
米最長景気の死角
- 2019年11月24日
- 日経ヴェリタス
2019年11月24日(日)小雨
・米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか
「米経済はスターエコノミーだ」。米連邦準備理事会(FRBパウエル議長は14日、下院予算委員会でこう発言し、米経済に強い自信見せた。
米国の景気拡大は史上最長の11年目に入り、失業率は3.6%と約50年ぶりの低水準を維持。
「2020年の米国の実質国内総生産(GDP)成長率は1.8%」。楽天証券が20日まとめたエコノミスト予想の平均値。
19年予想(2.3%)は下回るものの、20年に底打ちし、21年は1.9%と再び拡大基調に戻るとみる。
「足元の米個人消費は堅調。設備投資が再開し、企業業績も改善した。来年の米経済は軟着陸する」との見立てだ。
・米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか
世界経済を揺るがしてきた米中摩擦も「休戦」期待が高まる。
22日には中国の習近平国家主席がキッシンジャー元国務長官と会談。
米中関係を「正しい方向に発展させよう」と話したと報じられ、協議進展をうかがわせた。
米中摩擦が一服すれば、米景気の再加速に弾みがつく。
そんな市場の思惑が米株高を後押しする。
米株式市場ではダウ工業株30種平均が18日、2万8036ドルと過去最高値を更新した。
シティグループ証券は20年末にS&P500種株価指数が足元より6%程度高い3300をつけると予想。
・米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか
つい数か月前まで、市場には米景気後退(リセッション)の暗雲が垂れ込めていた。
8月、米国債の長短金利が逆転する「逆イールド」が発生。
追い打ちをかけるように米サプライマネジメント(ISM)製造業景況感指数も好不況の境目となる50を下回り、9月に10年ぶりの低水準となった。
10月に逆イールドは解消。10月のISM製造業景況感指数も改善すると「景気後退論」はすっかり鳴りを潜めた。
・米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか
来年11月の米大統領選挙を控え、再選を狙うトランプ米大統領が米景気を腰折れさせるはずはない。とみる市場関係者は多い。
だが、そこに死角はないのか。
「07年のサブプライムローン問題が表面化する前のような、過度の楽観を感じる」との声も。
株高の宴(うたげ)に沸く米株市場の裏で、景気減速の予兆もある。
米経済統計が集中した15日、発表された10月のコア小売売上高、11月のニューヨーク連銀製造業景況感指数、
10月の鉱工業生産と設備投資稼働率は、いずれも市場予想を下回った。
・米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか
アトランタ連銀が月次統計をもとに算出する「GDPナウ」は19日時点で、19年10-12月期の米国の成長率を0.4%と見込む。
7-9月期(1.9% 速報値)から大幅減速する見通しだ。
死角は、好調な米国の消費や雇用にも潜んでいる。
米中貿易協議などが消費者心理を悪化させ、ミシガン大学消費者態度指数(速報値)は8月以降、4カ月連続で前年同月比を割り込んだ。
絶好調とされる雇用も、製造業の空洞化が進む中西部や南部は失業率が高いままだ。
・米最長景気の死角 拡大11年、株高は続くのか
景気に敏感な富裕層や経営者は米景気の先行きに悲観的だ。
UBSの9月調査によると、世界の富裕層の55%が20年の景気後退入りを予想し、42%が現金資産を増やしていると答えた。
米デューク大の「最高財務責任者(CFO)サーベイ」は9月時点で、米企業約220社のCFOの7割弱が「20年末までの米景気後退入り」を予測。
過去、米景気後退局面ではS&P500が平均3割下落し、市場も無傷でいられなかった。
分水嶺にたつ米経済を検証し、株高の行方を探った。
・米最長景気の死角 楽観が支える「低温経済」
過去最長となる11年目の景気拡大が続く米国経済。だが好調な消費や雇用には校長の兆しがあり、輸出や設備投資は力強さにかける。
それでも景気後退に陥るとの見方は少なく、緩やかに減速しつつある「低温経済」が続くとの見立てが多い。
・米最長景気の死角 楽観が支える「低温経済」
28日の感謝祭から本格化する年末商戦を控えて、すでに前哨戦ムードが盛り上がっている。
米調査会社イーマーケッターは今年の米年末商戦の売上高が前年比3.8%増、1兆ドル(約110兆円)の大台を突破する予想する。
けん引役は、スマートフォン注文などネット経由の買い物。
ただ一部関係者は変調の匂いをかぎ取る。
「消費は想定より顕著に悪化している」とJPモルガン・チェースのダニエル・シルバー氏は10月の小売売上高の結果を受け、
10-12月期の米国内総生産(GDP)の予想を前期比年率ベースで従来の1.75%増から1.25%増へと引き下げた。
同氏が懸念するのが、一部品目の販売悪化。例えば10月は家具が前月比0.9%減、衣料品が1.0%減とマイナスに陥った。
