
扉を開いて(つながり過ぎた市場)
- 2014年07月13日
- 株式投資・経済ニュース全般
2013年7月13日(日)くもり
・つながり過ぎた市場 連関性で読み解く投資の新常識。
中国HSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)(6/23発表)好不調の分かれ目となる50上回り、東京市場では機械や商社株軒並み上昇。
値を下げた中国関連株はブリヂストン <5108> [終値3690円]などタイヤ株。中国景気回復はタイヤ株にプラスも天然ゴム価格が急伸。
株式市場では需要拡大期待より、コスト負担増への懸念強まった。
国内外で進む産業構造の変化は、異業種の企業間の新たな連関性生みだす。
セブン&アイ <3382> [終値4340円]と富士電機 <6504> [終値505円]2社の株価連動性が急速に強まっている。
相関係数2012年はほぼゼロ、足元では0.6前後に。「セブンカフェ」にあるコーヒーマシン製造するのが富士電機。
国内外の株式、債券の関係性指数は10年間で約2倍に。「相関度合いは歴史的なく水準にある」との声も。
先進国の債券と新興国の債券のように分散投資の対象だった資産も連動性強めている。
「リスクのヘッジ(回避)が難しく、世界中の投資家が資産配分に頭を悩ませている」と
・つながり過ぎた市場 マネー世界で響き合う。
7/3、6月の雇用統計好調な結果受け、ダウ工業株30種平均初の1万7000ドルに乗せた。
翌日英国FTSE100種株価指数も1999年の最高値接近、翌週8日、インドSENSEX指数も最高値更新。
その数日後ポルトガルの金融機関の経営不安きっかけに、今度は世界の株式市場が一斉に下落する。
10日に南欧の債券が大きく下落、欧州各国や米国の株価も売られ、翌日の日経平均株価も小幅ながら下落。
世界の市場のつながりを支配するものは、投資家のリスク許容度。
投資家がリスクを取ろうとする「リスクオン」になると一斉に買われ、「リスクオフ」になると逆に売られる。
欧州債務危機時に強まった傾向は、ここへ来ても変わらずに続いている。
リスクアペタイト指数は主要マーケットと強い相関がある。1に近づくほど相関がついことを示すが、ダウ平均とは足元で0.9。
英国株とは0.7、ブラジル株は0.5。
リスクアペタイト指数は7月初め約85と、欧州債務危機の真っただ中、12年初め比約4割上昇、08年リーマン・ショック前の水準まで戻した。
リスクオンとリスクオフが激しく入れ替わる世界の金融市場。マーケット支配する投資家のリスク許容度をいち早く知るにはどうすればいいか。
世界の金融ニュースを集め、膨大な言葉のビッグデータから投資家の心理状態を推測した「センチメント指数」。
マーケットに肯定的な言葉と否定的な言葉の数の差などもとに数値化。
数値が高いほど市場のセンチメントが改善、投資家のリスク許容度高まり示す。
このセンチメント指数は世界や日本の株式相場とほぼ連動してきたが、今年に入って変化の兆し。相関が薄れ違う動きをするケースが増える。
背景には奇妙に上がり続ける世界の株価や債券に投資家は不安感じ始めていることがある。
・つながり過ぎた市場 日米株と米金利の連動強まる。1月ごろほぼゼロが、足元では0.6前後に。米金利上昇すれば日米の株式相場が上昇する。
昨年までは米雇用統計で良好な結果が出れば、金融緩和縮小が早まると見て金利が上がり、株価は下がるといった逆相関。
その両者が「米景気回復期待の高まりが素直に長期金利の上昇と株価の上昇につながっている」。
長期金利と株価の相関の高まりは、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の手綱さばきがうまくいっている証とも。
日本株の場合、米長期金利上昇は日米金利差拡大→為替相場の円安進行から株価上昇要因になる。
・つながり過ぎた市場 ウクライナ問題の影響
1.ロシアから欧州への天然ガス供給の減少→米国から欧州へガス輸出→日本の天然ガス輸入化価格上昇→電力・ガス料金の上昇
2.欧米がロシアに経済制裁→ロシアのパラジウム輸出減少→パラジウム価格が上昇→自動車排ガスの触媒装置価格が上昇
三井金 <5706> [終値307円]など素材企業ではパラジウム代替触媒開発・研究する動き。
DOWAHD <5714> [終値372円]は中古車から使用済み触媒回収し、リサイクル事業強化。
3.欧州からロシアへのチーズ供給減少→ロシアがオセアニアからチーズ調達→オセアニア産チーズが値上がり→日本のチーズ輸入価格が上昇
4.ロシアが国際宇宙ステーション(ISS)から撤退→米国がISSへの輸送手段開発加速→米国が航空宇宙産業への補助金拡大→日本の部品関連商機
