
扉を開いて(世界の中銀 試練の秋)
- 2015年08月23日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年8月23日(日)はれ
・世界の中銀、試練の秋、揺れる市場、混乱回避なるか。
米債券市場参加者が予想する9月利上げの確率は8/21時点で28%、2週間前の50%超から半減。
米利上げへの恐怖が世界中の市場の混乱に陥れ、これが回り回って利上げ観測の後退につながっている。
2008年のリーマン・ショック後、世界各国の中銀は一斉に金融緩和に動いた。それから7年間、緩和マネーは膨張し続けた。
著名投資家ジム・ロジャーズ氏
「米利上げ機に投資家の間で資金引き上げる動きが広がり、市場でパニックが起きる恐れがある」と警戒。
20日以降市場は「世界同時株安」に陥った。21日には米ダウ工業株30種平均が前日比530ドル安と急落。
1日の下げ幅としては4年ぶりの大きさに。27日から世界各国の中銀幹部が参加する「ジャクソンホール会議」が開かれる。
その決断が世界経済の行方を左右する。
・世界の中銀、試練の秋、各国の金融政策総点検。
9/16〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、
利上げの布石を着々と打ってきたかのように見えた米連邦準備理事会(FRB)。
だが世界同時株安、中国経済の減速、原油価格の急落などで、市場の利上げ観測は後退しつつある。
一方、米国内の景気は堅調で、利上げの環境は整いつつあるとの見方も消えていない。
世界同時株安という逆風。
市場で「米利上げが世界経済を腰折れさせる」との危機感強まっている中で、FRBは9月利上げを決断できるのか。
8/27〜29日に開かれる「ジャクソンホール会議」に登壇するフィッシャー副議長の発言が目下、最大の焦点。
英国も米同様に景気が改善し、利上げに向かっているとみられていた。
・世界の中銀、試練の秋、中印、利下げで景気下支え。
成長鈍化、輸出回復へ通貨安誘導。意表を突いた中国人民銀行(中央銀行)による元切り下げ。
「周小川総裁の謝幕之作(ラストダンス)」との評。周総裁は最後の大舞台踏んだとの見方。
元切り下げは為替レートを市場実勢に近付け、国際通貨基金(IMF)が求める透明性向上にもつながる。
金融緩和で国内景気を下支えし、通貨高を防ぐ。韓国も中国と同じ狙いで利下げに動いている。「景気はなお不透明」。
「米利上げは心配していない。原油安がインドに好影響をもたらしていることを強調したい」。
インド準備銀行(中央銀行)ラジャン総裁は4日、金融政策決定会合後に訴えた。
・世界の中銀、試練の秋、日欧、量的緩和の出口遠く。日銀は追加策の観測も。
欧州中央銀行(ECB)は量的緩和を少なくとも2016年9月まで続け、2%弱の物価上昇が続くことを確認した後、解除する予定。
米利上げ、中国リスク、ギリシャ問題と内憂外患の欧州にとって「来年9月に出口に達するのは難しい」との見方が多い。
日銀は出口どころか追加緩和までささやかれる。
28日発表予定の7月の消費者物価指数は、前年同月比0.1%前後のマイナスに落ち込む可能性がある。
日銀は16年b度前半に2%の物価上昇達成するとしているが、原油価格「緩やかに上昇する」のが前提。
原油価格は足元で急落、目標達成は逆に遠のいている。
8月のESPフォーキャスト調査(日本経済研究センター)、日銀の「10月ごろの追加緩和」予想するエコノミストは40人中13人。
「来年1月緩和」「来年4月緩和」は計7人。全体の半数が追加緩和予想する。
市場では追加緩和の思惑から「アベクロ会談」への関心が高まる。
・世界の中銀、試練の秋、著名投資家ジム・ロジャーズ氏。
改革遅れた国はマネー逃げる。通貨切り下げでは国力復活せず。原油価格は当面、下値探る展開が続くだろう。
来月や来年か、はっきりした時期は分からないが、中国経済はいずれ回復し始めるだろう。
中国は巨大な人口と資源抱えている。鉄道などインフラ整備も進み、多くの業種に投資妙味が生まれる。
日本株の今後の見通し「数週間前に日本株も買い増した。現在の日経平均株価はピーク時より4割超も低く、
決して割高とは思わない。ただ、長期的な日本経済の見通しには悲観的だ。」
・世界の中銀、試練の秋、メットライフ生命保険副会長、元日銀理事 平野英治氏
米利上げ、各国の問題あぶりだす。相互依存強まる中銀、連携の重要性増す。
・中国の景気減速震源に、世界同時株安進む。
21日には日経平均株価が2万円割れ、中国・上海株は7月の株価対策前の安値にほぼ並ぶ。
米国株もダウ工業株30種平均が前日比530ドル安と2011年8月以来となる下げ幅記録。
投資家が運用リスク避ける姿勢が一段と強くなっている。
日経平均の先週の下げ幅は今年最大となる1083円、2014年4月以来の大きさだった。
円高・ドル安の進行も相場の重荷となった。21日シカゴ市場で日経平均先物は1万9000円割り込む。
日本株については相場の先行きを楽観する声が根強い。
東証上場銘柄の売買代金に占める空売り比率は12日には08年秋の集計開始以来、
