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扉を開いて(ガバナンス相場の真贋)

2015年6月14日(日)雨のち曇り

・ガバナンス相場の真贋 企業の変身 見極めるヒント

 今市場で「変身するニッポン企業」として話題は住友倉庫 <9303> [終値726円]。
 株主構成をみると金融機関ら安定株主が多く、過去5年平均の自己資本利益率(ROE)は4.8%にとどまる。
 それが5月の会社説明会資料には海外事業拡大などによるROE向上策、
 株主や債権者が自社に求める想定利回りなど並べ、株主重視をアピール。 
 説明会の翌日以降の株価上昇率は9.8%で、日経平均株価(3.4%)を大きく上回る。

 オムロン <6645> [終値5700円]「ガバナンス改革への期待」ひしひし感じている。
 利益成長示す指標に掲げた「ROIC(投下資本利益率)」に関心。
 同社のROICは12年3月期の4.8%から15年3月期は13.4%に上昇。
 説明聴き「すぐに買いたい」という海外投資家も。株価は2日に上場来高値(5800円)つける。

 企業変身促すのは安倍晋三政権下で導入進んだ2つの行動指針(コード)。
 投資家に対話促すスチュワードシップ・コードと、企業統治力強化求めるコーポレートガバナンス(CG)・コード。
 「株主還元によるROE向上がガバナンス改革の第一段階」として、2014年度は総還元性向高める企業が相次ぐ。
 市場も自社株買いや配当性向高める動きに反応。

 GCコード導入後初となる株主総会シーズン。稼ぐ力蓄えた「真のガバナンス企業」はどこか。
 真贋(しんがん)見極めるヒント探る。

・ガバナンス相場の真贋 株主還元支える持続的成長
 株主対話や利益還元、社外取締役の活用、情報開示の拡充。こうした取り組みを持続的な成長につなげられるか。
 「利益率」「資本圧縮」両輪の改善が焦点。

・ガバナンス相場の真贋 
 2014年度に総還元率を高めた企業の多くは自社株買いに動く

 イオンFS <8570> [終値2919円]14年度の総還元性向 122.0% 14年4月末比の株価上昇率 13.5%
 ヤマトHD <9064> [終値2455.5円]110.2% 16.8% 花王 <4452> [終値5077.0円]107.4% 52.8%
 塩野義 <4507> [終値4420円]107.0% 146.9% アマダHD <6113> [終値1310円]107.0% 77.3%
 カシオ <6952> [終値2339円]82.0% 100.6% マブチ <6592> [終値7680円]69.1% 119.7%

・ガバナンス相場の真贋 
 コーポレートガバナンス・コードの狙い。株主と対話促し価値向上。
 2014年6月、安倍晋三政権がまとめた成長戦略「日本再興戦略」の改訂版で、
 企業の行動指針(コーポレートガバナンス・コード)の必要性が盛り込まれた。
 日本企業の世界的な競争力高めるため、恒常的に稼げる仕組み作りが必要、との問題意識が根底にある。
 あわせて、一過性に終わらない国内外の投資家による日本株投資促す狙いもある。

・ガバナンス相場の真贋 
 主な企業の「一歩進んだガバナンス体制」

 カプコン <9697> [終値2317円]社外取締役が機関投資家と面談。取締役会の議論の一部を公開。
 オムロン <6645> [終値5700円]面談した投資家をデータベース化。多様なタイプの投資家にアプローチ。
 アルプス電気 <6770> [終値3435円]投資家向け広報(IR)を社長直轄に。突っ込んだ内容のIRを可能に。
 オートバックスセブン <9982> [終値402円]投資家からの依頼があれば、社外取締役との面談の場提供。
 アンリツ <6754> [終値880円]資本コスト上回るROE目標掲げる。
 三菱電 <6503> [終値1684.0円]川崎重工 <7013> [終値599円]事業部門の収益性の指標として「ROIC」導入。

