
扉を開いて(乱気流の先に)
- 2014年02月09日
- 株式投資・経済ニュース全般
2013年2月9日(日)はれ
・日本株 乱気流の先に。まさかの大揺れ、反転の条件。
昨年、日経平均が急落するたびに、犯人とされてきた米欧の短期筋。
「グローバル・マクロ」や「CTA」などと呼ばれるファンド勢が指数先物に一気に大量の利益確定売りを入れ、
それが現物売りへと波及していく構図が繰り返されてきた。
そのファンドの動きは今回は違った。昨年暮れあたりから「じわじわと持ち高を減らしていた」
海外投資家の日本株売越額は1月月間で1兆1696億円。
相場が軟化する中で起きた4日の急落劇(日経平均株価610円安)、株安増幅させたの正体は個人投資家の姿。
松井証券 <8628> [終値1121円]で4日発生した「追証」件数、2007年8月のパリバ・ショック以来の水準。
「ETFを通じた個人の売りも目立った」TOPIX連動型上場投信、主要ETFの売買代金は4日、7ヵ月ぶりの水準に膨らむ。
海外勢が1月に売った株の受け皿となったのが個人投資家。買越額は1兆4270億円と月間ベースで過去最高。
昨年末にかけて現金が元手になった面も。逆張り的に買い向かったが、外的ショック重なり、持ち株手放さざるを得なくなった。
「ジャパン・トレード」仕掛けていた短期筋にとって誤算は日銀の姿勢。
追加緩和観測について日銀は年明け以降、けん制姿勢強めた。「リスクが顕在化しなければ現在の政策を続けていく」。
米国による量的金融緩和の縮小もあってリスク投資に慎重になりかけていた海外投資家には重い一撃。
市場は決して悲観一色ではない。先週末7日のシカゴ市場で日経平均先物は大幅続伸。1万4670円と日中終値170円上回る。
強気姿勢維持は、中長期の視点で日本株選考してきた海外投資家たち。
「日本企業の稼ぐ力が改善している」と評価も。
「利益成長率などから見ても日本株は米国株に比べても投資価値はある」
「円相場は年末にかけて1ドル=110円に向かう。日経平均は今年10%の上昇余地がある」と読むところも。
・日本株 乱気流の先に。売りが売りを呼ぶメカニズム。
先週4日、新興株市場揺らした売上高のマグネチュードはひときわ大きく、東証マザーズ指数は前日比10%安と約8ヵ月ぶりの下落記録。
アドウェイズ <2489> [終値1870円]UMNファーマ <4585> [終値2679円]など下落率2ケタに達する銘柄相次ぎ、
「追証による換金売り」に飛び火。これが「乱気流」の一つの側面。
4日の「追証」マネックス証券 <8698> [終値417円]カブドットコム証券 <8703> [終値543円]では昨年5月下旬の株価急落時に迫る。
個人投資家昨年末以降さらなる相場上昇にらんで新興株やソフトバンク <9984> [終値7375円]など主力株の一角に信用買い膨らませる。
信用買い残(東京・名古屋2市場、制度・一般の合計)は1/31申込み時点で3兆5241億円と、2007年11月以来約6年3ヵ月ぶりの高水準となる。
借金による株式投資だけが前のめり気味に「リーマン前」を回復。
そこにアルゼンチンペソの急落など想定外の悪材料が重なり、日本株市場にもリスクオフのムードが波及。
水面下で楽観ムードの修正が進んでいたのは、米連邦準備理事会(FRB)が昨年12月に量的緩和の縮小を決めた際に、
円売り・日本株買いの「過剰なリスクオン」が逆に加速、過熱感を一部の投資家は感じ取っていたと。
とはいえ週末7日に日経平均は大きく反発、市場はやや落ち着いたムードも戻りつつある。
裁定買い残などの減少で「需給面の悪化懸念は後退」との声も出る。
上昇相場には調整局面はつきもの。突然の大荒れ相場の中でも、
一歩先を行こうとする投資家たちは需給環境や企業業績の先行きを冷静に見極めようと既に動き出している。
・日本株 乱気流の先に。日本企業、来期も業績底堅く。欧米上回る増益率、「相場下支え」崩れず。
野村証券 <8604> [終値693円]国内主要企業(金融除く)の来期の経常増益率見通しも上向きで、
昨年12月時点10.9%から足元では11.4%に上昇。電機・精密や建設の業績見通しが改善。
・主要銘柄の昨年末比の騰落率
下げのきつい銘柄:1位新生銀 <8303> [終値206円]昨年末比騰落率▲19.8% ソフトバンク <9984> [終値7375円]▲19.8%
3位三菱地所 <8802> [終値2570円]▲18.2% 4位任天堂 <7974> [終値11490円]▲17.9% 5位アイシン <7259> [終値3525円]▲17.6%
