
扉を開いて(欧州綱渡りの恐怖)
- 2014年09月28日
- 株式投資・経済ニュース全般
2014年9月28日(日)曇り時々晴れ
・欧州 綱渡りの恐怖 渦巻くリスク、世界経済揺さぶる。
22日英小売り大手テスコ会計ミス「利益見通し2億5000万ポンド(450億円)過大に見積もる」として下方修正。売り上げ減少歯止めかからず。
1990年代に日本を覆った「価格破壊」の嵐が今、欧州を席巻。デフレの兆候は大陸欧州でより顕著。
ユーロ圏ではイタリヤやスペインなど18ヵ国のうち6ヵ国で消費者物価の伸び率がマイナス圏。
スコットランド騒動が地域の独立機運火をつけた。国家分裂は新たな危機の序章になるほどの威力持つ。
高まる地政学リスクの代償も小さくない。
「世界貿易ショック」。2015年世界の貿易額が通常シナリオより2%下振れすると、ユーロ圏域内総生産(GDP)を0.6%押し下げる。
脆弱な欧州景気を後退局面に陥れるには十分。ユーロ圏輸出は2ヵ月連続減少。ユーロ安の恩恵吹き飛ばしている。
世界金融危機、欧州債務危機に続く「景気の三番底」危機が迫る欧州。成り行きによって世界経済も大きく揺さぶられる。
・欧州 綱渡りの恐怖 ユーロ圏4つの火種
1.鳴り響くデフレ警報 政策総動員 足並みそろわず
英国7月の小売売上高を見た市場関係者の多くは驚き。食料品店の売上高は前年同月比1.3%減。1989年統計開始以来、初めて前年実績割り込む。
ユーロ圏はさらに深刻。「小売不況」示すデータには事欠かず。背景には高い失業率が購買力をそぎ、それが物価の下落招くという悪循環。
欧州中央銀行(ECB)が長期的なインフレ期待として注目しているのは、
5年後を起点にその後5年間の期待インフレ率を映し出す「ブレーク・イーブン・インフレ率」と呼ばれる指標。
この指標は最近みるみる低下、この8月に2%割り込む。「一気に低インフレ長期化への懸念がECB内で台頭した。」
4-6月期の国内総生産(GDP)、ドイツは前期比0.2%減。フランスはゼロ成長、イタリアに至ってはリセッション(景気後退)に陥った。
ユーロ圏のGDPの約3分の2を占めるこの3つの大国の自律回復なしには、欧州経済が夜明けを迎えることはない。
2年前の債務危機時に欧州を覆った悲観。再び戻ってきたこの嫌な空気に、市場も当局もたじろいでいる。
2.しぼまぬ独立機運 国家の弱体化迫る。
スコットランドの住民投票。国からの独立目指す機運が大陸欧州にも押し寄せている現実に、スペインのラホイ首相は不快感隠さない。
スペインからの独立で勢いづいているのは北東部のカタルーニャ州。スコットランドで独立否決されても機運しぼまず。
スコットランドの投票翌日19日には同州の議会が独立問う住民投票実施承認。
欧州のリーダーらが独立問題に怯える。独立阻止できても、できなくても、「国家弱体化」が待ち受ける。
3.強気のロシアと対峙 「新冷戦」不安、景気に暗雲。
ウクライナを紛争に巻き込み、メルケル独首相の説得にも耳を貸そうとしないプーチン大統領の強気な姿勢は欧州は戸惑い隠せない。
「親欧ではなかったのか」と思い知らされたのはこんな現実。
欧州連合(EU)の貿易取引に占めるロシアの割合は10%。これが滞るだけでも「企業や消費マインドへの影響は大きい」。
平和と安定を謳歌した時代が終りかねない恐怖が脳裏をかすめるようになっただけで、欧州の雰囲気はガラリと変わる。
「不安時代」の始まりに。独Ifo経済研究所の景況感指数はウクライナ危機が始まった春先から急降下が続く。
心理冷やしているのは、新興国にモノを輸出して稼ぐ北部欧州の成功モデルが通じなくなるとの不安。「独経済はもはや順調とはいえない」