・ガバナンス相場の真贋 
 脱・持ち合い株 経営に緊張。
 持ち合い株売却で得たお金をどう生かすか。自社株買いや増配に使うのも一手も、
 ROE高め、持続的に成長するために、海外投資など事業拡大に充てる企業が相次ぎそう。

・ガバナンス相場の真贋 
 時価総額比「保ち合い株」の割合が高い主な銘柄

 京都銀 <8369> [終値1397円]時価総額5297億円 保有銘柄時価5760億円 保有銘柄時価/時価総額 108.7%
 戸田建 <1860> [終値521円]1681億円 1700億円 101.1% 
 滋賀銀 <8366> [終値659円]1749億円 1490億円 85.2%
 石油資源開発 <1662> [終値3910円]2234億円 1630億円 73.0%
 住友倉庫 <9303> [終値726円]1422億円 920億円 64.7%
 大林組 <1802> [終値862円]6219億円 3750億円 60.3%
 みずほFG <8411> [終値262.7円]6兆4695億円 3兆6740億円 56.8%
 りそなHD <8308> [終値690.1円]1兆6038億円 7810億円 48.7%
 京セラ <6971> [終値6584円]2兆4862億円 1兆530億円 42.4%
 三井住友FG <8316> [終値5523.0円]7兆8098億円 2兆8550億円 36.6%

・ガバナンス相場の真贋 
 ガバナンス優等生もつまづき。不祥事は投資家にも大きなリスク。

 LIXIL <5938> [終値2467円]巨額簿外債務問題に揺れる。
 東芝 <6502> [終値437.5円]不適切な会計問題発覚。

・ガバナンス相場の真贋 
 「ガバナンススコア」の高い主な日本企業

 コロプラ <3668> [終値2592円]今期予想ROE49.5% 前期の実績ROE68.3% 今期純利益の予想増益率34.4%
 富士重工 <7270> [終値4597.0円]30.4% 29.3% 28.7% 
 Fリテイリング <9983> [終値52770円]19.8% 12.5% 61.0%
 JT <2914> [終値4348.0円]16.7% 19.2% 6.6%
 ブリヂストン <5108> [終値4705.0円]15.7% 15.5% 6.1%

・黒田東彦日銀総裁「ここからのさらに円安に振れていくことはありそうにない」との10日の発言巡り、
 外国為替市場が揺れた。発言直後に円相場は対ドルで2円ほど上昇。 
 市場関係者の間では、発言の解釈について議論活発。
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が佳境迎える中、ドル高に苦しむ米企業に配慮との見方も一部にある。
 総裁は円安のペースを落としかっただけとの見方も多い。
 「円安に振れそうもない」というのは、実質実効レートの話である点にも注意。
 同レートは物価が上昇すれば下がりにくくなる。総裁自身も「一般論」と説明。
 18-19日には日銀金融政策決定会合開かれ、自らの発言について何を語るのか、関心高まる。

・米連邦準備理事会(FRB)は16〜17日、米連邦公開市場委員会(FOMC)開く。
 2015年中の利上げが視野に入る中、実質ゼロ金利政策の解除時期は、「9月」か「12月」か。
 米国債市場がやや不安定な動きを見せる中、実質ゼロ金利政策の解除時期巡る1つのヤマ場迎える。
 今週のFOMCで市場関係者が最も注目するのは、各FOMCメンバーが匿名で示す政策金利見通しの水準。
 3月のFOMCで17人のメンバーがつけた15年末時点の政策金利見通しの平均は0.625%。
 近年FRBによる政策金利の引き上げ幅は1回の会合につき0.25%で、
 仮に今回も政策金利見通しが変わらなければ、年内2回の利上げ必要に。そうなると9月から利上げが濃厚となる。

・米株価指数算出会社のMSCIは9日、同社算出する新興国株価指数への中国本土株の組み入れ見送ると発表。
 発表受け10日の上海株式市場では一時失望売りが出たが、上海総合指数は小幅安に踏みとどまった。
 相場を支えたのは、個人投資家の強気ムード。「バブル」の危うさ秘めながら、上海株は7年ぶりの高値圏に。
 上海総合指数は過去1年間で上昇率が約2.5倍。平均PER(株価収益率)は約25倍。

