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扉を開いて(知らぬと危うい地政学)

2015年7月26日(日)晴れ

・知らぬと危うい地政学 高まるリスク、相場大変動へ備え
 「歴史的な合意」オバマ大統領の称賛とは裏腹にイランを巡る地政学リスクが再燃しかねない。
 制裁が解除されればイランは国力強化を急ぐとみられ、「サウジアラビアなどとの対立が深まるだろう」との予想も。
 中東は過激派組織「イスラム国(IS)」も勢力広げる火薬庫。
 産油国イランの核合意で1バレル50ドル以下に下がった原油価格、
 紛争などの地政学リスクが火を噴けば、湾岸戦争の時のように高騰。世界経済と市場への打撃は計り知れない。
 超大国・米国の指導力が低下し、中国など新興国が台頭する。
 個人投資家も自分で複雑な世界情勢と市場への影響を読み解く力をつけ、地政学リスクへの備えを固めてはどうか。

・知らぬと危うい地政学 3大リスク「最悪」シナリオ分析 近い将来起こりうる「最悪シナリオ」点検。

 1.イスラム国がイラク・サウジの石油施設攻撃
 原油高騰、世界景気脅かす。サウジ情勢が悪化すれば、投資家のリスク回避の姿勢を強めるのは確実。
 投資マネーは安全資産に向かいドル高進行、新興国通貨は軒並み売られる。
 実際こうしたシナリオの実現する可能性は「10%弱」との見方。

 2.親ロ派再び攻勢、ロシアは債務問題で圧力
 ロシアが年末に満期迎える30億ドル(約3700億円)のウクライナ国債の前倒し償還要求し、
 デフォルト(債務不履行)に発展。
 債務危機は巨額の財政赤字に苦しむスペインやイタリアに飛び火し国債利回りが一気に上昇、日米の株式市場も急落。
 実際こうしたシナリオの実現する可能性は「20%以下」との見方。

 3.南シナ海で中国・フィリピンが軍事衝突。
 中国の海洋進出はアジア太平洋で対中抑止を狙う米国への挑戦。
 いまのところ中国と東南アジア各国との本格的な戦争を懸念する向きは少ない。
 仮に中国と米国の二大国の衝突が起きれば、世界の市場はリスク回避姿勢一色になり、
 株式などのリスク資産が大きく売られ、「有事のドル買いや円買いが一気に進む」とみられる。
 米中衝突するもう一つのリスクが台湾を巡って浮上。来年1月の台湾総統選挙。
 総統就任後に独立をちらつかせれば米中が台湾海峡挟んでにらみ合う事態も想定され、
 「日本の株価は1割は下がる。衝突すればリーマン・ショック級の事態も起こり得る」との見方も出ている。

・金相場が急落して、5年5ヵ月ぶりの安値。米連邦準備理事会(FRB)の年内利上げ観測に加え、
 公表された中国人民銀行(中央銀行)の金保有高が市場予想を大幅に下回り、先物市場で売り込まれた。
 直近高値の1月下旬から200ドル以上下げ2010年2月以来の安値。
 今月中旬になり、3つの下げ材料が重なる。保有しても金利のつかない金にとって、利上げは売りの材料になる。
 下げ足速めたところに上海発の大量売りが急落を招いた。
 相場を支える現物需要はけん引役だった中国の店頭消費が景気の減速や汚職の取締り強化で不調。
 強材料は乏しく、金市場から資金流出。ゴールドマン・サックスは1000ドル割れの可能性指摘。

