
扉を開いて(静かなリスクオン)
- 2014年06月29日
- 株式投資・経済ニュース全般
2013年6月29日(日)曇り一時雨
・静かなリスクオン 変動少ない市場、変われる資産の謎。
相場上昇が続く中、利益確定すれば、株式を持ち続ける他の運用者と比べて成績が劣りかねない。
「株を売るには相当な勇気がいる」。米ファンド運用者。投資マネーが怒涛の勢いで世界各地に飛び散っている。受け皿はあらゆる資産。
投資促す要因、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長発言、利上げの時期は「全く決めていない」と言明。
米株式相場についても「価値評価は歴史的標準から離れていない」と語り、早期利上げ観測を打ち消す一方で、相場の過熱は否定的見方示す。
日欧の金融緩和路線も今のところはゆるぎない。「ならば今しばらくはリスクテークを」と市場関係者。
株も通貨も変動率が極端に低下。米株価の値動きが荒くなる「恐怖の予想」が増えれば跳ね上がるVIX指数は18日に7年4ヵ月ぶりの水準に下がる。
現在のような静寂が前回続いたのは2004〜07年。後に世界を襲ったのは金融危機。
24日中東ドバイの主要株価指数が7%近く急落、09年に連鎖的な世界株安を引き起こした「ドバイショック」の再来かと市場関係者は身構えた。
世界的な資産価格の上昇基調は微妙な均衡の上に成り立っている。
・静かなリスクオン 株も債券も最高値圏 世界を覆う総リスクオンの波。
この波動を物語るのが投資信託マネーの動き。通常なら投資家のリスク選好が高まると資金が株式に流れ、逆に債券からは流出する。
だが調査会社EPFRグローバルによると、2月以降は株式と債券がほぼ一貫して流入超過。
累積でそれぞれ約950億ドル(約9兆6000億円)づつ買われている。
投資マネーは株・債券、そして先進国・新興国問わずに血眼になって受け皿探し回っている。
日本「投信の顔」が12年ぶりに交代したのは4月。
資産額トップの座を「グローバル・ソブリン・オープン」から奪ったのはフィリデティ投信「USハイ・イールド」。
米国では格付けが低い企業向けの貸出債権を売買する市場の規模が、5月末で約7400億ドルと不動産投資信託(REIT)市場を上回った。
「イールド・ハント」。飽くなきリターン追及の動きは、国内の社債市場でも利回りを異常なまでに押しつぶしている。代表例が東京電力債。
「誰もが熱狂に参加しながら、心の底で何かおかしいと感じている。でも1人負けが怖くて、誰も降りられない」
・静かなリスクオン キプロス・ギリシャも再び起債。新興国の債券・株に群がるマネー。
時期はともかく来年の利上げが既定路線となっている米国と違い、欧州では低金利が今後3〜4年続くと欧州中央銀行(ECB)約束したようなもの。
高まる追加金融緩和期待など背景に6月9日には10年債の利回りがスペインと米国で逆転する珍事も。
いかにマネーが怒涛の勢いで欧州周辺国に流れ込んでいるかを物語る。
債務危機の荒波にのみ込まれた欧州の周辺国はカムバックを果たし、新興国もリスクオンの波をとらえるのに余念がない。
・静かなリスクオン 商品市場にも遅れて流入。米国利上げ観測の後退がきっかけと。
動きの乏しかった金相場にも変化の兆し。ロンドン市場の金現物価格に連動する上場投資信託の「SPDRゴールド・シェア」純資産残高6月底入れ。
原油市場も資金を引きつける。地政学リスクの高まりも相まって先高感がでる。投機筋の原油先物買越額は3週連続で拡大、歴史的な高水準。
リスクオン相場のもとで、リスク回避の象徴でもある金にまで流入するマネー。「何でも買う」投資家の心理の一端が見え隠れ。
・静かなリスクオン 住宅、世界で最高値圏に。
世界最大政府系ファンド(SWF)、ノルウェー中央銀行インベストメント・マネジメント「今後3年間、毎年ファンドの1%を不動産に投資したい」。
運用資産は足元で約9000億ドル(約91兆円)。不動産への総投資額は3年で270億ドル(約2兆7400億円)になる計算。
世界各地で住宅価格が高騰しつつある。英国の住宅価格指数は4月に2ヵ月ぶりに最高値更新。この1年で1割近く上昇。
国際通貨基金(IMF)近年起きた50の金融システム危機調査、3分の2以上では住宅価格の過熱とその後の急落が危機を先行と。
住宅価格が過去平均を上回っており、過熱感が出る領域に突入している。
