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扉を開いて(黒田日銀、見切る市場)

2016年5月1日(日)はれ

・黒田日銀、見切る市場。円高・株安の激流は止まるか。
 「日銀は物価目標を達成できず『降伏』するリスクが高まった」。
 仏大手運用会社アクサ・インベストメント・マネージャーズ、
 4/29付顧客向けリポートで円売り持ち高解消し、日本株も減らすと伝える。

 黒田東彦総裁は28日金融政策決定会合後の記者会見で現状維持表明。
 追加緩和に期待かけていた市場が円高・株安への反乱の火の手を上げた。
 4/29の外国為替市場で一時、1ドル106円台と1年半ぶりの円高水準に急騰。
 連休で国内勢の取引が薄いなか、「緩和は方策も効果も限界」と見透かす海外勢の動きに押され
 「円相場105円、日経平均株価は1万5000円」とみられる政府・日銀の防衛線に近づく。
 28日発表の1-3月期米実質国内総生産(GDP)の成長率は前期比大きく下げ、
 27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)も米経済減速確認も追い打ちかけた。

 動けぬ黒田日銀を、市場が見切ろうとしている。

・黒田日銀、見切る市場。日米、立ちすくむ中銀。
 日米の中央銀行が金融政策の維持決めたことで、円高・株安が加速。
 日銀は追加緩和の、FRBは利上げカードを6月の次回会合まで温存、ともに動けない状態で、
 次の一手は限られている。

 日銀:神通力消え内外で包囲網。財政と金融政策の融合に活路探る。
 
 FRB:6月利上げ狭き道に。割れる市場の見方、国内景気は急減速。

・黒田日銀、見切る市場。1ドル105円巡る攻防。市場の関心は財政に。大型補正や増税見送りなら反転へ。
 企業業績がどの水準で踏みとどまれるかも焦点。1万6000円台は業績に比べると割安感が出やすい。
 中国景気の安定も。
 アベノミクス相場での円相場との相関からは、1ドル120円ならば、日経平均は1万9000円前後と。
 日銀が市場の期待を取り戻せるかもカギ。

・フィデリティ投信、2月下旬に実施した調査、
 30歳代で老後に備えた運用や貯蓄している人が62%と1年前比5ポイント上昇。
 マイナス金利で変わる常識。「期待リターンがマイナスになる可能性がある資産に、新たな資金投じにくく」。

・政府5月中旬、雇用は保育・介護などの改革案盛り込んだ「ニッポン一億総活躍プラン」の骨格発表。
 市場でも投資テーマとして注目集める。
 ただ目標達成に向けた具体策欠けば、アベノミクスに対する市場の期待低下に拍車をかけかねない。
 「一億総活躍」の主眼は、少子・高齢化による労働力人口の減少で、日本経済が成長力失うのを食い止めること。
 盛り込まれる施策は、1、高齢者の継続雇用や定年延長策 2.待機児童問題の解消 
 3.長時間労働の是正 4.非正規雇用の待遇改善。

 株式市場ではアベノミクスへの期待感を手がかりに日本株全体を買う局面は終わりつつある。
 投資家の関心を再び日本に向けるには目標の実現に向け、
 財源確保や税制・社会保障改革といった利害が対立する分野で構造的な変化が必要だ。
 具体的な施策が出てくるまでは、
 保育所運営、人材派遣、介護サービスといった個別のテーマに沿った銘柄選びに留まる可能性が高い。

・日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)は2日、
 2016年4月国内新車販売台数発表。
 自動車業界は16年度に総販売台数500万台回復期待も、
 4月発覚三菱自 <7211> [終値449円]の燃費不正問題や
 熊本地震によるサプライチェーン(部品調達網)混乱という逆風。
 4月の販売台数が今後を占うことになる。
 三菱自と日産 <7201> [終値1000.0円]の軽販売がマイナスになれば、460万台程度まで落ち込む可能性も。
 500万台回復には早くも黄信号灯る。

・サウジアラビアが世界最大の石油会社である国営サウジアラコムを上場する方針正式に表明。
 企業価値は2兆ドル(約220兆円)超見込み、米アップルの時価総額の3倍という世界最大の上場企業目指す。
 アラコムの財務情報開示は、政府との間の資金の出入りもガラス張りにすることを意味する。
 情報開示どこまで。
 アラコムのIPOについて、現時点ではアラコムの資産や負債、コスト構造もわからず、正確な評価は不可能。

