
扉を開いて(2012.10.28号)
- 2012年10月28日
- 株式投資・経済ニュース全般
2011年10月28日(日)曇りのち雨
・「崖」の先の景色。米大統領選後に待つ財政ショック。
ブッシュ政権時代からの減税策が年末で失効、年明けには国防費を中心に歳出の削減も自動的に始まる。
民間試算来年の削減額は国内総生産(GDP)の5%近くに匹敵。米景気リセッション(景気後退)へと転げ落ちかねず。
米資産運用大手ブラックロック3つのシナリオ
「崖手前で急停止」議会が直前で減税策の延長や歳出削減の見送りで合意。
「スカイダイブ」何らかの妥協策でソフトランディング。
「バンジージャンプ」共和党の選挙圧勝で増税が見送られて一時的に安心が広がるが、その後が恐い。
・世界経済の三大リスク。債務危機にあえぐ欧州。失速懸念を抱える中国。『財政の崖』問題が年末に迫っている米国。
米国年末年始に大型減税の終了や歳出の強制的削減が始まり、放っておけば1年間で4870億ドル(約40兆円)相当の緊縮財政に。
2013年米経済を0.5%のマイナス成長に陥れる爆弾と。
・『財政の崖』構成する要素は大きく分けて3つ。
景気下押し圧力が強いのは「ブッシュ減税」の失効。
当初2010年末を期限もリーマン・ショック後の景気失速リスク回避するため2年延長。今年12月再び期限。
失効になった場合実質増税額は来年1年間で約2250億ドル(約18兆円)。米国内総生産(GDP)の2%程度に相当。
富裕層ほど影響が大きく共和党は同減税の全面延長唱えているが、民主党は反対。
2つ目の要素は「オバマ大統領の景気対策」。
金融危機に伴う景気悪化を和らげようと打ち出した給与税減税と緊急失業給付が期限迎える。1190億ドル(約9兆5千億円)。
給与減税の失効は1億5900万人の労働者の手取りに影響し、1人当たり支払額は年間で717ドル(約5万7000円)増える。
3つ目の要素は年明けから始まる「歳出の自動削減装置」。
昨年8月、政府債務残高の上限引き上げる代わりに民主党と共和党の超党派会議で10年間で1.2兆ドルの歳出削減策詰めると決まる。
この会議が物別れに終わり歳出を強制的に削減する仕組み導入。
13年には自動的に削減される予定の歳出は540億ドル(約4兆3千億円)。
その他890億ドル(約7兆1千億円)と総額で4870億ドル(約40兆円)。
・世界を揺さぶる『財政の崖』問題に米政界はどう対処するのか。焦点は議会の動向。
11/6の大統領・れんぽう議会選挙で休会していた議会が動き出すのは13日、それから大規模な減税の失効が始まる年末まで1ヶ月半。
「11月下旬の感謝祭やクリスマス休暇考慮すると年内実質4週間しか稼働できる日がないことに。」
議会の面々も問題複雑に。11月の議会選で当選した議員が招集されるのは年明け1/3、それまでは「古い顔ぶれ」で問題さばく。
次善策として民主・共和両党は「問題先送り」浮上。
・万が一、米経済が「崖」の底まで一気に滑落した場合何が起きるのか。
景気を下支えする力が急速に弱まり、倒産が急増。街には職探しの列ができる。
米国はリセッション(景気後退)局面入りし金融危機のような厳しい経済環境に覆われる最悪のシナリオに。
対処ひとつ間違えば米経済の未来図まで塗り替える「崖」問題に市場は「政治家らは最終的に妥協する」と楽観に傾く。
米議会予算局(CBO)はじく実質国内総生産(GDP)成長率2013年1-3月期マイナス3.9%、4-6月期マイナス1.9%に急減速。
一方英バークレイズ13年1-3月期成長率予想は1.5%、4-6月期2.0%と「崖」を巡って天国と地獄ほどのかけ離れた経済予想が交錯。
18日米銀大手JPモルガン・チェース13年1-3月期1.0%(修正前1.5%)4-6月期1.5%(同2.25%)に修正。
・米証券各社「推奨は保有株の『売り』です。」と動き始めた。念頭にはオバマ大統領の再選。
同氏は「ブッシュ減税」の延長を高所得者層には認めない方針。「株式などの譲渡益・配当収入に対する税率が急上昇する恐れも」と
議会の判断で富裕層部分も延長されたとしても「財政難から将来的な投資関連増税は避けられず」との見方市場で強まる。
昨年8月当時米ダウ工業株30種平均わずか3週間で約2000ドル安と強烈な下げ見舞われた。米連邦債務の引き上げ問題が火をつけた。
市場の天敵は不確実性。頼りない政治の決定プロセスに敏感に反応。今回も昨夏と同じ轍を踏むのか。