堅調な銘柄:1位NEC <6701> [終値302円]27.4% 2位日本電産 <6594> [終値11625円]12.8%
3位富士通 <6702> [終値598円]9.9% 4位日本オラクル <4716> [終値4225円]9.8% 5位リコー <7752> [終値1192円]6.6%
個別株から見えてくるのは、収益力などに基づいた選別投資が進んでいるということ。
市場が揺れ動く中でも、いつか来るはずの反騰局面に向けた準備は始まっている。
・米雇用統計の発表受け1ドル=102円台前半で推移していた円相場は、一時101円台前半と1円前後円高・ドル安進んだ。
だが、間もなく上げ幅縮小し、102円台前半に戻る。
米ダウ工業株30種平均は大幅高、前日比165ドル高の1万5794ドルで取引終えた。
貿易赤字が定着するなかで、輸入企業による円売り・ドル買いの需要も底堅い。
「101円台でだいぶ長期の為替予約を入れた」といった声も聞かれ、100円台で持ちこたえた要因の一つに。
・世界の株式市場を揺さぶる新興国通貨安の行方は今週、目先の大きな分かれ目を迎える。
11日と13日に米連邦準備理事会(FRB)イエレン新議長が金融政策巡り、米議会証言に臨む。
「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5ヵ国)」の一角であるインドネシアでは中央銀行が13日に政策金利決める理事会開く。
不安の連鎖は断ち切れるのか。分岐点になりそうなのは、イエレンFRB議長の議会証言。
「量的緩和縮小は続けるが、ゼロ金利解除までには相当な時間がかかるとはっきり打ち出すことが必要」との声も。
・米労務省7日、1月の雇用統計発表。金融市場注視する「前月比雇用者増加数(非農業部門)」11万3000人にとどまり、
市場予想(18万人増)を大きく下回る。昨年12月(7万5000人増)に続く不振。
業種別など細かく精査すると内容には明るい兆し、失業率は6.6%へ同0.1ポイント改善。
量的緩和の出口戦略見直すまでには至らないというのが現時点では多数説。
7日の米株式市場大幅続伸、市場注目したのは業種別の雇用情勢。建設業(4万8000人増)と製造業(2万1000人増)がそれぞれ前月比反転。
失業率の改善も株式市場の強気に傾いた一因。労働参加率63.0%と前月比0.2ポイント上昇も失業率0.1ポイント低下。
・トヨタ <7203> [終値5900円]連結営業利益営業利益6年ぶりに過去最高更新見通し。株式市場の反応は鈍い。
7日終値5900円と上場来高値(2007年2月、8350円)、昨年来高値(13年5月、6760円)も下回る。
トヨタ株高値更新するための条件探る。
持続的な成長への道筋見えにくく。15年3月期の連結営業利益2兆7553億円と今期コンセンサス予想比8%増と減速。円安効果も薄れる。
予想PER(株価収益率)は先週末時点で10.7倍。過去15倍前後で推移も、収益源である米国市場での競争激化や新興国の低迷への懸念も。
資本政策にも不満、配当性向30%目安も市場参加者はさらなる上乗せに期待寄せる。自社株買いがあっても良いとの声。
・ソニー <6758> [終値1691円]6日、2014年3月期同事業営業損益は一転3期連続赤字となる見通し。
「VAIO」ブランドで展開するパソコン事業の日本産業パートナーズへの売却やテレビ事業の分社化などエレクトロニクス事業の再建策発表。
平井一夫社長「この規模の構造改革はここで打ち止めにしたい」
・会社がわかる 特集千代田化工 <6366> [終値1495円]欧米勢の牙城に切り込み収益多角化。
主力液化天然ガス(LNG)プラントでは北米に進出。
海洋資源開発にも参入。空港インフラ案件にも注力。「LNG一本足打法」から脱却、「陸・海・空」と幅広く稼ぐ収益構造への転換目指す。
過去1年間の株価上昇率は38%。日揮 <1963> [終値3651円](上昇率47%)に比べ出遅れ感。北米やロシアでの巻き返しがカギ。
・株価チャート強弱交錯。日経平均株価昨年末比下落率10%超。
日経平均は今回の上昇相場の起点となった2012年11月半ば以降初めて200日移動平均を一時割り込み、株価の先行き「黄信号」もちらつく。
その反面、一部テクニカル指標は「売られすぎ」とのシグナル発し始めた。
日経平均の25日移動平均からの下方かい離率4日に10%強と、昨年6/13以来の水準に拡大。
経験則上株価指数の下方かい離率が5%を超えると、自律反発が期待しやすくなるとされる。
株式相場の「行き過ぎ」判断する指標、RSI(相対力指数、過去14営業日の前日比上げ幅の合計を倉庫・運輸、変動幅で割って算出)
