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イエレン波乱の船出

2013年2月2日(日)曇り一時雨

・イエレン波乱の船出。米緩和縮小へ、海図なき航路。
 「米金融緩和の縮小が始まり、新興国市場は乱気流に巻き込まれている」南アフリカ準備銀行のマーカス総裁1/29、会見で危機感。
 2月下旬、豪シドニーで開かれる20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議、
 米連邦準備理事会(FRB)ジャネット・イエレン新議長を、新興国側が激しく突き上げるとも。

 FRB1/28-29日米連邦公開市場委員会(FOMC)で前回12月に続き量的緩和による資産買入れ額を月100億ドル減らし、650億ドルにすると決定。
 声明に「新興国」への言及見当たらず、「国際的な金融強調の崩壊」(インド準備銀行ラジャン総裁)との声。

 足元の市場の混乱が「真正の危機として国際的に伝染しかねない引き金は3つ」ある国の国際金融マフィア。
 中国の資産バブル巡る政策対応の失敗と同国の成長率鈍化、新興国債務の大幅な格下げ。
 FRBによる緩和縮小額に上積みなど「出口の想定外の加速」。

 FRB100年の歴史で初の女性議長となるイエレン氏。背負うのは「金融政策の正常化」という重い使命。海図なき航海が始まった。

・イエレン波乱の船出。世界経済、「暴風雪」を警戒。
 量的緩和を着実に縮小し、金融政策を正常化へ導く使命担う。船出は早速、新興国市場の動揺という荒波受け、日本経済へも波紋。

 「『衝撃と畏怖』作戦」トルコ中央銀行が1/28の臨時会合で放った常識破りの金融政策を、欧米メディア一斉にこんな見出しで報道。
 指標となる1週間物金利、4.5%から10%へ。通貨リラの急落を力づくで反転させようとした。
 だが、「衝撃」も「畏怖」も長続きせず、リラはいったん上昇した後、会合前の水準へと再び下落。
 
 経常赤字が大きいトルコ、南アフリカ、インド、ブラジル、インドネシアを「フラジャイル5(脆弱5ヵ国)」と呼ぶのが定着。

 世界最大の経済国である米国。その金融政策の変更は、時として予期せぬ波乱を引き起こしてきた。
 典型例がメキシコ通貨危機。
 FRBが1994年から政策金利3%から5.5%へ引き上げた結果、今回と同様に新興国からの資金流出誘い、メキシコペソの大暴落につながる。
 2000年代の米住宅バブルも過度の低金利の中で膨張し、そして04年以降の利上げの影響で崩壊。08年の世界的な金融危機の発火点になった。

 これから本格化する米金融緩和の縮小は、世界のそこかしこにある「隙」をあぶりだしていくはず。

・イエレン波乱の船出。日本、円安・株高シナリオに狂い。
 投資家のリスクオフ心理膨張、「米国の不満」も伏線。
 1/30の東京市場、日経平均株価の下落が一時500円突破。
 前日米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の一段の縮小決め、同日のNY市場で対ドルの円相場は再び1ドル=101円台まで上昇。
 「米国の緩和縮小は円安・株高の要因」というセオリーは裏切られた。

 足元では新興国情勢への警戒感が市場心理を支配。29日米債券市場では米国債に安全資産としての買いが殺到。
 長期金利は一時2.66%と約2ヵ月ぶりの水準に急低下し、日米金利はむしろ縮小。
 円売りポジション積み上げてきた投資家による買い戻しも重なり、円の急伸につながる。
 とはいえ、米景気の回復と緩和策の縮小が続くなら、いずれ日米金利差は拡大していくはず。
 日本の貿易赤字の定着といった固有の要因もあり、「中長期では円安のトレンド」との市場の見方崩れたわけではない。

・イエレン波乱の船出。米景気の底堅さ、命綱。
 米連邦準備理事会(FRB)が1/28-29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で決めた量的緩和の縮小継続。
 新興国市場が荒れる中での、「強行突破」だっただけに、市場では「FRBは今後も粛々と縮小を続ける」との見方が強まった。
 1ヵ月半ごとに開催されるFOMCのたびに100億ドルの減額決めれば、来年初めにも資産買入れ額はほぼゼロになる見通し。

 量的緩和以外の焦点は2つ。
 金融政策を変更する条件を示す「フォワードガイダンス」の見直しと、ゼロ金利解除の時期。
 「失業率が6.5%を上回り、インフレ率が2%よりも低い」。これが現在のゼロ金利継続の条件。
 失業率は足元で6.7%まで低下、このままでは景気回復が不十分なままでも見切り発車的なゼロ金利解除迫られる可能性も浮上しかねない。
 これがフォワードガイダンスの見直しが市場で取りざたされる理由。
 ゼロ金利解除の時期も大きな焦点。市場は「15年夏ごろ」と見る。
 米金融政策が危機前の姿に戻るには数十年単位の時間がかかる可能性。この先何台ものFRB議長が取り組み続けなければならない課題。