米株式相場が年末に向けて大きく揺れる事態も視野に入れておく必要がある。
・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長オバマ大統領が勝利しても3期目目指さないとも。任期は2014年1月末まで。
ロムニー氏は自分が大統領になったらバーナンキ議長を首にすると公言。後任人事次第では米金融市場波乱要因にも。
・絶好調の米アップル、株価が変調。約3ヵ月ぶりに600ドル割り込む。1株利益が市場予測に届かず、利益率悪化見通しに失望売り。
投資家の期待値の修正に合わせて適正株価を模索する動き続きそうと。
・株式市場大統領選でどちらが勝利するかによって物色動向が変わるのは確実。どんな銘柄が恩恵受けるのか品定め始まる。
【ウォール街への態度の違い】
オバマ政権下では高リスク投資の制限を盛り込んだ金融規制改革(ドッド・フランク)法だけでなく、
今年に入って買収ファンドへの課税強化案も浮上。
オバマ大統領再選した場合、金融機関やファンドへの逆風が一段と強まる可能性も。
ロムニー氏ドッド・フランク法見直すと宣言。金融界大きな期待寄せる。
ロムニー氏勝利なら金融規制の緩和などで追い風が吹く。
【エネルギー業界】
ロムニー氏は大幅な規制緩和で石油やガスの開発投資促す政策掲げ影響大きいと。
オバマ氏風力やバイオ燃料といった次世代エネルギーへの支援続ける構え。株価下支え効果期待と。
【中国】
ロムニー氏中国に対する強硬姿勢。「私が大統領になったら就任初日から中国を為替操作国に認定する」と宣言。
過度な人民元安が米国の対中輸出にブレーキかけているとの見解が根底に。
米中間貿易摩擦が起き中国市場で大きな存在感を持つ米企業は打撃受けるリスクも。
【国内住宅市場やインフラ投資】
オバマ氏に対する期待膨らむ。住宅・インフラ分野を優先順位の高い課題として位置づけ。
オバマ氏再選なら政府の財政支出や米連邦準備理事会(FRB)による下支え策が続くとの期待。
【防衛】
オバマ氏今後10年で約5000億ドル減らす方針。
ロムニー氏防衛費の増額を打ち出す。
軍事産業にかかわるロッキード・マーチンやボーイングにとっては選挙の行方で大きく収益左右することに。
【医療産業】
オバマ政権1期目最大の成果として位置づけた医療改革法。無保険車を減らすため民間の保険購入を大半の国民に義務付け。
病院大手、保険会社には追い風が吹く。
ロムニー氏勝利では医療機器メーカーが追い風に。オバマ氏は財政負担かさむ医療機器メーカーに売上税科す方針表明。
重荷がなくなれば医療機器関連には買い安心感広がる場面も。
・米大統領選のアノマリー(経験則)モルガン・スタンレー調査。
1928〜2008年まで現職の大統領が再選果たしたのが過去10回、野党候補は3回勝利。
双方のケースについて米S&P500種株価指数の半年後の値動き。再選した場合株価は平均で4.5%安。野党勝利では5.2%高。
4年に一度の米大統領選のサイクルと株価の関係では、選挙の前年が最も株価が上昇するとの経験則も。
1961年以降は選挙の翌年も米国株は平均で5%程度上昇と。
為替相場は大統領選後には「円安・ドル高」が進みやすい。1996年以降直近の4回を見ると選挙の翌年は4回とも円安・ドル高に。
・日銀30日開く金融政策決定会合で資産買入れ基金を増額する追加金融緩和行う方針。2ヵ月連続の緩和は9年半ぶりという異例の事態。
景気の下振れリスク足元で強まったこと。日中関係悪化による不買運動、12年4-9月期貿易赤字過去最大など。
政治のプレッシャーも。前原誠司国家戦略・経済財政相決定会合へ連続出席も重くのしかかる。市場はサプライズ求める。
・株式市場で半導体景気が一段と注目集める。
世界の主要な半導体関連企業で構成されるフィラデルフィア半導体株価指数(SOX指数)の値動きは日経平均株価と連動性高い。
半導体景気を見通せれば日本株に先回りして投資しやすい。
アドバンテスト <6857> [終値987円]松野晴夫社長
「半導体需要の底は8月、10-12月に回復基調に入り、2013年1-3月はもっとよくなるのではないか」と語る。
信越化 <4063> [終値4495円]半導体回路の微細加工に使うフォトレジスト(感光性樹脂)製品4-9月堅調。
下期以降も「高集積化のIC求める動きは継続する」と。