「行ったり来たりの繰り返す米中の貿易協議を消費者は憂慮している」と政治リスクが消費者心理に悪影響を与えているとの声も。
消費を支える雇用は、失業率は10月も3.6%と歴史的低水準を保ち、平均時給の伸びも前年同月比3%台を維持。
不安は製造業の雇用。
米サプライマネジメント協会(ISM)の製造業景況感指数で雇用指標が10月は47.7となり、3カ月連続で好不況の境目となる50を割り込む。
・米最長景気の死角 楽観が支える「低温経済」
消費や雇用以上に悪化が目立つのは、設備投資や輸出。
米中対立によって苦しむ製造業の窮状。
「米中貿易戦争の休戦が、製造業の不確実性をいくらか取り除くだろう」と回復に期待する声もある。
ただ米調査会社コンファレンス・ボードが21日発表した10月の景気先行指数は3カ月連続で低下。
「製造業の弱さは続いており、まだ回復の兆しは見えない」との見方を示す。
2020年の米経済の減速を予測する声も増えている。
「選挙、貿易戦争、金融政策と財政政策。20年は『選択の年』になりそうだ」との指摘も。
20年の米国の経済成長率を1.1%と、19年見通しの2.2%から大幅に引き下げた。
強さの中に弱さが垣間見える米経済。健康と病気の間にある「未病」の状態ともいえそうだ。
・米最長景気の死角 楽観が支える「低温経済」
失業率が50年ぶりとなる低水準を記録するなど、絶好調に見える米国の雇用情勢。
だが全米50州をみると、まだら模様の実態も浮かび上がる。
10月の失業率が4.1%と、全米の3.6%を大幅に上回る中西部ミシガン州。
同州最大都市デトロイトにある米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のハムトラック工場の全米自動車労組(UAW)組合員、
「雇用はいつまで続くか不安で仕方がない」「他の仕事が見つからず、転職は難しい」と苦悩深める。
失業率が4.2%の中西部オハイオ州では18年4月、トランプ米大統領に救済を求めていた電力大手ファーストエナジーの主要子会社が経営破綻した。
同州の石炭火力発電所も22年6月の閉鎖決まる。
前回の大統領選で発電所の従業員が所属する労組支部は9割以上がトランプ氏に投票したが、期待は裏切られた格好。
だが今年2月、支部に再訪すると、組合員幹部ら全員が20年の大統領選でもトランプ氏に投票すると答えた。
「トランプなら最後には何とかしてくれる」。そこにあるのは根拠なき景気回復期待。
失業率の悪化が目立つのは、
製造業の空洞化で荒廃が進む中西部を中心とした「ラストベルト(錆びた工業地帯)」やヒスパニックの多い南部地域。
雇用の先行き不透明感が強まれば再選シナリオに影響する可能性もある。
・米最長景気の死角 楽観が支える「低温経済」
米中摩擦や外需回復、焦点。米景気を左右する5つのポイント
【米中貿易摩擦】上方シナリオ 米中の包括合意で既存の追加関税が撤廃 華為技術(ファーウェイ)などへのハイテク規制緩和
メーンシナリオ 農業や金融分野で部分合意 台中関税「第4弾」の発動延期 その他は継続協議で妥協探る
リスクシナリオ 米中協議決裂 「第4弾」発動など関税合戦が激化 香港情勢などで政治対立に発展
【外需】上方シナリオ ドイツ、日本などの主要国の景気加速 中国の成長率が上昇
メーンシナリオ グローバルPMIなど改善続き景気底入れ 中国は6%台の安定成長
リスクシナリオ ドイツ、日本など主要国が景気後退入り 中国は6%台の成長維持できず
【景気サイクル】上方シナリオ 低成長・低インフレが継続
メーンシナリオ 低成長・低インフレが継続
リスクシナリオ 債務バブルの崩壊
【金融政策】上方シナリオ FRBが本格的な利下げサイクル入り
メーンシナリオ FRBは政策金利を当面据え置き
リスクシナリオ FRBが利上げにかじ
【米大統領選挙】上方シナリオ トランプ大統領の再選見通し強まる
メーンシナリオ トランプ大統領とバイデン前副大統領の構図固まる
リスクシナリオ 急伸左派ウォーレン上院議員が優勢
・米最長景気の死角 楽観が支える「低温経済」株価の上昇、天井4倍に近づく
1987年のブラックマンデー、2000年台初頭のIT(情報技術)バブル崩壊、08年のリーマン・ショック。
過去、米景気が拡大局面から後退局面へと転換した時、米株式市場はどんな影響を受けてきたのか。
80年以降の5回の景気拡大期で、S&P500種株価指数が下値から高値までどの程度上昇したかを月次ベースで比較した。
最も上昇率が高かったのは91年3月~2001年3月で上昇率は約4倍に。
最も上昇率が小さいのは1980年7月~81年7月の23%。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
・米最長景気の死角 後退直前「最後のひと上げ?」ITバブル・リーマン・ショックが残す教訓
株式市場では、景気後退の直前に「最後のひと上げ」があると言われる。
マクロでは減速が警戒される中で、中央銀行が金融緩和策をとる。
そのカネ余りが強気相場をつくるから。
ただ、実体経済が伴わなくなり、株価はどこかで大きく調整を迫られる。
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・Focus 変調IPO市場 こう稼ぐ