・イエレン波乱の船出。FRB、新たな金融政策の枠組み示す。
 着目は「FRBの金融政策の枠組み-最近の変化や新たな疑問」という論文。
 ポイントは「オプティマル・コントロール(最適管理)」という新しい金融政策の枠組み示す。
 コンピューターを使って経済の動き予測し、失業やインフレなど社会的コストが最小になる金融政策を探る。
 
 市場が注目する理由2つ。
 まず「最適管理」だと金融緩和が長期化しやすいこと。
 需給ギャップなどから適正金利計算する標準的な「テイラー・ルール」だと、ゼロ金利の解除時期は2013年末。
 一方「最適管理」なら15年末か16年末になるという。さらに「最適管理」はイエレン新FRB議長の持論でもある。
 イエレン氏は学者としてのキャリアのほぼすべてを失業のコストと原因の研究などにあててきた。
 「ハト派」としての真骨頂が「最適管理」の手法だといえよう。

 FOMCメンバー内のハト派とタカ派の力学は大幅に変動する見込み。13年末は「ハト・ややハト」6人に対し、「タカ・ややタカ」2人。
 14年になると両派のバランスが4対3と拮抗する。

・日本株相場の調整続いている。日経平均株価は4週増落、1/321は1万4914円と約2ヵ月半ぶりの安値引け。
 1月月間の下げ幅1376円と、金融危機時の2008年10月(2682円安)以来、5年3ヵ月ぶりの大きさ。
 新興国経済への懸念から投資マネーが金や先進国の国際に逃避、株が売られやすくなっている。
 日本の場合国債に加え、円への買いも活発化。円高が日本株の下げを増幅させる構図。
 
 足元では「企業業績などファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に関する不安材料が出たわけではない」ため、
 相場の下値は限られるとの声も。
 31日時点で日経平均の予想PER(株価収益率)は14.9倍。米国(17倍台)などと比べても割安感も意識されやすい。

・「新興国ショック」踏まえ、先週は世界の株式・外国為替市場で投資家がリスク回避する動きが広がった。
 安全資産とされる円にマネーが流れ込む一方で、日本株は売られた。
 市場関係者の間では日本株の先高観と円の先安観が根強く残っている。
 今後3ヵ月間の日経平均株価の下値は1万4500円、円相場の上値は1ドル=100円程度との見方が多い。
 円安・株高が続くというシナリオ支えているのは、米景気の回復。これが変調きたすようだと相場も波乱含みの展開となる。

 今週3日に1月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数、7日には1月の米雇用統計が発表。

・米労働省7日、1月の米雇用統計発表。2013年12月分は非農業部門雇用者数の伸びが急減速し、市場に衝撃が走った。
 12月の弱さが大雪の理由、雇用回復の調整は一時的なものなのか。市場関係者は1月の統計内容注視。
 1月非農業者部門の雇用者数が前月比18万5000人程度増えるとも込まれている。失業率は6.7%と前月横ばいの見通し。

・キヤノン <7751> [終値3006円]
 リーマン・ショック、東日本大震災といった逆風下でも2ケタ成長続けてきた一眼レフの伸びが急に止まる。
 コンパクトカメラがスマートフォンに需要奪われるタイミングでの一眼レフの減速は利益に大きく響く。
 株価には利益成長の期待鈍化がはっきり表れている。昨年日経平均株価は5割超上昇、キヤノン株は小幅下落。
 株価反転には利益見通しの上振れが不可欠。

 キヤノンは今年を成長軌道へ回帰する元年と位置付ける。ここで飛躍への道筋を示さなければ、成長ステージが成熟期へと移りかねない。

・発掘実力企業:知られざる世界一(4)椿本チエイン <6371> [終値814円]産業用チェーン世界シェア25%と最大。
 耐久性の高い大型チェーンに強みを持ち、2014年3月期の連結純利益は前期比17%増、87億円の見通し。
 課題はチェーン事業で売上高の4割占める国内の需要が減っていること。新規市場の開拓、東南アジア向けに輸出狙う考え。
 欧州でもM&A(買収・合併)も視野に入れ、新たな生産拠点も構える方針。

