扉を開いて（2012.9.23号）

2011年9月23日（日）あめ

・相場はこう共振する。ニューノーマルを知って投資に生かす。
　本来連動しないはずの相場が共振し始めている。背景は「リスクオン」と「リスクオフ」の間を不安定に行き来するマーケットに。
　リーマンショック後リスク敏感症になった機関投資家が向かった投資法。
　強気に傾くと「リスクオン資産」が一斉に買われ、弱気になると「リスクオフ資産」が一斉に買われてゆく。

　リスクオンの時に買われる資産とオフの時に買われる資産の区分。
　ものさしは値動きの激しさ。値動き大きければオン資産。小さければオフ資産に。

　日経平均株価と最も連動性が高い主要通貨は豪ドル。豪ドル高・円安になれば日経平均は上げ、逆なら下げる。
　資源国通貨と日本株の連動性は「中国」という補助線引くと理解。中国景気楽観論は資源国通貨と日本株にとってプラスに働く。

・リスクオン・オフを簡便に見分ける方法。
　企業の有利子負債を自己資本で割って求める「デッド・エクイティ・レシオ（DEレシオ）」
　DEレシオが高い企業は財務難で市場の不安心理が高まるリスクオフの局面で売り込まれやすい。

・ドル円相場との相関で注目を集め始める米国株。背景は米国の量的緩和第三弾（QE3）。

・「関連銘柄」のウソとホント

　「アップル関連銘柄」初代「iPhone」発売された2007年6/29以降ではアップルが6倍、
　「アップル・サプライヤー2011」日本企業3〜9割下落。
　過去1年の部品・部材納入企業とアップルの株価騰落率の相関関係みても最高でも日本航空電子　<6807> ［終値711円］の0.3
　一般に「相関あり」とされるライン0.4を下回る。アップル株を素直に買うとの結論に。

　「中国関連株」まず思い浮かぶコマツ　<6301> ［終値1593円］ファナック　<6954> ［終値13620円］も
　過去1年上海総合指数との相関関係調べると5大商社が1〜5位独占。
　商社株のここさえない背景は中国経済の減速→鋼材需要の減少→鉄鋼原料の需要減→鉄鋼原料価格の下落の構図。
　資源価格の決定権を持つ中国の株式相場に株価が連動することは自然と。
　
・株価が為替相場と最も連動する企業は？

　ドル円相場との相関係数：
　コニカミノルタ　<4902> ［終値634円］0.76　三菱重工　<7011> ［終値334円］0.75　天馬　<7958> ［終値801円］0.75　
　トヨタ　<7203> ［終値3200円］0.74　新光電工　<6967> ［終値510円］0.74　日野自　<7205> ［終値540円］0.72

　ユーロ円相場との相関係数：
　マキタ　<6135> ［終値307円］0.73　京セラ　<6971> ［終値6710円］0.71　キヤノン　<7751> ［終値2797円］0.67
　リコー　<7752> ［終値725円］0.67　愛三工　<7283> ［終値654円］0.66　ヤマハ　<7951> ［終値796円］0.66

・会社がわかる　特集みらかHD　<4544> ［終値3370円］徹底した合理化で受託検査事業を収益源に育て7期連続の増収増益見込む。　
　7月中旬個人投資家向け説明会で「（当社の株を）持っていただきたい」と自信の呼びかけ。
　好業績、高ROE（自己資本利益率）、透明なガバナンスの3拍子がそろい海外投資家の評価は高い。海外展開次第で一段の上昇も。

・株式市場で海外投資家の買いが目立ち始めた。欧米の金融緩和を背景に9月に入り2週連続で日本株買い越し。
　先週日銀の追加緩和評価し日経平均株価は約4ヶ月半ぶりの高値に。一方中国景気の先行き懸念などから上値は重い。
　日本株が戻り歩調となるのか失速するかは売買シェア7割近く占める海外勢の動向が焦点に。

・ＯＵＴ　Ｌｏｏｋ:今週の株式相場は方向感の乏しい展開か。当面の重要イベント通過、積極的な売買する材料が乏しい。
　需要面では26日配当落ちで週後半にかけて個人の物色も停滞と。日経平均株価は8900〜9200円中心に推移しそうと。
　先週一時4ヵ月半ぶりの高値9200円台回復も円高や中国景気の減速懸念から週末のかけて下落に。
　今週は米欧市場でめぼしいイベントなく円相場や中国の動向に左右されやすい展開に。
　中国反日デモは沈静化も実体経済への影響はこれからが本格化とも。
　日中関係の悪化が長引けば日本製部品に対中輸出滞り中国の工業生産減速するリスクも。日本製品不買運動も広がる懸念。
　円相場1ドル＝78円台前半が続いていることも懸念材料。
　「QUICKコンセンサスDI」製造業は8月にマイナス39と3ヵ月連続で悪化。下方修正するアナリストの増加を示す。
　26日権利落ちによって日経平均は70円程度下がる計算。
　個人の信用評価損益率20日にマイナス16%と9日ぶりに悪化。松井証券　<8628> ［終値523円］集計。
　新規上場株の7割を個人に割り当てた日本航空　<9201> ［終値3980円］が21日売出価格を下回る水準に急落。
　日米欧の金融緩和はじわじわ株価を押し上げるとの期待も根強く下値のめどは8900円程度との声も多い。