・米商務省30日、2015年4-6月期米実質国内総生産(GDP 速報値)成長率発表。
 前期比年率換算で0.2%減となった1-3月期の反動や堅調な国内消費に支えられ、
 4-6月期は巡航速度(潜在成長率)並の2%台半ばのプラス成長軌道に戻ったとの観測強く。
 堅調な景気背景に米連邦準備理事会(FRB)は最短で9月利上げシナリオを排除しないと見られるが、
 市場では「安全策」として10月以降へ利上げ先送りするとの読みに傾く向きも多い。
 きわどい利上げの判断は、今後相次ぐ景気主要指標とのにらめっこにかかる。
 9月16、17両日のFOMCまでには雇用統計が2回発表される。
 イエレンFRB議長ら重視する「雇用コスト指数」や個人消費、インフレ率といった重要な材料続く。
 一方、9月利上げへの市場の警戒感は相対的に低い。
 9月会合ぎりぎりまでこうしたデータを見極めようとすると、9月利上げは困難との見方も多い。
 利上げの「匂い」を醸し出して市場の心の準備促すためには、一定の助走期間が必要と。

 注目されるのは今月28、29日のFOMC。
 イエレン氏の記者会見の予定はないが、声明で9月利上げ示唆するような表現が盛り込まれれば、市場に大きな波紋も。
 逆に無風なら「9月は事実上消えた」との観測も。

・上海株に連れ安し、7/8に約6ヵ月ぶりの安値に急落した香港株。
 ようやく落ち着き取り戻し、指標となるハンセン指数は2万5000台まで回復。
 市場関係者の一部では「香港市場は上海市場よりむしろリスクが大きい」との指摘も。
 要因の一つ目は中国当局の株価対策はあくまでも上海、深圳市場が対象。「株価は完全に需給に委ねられた」とも。
 2つ目は香港市場と上海市場に重複上場する銘柄が約70ある点。
 「上海市場でへ下がりするリスクを香港株売上高下ヘッジする動きも」正常な値動きとはいいがたいとも。
 市場参加者の8〜9割を国内の個人投資家が占め、海外投資家が自由にできない上海市場。
 一方、海外投資家にも開かれ、伝統ある香港市場は別物と考えられてきた。
 しかし今回の混乱でその信頼は揺らぎ「コインの裏表と見る向きが増えてきた」
 香港市場が失ったのは、時価総額だけではない。

・日本電産 <6594> [終値10660円]に新たな成長ストーリーが登場。
 物に触れているかのような感覚を様々な振動で再現する「ハプティックス(触覚デバイス)」 
 米アップルのスマートフォン(スマホ)に採用見込まれ、決算発表の翌23日の株価は一時、前日比10%上昇。
 収益源であるハードディスク駆動装置(HDD)用モーターに代わる柱として市場の期待が高まる。
 永守重信会長兼社長「第2のHDD用モーターになると確信している」と強調。

・発掘実力企業:ネット社会を支える(8)CRI・ミドルウェア <3698> [終値2126円]
 音声・映像を圧縮する独自の技術通じ、膨大なデータを早く、軽く再生できるミドルウエア(基盤ソフト)提供。
 ゲームやアプリなどに採用されている案件数は世界中で3000超。今後は海外展開強化へ。

・会社がわかる 特集日立国際電気 <6756> [終値1726円]映像・無線ネットワーク分野で海外展開急ぐ。
 半導体製造装置とテレビ放送機器などの映像・無線という「二足のわらじ」履く同社。
 製造装置事業は海外売上高比率9割近くに対し、映像・無線は15%程度。
 国内市場縮小見越し、ブラジルやトルコ、米国に矢継ぎ早に映像装置の拠点整備し新たな成長路線描こうとしている。
 株価は変動が激しい半導体市況の影響を受けやすい。
 アベノミクス相場が始まった2012年11月から株価は3.2倍に上昇。日経平均株価の2.3倍を大きく上回っている。
 さらに市場の評価を高めるには、500億円にのぼる豊富な手元資金生かした株主還元策が必要に。

