
扉を開いて(迷えるマネー)
- 2013年06月16日
- 株式投資・経済ニュース全般
2013年6月16日(日)雨のち曇り
・迷えるマネー どこへ。
日経平均株価7.3%(1143円)安と歴史的急落となった5/23、その衝撃が残る中で5.1%(737円)という下げを演じた1週間後30日。
先物市場を舞台に海外ファンド勢が仕掛けたとされる売上高の影響が現物株に波及。
下げ増幅する構図は2週間たった6/13にも当てはまる。今回の決定打は円相場の急伸。
・大幅な株価調整は「アベノミクスへの期待から急ピッチで上げてきた反動」と市場の共通認識。
日米欧の量的緩和によって膨らんだマネーの一部が、世界の高リスク資産から流れ出る動きも背景に。
たとえばギリシャ国債、利回り5/14に7.85%底に上昇、10%上回る。最高値更新続けていたフィリピン株、総合指数5月中旬から下落。
国外マネーによって押し上げられてきた東南アジア各国の株式市場からも資金流出の動き見られる。
・世界のマネーがリスク投資に半身で構える理由は明らか。
緩和マネーの最大の供給源である米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和早期に縮小するのではと心配。
大規模緩和だけに出口に向かい始めた時に想定されるインパクトは大きい。
・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長19日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で何を語るか市場は固唾を飲む。
・ここ数週間、新興国中心に世界市場揺らしたのは、まさに流動性縮小への警戒感。
新興国各国の10年国債利回りは足元で上昇(価格は下落)。
6/12までの1週間で新興国債券ファンドから25億ドル(約2400億円)が流出。2011年9月末以降で最大の流出に。
・リスク資産から流出した資金はどこへ向かったのか。「米国に回帰している」米国短期金融市場と見る声も。
もう一つが米MMF(マネー・マネジメント・ファンド)。機関投資家が資金を待機させるときによく使う金融商品。
・量的緩和第三弾(QE3)の出口戦略巡って市場の見方混乱。先行き4つのパターン。順を追って市場インパクト大きく。
緩和を弱める:国債など買い続けるが規模は縮小。
中立に戻す:新規購入停止。満期が来た分は買い直す。
マイルドに引き締める:新規購入停止。買い直しもしない。
引き締める:保有国債など売る。
・市場の共通の見方としてはFRBはまず資産購入の減額から始めると。市場の混乱最小限に抑えられると考えられる。
9月に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)で議論されるとの見方が浮上。任期が2014年1月に迫っていることなど背景。
FOMC後の記者会見は今週19日。日本時間20日未明と度重なる急落に見舞われた木曜日に。
・日本株下げ突出。日経平均株価年初来高値(5/22 1万5627円)を2割弱下回る水準。
同期間ドイツのDAX指数5%安、米ダウ工業株30種平均は横ばい圏維持。
理由1:上昇の大きさ。昨年11/14比日経平均約8割高まで上昇。米ダウや独DAXの同期間上昇率(最大約2割高)
日経平均はドル建てでも一時約4割高、ドル建てで運用成績評価する海外投資家もたっぷりと含み益。それが「あだ」に。
理由2:「裁定買い残」の増加。裁定取引膨らみ、現物株の「裁定買い残」5/17時点で4兆3000億円超まで積み上がった。
理由3:不安心理が台頭、買いが入りにくくなった。
・前週の円相場は円高・ドル安が一段と進む。週明け1ドル=99円台で始まった後、ほぼ一方的に円高進行、13日に一時93円台後半に。
これまでアベノミクスを材料に円売り仕掛けていた海外ファンド勢が円買いに転じたのが大きい。
ピーク時市場全体で差し引き30兆円ほどだった円売り持ち高、14日までに15兆円ほどに圧縮。
輸出企業が円買い・ドル売りの為替予約抑え始めているとも。週明けも神経質な展開続きそう。
・日銀 <8301> [終値57000円]11日の金融政策決定会合で出たのは「ゼロ回答」