・木材の繊維(パルプ)を超微細に解きほぐした「セルロースナノファイバー(CNF)」の注目度が高まっている。
 鋼鉄の5分の1の軽さで強度は同等なのが特徴。自動車部品や電子材料などへの応用が期待される。
 
 日本製紙 <3863> [終値2083円]CNFを脱臭作用に優れた特殊シートに加工、今秋発売の大人用おむつに採用。
 従来品の数倍の消臭効果得られる。

 第一工薬 <4461> [終値379円]CNF増粘剤をサンプル生産。混ぜる油種問わずに乳化。

 王子HD <3861> [終値552円]三菱ケミカル <4188> [終値732.3円]傘下の三菱化学と共同で、
 CNF使う透明シートの製造に成功。 

 星光PMC <4963> [終値1067円]CNF樹脂に均一に分散させて強度高める技術開発に取り組む。

・発掘実力企業:ネット社会を支える(2)ワイヤレスゲート <9419> [終値3320円]
 通信料抑えつつ快適なインターネット環境求める顧客に
 公衆無線LAN「Wi-Fi」「WiMAX」「LTE」といった高速通信サービスを組み合わせて提供。
 会員は大手家電量販店の販売網を通じて獲得、20人弱の社員はサービス開発に特化することで高収益上げる。
 会員数14年末には50万人。月間解約率は5%以下、会員数増加がそのまま収益拡大に。
 15年12月期も大幅な増収増益で過去最高の更新見込む。
 注目はあらゆるモノがインターネットにつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」。

・会社がわかる 特集五洋建 <1893> [終値519円]
 インフラ事業が進むシンガポールや香港など海外事業がけん引して、業績拡大続く。
 地道に積み重ねた実績評価され、受注競争で日本のスーパーゼネコンや韓国、中国勢と渡り合う。
 国内土木、建築含めた3本柱でバランスよく稼ぐ理想形が見えつつある。

・出遅れていた小型株の値上がり鮮明に。日経ジャスダック平均株価は12日、約9年ぶりに高値に浮上。
 主力株の上値が重く、投資家が物色の矛先を新興企業向け株式市場に移しているのが背景。
 東証マザージ指数も同日、1年5ヵ月ぶりの高値まで上昇。
 新興市場での売買で利益得た個人が再び主力株に目を向ければ、投資が投資を呼ぶ好循環が生まれる。
 逆に新興市場で損失を出せば、主力株にも悪影響を与える。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は後半にかけて振れ幅の大きい展開となりそう。
 16〜17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、18〜19日に日銀の金融政策決定会合が予定されている。
 日経平均は2万0400円を挟んで値動きが荒くなる可能性がある。
 市場関係者の関心事の1つが米連邦準備理事会(FRB)による利上げ時期。
 市場で有力視されている9月利上げ示唆するような、イエレンFRB議長の発言が注目。
 週後半は日銀金融政策決定会合後の記者会見で黒田東彦総裁の為替動向に関する発言に注目集まる。
 財政問題に直面するギリシャの資金繰り問題も6月末に期限迫る。

・Wall Street:今週の米株式相場は米金融政策とギリシャ債務問題の先行きを意識した神経質な展開に。
 最大の注目は16〜17日に開かれる足元の米連邦公開市場委員会(FOMC)。
 足元の経済指標踏まえ、FOMC委員が経済成長や政策金利の見通しをどう改定するか注目される。
 膠着状態にあるギリシャへの金融支援巡る協議も相場を左右しそうだ。
 先週は、米景気の回復や株式相場の自律反発期待する買いと、
 米利上げやギリシャ問題の先行き懸念した売りが綱引きする展開で、売買が交錯した。

 今週のFOMCでは、米連邦準備理事会(FRB)は利上げには踏み切らないと予想する向きが多い。
 利上げ開始時期については市場関係者は、17日公表の声明文や米経済・政策金利の見通しに目を凝らすことになる。
 15日、5月の米鉱工業生産指数や、物流大手フェデックスが17日、3-5月期決算にも注目集まる。
 