・時価総額が比較的に小さい銘柄に買いが集まっている。
 先週、日経ジャスダック平均株価と東証2部株価指数は年初来高値更新、
 新規株式公開(IPO)した銘柄にも物色が広がる。
 最近の株高で個人の投資マネーが投資余力増す一方、
 海外情勢の不透明さで主力大型株を手掛けづらくなる中、国内で稼ぐ中小型株に向かっているようだ。
 大型株中心に構成する日経平均株価tp東証株価指数(TOPIX)は下落。
 東証マザーズ指数は0.2%と小幅な下落、日経ジャスダックは0.5%高、東証2部指数も0.5%高とともに上昇。
 目立ったのはインバウンド(訪日外国人)関連銘柄。
 ラオックス <8202> [終値555円]帝国ホテル <9708> [終値2940円]は週間で1割前後上昇、年初来高値更新。
 IPO銘柄では先週16日上場アイリッジ <3917> [終値6570円]が上場3日目に公開価格の5.3倍で初値。
 上場1年以内の銘柄の値動き示す「QUICK IPOインデックス(単純平均)」は21日、2007年11月以来の高値水準へ。

 相場の上昇に弾みをつけるには大型株への買いが欠かせない。
 先週水曜日から本格化した企業決算で大型株への見直しが広がるかどうかが焦点と。

・先週の東京株式市場では村田製作所 <6981> [終値19770円]TDK <6762> [終値8710円]など
 米アップルに部品供給する企業に売りが膨らむ。 
 アップルが31日発表した業績見通しが市場の期待に届かず、関連する銘柄の先行きに懸念が広がったため。
 「iPhone(アイフォーン)」の販売けん引する中国の景気減速。

・OUT Look:先週の日経平均株価はギリシャ問題が一巡し、一時2万0850円つけたものの、
 6/24の高値2万0868円に届かず。中国の景気減速リスクが意識され、
 原油など商品価格が下落したことからリスクオフムード広がり、週末は2万0544円で取引終えた。
 今週も中国リスク意識され、弱含みの展開に。下値のめどとしては2万0100円との声多く。
 ニューヨーク原油先物市場でWTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)が再び1バレル50ドル割り込み、
 「中国景気の減速懸念が高まっていることも重荷」と。
 今週ピークを迎える2015年4-6月期決算は、全体では前年同期比1割強の経常増益となるとの見方多いが、
 「前年は消費増税直後出発射台そのものが低い」との指摘も。「1割程度では株価全体の押し上げ効果は薄い」とも。
 注目は中国関連企業の決算、28日はファナック <6954> [終値23300円]日立建機 <6305> [終値2000円]
 翌日はコマツ <6301> [終値2193.0円]。
 海外勢が夏の休暇に入り、市場全体の商いは細っている。
 中国関連株の業績悪化、リスクオフが加速すれば、「1日で200〜300円下げることも」との声も。
 一方、「下値では個人投資家が活発に買いを入れる」との声も。

・Wall Street:今週の米株式相場は利上げ期待の高まりで、弱含む展開か。
 28-29日には米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)開き、
 翌30日には2015年4-6月期米国内総生産(GDP)速報値発表と、利上げ時期占う重要イベント相次ぐ。
 早期の利上げ期待が強まる内容だと株式市場は売りが出やすくなりそう。
 31日の4-6月期雇用コスト指数(ECI)も注目指標。イエレン議長注目していると言われている。

・ランキング:本業好調なのに割安な銘柄。
 PBR(株価純資産倍率)が解散価値の1倍に満たず、予想PER(株価収益率)が市場平均並みの17倍に届かない
 時価総額500億円以上の企業対象に、今期の予想営業利益の増加率が高い順。
 大手海運株などが上市に入る。

 1位レンゴー <3941> [終値488円]営業増益率187.41% 業績回復、市場期待に届かず。 

 2位新光電気工業 <6967> [終値872円]157.59%

 3位ヤマダ電機 <9831> [終値479円]108.96% 店舗閉鎖の影響不透明。

 10位トピー工 <7231> [終値296円]51.04% 
 中期経営計画未達の見方。中国の建機需要が想定下回るなど経営環境の変化。

 22位古河電工 <5801> [終値203円]28.69% 新興国不安で需要減の懸念。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要24の株価指数のうち3指数が上昇。(ギリシャ休場)