市場期待は「固定金利オペ」と呼ばれる公開市場操作の拡充。焦点は19日バーナンキ議長の会見。
・日本マクドナルド <2702> [終値2800円]5月の既存店売上高前年同月比0.5%増と14ヵ月ぶりにプラスに転じた。
5月売り上げ増に転じると宣言していた原田泳幸会長兼社長の「公約」達成に。完全復活には課題も残る。
5月客数は3.1%減る一方、客単価3.7%増。今期キャンペーン抑制、販促費減、単価の比較的高い定番商品の販売強化。
・発掘実力企業:東京デリカ <9990> [終値1562円]
全国のショッピングセンター(SC)や商業ビルに、かばん・雑貨のセレクトショップ約550店展開。かばん小売業界では売上高トップ。
年間40〜50店の新規出店続ける方針、全国1000店まで拡大余地も。
利益率と在庫回転率の改善進み、3年前に5%程度だった自己資本利益率(ROE)は前期に11.9%まで高まる。
・ソフトバンク <9984> [終値5040円]
米携帯電話3位スプリント・ネクステル買収額積み増し、対抗馬ディッシュ・ネットワーク抑え、スプリント買収実現の可能性高まる。 スプリント子会社クリアワイヤ12日、デッシュによるTOB(公開市場買い付け)に賛同表明。
ソフトバンクの米国戦略巡る不透明感払拭されない状態続く。TOB期限は7/2までソフトバンクの「次の一手」巡り神経質な展開に。
・ペプチドリーム <4587> [終値13010円]株価上昇止まらず。
12日公募・売出価格(2500円)の3.2倍、初値7900円付け上昇続き、14日1万3010円。時価総額1676億円。過熱感も指摘する声も。
買いを集める要因、スイス・ノバルティスや米ファイザー、第一三共 <4568> [終値1577円]など国内外大手製薬会社と提携。
「海外の大手製薬会社にここまで認められた創薬ベンチャーは珍しい」との声。
赤字で上場することの多いバイオベンチャーの中で上場前から黒字の点。
衣料分野の強化を目指す政府の成長戦略が追い風。
26日リプロセル上場控え、乗り換える動き予想する声も。
・アルバック <6728> [終値824円]
中期経営計画2014年6月期に4期ぶりに最終黒字に転換する目標。最終年度16年6月期には過去最高の最終黒字目指す。
5月末から下落率は2割に達する。主因は13年6月期までに2期連続でリストラに関連する多額の特損計上。
・会社がわかる 特集JR東海 <9022> [終値10520円]
2027年東京・品川-名古屋間の開業目指すリニア新幹線。5兆円以上かかる同区間の本体工事開始が目前迫る。
実験線で試験走行始まれば、半期で500億円強の減価償却負担発生。
来年で50周年となる東海道新幹線の全面改修工事も待ったなし。3つの「負担の山」が株価の重荷に。
株価のテコ入れには負担の山を小さくするだけでなく、リニア新幹線の長期的な意義を投資家にわかりやすく説明する努力求められる。
・主要輸出企業の業績・株価に対する為替の影響度。
自動車・部品関連:
日産 <7201> [終値986円]想定為替レート対ドル95円 対ユーロ122円 1円の円安に対する営業利益変化対ドル3.28% 対ユーロ0%
ホンダ <7267> [終値3445円]95円 120円 1.92% 0.13% トヨタ <7203> [終値5590円]95円 125円 0.84% 0.32%
富士重工 <7270> [終値2164円]90円 120円 2.22% 0.17% マツダ <7261> [終値352円]90円 120円 2.08% 1.00%
電機・精密:村田 <6981> [終値7050円]95円 125円 3.00% 0% キヤノン <7751> [終値3125円]95円 124円 2.04% 1.20%
日本電産 <6594> [終値6310円]95円 125円 1.14% 0.29% シャープ <6753> [終値417円]95円 125円 1.00% 1.13%
機械:三菱重工 <7011> [終値534円]95円 120円 2.42% 0.32% IHI <7013> [終値344円]95円 123円 2.29% 0.10%