盟主の陰りは南欧を泥沼から担ぎ上げる役者がいなくなることを意味する。
4.仏伊はマイナス成長圏。進まぬ雇用改革が壁。
イタリア・レンツィ首相が率いる中道左派・民主党の一派が23日、政府がまとめた雇用改革法案に対して修正案出すことを決めた。
阻止をもくろむのは、政府が経済再建へ死に物狂いで進めようとしている労働市場改革。
若年失業率が40%に上がる同国にとって、この改革は国の将来も左右する重みを持つ。
フランスも泥船状態。「経済状況は厳しいが改革をやり抜けば展望は開ける」。
18日オランド仏大統領は訴えた。労使関係の悪さは折り紙つき。事態打開の展望は開けていない。
10日、2014年実質成長率を1%から0.4%に引き下げ。
追い打ちをかけたのが、15年までに財政赤字をGDPの3%以下に削減する欧州連合(EU)との約束を守れそうにないという宣言。
改革の遅れは危機感の欠如という国内要因もあるが、欧州中央銀行(ECB)にも一因がある。
南欧国債を買い支えると表明した12年9月以降、大量のマネーが欧州の国際市場に流れこみ、
フランスとイタリアでは国債利回りがユーロ加盟後の最低水準に低下。緊張感を緩めることにつながっているから。
債務危機でスペインなどと並び問題国とみなされた仏伊両国。
市場の激しい攻撃にさらされて資金繰りに窮するような事態となれば、欧州安定メカニズム(EMS)の枠組みでは救うことが出来ない。
「大きすぎて救えない国」は自らを律して、機器突入回避することは出来るのだろうか。
・欧州 綱渡りの恐怖 ECB、量的緩和に現実味 3つの資金供給策には限界、12月天王山。
「バランスシートを2012年初頭の規模まで拡大させる」。4日ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁大見え切る。
12年初頭のECBの資産規模は3兆ユーロ、ここを目指すには足元の水準から1兆ユーロほど積み増す必要がある。
用意したツールは、長期資金供給オペ(TLTRO)資産担保証券(ABS)の買い入れ、カバードボンドと呼ばれる銀行社債の買い入れの3つ。
12月は欧州連合(EU)大統領にトゥスクし就任、EU新体制が発足。景気悪化に打つ手がなければ量的緩和求める声が高まるのは必至。
12/4の理事会でECBは量的緩和に踏み切るかどうか天王山を迎える。
・欧州 綱渡りの恐怖 つまずく欧州、世界経済に飛び火。
輸出低迷の新興国、ユーロ安も悪影響。
中国の貿易統計、8月の欧州向け輸出は12%増。7月の17%増から伸びが大きく落ち込む。
中国にとり欧州は輸出全体の15%占める重要な貿易相手の1つ。輸出にさらなる陰りが生じれば、先行きに不安が一気に膨らむ恐れがある。
欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策も波紋広げる。
欧州の輸出競争力強化につながるユーロ安引き起こし、新興国を貿易面で劣勢に立たせつつあるあるから。
デフレ回避は「欧州のためでも、世界経済のためでもある」。
・主な欧州関連銘柄
SHOEI <7839> [終値1845円]欧州売上高比率 45% 7月からの株価騰落率 18%
マキタ <6586> [終値6220円]43% ▲2% 日立工機 <6581> [終値956円]33% 9% コニカミノルタ <4902> [終値1233円]32% 21%
アルパイン <6816> [終値1815円]31% 22% キヤノン <7751> [終値3567.5円]30% 7% アシックス <7936> [終値2366円]28% 0%
任天堂 <7974> [終値12030円]28% ▲2% ジャパンディスプレイ <6740> [終値520円]27% ▲18%