上昇1位上海週間騰落率2.9%(14年末比騰落率25.9%)2位フィリピン0.6%(6%)3位ベトナム0.4%(15.7%)
 5位日本▲0.5%(17.7%)
下位24位アルゼンチン▲11.9%(27.1%)23位ブラジル▲5.9%(▲1.5%)22位ロシア▲5.8%(8.7%)
 21位トルコ▲4.9%(▲8.2%)17位米国▲2.9%(▲1.4%)

 2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン27.1% 2位上海25.9% 3位フランス18.4% 4位日本17.7% 
 5位ベトナム・ドイツ15.7%  

 最下位トルコ▲8.2% 24位インドネシア▲7.1% 23位台湾▲5.8% 22位タイ▲4.0%
 21位カナダ▲3.0% 20位ブラジル▲1.5% 19位米国▲1.4%

・環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加国の大筋合意が見えてきた。
 太平洋を囲む12ヵ国の間でモノやサービス、投資が自由に行き来できるようになる。
 TPPの追い風が吹く日本株はどれか、メリット得る参加国はどこか。
 恩恵銘柄は、関税撤廃やアジア進出。食品は原料安、車は輸出期待。

 【関税撤廃】
 食品:日本ハム <2282> [終値3080円]オーストラリアや米国から輸入する牛肉、豚肉の調達価格が下落
    亀田製菓 <2220> [終値5270円]米価の関税撤廃で生産コスト3〜4割安いベトナムの拠点から日本に輸出。  

    ヤクルト本社 <2267> [終値7430円]原材料の脱脂粉乳や砂糖の関税引き下げでコスト50億円程度削減。
    六甲バター <2266> [終値1810円]オーストラリアから調達する原料のナチュラルチーズの輸入コスト削減。
    ニチレイ <2871> [終値962円]食料品の輸入拡大で冷蔵倉庫の稼働率上昇。

 自動車:富士重工 <7270> [終値4521.5円]自動車の関税が下がれば、北米への輸出に追い風。
     いすゞ <7202> [終値1574.0円]米国のトラックの関税(25%)が下がれば、輸出増の期待。
    
 自動車部品:デンソー <6902> [終値5829.0円]米国向けの関税引き下げで部品生産の世界分業に追い風。

 物流:住友倉庫 <9303> [終値661円]TPPによる貿易拡大で倉庫需要増。株価は業界内で相対的に出遅れ。
    横浜冷凍 <2874> [終値992円]食料品の輸入拡大で冷蔵倉庫の稼働率上昇。

 【農業の効率化】
 農業関連:サカタのタネ <1377> [終値2243円]病気に強く育成が早いなど農業の生産効率高める種苗に商機。
      日本農薬 <4997> [終値1114円]収穫量拡大に向けた国内農業の大規模化で農薬使用量増加期待。
      クボタ <6326> [終値2054.5円]
      農業の競争力強化で農業機械の大型化やネット接続型のような高付加価値化に商機。

 【アジア諸国の規制緩和/国有企業保護の撤廃】
 金融:三菱UFJFG <8306> [終値884.7円]アジアの金融機関への出資や出店に対する規制緩和で事業拡大。
 
 小売り:セブン&アイ <3382> [終値5667.0円]ベトナムやマレーシアの外資系企業の出店規制緩和に期待。

 建設:日本工営 <1954> [終値453円]政府による公共事業発注ルールの共通化、アジアでのインフラ整備参入容易に

 医療機器:オリンパス <7733> [終値4835円]医療分野の規制緩和で先端医療機器に商機。
      サイバーダイン <7779> [終値3165円]混合診療拡大で医療・介護用ロボットに商機。

 【知的財産の管理】
 医薬:武田薬品 <4502> [終値6218円]
    新薬のデータ保護期間延長、ジェネリック薬品の台頭による収益圧迫に一定の歯止め。

 キャラクター:サンリオ <8136> [終値3475円]TPP参加国での模倣品取締り強化で市場確保、対策コストも削減。

(日経ヴェリタス)

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