
半導体 未知のステージ
- 2017年06月11日
- 日経ヴェリタス
2017年6月11日(日)晴れ
・半導体 未知のステージ 長期上昇局面、期待と死角。
半導体株が空前のブームに沸く。米フィラデルフェア半導体指数(SOX)は1100近辺で推移。
2000年のIT(情報技術)バブル期以来となる高値圏で推移する。
トランプ相場を支えた金融株にかわって、半導体株が世界の株式市場を押し上げるけん引役となっている。
・半導体 未知のステージ 長期上昇局面、期待と死角。
5月には台湾の半導体大手、台湾積体電路製造(TSMC)の時価総額が、トヨタ <7203> [終値5838円]を初めて抜く。
技術力を武器にインテルやサムスン電子と並ぶ「半導体ビッグ3」の1社に浮上した。
日本では東京エレクトロン <8035> [終値18905円]が5月末、2020年3月期までの中期経営計画を大幅に上方修正。
ブームの背景には、3~4年周期のシリコンサイクルが長期上昇局面に入ったとの声も。
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」やビッグデータの時代に入り、データ量は爆発的に増えるとも。
自動運転への期待も加わる。
・半導体 未知のステージ 長期上昇局面、期待と死角。
データセンター向けのメモリー需要中心に足元で半導体の実需は堅調に伸びている。
ただ、市場は実需を上回る過度な期待を抱きがちだ。
例えばエヌビディアの予想PER(株価収益率)は約50倍と市場平均をはるかに上回る。
「成長余力はあるが買われ過ぎ」との指摘は多く、9日には6%超急落した。
2000年のITバブルが象徴するように、半導体株ブームは膨張と破裂を繰り返してきた。
中国では半導体工場への巨額投資が続き、「かつての液晶と同じように半導体も供給過剰になるリスクも」。
・日本株、奇妙な適温相場。
先週は8日に欧州中央銀行(ECB)理事会、コミー前米連邦捜査局(FBI)長官の米議会証言、
英総選挙という三大イベントがあったにもかかわらず、市場の反応は小幅で日経平均株価は2万円台を保ち、欧米株も上昇した。
市場の関心は13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に集まっている。
9日の日経平均終値は前日比104円(0.52%)高の2万0013円。
上昇が目立ったのはソフトバンクグループ <9984> [終値9476円]。
ロボット企業2社の買収と保有する中国電子商取引のアリババ集団の株高が好感された。
先進国では好景気と低インフレが共存する株にとって居心地の良い環境があると。
世界の相場が米景気頼みの様相を強めるほど「米経済指標の悪化をきっかけに相場が崩れる」懸念は増す。
13~14日のFOMCでイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は米景気の現状をどう評価するか。
相場の持続力を占う関門になりそうだ。
・半導体 未知のステージ 実需と将来期待ブームを後押し。
空前の半導体株ブームを支える根拠は2つ。
1つは足元で拡大する半導体需要で、もう一つは将来の需要拡大への期待。
半導体の用途は、パソコンやサーバー向けが約3割、スマートフォンや携帯電話向けが同3割と、この2用途で約6割占める。
2025年に世界のデータ生成量は16年の9倍の163セタバイドに膨らむ。
ビッグデータ化に伴い「大量のデータを処理する性能の高い半導体が必要になる」と。
スマホやパソコン向けは今後伸び悩み、価格が低下する可能性がある。
そこで期待されるのが、自動車や産業機械向けの半導体需要の拡大。
注目は自動車向けの半導体。自動車にはエンジンやエアコン制御などに幅広い半導体が使われている。
高級車だと1台あたり約200個の半導体が搭載されている。そこに自動運転が加わる。
米インテルは自動運転に関連した市場が、2030年に700億ドル規模に成長すると試算。
先行するのは米半導体大手エヌビディア。同社はゲーム用画像処理半導体(GPU)をもとにした車載人工知能(AI)開発。
トヨタ <7203> [終値5838円]や独アウディなどと実用化目指し、共同研究進めている。
産業機械でもIoTやAIへの対応が進む。
ファナック <6954> [終値22055円]は80社、250台もの工作機械を
同社のシステムで連結し、稼働状況など見える化する取り組み。
自ら学び、作業効率を改善する機会の実用化に強い意欲示した。
省エネもテーマ。欧州では地球温暖化対策などに効果があるとして、IoTの普及を支援する枠組みがある。
・半導体 未知のステージ メモリー、価格上昇続く?