・三菱重工 <7011> [終値397.5円]「4重苦」の苦難。
 豪華客船の度重なる建造トラブルで508億円の追加損失計上。
 米原発の損害補償、小型旅客機「MRJ」の開発遅延の三大リスク。
 持ち分法適用会社の三菱自 <7211> [終値449円]の燃費不正発覚、こちらでも保有株の減損リスクくすぶる。
 三菱自への追加出資の有無も懸念材料。 
 
・電子部品メーカーの好業績が踊り場。大手6社の2017年3月期連結純利益は合計で前期比13%減。
 減益は4期ぶり。米アップルの減産響く。次の注目点はポストスマホのビジネスモデル。
 脱「アップル依存」、収益・株価を左右。

 村田製作所 <6981> [終値14795円]売上高の約6割を通信業界向け。
 同事業の増収率は前期29%から2%に下振れ、純利益も前期比13%減の1780億円にとどまる。

 アルプス電気 <6770> [終値1990円]27日発表17年3月期見通し、純利益は18%減、320億円にとどまるものの、
 スマホ向けが底堅く、今後車載向けを伸ばす方針示し、28日10%上昇。配当も年30円と5円増配。

 日本電産 <6594> [終値8185円]もスマホ以外が伸びる一例。
 17年3月期純利益は7%増の980億円と4期連続最高益見込む。
 永守重信会長兼社長は「5年、10年先の需要が見通せるビジネスを基盤に据える」と語る。
 翌日の説明会では新興国の低価格電気自動車向け中核部品初受注公表。車載向け強化する方針改めて強調。

 日東電工 <6988> [終値6036円]医薬分野拡大。16年3月期医薬関連含めセグメントの営業利益は4.6倍。

 TDK <6762> [終値6580円]スマホなどに使う高周波部品で、米クアルコムと合弁会社設立する計画。
 同事業を実質売却、1300億円の利益が17年1-3月期に発生する公算。
 想定道理なら今期営業利益は2000億円超、19年ぶりに最高益更新へ。事業売却で得た資金の活用先に注目。

・トヨタ <7203> [終値5654円]系主要メーカー6社、2017年3月期連結業績予想発表。
 全社減収、デンソー <6902> [終値4251円]や豊田自動織機 <6201> [終値4865円]など5社が営業減益。
 トヨタにも逆風、17年3月期為替前提がグループ各社の多くと同様に1ドル105円とすると、
 単純計算で営業利益を6000億円程度押し下げる。
 5/11に発表する今期予想も、逆風に立ち向かう覚悟と決意示すものになりそう。

・主要企業の今期想定為替レート

 アサヒグループ <2502> [終値3509.0円]
 想定為替レート120円 為替感応度(1ドル1円の円高で営業利益の増減)1億円増。

 キッコーマン <2801> [終値3535円]110円 1.6億円減 コマツ <6301> [終値1906.5円]105円 25億円減
 
 日本電産 <6594> [終値8185円]110円 11億円減 パナソニック <6752> [終値994.4円]115円 10億円減

 ソニー <6758> [終値2778.0円]113円 70億円増 デンソー <6902> [終値4251円]110円 20億円減 
 
 ファナック <6954> [終値16505円]105円 感応度未公表 マツダ <7261> [終値4865円]110円 14億円減

 キヤノン <7751> [終値3112.0円]111.05円 39億円減 日本航空 <9201> [終値3953円]123円 10億円増

 東京ガス <9531> [終値485.1円]115円 1.4億円増

・東芝 <6502> [終値235.0円]米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の事業価値見直し、
 2016年3月期に2600億円の減損損失計上。「止血策」にメドがつく形。
 今後、半導体、原発などエネルギー、昇降機など社会インフラの3事業を柱とし、
 19年3月期に2700億円の営業利益目指す。