・静かなリスクオン 市場覆う安定感、死角はないのか。
「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は18日に10.61をつけ、2007年2月以来となる水準に低下。
7年4ヵ月ぶりの低水準が意味するのは異常なまでの市場の静けさ。大半が大きな変動がないと見ていることを指す。
米S&P500種指数の終値の前日比が1%以下の状態が4/17から続いている。営業日ベースでは50日。1995年7〜12月の95営業日に次ぐ静けさ。
価格変動を飯の種とするヘッジファンド勢悲鳴。海外報道、有力ヘッジファンドは今年の運用成績はマイナスという。
ボラティリティーが低い状況はいつまで続くのか。1995年10月〜97年4月と2004年9月〜07年7月にかけてボラティリティーが低い時期があり、
後に起きたのがアジア通貨危機やリーマン・ショック。今の低ボラティリティー局面はすでに8ヵ月がたっている。
・日本の長期金利が低下。27日には新発10年物国債が一時0.555%と1年2ヵ月ぶりの低水準。
金融機関は持て余した円資産をやむなく国債へと振り向けている。大手債券トレーダー「投資家はしびれを切らしたかのように買い注文増やす」。
カネ余りと金利上昇リスクという2つの制約。足元で債券市場は「カネ余り」をより強く優先させ始めている。
・日銀 <8301> [終値50300円]7/1、全国企業短期経済観測調査(短観)の6月調査結果発表。4月の消費増税後、初の短観。
大企業製造業の業況判断指数(DI)は6四半期ぶりに悪化するとの見方が大勢。ただ悪化は一時的と見られ、先行きの見通しに注目集まる。
増税以降の業況を企業経営者がどこまで強気に見ているかがポイントに。
・国税庁7/1、路線価発表。今回は2013年より上昇する地点が増えるなど改善示す内容になると見る不動産関係者は多い。
13年の路線価は全国平均で前年比1.8%下落。
「14年は4年連続で全国平均の下落率が縮小する可能性高く、地価が上昇する地域も13年から広範囲になるだろう。」と予測。
路線価公表切っ掛けに、個人の相続税対策も活発になりそうと。
・米住宅市場にようやく馬向きの兆し。需要期の春先に出た指標は失望の内容続きで、市況回復が期待より弱いとの懸念広がった。
先週発表の5月の販売統計が中古・新築とともに事前予想上回る好調ぶり示した。年後半に安定した回復軌道に乗るかを市場は注視。
・家具チェーン最大手ニトリ <9843> [終値5290円]の収益構造が変化。2014年3-5月期の連結決算営業利益が219億円と前年同期比17%増。
業績けん引は単価が比較的高い高付加価値品。「デフレ時代の勝ち組」とされてきた同社が「脱デフレ」に歩調合せるように変身へ。
デザインや機能性重視、既存店売上高が改善。
・発掘実力企業:営業最高益企業(4)文化シャッター <5930> [終値832円]2015年3月期連結営業利益前期比5%増の100億円と過去最高更新見通し。
倉庫やビル向けの重量シャッターが伸びている。ネット通販が成長、重量シャッター多用する高性能な倉庫の開発が相次ぐ。
株主還元も強化。今期配当年16円と2円増配方針。PER(株価収益率)は7倍台で過熱感は乏しい。
・シャープ <6753> [終値320円]「フリー・フォーム・ディスプレイ(FFD)」形状自在の液晶パネル、これまでのデザイン一新する可能性も。
駆動回路の小型化とIGZO(イグゾー)の応用技術。まず自動車向けのディスプレーとして実用化進めていく方針。
ウエアラブル端末市場も狙う。今後の課題はいかにして低コストで量産する体制築けるか。
・会社がわかる 特集タカラスタンダード <7981> [終値881円]受注から生産・納入までの工程を効率化、収益性も向上。
急増しているリフォーム需要への対応急ぎ、さらなる成長目指す。ホーロー素材で貫く独自路線。現在システムキッチンでホーロー採用同社のみ。
将来に向けた課題は海外展開。資本余力があるうちに、海外展開を含めた新たな収益の礎を作る必要がある。
・中小型株の底堅さが株式相場を下支えしている。
日本株は5月下旬から上昇基調が続き、短期的な過熱感も指摘され始めているが、時価総額の小さめの中小型株にが割安さが残ると。
政府の成長戦略の恩恵受けやすい銘柄も多い。海外投資家などの物色が続いている。