株価が軟調な新規株式公開(IPO)銘柄が増えてきた。
さえない銘柄に共通する特徴を知ることは、IPO投資での失敗を未然に避ける手立てになりえる。
軟調なIPO銘柄を見ると、3つの共通する傾向が浮かび上がる。
1つ目のキーワードは「大規模」。
19年の東証マザーズ上場で初値が公募・売り出し価格(公開価格)を下回った「公募割れ」は5社あったが、
このうち4社は、公開時の時価総額が200億円を超える案件。
Chatwork <4448> [終値1066円]やダブルエー <7683> [終値4335円]は初値を下回る「初値割れ」も続く。
個人投資家の資金流入が細っていることが、大型銘柄の値動きの鈍さの一因。
2つ目は「公開価格」と「仮条件」の関係。仮条件とは、公開価格を決める前に設定する上限と下限のこと。
公開価格が仮条件の上限に届かない銘柄の値動きは総じて鈍い。
3つ目は「上場区分」。東証2部やジャスダックに上場する銘柄は、東証マザーズに上場する企業に比べ短期的な値幅が小さい傾向がある。
・Focus 変調IPO市場 こう稼ぐ
今後、新たな上場が見込まれる注目銘柄は何か。
今後のIPO市場の行方を左右しそうなのが、12/17にマザーズに上場予定のクラウド会計ソフト会社、フリー <4478> 。
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・ヤフーを傘下に持つZホールディング <4689> [終値395円]とLINE <3938> [終値5170円]は18日、経営統合で基本合意。
経営統合が伝わった直後に両社の株価が上昇したのと対照的に、正式発表後は株式市場での高揚感が乏しい。
統合の相乗効果が現時点では具体的に見えにくく、統合後の経営のかじ取りへの懸念が株価の重荷となっている。
・MARKETS STOCK 景気敏感株に利益確定売り
株式市場で日経平均株価の上値が重くなってきた。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
・MARKETS FOREX 総選挙にらみ動かぬポンド
10月下旬以降は1ポンド=140円を挟み、上下1円程度のごく小幅な値動きが続く。
12/12の英総選挙まで、英国の欧州連合(EU)離脱の情勢が見通せず、投資家の様子見姿勢が強まっている。
・MARKETS COMMODITY 原油、2カ月ぶり高値。
原油価格が2カ月ぶりの高値を付けた。
石油輸出機構(OPEC)と主要非加盟国が12月上旬の会合で、
2020年3月を期限とする協調減産を6月まで延長する案を軸に検討していると伝わった。
減産の枠組みが当面維持されることで需給緩和への過度な懸念がひとまず後退し、買いが先行する。
・MARKETS 仮想通貨
インターネット上の暗号資産(仮想通貨)ビットコインが下落。
情報サイトコインディスクによるとドル建て価格は日本時間22日時点で1ビットコイン=7600ドル近辺と、
8500ドル程度だった前週末の水準を下回った。
・世界株式番付:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち11指数が上昇。
上位1位ブラジル週間騰落率2.0% 2位南アフリカ1.41% 3位トルコ1.15% 4位香港1.02% 5位スイス0.58%
下位25位ベトナム▲3.19% 24位韓国▲2.79% 23位ポーランド▲2.04% 19位日本▲0.82% 16位米国▲0.46% 12位中国▲0.21%
・トップが語る メック <4971> [終値1684円]前田和夫社長
パッケージ基板向け向け銅表面処理剤で世界トップシェアを誇る。
※詳細はコロ朝プレミアムに掲載済 http://www.koronoasa.com/info/
・ランキング:世界経済減速でも市場が強気予想の銘柄ランキング
1位田辺三菱 <4508> [終値2002円]会社予想の経常利益 1200億円 市場予想との乖離率 174.34%
2位ミクシィ <2121> [終値2137円]50億円 116.52%
3位オムロン <6645> [終値6400円]4000億円 77.79% 下方修正も制御機器に注目
7位ファナック <6954> [終値20610円]805億円 43.98% 5G関連の半導体に期待
9位バンダイナムコ <7832> [終値6811円]ゲーム販売堅調、一転増益
・投資テーマを斬る 食の宅配ビジネス
「税率8%市場」胃袋争奪
主な出前・持ち帰り銘柄
【外食】マクドナルド <2702> [終値5440円]モバイルオーダーの拡大 PER41.5倍 年初来騰落率 16.7%
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【宅配・宅食】ワタミ <7522> [終値1281円]「ワタミの宅食」団地に営業所 100.8倍 ▲1.5%
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【容器】エフピコ <7947> [終値6600円]夢の街創造と出前向けの容器開発で協業 25.7倍 ▲1.8%
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