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扉を開いて(原油底見えぬ不安)

2016年1月24日(日)晴れ

・原油底見えぬ不安 OPEC崩壊、世界市場かく乱。
 日経平均株価が3か月ぶりに1万7000円割り込んだ18日の翌日、運用会社アリアンツ・グローバル・インベスターズ、
 へロイド・ローヴェーダー最高投資責任者(CIO)「我々の投資姿勢は明確にリスク回避モードに入った。
 世界株へのスタンスを中立から弱気に変更した」と明らかに。
 「商品価格の下落は行き過ぎだ」と驚きも隠さず。

 世界の投資家をリスク回避一辺倒へと突き動かすのは、底の見えない原油安への不安。
 原油の国債指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート 期近物)は14年7月、1バレル100ドル台、
 1年半で4分の1。今月20日に一時1バレル26.19ドルと12年8か月ぶりの安値付けると、
 米ダウ工業30種平均は年初からの下落率が10%に、翌21日の日経平均は16%に達した。

 原油の急落は様々な経路で世界市場に波及。
 1つは商品や株式、債券などをコンピューターで自動売買するヘッジファンドのCTA(商品投資顧問)。
 もう一つは原油安で歳入減に苦しむ産油国の政府系ファンド(SWF)による株などの現物資産の売却。

 21日にWTIの価格下落は一服、22日には日本株も3日ぶりに大幅反発、原油安の構図が変わったわけではない。

・原油底見えぬ不安 産油国、危機的な財政難。
 オイルマネーの退潮は世界の株式市場を揺さぶる。
 一方、投機筋の売りも原油安に拍車かけ、「底の見えない不安」がリスク資産全体に連鎖している。
 原油安、実体経済にも打撃。ベネズエラ緊急事態、サウジアラビアも雇用悪化。
 「産油国は徴税の強化で財政均衡を図るべきだが、政治体制の存在意義に疑問符が付きかねない。
 体制崩壊へのいばらの道が待っている」との見方が広がっている。

・原油底見えぬ不安 投機マネー、乱高下に拍車。原油が金融商品化、他の資産と連動性高まる。
 資源商社幹部は下落する原油価格への違和感を隠さない。
 「今の原油安は明らかに受給以外の要因が加速させている」。
 米市場で取引されるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物価格で
 一時12年8か月ぶりの水準に下がった一方、現物取引では需給のゆるみが見られないため。
 オイルマネーの引き上げ懸念から株式市場は急落。流出したマネーは米国債などに流れ、米10年債利回りを押し下げた。
 原油の急落は資源開発企業の債券を組み込んだハイイールド債の指数も押し下げた。

・原油底見えぬ不安 年後半回復しても「50ドルの壁」。
 産油国増産なら30ドル台長期化か。中国経済の減速やっ米国の経済統計の悪化、
 新興国経済への警戒感などの弱材料背景に投機マネーに揺さぶられ急落した原油相場。
 今年どのような推移たどるか予測。

 「メーンシナリオ 40ドル台回復も50ドルの壁」市場関係者の見方は「30ドル割れの水準は持続不可能」との見方。
 産油国の財政が均衡せず、米シェールオイルも採算合わず。年後半には40ドル台乗せる展開も。
 ただ、50ドルを大きく超える水準に上昇し定着するのは難しい。
 この価格水準になると「採算が合う米シェール業者がかなり多い」と。供給増加誘発する可能性が高いため。

 「第2シナリオ 30ドル台で低迷」相場の回復力が弱く、40ドル台維持できない可能性も。
 きっかけは中国。国際エネルギー機関(IEA)1月の月報で中国景気の減速理由に今年の世界需要が弱含むとの見通し。
 今後中国の失速がより鮮明にあれば需要の伸びも一層鈍化、
 過去最高水準に達している世界の原油在庫の調整遅れる可能性高まる。
 米シェールの採算技術が一段と進化して採算ラインが下がった場合も、30ドル台の長期化が現実味。
 イランが順調に生産量増やしたり、財政危機に直面した産油国が苦肉の策として増産進めた場合にも確度高まる。
 メーンシナリオ実現は6割程度、第2シナリオは3割程度と低くなく。

 「第3シナリオ 地政学リスクで50ドル超の急反発」
 確率低いが、年内に50ドルを大きく超えるという第3のシナリオも。カギは供給不安につながるような地政学リスク。
 サウジとイランの緊張が高まる事態に発展した場合、大幅な相場上昇もあり得る。

・原油底見えぬ不安 
 米国とロシア、サウジアラビアの3か国が原油生産で激しいトップ争い繰り広げている。
 三つ巴の「大増産競争」が供給過剰招き、原油安に拍車かけてきた。3大産油国に市場シェア譲る兆しは見えない。