4日、19%台まで低下。30%以下なら「売られすぎ」とされ、その水準大きく下回っている。
日経平均構成銘柄の予想PER(株価収益率)4日に14.03倍まで低下。「14倍割れば12年11月以来の低水準」。
個別銘柄の株価チャートに「離れ小島」相次ぎ現れる。英語で「アイランドリバーサル」と呼ばれ、株価反転に転じるサイン。
・OUT Look:今週の株式相場は底堅い展開か。前週末に米株式相場は大幅続伸し、円相場は対ドルで下落。
週内のイベントは11、13日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)新議長議会証言。
シカゴ先物市場では7日、日経平均先物3月物(円建)1万4670円で取引終了。週初は続伸して始まりそう。
物色対象は投資指標面での割安な銘柄や好業績銘柄などに限られる可能性。
・Wall Street:今週の米株式相場は戻りを試す展開か。最大注目材料はイエレン米連邦準備理事会(FRB)新議長議会証言。
米金融政策の先行きや米量的緩和的緩和の縮小を切っ掛けとする新興国の金融市場の動揺について、どのような考えを示すか注目集まる。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派65% (前回比+30)弱気派8%(同-25)中立派27%(同-5)
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち15指数が上昇。
上昇1位ギリシャ週間騰落率6.6%(12年末比騰落率38.2%)2位トルコ4.5%(▲17.4%)3位ロシア3.1%(▲12.1%)13位米国0.6%(20.5%)
下位25位アルゼンチン▲7.2%(95.7%)24位日本▲3.0%(39.1%)23位香港▲1.8%(▲4.5%)22位ベトナム▲1.2%(32.9%)
2012年度比騰落利率 1位アルゼンチン95.7% 2位日本39.1% 3位ギリシャ38.2% 4位ベトナム32.9% 5位スペイン23.3%
最下位ブラジル▲21.1% 24位トルコ▲17.4% 23位ロシア▲12.1% 22位上海▲9.9% 21位タイ▲6.9% 20位香港▲4.5%
・知られざるインフラ輸出企業
【設計・運営』
日本工営 <1954> [終値466円]インフラ設備の設計・施工管理。モンゴル1600キロ鉄道設計17億円で受注。
日本上下水道設計 <2325> [終値1300円]上下水道の設計・施工管理。90ヵ国で水道設備コンサル請け負う。売上高30%が海外。
日本瓦斯 <8174> [終値1059円]電力・LPガスの小売り。米国で電力売る。米国でも価格攻勢仕掛ける。
日本信号 <6741> [終値880円]鉄道信号・改札機。低コスト化実現した独自システム新興国中心に受ける。
オリックス <8581> [終値1522円]フィリピンの電力会社に出資。
【建設】
三井住友建設 <1823> [終値111円]地下鉄のトンネル、駅。
東急建設 <1720> [終値445円]地下鉄の車両基地。
東洋建設 <1890> [終値379円]港湾工事
日本海洋掘削 <1606> [終値4930円]海底ケーブル、パイプライン。
【プラント関連】
酉島製作所 <6363> [終値1174円]プラント用大型ポンプ。中東では「トリシマ」が海水淡水化プラント向け高圧ポンプの代名詞。
石井鉄工所 <6362> [終値254円]石油タンク。
トーヨーカネツ <6369> [終値275円]液化天然ガス(LNG)タンク。
クリヤマ <3355> [終値1075円]産業用ホース。
【建設関連】
竹内製作所 <6432> [終値2860円]ミニショベル。海外売上比率95%。北米での販売台数は5割以上伸ばした。
住宅整備やシェールガス田周辺の道路整備向け需要取り込む。
加藤製作所 <6390> [終値591円]建設用クレーン。
ネツレン <5976> [終値693円]ショベルの基幹部品。
酒井重工 <6358> [終値357円]道路舗装機械。
【メーカー】
TONE <5967> [終値286円]電動工具。北米で7割のシェア。
ヤマハ発動機 <7272> [終値1319円]1日800リットルの簡易浄水システム。(日経ヴェリタス)
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株式会社アスリーム
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