
扉を開いて(2011.10.9号)
- 2011年10月09日
- 株式投資・経済ニュース全般
2011年10月9日(日) くもり
・上場投資信託(ETF)巨大化の死角。投資家の不安心理からたびたび乱高下する米株式相場。
それを増幅しているのがレバレッジ型ETFを巡る思惑的な短期売買との見方くすぶる。
この手のETFここ数年急増、上場数市場の約2割。世界のETF残高は1兆5161億ドル(約115兆円)と5年前の3倍近くに膨らむ。
「レバレッジ型」ETF、約240本。今年8月の資金流入額約30億ドルにのぼる。通常の株式型から資金流出したのと対照的。
取引終了間際ETFからの売買調整が先物に入る。そうした買い(売り)需要が株価を押し上げる(押し下げる)
投資筋は先回りして同方向に注文を入れ、結果的に株価変動加速。レバレッジ型の悪玉論の根拠に。
レバレッジ型ETFは総資産ベースでみると米国のETF市場全体の3%で影響軽微と見る声も。
・7日発表9月の米月の雇用統計、非農業部門の雇用者数前月比10万3000人の増加と市場予測平均(約6万人増)を上回る。
伸びがゼロという想定外の結果で株安に拍車をかけた8月実績も5万7000人増に上方修正。
米国短期間で景気後退に陥る懸念は和らいだとの声、悲観ムードはいったん後退。
株式市場落ち着きつつある背景には米景気の粘り腰。
株価の戻りはヘッジファンドなど売り方の買い戻し中心との見方多い。
10/5までの1週間で世界の株式ファンドから115億ドル(約8800億円)の資金流出。
流出額は今年3番目。今週から米主要企業の7-9月期決算発表始まる。
・日銀昨年12月15日から始めたETF購入。累計で7266億円。対象と見られるETF時価総額の3割占める。買い入れ総枠は1兆4000億円。
対象は野村・大和・日興・三菱UFJ大手証券4グループのTOPIXと日経平均につくったETF。
10/7時点で含み損は530億円近く。平均購入価格は9288円ほど。
・「ギリシャ本格処理」の足音。3つの新しい動き。
安全網である欧州金融安定基金(EFSF)の性格付けを変えて支援拡大広げる議論が欧州内で浮上。
7月のユーロ圏首脳会議の時に固めた民間投資家の「自主的に21%」という投資負担割合引き上げる議論が公然と俎上にのぼる。
3つ目は世論の批判に背中を押されドイツメルケル首相が欧州の銀行の資本増強急ぎ、国が関与する意志明言し始めた。
3つの変化は「現行のギリシャへの対応策の行き詰まり」という仮説の元で混乱の速度を止める下準備と見れば合点がいく。
・今週以降、上場企業の2011年7-9月期決算発表本格化。7-9月期業績は4-6月期より持ち直した公算大きい。
「超円高」の定着と世界景気の変調で下期(11年10月〜12年3月期)業績ではとても楽観できない。
決算予定日、コマツ <6301> [終値1539円]27日、パナソニック <6752> [終値717円]ホンダ <7267> [終値2224円]31日。
トヨタ <7203> [終値2549円]11/8など。株安が業績回復に水を差すケースも。
・フランス・ベルギー系大手金融機関、デクシアが両国の公的支援を受けることに。
ユーロ圏政府債務不安が銀行の経営問題へ波及。ギリシャ国債の大量保有が狙い撃ちに。
7月ストレステストでデクシアは認定。査定合格から3か月もたたない段階で公的支援受ける形に。欧州金融界瀬戸際に。
・信用不安に直面する欧州銀行が資金獲得や財務改善のため海外資産の売却に動き始まっている。
資金回収の思惑が新興国通貨を揺さぶる。
・14日発売「iPhone(アイフォーン)4S」 KDDI <9433> [終値568000円]
2012年1月末まで申し込み分(キャンペーン料金)月4980円とソフトバンク <9984> [終値2456円]より570円高く設定。
収益すり減らす消耗戦はひとまず回避されたことで「通信株としてみればベストシナリオ」との声も。
・ファーストリテイリング <9983> [終値13400円]
