した銘柄が相次ぎ高値更新。日経平均株価が22日まで6日続伸した原動力の一つに。
 日本企業が株主重視の姿勢をより鮮明にし、海外マネー呼び込んでいる。
 市場ではさらなる増配や自社株買いに期待が高まっている。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価はじわり上昇するとの見方が市場に広がる。
 前週は2万円突破し、3日連続で年初来高値更新も足元で過熱感指摘する声は少ない。
 3月期決算発表受け、業績の底堅さ確認した投資家の買いが入るとの期待があるため。
 ITバブル期の高値である2000年4/12の終値、2万0833円が意識され始めた。

 日経平均の今後の動きの参考になりそうなのが、14年10-12月期決算発表にあった2月下旬〜3月上旬の相場。
 この時も業績改善への期待からゆったりと上昇していった。
 直近ではまず「25日移動平均から3〜4%上方にかい離した2万500〜2万600円目指した展開と。
 今週は財務省が25日に4月の貿易統計発表。前回3月分は2年9ヵ月ぶりに貿易黒字となり、輸出の回復が意識された。
 4月分でも好調さ確認出来れば、電機や自動車など、輸出関連銘柄が物色されやすくなりそうだ。
 減速を示す結果が相次いだ米経済指標にも引き続き関心が集まっている。

・Wall Street:今週の米株式相場は上値の重い展開か。
 ダウ工業株30種平均は先週前半に連日最高値更新したが、週後半にかけて伸び悩む。週間で0.2%の小幅下落となった。
 高値警戒感に加えて、米金融政策への思惑も交錯、今週は積極的な買いが入りにくいと見られる。
 週明けは25日はメモリアルデー(戦没者追悼記念日)の祝日、一般に夏の休暇シーズンの幕開けとなる。
 株式市場もこの日を境に薄商いの傾向が徐々に強まる。
 市場参加者はしばらく、景気指標とFRB関係者の発言を見ながら一喜一憂する展開続きそう。
 今週は住宅関連の指標発表が目白押し。
 加えて29日1-3月期米実質国内総生産(GDP)改定値では成長率のマイナスへの下方修正が予想されている。

・ランキング:今期配当性向が前年実績比、高まる企業ランキング。時価総額1000億円以上3月決算企業対象。

 1位第一三共 <4568> [終値2335円]前期と比べた今期の配当性向改善ポイント 69.0 予想配当性向82.1%

 2位エーザイ <4523> [終値7965円]60.9 159.9 最終減益でも150円胚は継続。

 3位コロワイド <7616> [終値1800円]43.9 75.8 4位科研薬 <4521> [終値4370円]39.9 80.5

 5位青山商事 <8219> [終値4810円]39.0 72.8 純利益の1.3倍株主還元方針。 

 18位ヤクルト本社 <2267> [終値6940円]13.6 30.1 創業80周年の記念杯実施。

 35位横河電機 <6841> [終値1412円]9.2 27.1 構造改革一巡、8円増配。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち16指数が上昇。

上昇1位上海週間騰落率8.1%(14年末比騰落率44.0%)2位ベトナム4.3%(3.0%)3位ギリシャ3.5%(1.7%)6位日本2.7%(16.1%)
下位25位アルゼンチン▲7.4%(33.6%)24位ブラジル▲5.0%(8.7%)23位ロシア▲2.2%(32.9%)18位米国▲0.2%(2.3%)

 2014年末比騰落利率 1位上海44.0% 2位アルゼンチン33.6% 3位ロシア32.9% 4位ドイツ20.5% 5位フランス20.4% 6位香港18.6% 
 最下位トルコ0.1% 24位ギリシャ・インド・インドネシア・タイ1.7% 20位米国2.3% 19位ベトナム3.0% 

・食糧革命、押し寄せるマネ―。
 人口100億人時代に備えよ。食を巡り、国境越えた買収が相次いでいる。
 2060年代には世界の人口は100億人に達する見通しで、需要増というビッグチャンスは目の前にある。
 人工的につくった卵や肉、工業品のように野菜を作る植物工場。

 遺伝子組み換え種子で世界最大の米モンサントが今、大勝負に出ている。
 種子大手のスイス企業、シンジェンタに総額約415億スイスフラン(約5兆4400億円)の巨額買収提案。
 両社はそれぞれ売上高が150億ドル(約1兆8000億円)強で、
 統合すれば独バイエルなど競合を大きく突き放す圧倒的な存在なると見られたが、
 シンジェンタのミッシェル・デュマレ会長に態度はつれなく。
 モンサント「シンジェンタの農薬と、モンサントの種子の融合で、技術革新が生まれる。農業の新たな解決策を提供できる」。

 日本勢は商社が活発。
 三菱商事 <8058> [終値2766円]2013年にブラジル穀物大手セアグロ社、
 14年にサケ養殖・加工世界3位のノルウェー・セルマック買収。
 三井物産 <8031> [終値1714円]11年、ブラジルで大規模農園運営するマルチグレイン子会社化し、
 伊藤忠 <8001> [終値1660円]は14年にブラジル穀物会社ナチュラーレに50%出資。

・「食糧革命」で成長が期待できる主な国内銘柄

 JFEHD <5411> [終値2859円]天然ガスや温泉などが熱源の植物工場をロシアやモンゴルなど寒冷地に販売。

 日本農薬 <4997> [終値1213円]インドの農業メーカーなど海外企業のM&A(買収・合併)加速。

 富士通 <6702> [終値663.6円]クラウド技術で栽培の効率化支援。

 住友化 <4005> [終値697円]微生物技術使った「生物農薬」。

 クボタ <6326> [終値1949円]全地球測位システム(GPS)使った自動運転トラクター。

 三菱ケミカルHD <4188> [終値779.8円]無農薬野菜を自動栽培するシステムを中国で販売。

 東レ <3402> [終値1022円]特殊繊維用いた砂漠の緑化資材を開発。

 井関 <6310> [終値235円]センサー策定で肥料散布管理する田植え機など。

 サカタのタネ <1377> [終値2159円]病虫害に強い野菜種子など開発。アフリカにも販路。

 カゴメ <2811> [終値1872円]トマト種の保有数は世界トップ級。国内で大規模農園運営。(日経ヴェリタス)

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