・Ｗａｌｌ　Ｓｔｒｅｅｔ:今週の米株式相場は住宅関連指標をにらみつつ神経質な展開か。
　量的緩和第三弾（QE3）を受けた株高は一服。米経済実態やQE3の効果を見定める展開に。
　今週は7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数や8月の一戸建て住宅販売などの指標が発表される。
　9月の消費者信頼感指数発表もQE3の影響が消費者心理にどう影響を与えるかも市場は注目。。

・プロの相場観　向こう１週間の【ブルベア調査】強気派36%（前回比-30）弱気派27%（同+15）中立派36%（同+15）
　日銀追加緩和で株価上昇、短期的な高値警戒感広がる。中国で事業展開する企業の業績下押し圧力も懸念される。

・世界市場往来：先週の世界の株式相場で最も上昇したのはギリシャ週間騰落率4.4%（年初来14.0%）。
　欧州連合（EU）、国際通貨基金（IMF）、欧州中央銀行（ECB)の通称「トロイカ」とギリシャ政府の協議進展が伝わったことが好感。
　上昇率2番目はインド1.6%（21.3）。総合小売業への外資規制緩和などの改革策を決めたことが評価。3位はスペイン0.9%（▲3.9）
　15位日本▲0.5%（7.7）最下位上海▲4.6%（▲7.9）24位ロシア▲4.2%（10.2）23位フランス▲1.4%（11.7）

・117銀行を対象に店頭サービスや金融商品の充実度比べた第8回「銀行リテール力調査」
　
　総合首位（前年2位）りそな　<8308> ［終値326円］2位（55）埼玉りそなとグループ上位独占。
　3位（10）みずほ　<8411> ［終値133円］4位（62）横浜　<8332> ［終値377円］5位（11）東京スター銀行
　
　下位：117位（74）富山第一　116位（117）神奈川　115位（55）鳥取　114位（84）仙台　113位（40）北国

　商品充実度ランキング：1位三菱UFJ　<8306> ［終値375円］2位東京スター　3位シティバンク　<8710> ［終値2644円］

・電子書籍これまで何度か注目。本格的な市場拡大には至らず。電子書籍関連業界では「今度こそ三度目の正直」と期待。
　初めは1990年代前半、CD-ROMやフロッピーディスク利用した専用端末登場。
　インターネット普及2004年に。そして新たなステージ、2012年4月「出版デジタル機構」が発足。
　官民ファンドの産業革新機構が150億円投じて筆頭株主となったことで「国を挙げて電子書籍市場の整備が始まった」と。

　端末も安くなる。楽天　<4755> ［終値766円］「コボタッチ」7980円。
　ソニー　<6758> ［終値996円］「リーダー」新機種約半額の9980円に引き下げ。

　イーブックイニシアティブジャパン　<3658> ［終値2020円］現在配信数6万点超。
　利用者7割が30代以上1人当たり月間購入額約5000円。漫画をまとめて購入する「大人買い」する層をつかむ。

　ハピレス　<3641> ［終値1950円］低価格戦略が奏功。2013年3月期初の配当見込み。

　角川HD　<9477> ［終値2238円］
　得意のライトノベル中心にすでに7000点以上の書籍を電子化。自社電子書店で販売し、他の電子書店にも提供。

　学研HD　<9470> ［終値197円］15誌の定期雑誌を電子化、自社の電子書店で一部の電子書籍を期間限定で値引き販売。

　インプレスHD　<9479> ［終値126円］一部の専門書で紙と電子の制作データ共通化する取り組み始める。

　凸版印刷　<7911> ［終値475円］大日印刷　<7912> ［終値588円］それぞれ書籍を電子化する制作事業強化。電子書籍の運営も。　

　ACCESS　<4813> ［終値66400円］電子書籍の国際的なデータ規格「EPUB（イーパブ）」に対応した閲覧ソフトに強み。
　楽天や角川HD、講談社などにソフトを提供、収益源に育ちつつある。

　スターティア　<3393> ［終値1290円］電子書籍や電子カタログの作成に使うソフトの販売が好調。（日経ヴェリタス）

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