
扉を開いて(株高の熱源)
- 2013年11月24日
- 株式投資・経済ニュース全般
2013年11月24日(日)晴れ時々曇り
・株高の熱源 ファンドが仕掛ける年末ラリー
日経平均株価はこの2週間で約1300円も上昇。「5.23」の急落劇から半年を経てその直前に付けた年初来高値(1万5627円)を射程に。
時ならぬ株高の背後では、海外ファンド勢がうごめく。主役はデリバティブ(金融派生商品)駆使する「グローバルマクロ」一派。
「コールオプション(買う権利)を数千億円単位で買ってきた」ことが起点と。
コールを買いたいファンドは証券会社に手数料払って売り手になってもらう。
コールの売り手は株価が上昇すると損失被るので対策必要。そこで証券会社は株高で利益が出る株価指数先物を買う。
こうした動きが相次ぐと先物主導で現物株相場が押し上げられ、証券会社は損失回避のための先物をさらに積み増す。
そして現物株の上昇はさらに加速。ここまで読んでファンド勢はオプション買いを仕掛けた。
底流には世界の主要中銀が景気さた支えへ緩和マネーを猛烈な勢いで供給し続けていること。
米ダウ工業株30種平均が初めて終値で1万6000ドル台に乗せるなど欧米株は騰勢が鮮明。
それに対し出遅れ目立つ日本株市場が「勝負の舞台」として選ばれた。
「ジャパントレード」と呼ばれる取引により、円相場は急速に下落。
日経平均とドル円相場の相関係数は11月に入って0.91と10月(0.66)に比べ急上昇。
キャピタルやフィリディティ、シュローダーなどの海外有力運用会社が日本株の保有高積み増しへ。
11月第2週(11-15日)の海外投資家による日本株買越額は1兆1720億円と今年2番目の大きさに。。
・株高の熱源 ジャパントレード再燃。
「弱気派も『持たざるリスク』を意識して、株式の持ち高増やさざるを得ない」と。ファンド勢の株買い・円売り、市場の雰囲気変える。
14日イエレン副議長の議会公聴会控え多くの投資家が立ちすくむ中、
ファンド勢は「ハト派で鳴らすイエレン氏だけに緩和長期化示唆し、リスクオンムード強まるはず」と踏んで12日先手取る。
ターゲットはグローバルに出遅れ感強かった日本株。
ゴールドマン・サックス証券試算、株式相場が1%上昇すると、ヘッジ目的に先物の買い需要は300億〜400億円発生すると。
円売り戦略も成功、11月初め1ドル=98円台でこう着していた円相場は一気に101円台まで下落。
日経平均は先週末までの10営業日で1300円弱上昇。「5.23急落」の直前、5/22までの10営業日の上昇幅は1300円強。
ふたつの株高局面は相似形描き、過熱感が高まっているという点でも似通う。
騰落レシオなどのテクニカル指標は5/22の水準に接近。日経平均を東証株価指数(TOPIX)で割ったNT倍率はここ10年で最大に。
先物主導で現物株が押し上げられていることを示す。
一方東証1部の平均PER(株価収益率)は16倍台と、17倍台後半だった急落直前より低い水準。
9月決算通過、企業業績見通しが切り上がったため。日経平均の直近安値からの上昇率なども、急落前の過熱感は読み取れず。
「5月は総強気の中で株価急落し、皆慌てた。だが今回は冷静に見ている投資家も多く、だからこそ急落への不安も小さい」との声も。
・株高の熱源 長期マネーも着々と流入続く 「脱アンダーウエート」相次ぐ。
米ウエリントン・マネジメント、約50ヵ国、2000社の機関投資家から60兆円以上の資金預かる運用会社の名門。
個別企業の調査重視するボトムアップ型運用で知られる中長期の投資家。このところ日本株投資に積極的で保有額増やしてるもよう。
海外投資家による日本株投資状況。保有額9月末の集計より大きく増やした主な投資家に名だたる運用会社が上位に並ぶ。
・株高の熱源 市場のプロは一段高を予想。来年6月までに上値「1万8000円」多く。
日経平均株価が長く続いた持合い状態から上離れしたことで市場では相場の転換が意識。
企業業績など株価を巡るファンダメンタルズ面に関しても強気な見通しが増えている。
・円相場再び下げ足速めている。先週一時1ドル=101円台前半と4ヵ月半ぶりの安値を付けた。
株高で運用リスク積極的にとる動きと国内機関投資家の外債投資の活発化鮮明。