コマツ <6301> [終値2303円]95円 123円 1.90% 0.13% 日揮 <1963> [終値3165円]95円 - 1.01% 0
化学:住友化 <4005> [終値289円]95円 - 3.33% 0 日東電工 <6988> [終値5660円]95円 - 2.81% 0
三菱ケミカル <4188> [終値439円]95円 - 1.27% - 富士フイルム <4901> [終値1953円]95円 125円 1.00% 0.64%
商社:三菱商事 <8058> [終値1707円]95円 - 1.11% 0 丸紅 <8002> [終値669円]95円 - 0.59% 0
・日経平均株価4週続落。13日の日経平均下落幅・率は5/23に続く今年2番目の大きさ。
米国金融緩和策の縮小観測の方向性が定まるまで荒い値動きが続くとの警戒感強く、下値不安くすぶる。
下値のめどは1万1500〜1万2500円程度と。株価上昇基調に移るのが「秋以降」との見通し多く。
2006年小泉相場で急落局面から再び高値を付けるまで7ヵ月かかる。動揺収まるまで3か月かかるとも。
・OUT Look:今週の株式相場は日経平均株価は引き続き値動きの幅が大きい荒っぽい展開か。
最大注目材料は18、19日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)。米金融緩和の早期縮小観測の行方が焦点。
相場上下に変動しやすく。13日終値1万2445円と日銀が「異次元」緩和決めた4/4の終値下回る水準に下げ、相場仕切り直し。
株価は割安な水準まで調整進んだサインも。東証1部騰落レシオ(25日移動平均)14日「底値圏」示す70%以下に低下。
日経平均25日移動平均からのかい離10%離れる。
FOMC経て円高に一服感でないと「株価の先高観支えている企業業績の拡大シナリオ揺らぎかねず」との不安も。
裁定買い残高が大幅に減っていれば当面の売り圧力は弱まり、需給面の不安心理は後退するとの見方も。
・Wall Street:今週の米株式相場は18-19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)が最大の材料となる。
特に19日開かれるバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見への関心高い。
量的緩和第三弾(QE3)の縮小巡る議長の発現が市場の先行き不安を和らげることが出来るかどうかが相場の動向左右。
5月の住宅着工件数や中古住宅販売が発表。週間の新規失業保険申請件数も注目。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派60% (前回比+11)弱気派3%(同-19)中立派38%(同+8)
・世界市場往来:先週の世界の株式相場はほぼ全面安。リスク回避する動き鮮明。
上昇1位トルコ週間騰落率2.1%(12年末比騰落率2.3%)2位オーストラリア1%(2.4%)3位南アフリカ▲1.1%(3.3%)6位日本▲1.5%(22%)
下位25位アルゼンチン▲7.2%(12.1%)24位フィリピン▲6.9%(7.4%)23位ギリシャ▲6.8%(1.2%)22位ブラジル▲4.4%(▲19.1%)
・ランキング:株価が75日移動平均大きく下回る「売られすぎ」銘柄
1位イオンモール <8905> [終値2046円]75日移動平均線かい離率27.95%
2位東邦HD <8129> [終値1516円]25.50 3位三井造船 <7003> [終値137円]22.66
4位京浜急行 <9006> [終値754円]22.54 地価上昇への期待原動力も政策効果の先行き不透明。
6位大日本住友製薬 <4506> [終値1273円]19.98 見直し買いが入る余地は大きく。
25位ゼンショー <7550> [終値1041円]14.91 「すき家」既存店苦戦嫌気。
43位ツムラ <4540> [終値2732円]13.47 設備投資優先で反動売り。(日経ヴェリタス)
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