日経平均株価は先週、254円(1.65%)安と6週ぶりに下落。
東証規模別株価指数の「大型」が1.6%下落、「中型」0.8%安、「小型」0.4%安にとどまる。
昨年末比日経平均は約7%安、小型株指数は0.6%高とプラス圏に浮上。
中小型株物色のキープレーヤーは外国人投資家。海外投資家も日本株について調査深め、中小型株への物色に力を入れるようになっている。
一方、大型株への資金流入には一巡感も指摘される。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は底堅く推移しそう。
先週は日経平均株価は200円超下落もトヨタ <7203> [終値6048円]など主力株にはしっかりした動き続けているものも散見される。
日経平均は1万4800〜1万5300円程度のレンジと。
海外勢の買いを誘う要因の一つが国際比較でみた日本株の割安さ。
日経平均採用銘柄の予想PER(株価収益率)15.6倍と米ダウ工業株30種平均の同16.8倍を引き続き下回ってい
東証データで、海外投資家は6月1週から買い越し続けている。
今週は1日に6月米新車販売、3日に6月米雇用統計発表。
・Wall Street:今週の米株式相場は高値圏でもみ合う展開か。
企業の景況感や雇用に関する重要な経済指標公表相次ぎ、米経済の回復度合いを見極める展開が続きそう。
イラクやウクライナ情勢巡る地政学リスクもくすぶるものの、緩和的な金融政策の長期化が下支え役となり、下値不安は小さそう。
7/2には雇用統計の前哨戦となる6月ADP全米雇用リポート、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演も予定。
3日は雇用統計発表。市場予想は非農業部門雇用者数は前月から横ばい。
4日独立記念日で休場。薄商いの中、値動きが荒くなる可能性も。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派38% (前回比-18)弱気派29%(同+5)中立派34%(同+13)
・ランキング:25日移動平均からの下方かい離率ランキング 営業利益・純利益がz報益見通し、予想PER(株価収益率)15倍以下条件
1位ポラテクノ <4239> [終値921円]下方かい離率 12.91% 予想PER10.6倍
2位岡部 <5959> [終値1185円]10.68% 14.9倍 3位サニックス <4651> [終値1308円]8.24% 7.2倍
4位東洋エンジニア <6330> [終値441円]7.82% 14.2倍 イラク情勢緊迫化。イラク国営南部石油会社との計画ずれ込み懸念。
7位日本製紙 <3863> [終値1884円]7.07% 8.4倍 洋紙需要落ち込み。需給どこまで引き締めることが出来るかがカギ。
13位瑞光 <6279> [終値5680円]5.61% 13.2倍 利益2014年3-5月期純利益前年同期比約8割減少。株価は割安との声も。
15位コメリ <8218> [終値2595円]5.23倍 13.3% 駆け込み需要の反動減、長期化の見方。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち11指数が上昇。
上昇1位アルゼンチン週間騰落率7.6%(13年末比騰落率46.6%)2位ベトナム3.2%(14.7%)3位フィリピン1.7%(16.2%)4位ロシア1.5%(▲4.4%)
下位25位ギリシャ▲7.3%(4.1%)24位ブラジル▲2.7%(3.2%)23位フランス▲2.3%(3.3%)19位日本▲1.7%(▲7.3%)15位米国▲0.6%(1.7%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン46.6% 2位インド18.6% 3位フィリピン16.2% 4位トルコ15.7% 5位ベトナム14.7%
最下位日本▲7.3% 24位ロシア▲4.4% 23位上海▲3.8% 22位韓国▲1.1% 21位香港▲0.4% 20位英国0.1%
・成長戦略で成長する企業。2020年へ、規制改革をバネにする銘柄。
観光:鉄道・百貨店・・・外国人に的
小田急 <9007> [終値961円]国内有数の観光地で外国人で賑わう箱根への路線持つ。沿線で新たな観光地の発掘本格化。関東百名山の1つ大山。