最高となる39.29%、21日も38.75%と依然として高い。
目先の一段安見込む動きが広がれば、空売り比率が高まるが、反対売買伴うため、将来の買戻し期待が高まる。
「空売り比率が38%前後になると反転する傾向がある」との指摘もあり、
現時点で相場下落の一方向に傾くとの見方は限られている。
・4-6月の国内総生産(GDP)では個人消費が前期比0.8%減と1年ぶりのマイナスに沈んだ。
天候不順や軽自動車税の引き上げによる一時的な要因による落ち込みという見方も、個人消費は回復しているのだろうか。
注目は28日に総務省発表する7月の家計調査。6月に前年同月比2%原子力委員会だった実質消費支出は多少の持ち直しと。
主要小売・サービス業各社の6月と7月の前年同月比売上高、おおむね減少幅が縮小し、増加幅が拡大している。
反転が特に目立つのが家電量販店で「エアコン中心とする季節家電や冷蔵庫が好調。」レジャーや外食も堅調。
「長期休暇の際には旅行などでお金を使う一方、普段の出費は節約するというメリハリつける度合いが強まっている」
消費意欲の喚起に欠かせない持続的な賃金上昇が力強さにかけていることが要因のひとつ。
「賃金は上昇しやすい環境にあるが、賃金の本格的な上昇が始まるまでに半年、消費の回復まではさらに半年程度待つ必要」。
・ギリシャのチプラス首相20日、欧州連合(EU)からの金融支援が正式に始まったのを見届けたうえで、総選挙に踏み切った。
改革が遅れる不利益と、与党内の造反勢力を早期に一掃できる利点を慎重に吟味し、決断したとみられる。
ギリシャの政局が再び不透明になり、危機が再燃しかねないとの懸念が浮上。
・発掘実力企業:ネット社会を支える(12)モバイルファクトリー <3912> [終値1714円]
全地球測位システム(GPS)利用した「位置情報ゲーム」に強み持つ。
利用者がスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)携えて、駅を移動しながら遊ぶため、
鉄道会社や自治体などからは集客ツールとして期待されている。
主力ゲーム「ステーションメモリーズ!」国内約9000の鉄道駅に対応、利用者はスタンプラリーの要領で駅を実際めぐり、
ゲーム進める。鉄道ファン中心に人気に火が付き、月間利用者現在、約5万人。
周辺の駅をまとめて集められる「レーダー」といっ田ゲームを有利に進める課金アイテムも用意、収益上げている。
鉄道会社は観光客の呼び込みツールとして期待する。
今期は新たに2つの位置ゲーム投入する予定。
・中国景気の減速など背景に日本株への売り圧力強まる中、ゼネコン株の値動きが底堅い。
業績が好調ながら出遅れ感があっただけに、海外の経済動向に左右されにくい業種として急速に注目度が高まった。
昨年末比株価上昇率は、日経平均11%なのに対し、清水建 <1803> [終値1175円]は43%に達する。
株価を支えるのが好調な業績。鹿島 <1812> [終値683円]大成建 <1801> [終値811円]大幅連結営業増益。
年初来の騰落率がマイナス圏に沈んでいた準大手・中堅各社にも株高が波及。
安藤ハザマ <1719> [終値752円]西松建 <1820> [終値511円]などの株価も8月上昇目立ち、
東急建 <1720> [終値1074円]の株価は年初の2倍。
・会社がわかる 特集パルコ <8251> [終値1178円]既存店舗の建て替えや新規出店急ピッチで進めている。
地方で出店攻勢、旗艦店は複合ビルに。
地方の店舗で意識しているのは「地域密着」。地元で人気の店招き入れ、文化関連のイベントも主催する。
単なる小売業ではなく、情報発信拠点としての自負のもと、店舗網広げて成長目指す。
・株式市場で相場の変調示す指標が出始めている。
先週は投資家心理の弱気度合い示す指標が2010年6月以来、約5年2か月ぶりの高い水準になった。
先週(17〜21日)の日経平均株価は1083円安。投資家心理示す「プット・コール・レシオ」は弱気の高まり示す。
プットの内訳をみると、権利行使価格が1万9000円の建玉が多い。
海外投資家の動きにも変化の兆し。東証投資部門別株式売買動向、海外勢10〜14日の間に3179億円売り越し。
売り越しは2週間ぶり。
ドルベース日経平均は21日、158ドルで、約4か月ぶりに160ドル割り込む。
投資家の弱気心理は広がっているが、一方で相場が大きく下落した局面では押し目買いが入るとの見方も根強い。
・21日に米指標となるWTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート 期近物)
一時1バレル39.86ドルと節目の40ドルを下回り、約6年5か月ぶりの安値に。
中国の景気減速の懸念が高まり、原油需要の伸び悩み意識した売りが広がった。
原油安には需給面の要因も。
米国の油田開発に使う掘削設備(リグ)が5週連続で増加、シェールオイルの生産が高水準に推移。
石油輸出国機構(OPEC)の生産量も高止まり、年末からイラン産原油の輸出が拡大するとの見方も。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万9000円台で推移する展開か。