・ホンダ <7267> [終値3893円]収益力の回復が鮮明に。31日発表した2013年10-12月期の連結決算営業利益2285億円。
 四半期ベースで3年半(14四半期)ぶりに2000億円台回復。新車攻勢奏功。先行投資で蓄えた商品力が問われる。

・建機大手先週発表した決算は建設投資が増えている日本と中国の好調さが際立った。

 コマツ <6301> [終値2148円]13年4-12月期連結決算、
 営業利益は前年同期比10%増、1656億円と通期予想(前期比1%減2100億円)に対する進捗率は79%に達した。 

 日立建機 <6305> [終値1997円]「日中はかなり好調で、計画を上回りそうだ」(徳重博史社長)。

・会社がわかる 特集資生堂 <4911> [終値1637円]反日デモで苦戦。欧米勢に隙突かれる。
 国内では消費者の低価格志向への対応が遅れ、減収傾向が続く。

 思い切った戦略第一は「ステルス作戦」半日ムードが根強く残る中、ブランド象徴の社名販売にマイナスになりかねず、
 今期から2年は「オプレ」「ウララ」という2つの現地専用ブランドに集中投資、販売拡大目指す。
 第2は在庫の削減。今年度下期予定40億円分の出荷取りやめ。小売店が売れ筋商品の販売に専念できるように。 
 希望の光は店舗での販売不振の陰でインターネット通販が伸びている点。
 この3つの戦略で来期からは中国事業での2ケタ増収狙う。

・日本株強まる選別色。日経平均株価が直近高値を付けた1/22から前週末までの値動き、
 下げが目立つのは「海運」や「造船」など新興国経済の影響受けやすいとされる業種。
 三井造船 <7003> [終値203円]日立造船 <7004> [終値744円]が13〜14%値下がり、クボタ <6326> [終値1598円]も12%安。
 半面、内需関連の一角など業績改善期待のある銘柄は底堅く、下値を支えている。
 「新興国向け輸出で稼ぐ企業の業績の下押し要因になり得る」との懸念が広まった。

 金融関連も軟調に推移している。「保険」は9%下落、「銀行」も7%安。 
 T&DHD <8795> [終値1265円]など1割下げ、日経平均採用銘柄の下落率の上位に。
 運用資産通じてリスク資産の値下がりの波を直接かぶり、長期金利の低下で金利収入が減少する可能性が意識される点も売りにつながる。

 業種別日経平均で下落率最大は「通信」。ソフトバンク <9984> [終値7563円]日経平均採用銘柄で下落首位。(14.5%)

 景気回復に伴う建設投資の拡大追い風にゼネコン株は底堅く、大林 <1802> [終値611円]清水 <1803> [終値558円]上昇目立つ。
 構造改革にめどをつけたNEC <6701> [終値299円]2013年4-12月期連結最終黒字の富士通 <6702> [終値578円]31日昨年来高値更新。

 リスクオフの荒波をうまくしのぎ、反発局面に備えたい。そんな思惑が新興国関連株と好業績株の二極化につながっている。 

・日経平均採用銘柄騰落率:1/22〜31比較 ▲は下落

 上昇:NEC <6701> [終値299円]上昇率9.9% ヤマトHD <9064> [終値2170円]8.9% 日東電工 <6988> [終値4602円]7.1%
 富士通 <6702> [終値578円]5.9%大林組 <1802> [終値611円]4.6%アルプス <6770> [終値1364円]3.6%

 下落:ソフトバンク <9984> [終値7563円]▲14.5% 東京建物 <8804> [終値970円]▲14.4% NTN <6472> [終値449円]▲14.1%
 三井造 <7003> [終値203円]▲13.6% 日立造 <7004> [終値744円]▲13.2% T&DHD <8795> [終値1265円]▲12.8% 

・金の国際相場の底入れ指摘する声が出始めている。
 新興国経済の先行き不安が強まり、「質への逃避」を目指す投資資金が流入しやすくなっているため。
 NY金先物のヘッジファンドなど大口投資家の買越額は6週連続で増加。長期投資家が新たに資金を振り向けている可能性も。
 もっとも先進国の景気は底堅く、新興国不安が世界経済の足かせになるとの見方はまだ少ない。
 市場では「先進国の株式相場が安定すれば金を買う必要性は薄れる」との声も聞かれる。

・OUT Look:今週の株式相場は日経平均株価1万5000円挟んで値動きの荒い展開か。
 新興国通貨の下落を起点とする市場の不安心理が落ち着いてくるかが焦点、現物株は株価指数先物に左右されて振れ幅大きくなりやすい。
 先週の日経平均株価は週間で477円(3%)下落。下値のめどとされている1万4800円近辺。
 裁定買い残は直近で25億株と昨年10月以来の規模へ縮小。それでも水準としては高く解消売り警戒。
 市場の動揺収まるカギは「米国株の上昇」との指摘も多い。
 主要企業決算発表は、相場全体を支える一定の効果見込めそうと。