商品政策の見直しで巻き返し図るも証券会社の間では今期の増益幅が想定より小幅にとどまるとの見方。
「国内ユニクロ事業のファンダメンタルズ考慮すると現在の株価には期待値が過大に織り込まれている」とのリポートも。
・日立建機 <6305> [終値1368円]売上高営業利益率の底上げに本格的に取り組み始めた。「総原価低減プロジェクト」開始。
前期で5.4%の利益率を3年後までに12%程度まで引き上げる。
ライバルコマツ <6301> [終値1539円]利益率12.1%と見劣りする収益力をテコ入れへ。
・高砂鉄工 <5458> [終値45円]2012年3月期の業績見直しを下方修正する公算大きく。
現時点の連結純利益見直しは前期比3%増7億8000万円。
この予想には夏に発表した10月以降のステンレス事業からの撤退の影響全て織り込まれていない。
撤退の在庫処分損など発生。今期の純利益は一転減益に。
・会社がわかる 特集 ヤオコー <8279> [終値2811円]埼玉中心に首都圏で食品スーパー110店舗展開。
既存店売上高4-8月まで前年同期比プラスを持続。
2度のバブル崩壊やリーマン・ショック、震災など乗り越え、連続増益の記録実に23年間。
粗利益率高いのは正価で売り切る商品が多く、それだけ値引き・廃棄ロスが少なく済んでいること。
売り場のかなりの部分を主婦パートに任せている。パート社員活用術には定評。生産性3年で2割引き上げへ。
・野田首相、衆院解散の時期の選択肢は多くなく。衆院選任期満了は2013年8月29日。その前には参院選があり同時選挙も。
2012年3月下旬、12年度予算案が成立後。12年9月民主党代表選、自民党総裁選後。
・内需株物色、複数の追い風。
欧州債務問題など海外の景気動向が不透明で、投資家は外需や為替相場の影響が大きい輸出関連株を手掛けにくい。
東日本大震災の復興復旧需要期待や好業績を発表の小売り株も内需株買いを後押し。
投資家のリスク回避姿勢から消去法に内需株買われる側面も。今後の焦点は上昇の持続力。
海外景気、特に新興国景気の霧が晴れて輸出関連株が持ち直すまでは「高所」に怯えつつも内需株買い続く公算と。
・外国為替市場でインドネシアルピアの一段の下落観測が出ている。同国の外貨準備の少なさ市場注目。
アジア各国が自国通貨買い・ドル売りの為替介入に動く中、
介入原資となる外貨準備の少なさを投機筋に突かれかねないという懸念浮上。
アジア通貨安が続く中、各自の通貨防衛力が問われる局面が続きそう。
・OUT Look:今週の株式相場は引き続き安値圏ながら短期的な自律反発期待が膨らむ場面も。
欧州の金融システム不安や世界景気の減速懸念がやや後退。需給面の売り圧力も弱まる可能性も。市場心理には変化の兆しも。
「不安心理やや後退し、株式相場はリバウンド局面に入りつつある」との声も。
個人投資家の信用買い残動向、東証9月第4週の信用買い残高は前週比1002億円減り、1兆4408億円と東日本大震災直後の水準に。
昨年以降信用買い残1000億円前後減った週が相場の底値圏と。
震災翌週(4845億円減少)を除けば昨年11月に1368億円減少した後、日経平均株価は上昇に転じた。
株式市場のメーンプレーヤーである海外投資家動向、海外投資家9月第4週まで10週連続で日本株売り越し。
この間合計1兆9077億円に上る。売越額9月上旬までは1000億〜5000億円単位も第3週から500〜600億円程度に。
市場では「海外投資家の売りのピークを超えた可能性もあり、日本株相場は下がりにくくなっている」との指摘も。
日経平均株価は25日移動平均線に上値を押さえられている展開続く。
・Wall Street:今週の米株式相場はもみ合いか。
欧州の財政問題に神経質な展開に変わりないが過度の下値不安は落ち着きつつある。
市場の関心は今週から発表が始まる米企業決算に向かう。市場予想を上回る決算が相次げば相場の押し上げにつながる公算も。