週初は世界株安のあおりで1万9000円割り込む場面がありそうだが、日本企業の収益基盤は底堅く、
PER(株価収益率)には割安感も出始めた。押し目で買う個人や長期の投資家が相場を下支えしそう。
株価下落で日経平均株価の予想PERは16倍台から15倍台に下がった。
アベノミクス以降の株価はPERが15倍を割り込むことは考えにくいとも。
・Wall Street:今週の米株式相場は中国景気減速懸念に端を発した世界的なリスクオフが意識され、
上値が重い展開に。ただ米国はドイツなどの欧州に比べて中国の経済情勢の影響を受けにくいと言われている。
米景気は堅調だ、との認識が広がれば米株相場の下支え材料に。
米国株式相場は週間で1017ドル安で、金融危機のさなかだった2008年10月以来の大きさになった。
米国内指標では今週27日、4-6月期米国内総生産(GDP)改定値の発表。市場予想では速報値(2.3%)から3%まで上方修正に。
・ランキング:時価総額100億円以上で、2016年3月期予想引き上げた主な企業
1位進学会 <9760> [終値729円]期初予想からの上振れ率 598.59% 増益率604% 栄光HD株を売却、46億円の特別利益計上。
2位アイロムHD <2372> [終値1830円]430.00% 黒字転換 宮路エンジ <3431> [終値214円]175.00% 120%
7位日本化学工業 <4092> [終値302円]69.23% 88% 車やスマホ関連引き合い増
14位東映アニメ <4816> [終値4510円]42.11% 11% ヒット作、国内外で関連商品。
28位明治HD <2269> [終値19260円]19.90% 62% 値上げ後の乳製品も好調。
新明和工 <7224> [終値1293円]15.79% 20% 航空機部品、円安で恩恵。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち全指数が下落。
値下がり率下位1位フィリピン週間騰落率▲1.7%(14年末比騰落率0.7%)2位インド▲2.5%(▲0.5%)
3位オーストラリア▲2.5%(▲3.0%)4位タイ▲3.4%(▲8.8%)9位日本▲5.3%(11.4%)
上位25位上海▲11.5%(8.4%)24位ロシア▲8.7%(▲3.6%)23位アルゼンチン▲8.4%(22.3%)22位ドイツ▲7.8%(3.3%)
21位香港▲6.6%(▲5.1%)17位米国▲5.8%(▲7.6%)
2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン22.3% 2位日本11.4% 3位フランス・上海8.4% 5位ドイツ3.3% 6位ベトナム2.0%
最下位ギリシャ▲23.1% 24位インドネシア▲17.0% 23位台湾▲16.3% 22位タイ▲8.8% 21位ブラジル▲8.6%
21位カナダ▲7.6%
・日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命と3社合わせておよそ60万円。最低投資金額が関係者の間でささやかれ始めた。
初回売り出し1兆5000億円程度、1987年NTT <9432> [終値4674.5円]1994年JT <2914> [終値4437.0円]など匹敵する規模。
幹事証券試算、日本郵政の株価は約1800円、ゆうちょ銀1200円、かんぽ生命約2700円。
「3社で100万円以内の株価であれば少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)投資家呼び込める」うえ、
幅広く国民が保有できるようにとい政府の意向にも合致する水準。
・あなたの投資の落とし穴、行動ファイナンスで読み解く。
投資判断狂わす心理 5つのパターン
損失先送り効果:同じ額なら利益より損失のほうが心理的影響が大きいため、目先の損失確定避ける傾向。
ブレーク・イーブン効果:損失を取り戻すため、さらにリスクを取る投資行動に出る傾向。
自信過剰バイアス:成功体験があると自分のトレードの腕や銘柄選びの目利きに過度に自信持ちやすい。
現状維持バイアス:何かを「しなかった時の後悔」より「した時の後悔」の方がダメージが大きい。
心の会計:出どこるによってお金に色を付ける。値上がり益と、分配金や配当を区別して認識してしまう。
・あなたの投資の落とし穴、行動ファイナンスで読み解く。
相場の心構え、格言に学ぶ。投資家心理を突く格言。
見切り千両、損切り万両:損失が出ているなら早めの損切りには大きな価値がある。
損して休むは上の上:損失が出たときこそ冷静になり、いったん相場から離れることが賢明。
思惑よく当たるととも勝ちに乗るべからず:予想がことごとく当たって利益を得た時こそ油断してはならない。
過ちて改むるにははばかることもなかれ:自らの判断に間違いがあれば積極的に改めようという意味。
(日経ヴェリタス)
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