円相場の下落促し最大の要因は日米など主要国の株高。「リスクオン」ムード広がり、低金利の円を売る動き目立つ。
・米国クリスマス商戦、本番迎える。今年は「短期決戦」の展開想定、小売り各社は浮足立つ。
年末商戦の本番は感謝祭(毎年第4木曜日)の翌日からクリスマスイブ(12/24)まで。
今年は感謝祭が28日にずれ込み、日数が昨年比6日間も少ない。小売り各社焦り、前のめり。
おきて破りの「感謝祭営業」大手百貨店も追随。クリスマス商戦の帰すうは2014年の金融市場の展開を左右する。
・新興国の株価が二極化。中国、ブラジルさえず、足元景気減速でもたつくもインドネシアなど勢いがある。
「投資マネーが流出する国としない国に選別されそう」と。
経常赤字が目立つ5ヵ国(ブラジル、インド、インドネシア、南アフリカ、トルコ)で
中銀が為替対策を明確に打ち出していないインドネシアや南アフリカは通貨安がさらに加速する可能性も。
外需依存の高いメキシコやタイ、マレーシアなどが投資マネーに選ばれやすいとの見方少なくない。
・中国景気回復一服。英HSBC21日発表、11月製造業購買担当者景気指数(PMI)前月比0.5ポイント低下の50.4。4ヵ月ぶりに前月比で悪化。
不動産がけん引する景気回復は限界へ。
習近平指導部が共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)で決めた構造改革を実行できるかが問われる。
・住宅販売に異変。購入価格に占める土地代の比率の差で明暗。マンションでは7割、戸建てだと半分程度と。土地購入には消費税かからず。
戸建て注文住宅では積水ハウス <1928> [終値1391円]や住友林業 <1911> [終値1227円]の10月受注前年同月比2方減少。
三井不 <8801> [終値3400円]野村不 <3131> [終値2418円]の首都圏マンション販売は10月も好調維持。
・発掘実力企業:EMシステムズ <4820> [終値1980円]増収率が高い(9)調剤薬局向けシステムで国内シェア約30%の最大手。
課金ユーザー数は累計1万3000件に迫り、2014年3月期は前期比18%増収見込む。
医科システムの販売拡大にも力。シェア1割目指す。目標達成に向けさらなるM&A(買収・合併)に注目集まる。
・アルバック <6728> [終値1336円]株式市場の評価高める。背景は収益力の改善。
これまで進めてきたリストラやコスト削減の効果、パネル製造装置や半導体製造装置の事業環境も回復基調にある。
・会社がわかる 特集マツモトキヨシ <3088> [終値3060円]約80年の歴史、売上高業界トップも時価総額は5位。
巻き返しに「マツキヨ」ブランドフル活用。
海外戦略に新たな布石。タイ、コングロマリット「セントラルグループ」の中核会社との業務提携。
プライベートブランド(PB=自主企画)商品の供給から始め、近くタイでの店舗展開も見据える。
海外への本格進出はマツキヨにとって初めて。
果敢なM&A(買収・合併)で地域ごとのすみ分け切り崩す構え。
・米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が貫く流儀。エクソンモービル株大量購入に確たる勝機。
2年前に約100億ドルをIBM株投じて以来となる米国株への大型投資。9月末時点で約4000万株のエンソン株保有。時価4000億円近く。
10年、20年たってもなくならない事業で、安定したキャッシュフロー(現金収支)生み続け、
将来も自社株買い中心に株主への厚い利益配分が見込める。これが投資に踏み切った理由と。
・株式市場で新規株式公開(IPO)銘柄の人気続く。2013年上場した36社のうち、6割の21社が初値が公開価格の2倍超えた。
IPO銘柄の活況続いていた05年の5割上回り、00年以降で最高。初値を付けた後は伸び悩む銘柄も多く、過熱感警戒する声も。
・原油相場が軟調な展開。
米国指標WTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)先週一時1バレル92ドル台前半に下落、ほぼ半年ぶりの安値。
米国でシェールオイルの生産拡大、需給が中長期的に緩むとの見方が売りを誘う。