日立ハイテクノロジーズ <8036> [終値1747円]「(台湾などの)半導体受託生産会社(ファンドリー)の微細化投資は継続」
電子デバイス部門の通期予想売上高を期初比7%上方修正した。
テラプローブ <6627> [終値552円]10-12月期は営業赤字に転落。「半導体需要は10-12月期が底で年明け以降上昇に転じる」と。
スマホやタブレットの秋冬モデルや春モデルの数量が増えると予想されるから。
「半導体関連株は市況が一番悪いときに買うのがベスト」とSOX指数と連動性の高い日経平均も投資のチャンスとも。
・日本電産 <6594> [終値5640円]拡大路線から利益重視に戦略転換。
2016年3月期連結売上高2兆円(前期実績6823億円)達成目標いったん降ろし、売上高営業利益率15%(同10%)を新目標に。
「WPRパート2発動。」WPR(ダブル・プロフィット・レシオ)とは永守社長考案独自の緊急収益改善策。
第一弾発令は08年秋リーマン・ショッ直後。売上高が半分になっても同水準の営業利益を確保する仕組みを作る。
まず買収した海外企業の収益改善に取り組む。グループ一体経営で有事に備える。
・交流サイト(SNS)世界最大手フェイスブック株価持ち直す。
メンバーズ <2130> [終値513円]デジタルガレージ <4819> [終値157700円]株価にも好影響も。
SNSで市場調査しているマクロミル <3730> [終値968円]2013年6月期連結経常利益前期比31%増見通し。
レシピ投稿サイトクックパッド <2193> [終値2435円]12年5-7月期単独税引き利益前年同期比70%増。
スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)普及でSNS利用者拡大「広告仲介など関連ビジネスのすそ野広がり成長企業増えそうと」
ファンコミュニケーションズ <2461> [終値158500円]モバイル広告の仲介サービス展開。ソーシャルゲーム広告好調。
・会社がわかる 特集ファーストリテイリング <9983> [終値17770円]
衣料品専門店ユニクロさらなる成長に向け海外出店加速。主戦場はアジア。
2013年8月期中国で約80店(前期は66店)出店、台湾や韓国、フィリピンでも前期を上回る出店計画。
アジアで約140店舗とグループ全体の4割強を占める。
いち早く流行を取り入れファッション性で勝負するインディテックスやH&Mに対し、ファストリは機能性が高くかつ低価格製品中心。
インディテックス85の国・地域に約5700店の店舗展開、売上高トップ。
13年1月期に世界で500店前後計画。うち中国で約150店出し400店強に。ファストリを約6割上回る。
2位のH&Mも今期新店の2割をアジアに振り向ける。
海外大手インディテックス時価総額円換算で約6兆2000億円とファストリの3倍強。H&M純利益とほぼ同額を配当に充てる。
インディテックスの配当性向もファストリを約20ポイント上回る。
海外での成長と株主配分姿勢でも世界大手との競争が必要に。
・日本株の戻りに一服感。先週(22-26日)の日経平均株価は19日終値(9002円)から0.8%安と週間では小幅な値動きに。
業績予想の下方修正が相次ぎ週末にかけて利益確定する売り優勢に。業績悪化がきっかけにした売りが加速するとの声は少ない。
底堅い値動きが予想される一方上値も重そうと。
9月高値(9232円)抜けるには「米景気の長期金利の上昇につながるほどの強さで回復し、円安・ドル高の流れ定着することが条件」
・外国為替市場円安傾向が強まってきている。米国の景気指標改善や日銀の追加緩和期待が高まってきているため。
円安進行は1ドル=80円台前半までにとどまり、円の下値はなお底堅い。節目80円を境に市場の思惑が交錯。
今回の円安の切っ掛けの一つはソフトバンク <9984> [終値2590円]による米企業買収。日本の対外直接投資の拡大が改めて意識。
4〜9月貿易赤字も過去最大に膨れ、国際収支面から円安を説明する理由事欠かず。
・OUT Look:今週の株式相場は弱含みの展開か。
主要企業の4-9月期決算発表が本格化する中、業績見通し下方修正警戒した売りが相場を下押ししそうと。
日銀追加金融緩和は織り込みが進み、買い材料視されにくく。サプライズがない限り日経平均株価は9000円をやや下回る水準かと。