西武HD <9024> [終値2095円]力を入れるには「小江戸」と称される埼玉・川越。
西日本鉄道 <9031> [終値403円]外国人対応に腐心。外国人向け1日乗り放題乗車券も想定上回る売れ行き。
外国定期船が寄港する博多港国際ターミナルの公共交通の案内見直し、複雑なバス路線などがわかりやすいように複数の外国語で記す。
太宰府天満宮(福岡県太宰府市)観光路線の開発も進める。
東京銀座の百貨店、外国人観光客の効果で息吹き返す。
市場で話題なのが松屋 <8237> [終値1130円]2014年2月期連結純利益前年同期比2.2倍、13億円と急拡大。
銀座本店で外国人観光客が増え、免税品の売り上げが伸びたため。株価は消費増税の反動減懸念で3/20に年初来安値付けたが、約5割上昇。
J・フロントリテイリング <3086> [終値703円]2020年の東京五輪前にあえて「松坂屋銀座店」閉め、
跡地に海外高級ブランド中心とした地区最大級の商業施設設ける。銀座は世界中から観光客が訪れる見通し。
・成長戦略で成長する企業。2020年へ、規制改革をバネにする銘柄。
農業:解放される農協ビジネス
コメリ <8218> [終値2595円]もともと農業関連に強い。農協のお株を奪って農家の相談に乗るのは専門知識を持つ相談員。
約90人配置を全店(約1100店)導入急ぐ。
アグロカネショウ <4955> [終値814円]全農による一括購入がなくなれば、農業業界にも競争が訪れる。
ベルグアース <1383> [終値1485円]農協向けの販売にも期待。同社の5ヵ所ある育苗農場を毎年1ヵ所づつ増やす。
・成長戦略で成長する企業。2020年へ、規制改革をバネにする銘柄。
医療:混合診療の拡大追い風。
メディネット <2370> [終値299円]来年前半の稼働目指し、都内に細胞加工施設建設。親施設に売上高の7割にあたる15億円投じる。
細胞の培養に携わる人員も今後3年で2倍近い最大150人へ増やす。「混合診療」への期待感。
新制度で実績が出来れば、事業規模が飛躍的に拡大する。
iPS細胞利用した再生医療の実用化も早まる可能性も。再生医療の国内市場規模は2020年に950億円、30年に1兆円まで膨らむ予測もペース加速も。
タカラバイオ <4974> [終値1653円]リプロセル <4978> [終値948円]などには大きな商機。
武田 <4502> [終値4683円]今年2月時点で欧米で承認受けているのにもかかわらず国内未承認のままの製品を10弱抱えている。
新薬申請から承認までの過程が海外に比べて遅れる「ドラッグ・ラグ」が短縮。混合医療解禁で国内未承認薬の利用広がる可能性はある。
テルモ <4543> [終値2243円]オリンパス <7733> [終値3495円]といった医療機器メーカーにもプラスの影響も。
先端医療が普及すれば、民間の医療保険のニーズが高まる。
第一生命 <8750> [終値1494円]東京海上HD <8766> [終値3348円]など損保大手による医療保険の販売競争激化。
・成長戦略で成長する企業。2020年へ、規制改革をバネにする銘柄。
人材:働く女性、保育や家事代行に需要。
JPホールディングス <2749> [終値435円]保育所運営、大阪や東北、北海道まで保育所網拡大、全国展開本格化。沖縄にも進出予定。
2017年3月期までに14年3月期末比4割多い180〜190ヵ所に広げる。
サクセスHD <6065> [終値1670円]企業などに併設する事業所内保育施設からの受託業務に力入れる。人材確保がビジネス拡大のカギ。
家事代行サービスも注目分野。ニチイ学館 <9792> [終値905円]6月から子育て世帯や出産前後の女性対象にした家事代行サービス始めた。
掃除などの家具に加え、子供の送迎も加えた。
・アベノミクスの「3本の矢」は国内外のブログ界でもすっかりおなじみ。海外からは辛口批評。
「日本の首相はリンゴを射抜くウイリアム・テルではなく、1000本の針を患者に打つ新米ハリ師のようだ。」「1000本打てば1〜2本は効き目有る」
「ホームランからほど遠い」「安倍首相の努力が足りない」「成長戦略の目標は株式投資家に報いることではない」
「矢というより遊びの投げ矢(ダーツ)」(日経ヴェリタス)
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