シリア情勢が足元で膠着、同国混乱が拡大して中東の原油生産が減少するとの見方もひとまず後退。
・OUT Look:今週の株式相場は日経平均株価は5月の年初来高値(1万5627円)を試す展開か。
上場企業の決算も終わり材料が乏しい中、カギは為替相場と。
先週末22日には円相場が1ドル=101円台に下落したことが好感、日経平均は取引時間中に1万5500円台まで上昇する場面も。
今週は住宅関連で26日に住宅着工件数鵜とS&Pケース・シラー住宅価格指数が発表。消費者信頼感指数も発表される。
27日耐久財受注額も重要な指標。
今月日経平均の上昇をけん引しているのは外国人投資家。
11月第2週(11-15日)の海外投資家の買い越し1兆1720億円に達し、4月第2週に次ぎ今年2番目の買越額。
外国人投資家にとって重要な指標となるドルベース日経平均は21日に152.9ドル。5/22の年初来高値(152.3ドル)上回る。
上向きの三角持合いの上限抜けた形で、一段の上昇期待出来るとの指摘も。
上昇ピッチが速すぎることへの警戒感も根強い。22日後場のように利益確定売りが上値を抑える可能性も。
11月の最終営業日を含む週の日経平均は、2000年以降13年連続で上昇。来年の運用見据えて機関投資家が持ち高積み増す動き出やすい。
・Wall Street:今週の米株式相場は最高値圏でもみ合う展開か。28日は感謝祭の祝日。29日も半日取引。
ダウ工業株30種平均は先週まで7週続けて上昇。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和策の行方見極めたいとの見方も多く、様子見姿勢も。
今週後半から焦点の米クリスマス商戦が本格化。強くはないが、かといってひどくもない微妙な水準と。
商戦占う先行指標として注目は26日発表の消費者信頼感指数。
同指数は10月に政府閉鎖のあおりで急落。消費者マインド戻しているかが焦点。
FRBが12/17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小に踏み切るという「リスクシナリオ」は完全に消えず。
最後の最終判断となる11月の雇用統計(12/6)の発表に向けて市場の警戒感が徐々に強まる局面に入る。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派52% (前回比-6)弱気派31%(同+10)中立派17%(同-4)
・ランキング:海外で稼ぐ製造業 海外売上高・輸出率が高くてPER(株価収益率)が低い製造業
1位アーレスティ <5852> [終値823円]予想PER4.4倍 北米向け好調。2014年3月期最終損益前期の赤字から黒字転換。
2位丸順 <3422> [終値556円]4.5倍 3位富士テクニカ <6476> [終値432円]4.7倍 4位第一希元素 <4082> [終値2823円]4.8倍
10位新日本無線 <6911> [終値394円]6.2倍 今期半導体事業好調。株価の重荷は財務内容。
32位パンチ工 <6165> [終値657円]8.1倍 自動車生産拡大追い風に販売伸び、2014年3月期連結純利益8億8000万円と前期比2.7倍。
35位カワタ <6292> [終値312円]8.3倍 2014年3月期は減収の見通し。市場の注目集めるには一段の海外展開がカギ。
46位DIC <4631> [終値310円]8.8倍 インキ世界最大手。中国韓国向けに販売拡大見込め、今期海外売上高比率さらに高まる。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち14指数が下落。
上昇1位ギリシャ週間騰落率3.1%(12年末比騰落率28.7%)2位香港2.9%(4.6%)3位上海2.8%(▲3.2%)5位日本1.4%(48.0%)
下位25位タイ▲4.3%(▲2.4%)24位フィリピン▲4.1%(4.7%)23位南アフリカ▲1.9%(13.9%)22位オーストラリア▲1.2%(14.3%)
(日経ヴェリタス)
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