日経平均はチャート上節目の集まる8800円近辺で踏みとどまると見られる。個人の投資余力は回復しつつある。
週末にかけては米サプライマネージメント協会(ISM)製造業景況感指数、米雇用統計と重要な経済指標の発表が続く。
米経済回復が確認できるようなら投資家のリスク回避姿勢和らげ、日本株見直し買いを誘う可能性も。
・Wall Street:今週の米株式相場はダウ工業株30種平均が1万3000ドル台維持できるか焦点。
11/2発表10月の雇用統計など重要指標相次ぐ。雇用と企業決算でマイナス材料出れば相場は一段安になるリスクも。
今週前半は米東部に大型ハリケーン到来する見通し。週初は様子見ムード強まりそうと。
雇用統計非農業者部門の雇用者数の伸びは市場予測12万人前後。前月から小幅の改善見込む。失業率は7.9%前後。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派32%(前回比-17)弱気派27%(同+9)中立派41%(同+8)
日銀30日に開く金融政策決定会合で追加金融緩和に踏み切るとの期待が支援材料も追加緩和の手法を見極めたいと中立派増加。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要市場ほとんどで株価下落。
企業業績悪化に加え、短期金利の上昇を嫌気。資金需給のひっ迫から株式市場への資金流入が細るとの懸念につながる。
1位ギリシャ週間騰落率0.4%(年初来28.5%)2位南アフリカ0.3%(14.9%)3位インドネシア0.2%(13.5%)8位日本▲0.8%(5.6%)
25位台湾▲3.7%(0.9%)24位ロシア▲3.6%(4.3%)23位上海▲2.9%(▲6.1%)22位ブラジル▲2.8%(0.9%)21位韓国▲2.7%(3.6%)
・膨大なデータ(ビッグデータ)を資産ととらえ多角的な分析を駆使しながらビジネスに生かす動き広がる。
ビッグデータは膨大な量(Volume)多様性(Variety)高速度・高頻度(Velocity)の3つの「V」で定義。
ビッグデータをマーケティングに活用する企業の代表例として米電子商取引(EC)大手アマゾン・ドット・コムが挙げられる。
顧客の好みに合わせたお薦め商品を自社サイトやメールで通知する仕組み。
富士通 <6702> [終値302円]データセクション(東京・渋谷)と連携、
ミニブログ「ツイッター」の「つぶやき」を特定のキーワードに選別、書き込み条件や話題の広がり方など分析するサービス始める。
カブドットコム証券 <8703> [終値144円]日本IBMと共同でSNS上の「つぶやき」「口コミ」と株価との連動性調べる。
「企業に好意的な書き込みが多い場合株価が上昇しやすいなど一定の相関がみられた」と。
株価変動予測する指標の開発につなげる考え。
クックパッド <2193> [終値2435円]ニフティ <3828> [終値137800円]と提携、
最寄りのスーパーで特売している食材を使ったレシピをスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)で閲覧できるサービス始める。
約9300店のスーパーの特売品一つ一つに130万レシピの中から関連するデータ選び出す。
ブレインパッド <3655> [終値1364円]顧客データの分析結果をリポートにまとめるサービス提供。
会員の入れ替りの激しいソーシャルゲーム会社中心に採用広がる。イベントで会員がどの程度増減したかなど把握できる。
EMシステム <4820> [終値1785円]
処方箋など医療情報データ化し外部のデータセンターに集約するサービスを全国約9000店の調剤薬局に提供。
地域ごとに流行病や感染症の広がり具合がわかる表に加工。医薬品の準備が出来る。
・外国株、日本の投資家にとっても身近な存在になりつつある。
楽天証券、SBI証券はそれぞれ約100の個別銘柄を扱う。SBI証券香港上場株も1000超える銘柄扱う。
外国株を買うための外貨はあらかじめ手当てする必要がある。証券会社においてある円資金を画面上の操作でドルなどに交換。
手数料コストは割高。ネット専用証券の場合外国株は通常特定口座で売買できず損益計算と確定申告は自分でしなければならない。(日経ヴェリタス)
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