IHI <7013> [終値471円]三菱重工 <7011> [終値641円]ハーモニック・ドライブ <6324> [終値3820円]に期待
・つながり過ぎた市場 中国一人っ子政策緩和で恩恵。
紙おむつ販売のユニ・チャーム <8113> [終値6180円]音楽教室展開するヤマハ <7951> [終値1601円]
粉ミルク需要増で世界の牛乳価格上昇、長谷川香料 <4958> [終値1540円]同社開発した牛乳風味香料注目も。
・つながり過ぎた市場 ガーナ沖合大規模油田発見相次ぎ、日本含む各国企業が海洋石油開発プロジェクト。
石油開発に人手がとられ農業継承者が少なくなっている。明治HD <2269> [終値6890円]カカオ豆必要量確保難。
カカオ豆の国際価格3年ぶりの高値圏。
・世界の株式相場は先週軒並み下落に。米利上げ時期が予想より早まるとの観測が浮上、週後半にはポルトガルの銀行の経営不安が追い打ち。
投資家たちは「潮目」が変わりはしないかと、神経とがらせている。
先週初めの7、8日で米ダウ工業株30種平均は合計160ドル余り下落、日本や欧州の株式相場もつれ安。
10日に米著名投資家カール・アイカーン氏が通信社インタビューで「米国株について用心すべき時だ」と発言。市場の不安心理を代弁。
今秋から本格化する米企業の4-6月期決算で「堅調な内容が確認できれば見直し買いも入る」との声も市場で聴かれる。
・今週から2014年4-6月期決算発表本格化。円安効果が一巡、消費増税に伴う反動減もあったが全体的にまずまずの決算内容。
主要企業の結果次第で、1万5000円台前半で足踏みする株価の押し上げ材料に。
スズキ <7269> [終値3279円]富士重工 <7270> [終値2872円]マツダ <7261> [終値492円]は新車投入効果で増益確保する可能性も。
富士通 <6702> [終値762円]IT(情報技術)投資の回復期待、
三菱電 <6503> [終値1269円]主力のファクトリーオートメーション(FA)機器の伸び期待から春以降の株価上昇基調。
15年3月期の業績予想が保守的と指摘される日立 <6501> [終値753円]NAND型フラッシュメモリー好調な東芝 <6502> [終値467円]の決算注目。
ソニー <6758> [終値1674円]本社の人員削減など構造改革の進捗とエレクトロニクス事業の回復シナリオ示せるかがポイント。
人員不足に伴う労務費の高騰が懸念材料も大林組 <1802> [終値697円]清水建 <1803> [終値697円]営業利益高い伸び見込まれる。
・中国経済、ずるずる滑り落ちる恐怖は遠のいたが、視界は相変わらず晴れず。
中国政府16日に4-6月の実質国内総生産(GDP)成長率。企業心理や生産は上向き始めたが、住宅市場の冷え込みが景気に重くのしかかっている。
・インド・モディ政権10日、発足後初の予算案発表。財政目標に疑心暗鬼。「総花的でロードマップがない」(インド産業連盟)との厳しい声も。
目標値達成する具体策には乏しかった。市場では予算案に対する期待と失望が入り混じり、SENSEX株価指数は取引時間中乱高下、終値前日下回る。
・発掘実力企業:営業最高益企業(6)コムチュア <3844> [終値1883円]2015年3月期連結営業利益前期比12%増、11億円の見込み。
3期連続過去最高更新。景気の復調でIT(情報技術)投資への意欲高まり、クラウド化の波が大企業中心に広がっているのは追い風。
一度システムを導入すると、使い勝手の改善や更新、運用・保守など、収益性の高いビジネスがついてくる。
米クラウド大手セールスフォース・ドットコムとの連携大きい。関連事業年2倍以上の成長続ける。
前期ROE(自己資本利益率)21%と東証1部情報・通信業の平均(10%)を大幅に上回る水準。
「10年以内に売上高1000億円目指す」創立30周年記念イベントで向浩一会長宣言。今期見通し比で10倍。株主還元も強化、株主優待実施検討。
・ファーストリテイリング <9983> [終値32855円]2013年9-14年5月期の連結決算、営業利益1362億円と前年同期比10%増。
ユニクロ事業国内外で伸び、売上高は9ヵ月間で初の1兆円超。純利益円安による為替差益小さく848億円と4%減少。
14年8月期通期の純利益予想前期比14%減、780億円と従来比100億円引き下げた。
アナリストらは損失は一過性で影響は軽微との見方が多く、国内ユニクロ事業の急回復ぶり評価する声相次ぐ。
・会社がわかる 特集クレディセゾン <8253> [終値2084円]インターネット関連ベンチャー企業と相次ぎ提携へ。