・Wall Street:今週の米株式相場は下値を試す展開か。
 トルコや南アフリカなどの新興国通貨の急落切っ掛けに、先週は新興国だけでなく欧米の株式市場への警戒感が強まった。
 不安心理背景とした運用リスク回避の動きが長引くかどうかが注目。
 ダウ工業株30種平均は1月月間で5.3%下落。1月マイナスになったことは投資家心理に打撃与えた。
 今週も米企業決算が引き続き中も良く材料。
 7日発表、1月の米雇用統計も焦点。

・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派35% (前回比+2)弱気派33%(同+6)中立派32%(同-8)

・ランキング:営業利益進捗度が高い2月期決算企業ランキング

 1位トーヨーアサノ <5271> [終値254円]営業利益進捗度109.1% 営業増益率104.3% 予想PER(株価収益率)20.3倍

 2位ゼットン <3057> [終値78000円]105.8% 20.8% 16.7倍 3位ガリバー <7599> [終値738円]101.9% 14.2% 23.9倍

 7位わらべや日洋 <2918> [終値2046円]93.2% 2.1% 16.4倍 セブン-イレブン・ジャパンの積極出店追い風

 8位日本電線工 <5817> [終値392円]92.3% 6.2% 10.8倍 太陽光発電ケーブル伸びる。流動性乏しく株価振れやすい。

 11位ドトール日レス <3087> [終値1763円]88.6% 7.3% 24.1倍 客単価1000円前後の「星乃珈琲店」主婦やシニア層取り込み成功。 

 20位いちごグループ <2337> [終値306円]82.0% 111.5% 38.2倍 不動産市況好転、保有物件の売却加速。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち21指数が下落。

上昇1位アルゼンチン週間騰落率8.5%(12年末比騰落率110.9%)2位スペイン0.5%(21.5%)3位フランス0.1%(14.4%)4位韓国0.0%(▲2.8%)
下位25位ロシア▲4.6%(▲14.8%)24位トルコ▲4.0%(▲20.9%)23位日本▲3.1%(43.5%)22位タイ▲3.1%(▲8.5%)14位米国▲1.1%(19.8%)

 2012年度比騰落利率 1位アルゼンチン110.9% 2位日本43.5% 3位ベトナム34.5% 4位ギリシャ29.6% 5位ドイツ22.3% 
 最下位ブラジル▲21.8% 24位トルコ▲20.9% 23位ロシア▲14.8% 22位上海▲10.4% 21位タイ▲8.5% 20位香港▲2.7%

・カジノミクス アジアを席巻。日本でカジノ構想がにわかに盛り上がってきた背景にも、シンガポールの成功にある。

 シンガポールは2005年にカジノ解禁、複合リゾート開発に乗り出し、
 10年にマリーナベイ・サンズ、リゾートワールド・セントセーサの2施設開業。2つを起爆剤に12年同国来訪外国人客は09年比4割強増加。
 観光収入8割増。関連産業の雇用規模6万人とも言われる。

 主なカジノ関連銘柄:セガサミー <6460> [終値2461円]韓国でカジノ運営。日本でのカジノ運営に意欲。
 
 コナミ <9766> [終値2462円]カジノ用遊技場機器製造。グローリー <6457> [終値2557円]カジノ用金銭精算機製造。

 日本金銭機械 <6418> [終値1964円]貨幣識別機器製造。ソニー <6758> [終値1626円]監視カメラをカジノビジネス展示場に出展。

 フジHD <4676> [終値1934円]三井不 <8801> [終値3289円]鹿島 <1812> [終値382円]東京・台場に複合リゾート誘致計画。

 HIS <9603> [終値5610円]ハウステンボスに複合リゾート誘致計画。

 電通 <4324> [終値4085円]社内に複合リゾートプロモーション組織設置。

 ゴールドマン・サックス証券杉山賢アナリスト「市場はカジノの経済効果織り込むのはこれから。関連銘柄の上昇余地はある」とも。

・日経平均株価1月の下落率は8.45%と戦後64年間で4番目の大きさ。
 戦後の株式相場、1月に日経平均が下落した年は18回、うち12回は年間でも日経平均は下落。
 円の対ドル相場は約3.1%上昇。1ドル=360円の固定為替相場が崩れた後の42年間、1月円高になったのは22回。15回は年間で円高に。 

(日経ヴェリタス)

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