11日に非鉄のアルコア皮切りに12日ペプシコ、13日JPモルガン・チェース、グーグル発表予定。
経済指標は14日は9月の米小売売上高などが予定。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派46%(前回比+3)弱気派26%(同-11)中立派28%(同+8)
米欧株式市場がひとまず落ち着きを取り戻したことで投資家のリスク回避姿勢が和らぎつつある。
今週は「企業の決算発表を控え業績下方修正への警戒感が強い」との見方も。
・ランキング:有価証券の保有が多い会社では評価損の計上迫られる可能性も。
総資産に占める有価証券の比率が高い会社ランキング。
1位キーエンス <6861> [終値20500円]比率76.63% 有価証券合計4835億円。
保有有価証券の多くは日本国債。株安の評価損の発生リスクはほとんどない。
2位小野薬 <4528> [終値4420円]63.96% 2714億円。伝統的に取引先との持ち合い株多い。
3位長府製作所 <5946> [終値2160円]60.94% 692億円。有価証券は換金性の高い公社債中心。
10位ソニー <6758> [終値1415円]50.69% 6兆5388億円。
傘下のソニー生命が資産運用のため保有する有価証券が大半。日本国債が8割占める。
13位オービックビジネス <4733> [終値4130円]46.06% 350億円。
不動産投資信託や外国債券型投資信託などを保有。保有残高1割弱。
30位日清食品 <2897> [終値3130円]34.94% 143億円。
取引先の食品メーカーや小売業の株式。商社・金融株に評価損発生リスクも。
・有機EL(エレクトロルミエッセンス)普及目前、日本勢も反転攻勢の時期うかがう。
ソニー <6758> [終値1415円]東芝 <6502> [終値320円]日立 <6501> [終値374円]3社、
中小型液晶パネル事業統合した新会社来年春に発足。有機ELディスプレーの開発にも乗り出す。
アルバック <6728> [終値1010円]有機材料をガラス基板に付着させる「蒸着」技術で高い評価。
2012年6月期には有機EL製造装置の受注額が前期比3割程度増550億円程度に。
三菱ケミカルHD <4188> [終値490円]子会社の三菱化「印刷法」という新しい製造方法を開発。
コストダウン効果は高いと期待。
東京エレク <8035> [終値3755円]セイコーエプソン <6724> [終値924円]と共同で
「インクジェット法」技術とり入れた製造装置開発する計画。
住友化 <4005> [終値282円]2007年発光素材の開発から塗布までのノウハウを持つ英国会社買収。
材料提供するだけでなく、ディスプレーや照明を製造することも狙っている。
昭和電工 <4004> [終値155円]独自構造の基板を開発。発光効率高めることに成功。2013年の商品化目指す。
宇部興 <4208> [終値248円]8月ディスプレー基板の樹脂生産する会社をサムスンと合弁で立ち上げ。
カネカ <4118> [終値420円]が3月に照明用有機ELを発売。多彩な色そろえる。
・日本に眠るゴールド、世界の埋蔵量の16%(6800トン)銀は22%(6万トン)インジウム約16%(1700トン)
将来的資源獲得策の一つとして注目される都市鉱山も企業収益の貢献度はそれほど大きくなく。
国家ぐるみで戦略立案が欠かせず、資源戦略の一環として都市鉱山を位置づけ、
官民一体となったシステム構築を進めることが重要。
都市鉱山事業は、DOWA <5714> [終値421円]三井金 <5706> [終値191円]
JXHD <5020> [終値431円]子会社JX日鉱日石金属、タケエイ <2151> [終値1388円]
アサヒHD <5857> [終値1565円]松田産業 <7456> [終値1160円]など手掛ける。(日経ヴェリタス)
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