カード利用で得る手数料収入だけでは成長に限界がある。ネット事業拡大と海外展開、新規顧客開拓の3本柱を掲げ、収益源の拡大急ぐ。
・新興株市場に調整色が強まっている。米株式市場でネット関連株などが大幅安となり、日本の新興株にも売りが波及。
東証マザーズ10日まで6日連続で下落、週間ベースでは3%安。日経ジャスダック平均株価も2週間ぶりに下落。
スマートフォン(スマホ)向けゲームではガンホー <3765> [終値628円]が週間で6%安。タカラバイオ <4974> [終値1534円]が7%安。
売買も低調、マザーズとジャスダック合計売買代金先週、1日平均で2604億円と6月(3164億円)から約2割減。活況の目安3000億円下回る。
値動きが軽く、市場心理の変化を敏感に反映する新興株。当面はその動向がいつも以上に注目されそう。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万5000円前後でもみ合う展開となりそう。
日経平均株価は前週、アベノミクス相場が始まってから初となる5日続落。企業の4-6月期決算発表前に目立った材料見当たらないのも気懸り。
半面、相場の過熱感はかなり解消されたとの見方もあり、一方的な下げを警戒するようなムードでもない。
東証1部騰落レシオ(25日移動平均)は「過熱ゾーン」とされる120%以上の水準を1ヵ月ぶりに下回った。
16日発表、4-6月期の実質国内総生産(GDP)など中国の主要経済指標への注目度も高い。
・Wall Street:今週の米株式市場では重要材料目白押し。最大の関心ごとは金融やハイテク関連など米主要企業が発表する4-6月期決算。
株式相場は、業績や経営陣の発言注視した神経質な動きに。
15、16日イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言。金融政策の先行きにどう言及するか、発言内容に注目集まる。
ダウ工業株30種平均は先週1週間で124ドル(0.7%)下落。
決算発表は金融ではJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス、インテル、IBM、グーグルなどが予定。
金融決算は株式や債券の売買が停滞した影響で苦戦予想。ハイテク関連の決算は好調と。
経済指標では15日に6月米小売売上高、17日に6月米住宅着工件数発表。
・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派31% (前回比-27)弱気派35%(同+16)中立派34%(同+11)
・ランキング:JPX日経400採用銘柄の株価上昇ランキング。2013年12/30と14年7/11比較。JPX400算出開始日1/6から7/11までの指数騰落率は2.2%安。
東証株価指数(TOPIX)2.9%安、日経平均株価4.7%安。
1位東洋ゴム <5105> [終値1797円]株価上昇率50.00% ROE(自己資本利益率)8.4% 北米のタイヤ販売好調。
2位王将フード <9936> [終値4580円]42.24% 10.3% 株主還元積極姿勢。3位MonotaRO <3064> [終値3030円]41.72% 31.4% 通販好調。
10位岩谷産業 <8088> [終値730円]36.70% 10.8% 水素ステーションに期待。
15位エイチ・アイ・エス <9603> [終値3400円]29.52% 11.3% ハウテンボス人気が貢献。
17位花王 <4452> [終値4192円]26.65% 10.3% 消費増税後も業績堅調。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち19指数が下落。
上昇1位アルゼンチン週間騰落率8.4%(13年末比騰落率63.6%)2位インドネシア2.6%(17.7%)3位トルコ2.4%(17.1%)4位ロシア1.7%(▲4.1%)
下位25位ギリシャ▲7.1%(▲0.7%)24位スペイン▲4.3%(6.3%)23位インド▲3.6%(18.2%)16位日本▲1.8%(▲6.9%)11位米国▲0.7%(2.2%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン63.6% 2位インド18.2% 3位インドネシア17.7% 4位フィリピン17.2% 5位タイ16.9%
最下位日本▲6.9% 24位ロシア▲4.1% 23位上海▲3.3% 22位韓国▲1.1% 21位英国▲0.9% 20位米ギリシャ▲0.7% (日経ヴェリタス)
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