 ギリシャ問題では、18日にルクセンブルクで開かれるユーロ圏財務相会合が
 「ギリシャと債務団が合意できる最後のチャンスかもしれない」(バークレイズ)との声も出ている。

・ランキング:年初来安値から高値までの上昇率が高い主要企業

 1位ディップ <2379> [終値11560円]年初来安値から高値までの上昇率 189.4%。求人広告増加がけん引。

 2位そーせいグループ <4565> [終値7620円]172.9% 3位象印マホービン <7965> [終値1798円]157.1%

 18位大塚商会 <4768> [終値5860円]76.8% マイナンバー制度が追い風。

 20位大阪チタニウム <5726> [終値3555円]76.2% 円安進行、採算改善に期待。 

 41位カルソニックカンセイ <7248> [終値950円]64.0 部品の受注拡大、増配も評価。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち10指数が上昇。

上昇1位ロシア週間騰落率3.0%(14年末比騰落率20.2%)2位上海2.9%(59.7%)3位アルゼンチン1.3%(32.5%)
 8位米国0.3%(0.4%)12位日本▲0.3%(16.9%)
下位25位インドネシア▲3.2%(▲5.6%)24位ノルウェー▲2.0%(9.9%)23位トルコ▲1.7%(▲6.1%)
 22位ギリシャ▲1.5%(▲6.3%)21位カナダ▲1.4%(0.7%)

 2014年末比騰落利率 1位上海59.7% 2位アルゼンチン32.5% 3位ロシア20.2% 4位日本16.9% 
 5位香港15.6% 6位フランス14.7% 
 最下位ギリシャ▲6.3% 24位トルコ▲6.1% 23位インドネシア▲5.6% 22位インド▲3.9%
 21位台湾▲0.1% 20位米国0.4%

・世界最大の機関投資家年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、次の一手は。
 株の比率再調整、急がず「柔軟に」。
 GPIFは着実にリスク資産を積み増す。
 14年3月末時点で15.88%だった国内株比率(年金積立金全体対比)は9月末に17.79%、12月末に19.80%まで増えた。
 時価ベースでも約27兆円保有する「ニッポン株式会社」の筆頭株主。GPIFの株買いは株高の一因。
 ただGPIFの国内株比率が中央値の25%上回ると、株売りに転じ相場を冷やす要因になるという懸念も市場にくすぶる。
 今回三谷隆博理事長がリバランスについて柔軟に運用する姿勢示し、
 GPIFの買い余力に対する期待感が再び盛り上がる可能性がある。

・長期円高トレンドが終わる時。

 1ドル=124円台半ばから、122円台半ばへ。2円もの円急進招いた黒田東彦日銀総裁発言は10日の国会で飛び出した。
 「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れていくということは普通に考えるとなかなかありそうにない」。
 歴史的な低レベルにある実質実効相場にはそもそも下げ余地があまりない。
 為替相場は長期的には購買力平価に沿って推移することが一般的。
 
 過去の長期的な円相場では、今年5/28に円が、124円40銭台まで下落したことで従来のパターンに変化。
 07年に付けた円の安値(124円10銭)から11年に付けた高値(75円30銭)への上昇幅より、
 その高値(75円30銭)から今回の124円40銭台までの下落幅の方が大きくなった。
 円高の波の後にそれより大きな円安の波が来たのは実に33年ぶりの出来事。
 テクニカル分析では「全値押し」、ドル基準で「全値戻し」になる。

 円急伸があった10日、外国為替証拠金(FX)取引手掛ける個人投資家(通称ミセス・ワタナベ)が
 一斉にドル買い・円売りに動く。その規模は週間ベースで年初来最大。
 黒田氏の発言によりいったん円が急伸したが、円安基調自体は不変。そう見る空気が、個人の間で広がった。
  (日経ヴェリタス)

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