半導体市場は、これまで好不況の波を繰り返してきた。
2002~07年はIT(情報技術)バブル崩壊の反動で半導体市場は拡大したが、
08~09年にかけてはリーマン・ショックの影響受けマイナス成長になった。
そして10年以降は市場が2年拡大すると、1年縮小するパターンが続いている。
メモリーの価格変動は激しく、市場規模が1年で10%以上拡大したり、縮小したりすることは珍しくない。
17年のメモリー市場は、品不足による単価上昇で約3割拡大する見通し。
メモリーにはパソコンやスマホなどの主記憶に使うNAND型フラッシュメモリーと、一時記憶に使うDRAMがある。
6月時点の大口価格はNAND(64ギガビット)で1個3.8ドル前後、DRAM(4ギガビット)は1個3ドル前後。
いずれも前年同月比6割強、値上がりしている。
過去10年で、メモリー価格の「山」は09年後半~10年前半と13年後半~14年前半の2回。
一方で価格の「谷」は08年後半~09年前半、12年、15年後半~16年前半と3回ある。
今後のメモリー価格はどうなるのか。
DRAMは今春からスポット(随時調達)価格が下落に転じたが、一時的な調整との見方が多い。
大口価格は「7~9月に横ばいか上昇となる見通し」。
NANDはスポット価格の上昇が続き、大口価格でも上昇も見込む声が大勢。
・半導体 未知のステージ サプライチェーン全体に追い風。日の丸勢、部材や装置恩恵。
半導体メーカー:ルネサスエレク <6723> [終値1037円]車載半導体に強み。世界シェア3位。16年末から6/9終値比較12%
東芝 <6502> [終値300.8円]東芝メモリを売却交渉中 6%
ソニー <6758> [終値4116円]CMOSセンサーに注力 26%
ローム <6963> [終値8780円]LSIや電圧制御のパワー半導体に強み 30%
インテル(米)PC用プロセッサーで業界けん引 ▲2%
サムスン電子(韓国)DRAM世界首位 フラッシュメモリーも。28%
TSMC(台湾)半導体製造受託メーカー 17%
エヌビディア(米)画像処理半導体で強み、自動運転で注目。 40%
素材メーカー:信越化 <4063> [終値10065円]シリコンウエハーで世界首位 11%
SUMCO <3436> [終値1871円]シリコンウエハー2位。設備投資は慎重。 24%
トクヤマ <4043> [終値512円]売上高の約1割が半導体向けシリコン。15%
半導体製造装置:東エレク <8035> [終値16905円]エッチングや洗浄装置に強み。53%
スクリーン <7735> [終値8450円]ウエハー洗浄装置で世界大手。17%
日立ハイテク <8036> [終値4495円]回路測定装置伸びる。▲6%
デイスコ <6146> [終値20110円]半導体切断装置で世界シェア8割 42%
東京精密 <7729> [終値4160円]半導体メモリーの検査・切断装置伸びる。20%
関連装置:アドバンテスト <6857> [終値2159円]半導体テスター大手。DRAM向け強み。10%
ニコン <7731> [終値1773円]半導体露光装置は足元苦戦。事業縮小。▲2%
キヤノン <7751> [終値3882円]半導体露光装置のシェアは1割未満 18%
半導体商社:トーメンデバイス <2737> [終値2216円]PCやサーバー向けSSD伸びる。8%
菱洋エレク <8068> [終値1770円]エヌビディアと次販売代理店契約。20%
・半導体 未知のステージ 中国勢参入、供給過剰リスク
半導体はこれまで、日米韓のメーカー中心とする市場だった。そこに中国企業が参入しようとしている。
主戦場はサムスン電子と、東芝 <6502> [終値300.8円]・ウエスタンデジタル(WD)連合が
過半のシェア握っているNAND型フラッシュメモリー。
中国勢の巨額投資は、半導体市場の波乱につながりかねないリスク要因となる。
中国勢の巨額投資は東エレク <8035> [終値16905円]など日本の半導体製造装置にとっては受注増加につながる。
一方で液晶や太陽光発電パネルのように、生産能力が増加することで
「19~20年にかけて半導体が供給過剰に陥るリスクが出てきた」との指摘も。
中国勢が本格的に生産に乗り出すと、競争環境が大きく変わる可能性がある。
空前のブームが続く半導体業界だが、ひとたび下落局面に転じると需給が一気に緩む可能性もあることにも注意が必要。
大きな影響が受けやすいのが半導体製造装置。
日本製半導体製造装置受注額は07年2月に1955億円と最高記録したが、
リーマンショックを経た2年後の09年2月には136億円と93%減少したことは記憶に新しく。
「山高ければ、谷深し」との格言もある。忍び寄るリスクの兆しには敏感でありたい。
・8日に投開票された総選挙は、メイ首相率いる与党・保守党が過半数割れに追い込まれる番狂わせに。
メイ氏自らの失点と労働党のコービン党首の予想外の踏ん張りが衝撃的な結果につながった。
欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)の交渉本格化を控え、強い指導力を求めたメイ氏に賭けは裏目に出た。
・米連邦準備理事会(FRB)は13~14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)開く。
市場はすでに利上げ織り込んでおり、年後半の金融引き締め策の判断材料となる米景気をFRBがどう評価するかが注目点。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabucoro3.toypark.in/index.html
・発掘実力企業:自己資本利益率(ROE)改善(2)フルキャストHD <4848> [終値1348円]
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabushiki.toypark.in/index.html
・富士通 <6702> [終値798.7円]示した強気の経営計画が株式市場で話題に。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabucoro3.toypark.in/index.html
・注目企業ここが知りたい OKI <6703> [終値1674円]中国のATM需要で立ち直ったが、再び苦境に。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabushiki.toypark.in/index.html
・英選挙で与党保守党の過半数割れが伝わった9日、日経平均株価は2万円を保つ底堅さを見せた。
下支え役の一つが日本株を取り巻く良好な需給環境。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabucoro3.toypark.in/index.html
・ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は7日、
市場予想に反する米国の原油在庫増引き金に急落。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabushiki.toypark.in/index.html
・OUT Look:今週(12~16日)の株式相場、日経平均株価は荒い値動きか。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/koroasamembers/
・Wall Street:今週の米株式相場は投資家心理がやや改善し、底堅く推移しそう。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://kabucoro3.toypark.in/index.html
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち12指数が上昇。
中国やベトナム、フィリピンなどの上昇が目立った。投資マネがジワリとアジア圏に集まっている。
上位1位中国週間騰落率1.70% 2位ベトナム1.48% 3位ポーランド1.19% 4位フィリピン1.04% 5位イタリア0.93% 11位米国0.31%
下位25位スイス▲2.19% 24位豪州▲1.81% 23位南アフリカ▲1.39% 22位インドネシア▲1.17% 20位日本▲0.81%
日経ヴェリタスを含め、日経新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞
そして産経新聞を元証券マンの目でいいとこ取り!?
ディトレード・スイングトレードの種が満載。市場の噂も好評です。
忙しい朝の時間と手間の短縮と費用の縮小に『コロ朝プレミアム』
こちらをクリック http://kabucoro3.toypark.in/index.html
<<(株)アスリーム免責事項>>
● 本資料は、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的としており、
特定の銘柄について投資勧誘を目的にしたものではありません。
本資料言及した銘柄や投資戦略は、投資に関するご経験や知識、
財産の状況および投資目的が異なるすべてのお客様に、一律に適合するとは限りません。
———————————————————————–
株式会社アスリーム
INTERNET MEDIA OF INVESTMENT NEWS
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-14-5
URL : http://koronoasa.com/
【問い合わせ】http://www.koronoasa.com/blog/?page_id=30
———————————————————————–
記事の続きはコロ朝プレミアムで!