・原油底見えぬ不安 OPEC、主導権争いが影。調整役降りたサウジ、イランに対抗。
 「イランと米国が永遠の友好誓ったとの話にサウジはムカついている」。
 「力のある国だけでミニOPECを形成するような加盟国の組み換えも起きるかもしれない」との指摘も。

・原油底見えぬ不安 
 強硬策のサウジアラビア、カギを握るのは副皇太子。
 2015年1月、サウジアラビアでは新国王即位、新統治体制スタート。
 高齢サルマン国王の下で力振るうのは、息子のムハンマド副皇太子。
 異例の若さで石油政策や軍事の要職に就き、石油輸出機構(OPEC)の盟主サウジの立て直しのカギ握る。
 「強硬策に走りすぎる」との批判的な見方も。
 米欧や周辺諸国だけでなく世界の市場も、危うい副皇太子の一挙一動見守る。

・原油底見えぬ不安 
 原油の「金融商品化」が進み、個人の投資手段も増えてきた。
 東証ではWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格への
 連動型E上場投信(ETF)や上場投資証券(ETN)5本上場。
 
 WTI原油価格連動ETF <1671> [終値1902円]時価総額446億円 連動する指標 WTI原油(期近物の円換算値)
 ETFS WTI原油ETF <1690> [終値781円]756億円 WTI原油
 NOMURA原油インデックスETF <1699> [終値300円]365億円 WTI原油
 日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN <2038> [終値670円]406億円 ドバイ原油
 日経・TOCOM原油ベアETN <2039> [終値22700円]36億円 ドバイ原油

 少ない元手で大きなリターン狙うには原油先物売買する方法。
 楽天証券では、「先物取引口座の稼働率が上昇傾向」
 東京商品取引所のドバイ原油先物を取引するのに最低限必要な証拠金は22日時点で16万円。元手の約7倍の取引可能。

・年初来の日経平均株価は21日まで3000円以上下げ、22日は900円超も上昇。
 日本時間の21日夜に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が追加緩和示唆したことが反転の契機になった。
 今週、日米が金融政策で協調姿勢を取り、緩和観測が高まるのを見越し、
 日本株の下げを主導してきた短期筋が利益確定のために株価指数先物の買い戻しに動いたよう。
 年明けの日本株の急激な下げは
 「オイルマネーの換金売りなどに乗じてヘッジファンドが先物で売りを仕掛けたのが主因」と。
 日経平均の将来の予想変動率示す「日経平均ボラティリティー・インデックス」は21〜22日に2日連続で40突破。
 昨年8月の「中国ショック」以来の高水準。「1日で900円上がるなら、逆もまたしかり」。
 ボラティリティーの高い相場はまだ続く。

・世界の金融市場にとって今週は日米の中央銀行の動きが最大の焦点。
 米連邦準備理事会(FRB)は26〜27日に米連邦公開市場委員会(FOMC)開く。
 会合後のの声明文で、市場混乱について構造的な要因との認識示すかどうか。
 日銀 <8301> [終値39000円]は28〜29日に金融政策決定会合開く。「追加緩和カード」は温存に。
 実際に追加緩和実施が現実味帯びるのは、1万6000円割り込み、1ドル115円台に突入したとき。 
 
・発掘実力企業:ニッチで稼ぐ(3)GMOペパボ <3633> [終値4205円]
 手工芸品の個人売買仲介するインターネットサイト「minne(ミンネ)」に注力。
 個人が手作りしたアクセサリーや雑貨など出品し、販売額の10%を手数料として同社に入る仕組み。
 20〜40歳代の女性中心に利用広がり、売買規模示す流通額は2015年に年間で44億円超え、14年比4.2倍に増加。
 本業は個人向けレンタルサーバー事業。安定収入も爆発的な伸び期待しにくい。
 ミンネは現在収益貢献よりも顧客基盤作り優先。15年12月期売上高は前期比21%増の55億円、営業損益は8億円の赤字。
 ミンネのテレビCMやウェブ広告を積極的に投入。
 19年12月期までに会社全体の売上高100億円、営業利益20応援規模に拡大させたいと意気込む。

・会社がわかる 特集三和HD <5929> [終値825円]
 国内では商業施設向けの重量シャッター武器に、買収した北米子会社けん引役に海外事業展開で一歩抜きんでる。
 2016年3月期には連結純利益で140億円と過去最高となる見込み。
 日米欧アでの4強体制の確立目指す。
 相場冷え込み下落、事業環境は良好、上振れ期待。

・米大手金融機関の2015年10-12月期決算が出そろった。
 自動車やクレジットカードなど個人向けのローンが好調で最大手のJPモルガン・チェースなど3行が増益。
 一方、不安定さ増す市場環境や利ザヤの縮小による悪影響も現れ始めている。
 各行は業務や人員のリストラ一段と進め、利益確保しようとしている。