・会社がわかる 特集野村不動産HD <3231> [終値2024円]少子高齢化は好機、利便性アピール。
 老後を見据えた住民が利便性求めて駅前に押し寄せ、新たな住宅需要生まれる。
 多くの駅前で高度経済成長期に建てられ老朽化したビルが問題に。再開発機運に乗れるか。
 不動産会社の理論上の株価は、一般的には保有する賃貸不動産の含み益を純資産に加えて求める。
 野村不HDが28日開示した賃貸不動産の含み益は1100億円。1年前比400億円も増加。
 含み益に純資産加え、1株当たりに直すと野村不HDの理論上株価は2700円。
 アナリスト公表の目標株価も平均すると2900円弱と、同様水準。
 割安にとどまる理由としては「マンション市況の先行きの不透明感が強い」ことを挙げる。

・日本株が再び調整色強めている。
 市場では期待の高まっていた日銀による追加金融緩和が見送られ、
 28日の日経平均株価は前日比624円と急落、週間でも900円強(5%)下落。
 日本企業の業績への懸念が背景。一段の円高が企業業績におよぼす影響。
 企業は期中の下方修正を嫌い、保守的な業績予想出す傾向がある。
 110円超える円高を見て実勢より円高を見込んだ減益予想を企業が出せば、
 株安につながり、それがさらなる円高を招く。市場は悪循環警戒。

・米国指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は一時1バレル46ドル台に乗せ、
 5カ月半ぶりの高値つけた。
 今年後半に需給が均衡するとの見方が相場を押し上げている。
 27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ見送りも買い安心感につながる。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は荒い値動きか。
 特に週末の6日は連休中の海外市場の動きを一気に反映するため値幅が大きくなりやすい。
 日本の連休の間に米国では経済指標の発表が相次ぎ、内容次第では米利上げ観測が強まる可能性がある。
 本来なら円安・ドル高要因だが、
 急ピッチな利上げ観測が米株安招く恐れもあり、日本株への波及を警戒する声もある。
 日経平均は前週末に、624円安と急落、25日移動平均(1万6629円)や13週移動平均(1万6513円)に接近。
 こうしたチャート上の節目を割り込んだ場合、1万600円割れもの声も。
 国内では3月期企業の決算発表が本格化。好材料が出た銘柄は相場全体の地合いに関係なく買われる例が目立つ。

・Wall Street:今週の米株式相場は上値の重い展開になろそう。
 2016年1-3月期の企業決算で減益が相次ぐ中、
 予想PER(株価収益率)などからみた米国株の割高感が高まっており、
 目先は利益確定の売りが出やすくなっている。
 今週の注目は、週末の5/6に発表される予定の4月の雇用統計。
 雇用統計が市場の事前予想上回る好調な結果となれば、再び早期の利上げが意識される可能性がある。
 その場合、短期的には株式市場では売りが出やすくなる展開が予想。
 5日にはセントルイス連銀のブラード氏、ダラス連銀のカプラン氏など4連銀総裁登壇、金融政策議論へ。
 経済指標では2日に4月の米サプライマネジメント(ISM)製造業景況感指数、4日に3月の米貿易収支発表。

・ランキング:売買代金を増やした主な企業ランキング
 「不動産」「ノンバンク」「熊本地震で影響受けた銘柄」が目立つ。

 1位三菱自 <7211> [終値449円]平均売買代金の増加率 748.1% 株価騰落率▲59.4% 燃費不正受け売り集中

 2位小野薬品 <4528> [終値4978円]365.3% 91.9% がん免疫薬販売増に期待。

 3位日本瓦斯 <8174> [終値2575円]329.2% ▲13.9% 

 4位USEN <4842> [終値377円]302.4% 7.1% いちよし経済研究所投資判断最上位の「A」が買い材料。

 8位住友不動産販売 <8870> [終値2221円]166.9% ▲32.1% タワーマンション節税監視強化懸念。 

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち5指数が上昇。
 前週(4/25〜29)世界の株式市場では日本と欧州の株価下落目立つ。

上位1位ロシア週間騰落率2.11% 2位ブラジル1.90% 3位ベトナム0.99% 4位メキシコ0.38% 5位豪州0.32%
下位25位日本▲5.16% 24位シンガポール▲3.47% 23位ドイツ▲3.22% 22位フランス▲3.08% 14位米国▲1.28%

・生命保険会社が相対的に運用利回りの高い外国債券への投資をそろって拡大する。
 日銀がマイナス金利導入し、利回りが歴史的な低水準になっている日本国債による運用には慎重。
 主要10社、ヘッジ付き外債積み増し。今年度計画、為替変動を警戒。

(日経ヴェリタス)

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