・頼みの個人も買い余力に陰りが見えてきた。
 1月第2週(12〜15日)の投資部門別株式売買動向では、海外勢が2週連続で売り越し、
 個人が2週連続で買い越し、個人が買い支えた恰好。
 だが中には保有銘柄の含み損拡大し、安値での売りを余儀なくされている投資家も出始めている。
 昨年売買が盛り上がったゲーム株や新規株式公開(IPO)などの下落が目立ち、株主優待銘柄までも売られ始めた。
 松井証券 <8628> [終値1011円]顧客対象に集計、
 信用買い建て含み損の度合い示す信用評価損益率は21日時点でマイナス21.1%と、アベノミクス開始以降で最低に。
 一般に評価損益率がマイナス15%超えると、信用取引の際に出した担保の積み増し義務(追証)迫られやすくなる。
 新興市場、東証マザーズ指数は昨年末比12.8%安と日経平均株価の下落率(10.9%)上回っている。
 バイオ、ゲーム、IPO銘柄の下げ幅は大きい。
 市場関係者が懸念するのは通常なら売り対象になりにくい株主優待銘柄なども大きく下げた点。
 投資家心理が一段と悪化しかねない。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万6700〜1万7700円程度を中心に、荒い値動きとも。
 週半ば以降相次ぎ明らかになる日米の金融政策のメッセージ次第で、かなり乱高下する可能性も。
 日本株は週明けは上げて始まりそう。
 26〜27日に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)を、28〜29日に日銀が金融政策決定会合開く。
 米利上げに強気な表現や、日銀が政策を現状維持したりすれば、日米の株式市場で一定の失望売りが出る可能性はある。
 今週後半には注目企業の決算発表相次ぐ。
 ファナック <6954> [終値18775円]やコマツ <6301> [終値1742.0円]の業績は
 「中国の景気減速の影響どれほど受けたのかを確認するうえでも関心高い」。
 29日にはホンダ <7267> [終値3351.0円]ソニー <6758> [終値258.5円]発表予定。
 米アップルの15年10-12月期決算発表は26日。 

・Wall Street:今週の米市場は重要イベント相次ぐ。
 26〜27日は米連邦公開市場委員会(FOMCに続き、29日に2015年10-12月期米実質国内総生産(GDP)速報値公表。
 先週のダウ工業株30種平均は週間で4週ぶりに上昇。落ち着きを取り戻した状態で2つの重要イベント迎える。
 15年10-12月期GDPは、市場予想では年率換算0.8%前後の増加。JPモルガンは0.1%増と市場予測より低い見込み。
 もしマイナス圏に沈めば米景気後退も意識され、影響大。
 26日は米アップルの四半期決算も予定。

・ミョウジョウ・アセット・マネージメント社長、菊池真氏
 向こう3か月間の日経平均株価は1万4500〜1万8000円で推移。
 日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性高く、日本株はそれを追い風に1万8000円程度まで上昇。
 世界景気は後退局面に突入したと考えている。そのため株価の上昇は続かない。
 17年3月期の国内企業業績は通期で2割以上の減益、市場が織り込み始めると日経平均は1万4500円までもあるとみる。

・ランキング:波乱相場の下で昨年来高値を付けた銘柄 テーマ株・デフレ銘柄が目を引く

 1位さくらインター <3778> [終値1344円]昨年末比騰落率73.42% フィンテック関連の新技術で実証実験
  
 2位ハンズマン <7636> [終値3215円]20.10% 3位コア <2359> [終値1415円]15.04%

 9位ハイディ日高 <7611> [終値3625円]4.47% 既存店好調、最高益見込む。

 14位三菱総研 <3636> [終値3515円]1.30% 国内最大手エイチアール湾(東京・港)と資本業務提携で事業強化。 

 15位そーせいグループ <4565> [終値10020円]0.70% 海外大手との提携で成長期待。

 33位近鉄GHD <9041> [終値468円]▲5.07% 訪日客増、ホテル高稼働。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち14指数が上昇。

上昇1位ロシア週間騰落率5.9%(15年末比騰落率▲8.7%)2位ノルウェー3.6%(▲9.3%)3位アルゼンチン3.1%(▲11.5%)

 4位フランス3.0%(▲6.5%)12位米国0.7%(▲7.6%)
下位25位ギリシャ▲4.3%(▲15.4%)24位ベトナム▲3.8%(▲9.8%)23位フィリピン▲3.7%(▲10.7%)
 22位香港▲2.3%(▲12.9%)21位インドネシア▲1.5%(▲3.0%)18位日本▲1.1%(▲10.9%)

2014年末比騰落利率 1位タイ▲1.6% 2位トルコ▲2.1% 3位インドネシア▲3.0% 4位韓国▲4.2% 
 5位カナダ▲4.8% 6位英国▲5.5%
 
 最下位上海▲17.6% 24位ギリシャ▲15.4% 23位香港▲12.9% 22位アルゼンチン▲11.5% 
 21位日本▲10.9% 20位フィリピン▲10.7%

(日経ヴェリタス)

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