・東京外国為替市場である異変。「逆張り」が定石だった個人投資家がこの数週間の円安局面で「順張り」に転じている。
伏線は8月、米連邦準備理事会(FRB)イエレン議長が22日の講演で「利上げが想定より早くなる可能性がある」と述べると、
1ドル=104円台へと円安に振れた。この間個人は円売りの持ち高を1週間で3割強減らし、今年最低水準になった。
ここで逆張りの原資が一気に減ったことになる。
これまで円安が進む場面では投機筋が円を売る一方、個人や輸出企業が買い向かう構図が多かった。
だが歯止め役の個人が円売り波に回ったことで需給のバランスが崩れ、円安が加速。
・日銀 <8301> [終値49000円]10/1、全国企業短期経済観測調査(短観)の9月調査結果発表。
前回の6月調査に引き続き、製造業、非製造業とも大企業の業況判断指数(DI)は悪化するとの見方が大勢。
さらに今週はスーパーや専門店など小売企業の決算発表本格化。増税だけでなく夏の天候不順響き、厳しい内容公表する例相次ぐと。
短観の先行きや小売企業の通期業績予想の方向性にも注目が集まる。
QUICKまとめた民間シンクタンク短観予想、大企業製造業DI、プラス10(予想平均値)で6月短観比2ポイント低下。
大企業非製造業の予想も3ポイント低下のプラス16。
・29日臨時国会召集。11/30までの63日間、経済関連法案の多さが目立つ。
市場が注目する法案は指定地域に限ってカジノ解禁する内容盛り込んだ「統合型リゾート(IR)推進法案」。今年6月に衆院で審議入り。
国家戦略特区法改正案、地方創生基本法案、女性活躍推進法案、労働者派遣法改正法案、官公需法改正案、空き家対策特別措置法案など。
・イオン <8267> [終値1107.5円]本業の総合スーパー(GMS)の再編に乗り出した。
24日ダイエー <8263> [終値127円]を株式交換で完全子会社化。グループ内に混在する店舗形態刷新。市場は懐疑的。
業績悪化懸念で株価は今期に入り、約1割下落。足元の業績を改善できなければ、投資家の支持を集めるのは難しく。
・発掘実力企業:営業最高益企業(15)クリーク・アンド・リバー <4763> [終値636円]業績拡大。
テレビ番組制作の請負案件増、テレビ局向け人材派遣事業が伸びる。
全国医療機関向けに医師を紹介する事業も好調に推移、2015年2月期連結営業利益前期比28%増の14億円と4期連続過去最高更新見通し。
現在NHK・民法キー局で放映する約45%の番組の制作に携わる。
近年業績拡大に貢献しているもう一つの柱が医師の紹介事業。
C&Rが持つネットワークには日本全国の勤務医の約4割となる6万3000人の医師が登録強みに、医療機関への紹介案件が伸びる。
往診医療サービスへの参入も検討。
「電子書籍の取次などの新規事業も軌道に乗り始め、成長期待が高まっており、今後も上昇余地がある」(立花証券入沢健アナリスト)
配当性向20〜30%目安に、今期年間配当6円、前期比1円増配。自社株買い「今後も状況に応じて行う可能性がある」(井川社長)。
・会社がわかる 特集三井海洋開発 <6269> [終値2901円]海洋油田向けプラント船で世界2位。
ブラジルでの海洋油田開発の活発化を追い風に2014年12月期売上高が前期比18%増の3000億円、純利益32%増の65億円と過去最高更新見込み。
同社の場合、受注好調と増資リスクが今のところ表裏一体な点。
浮体式海洋石油ガス生産貯蔵積出装置(FPSO)を現在主流のリース形式で受注した場合、
そのた出資者と構成する特別目的会社(SPC)に、同社も毎回数百億円規模の出資が必要になるため。
・海外市場で相場の一段高をにらんだ取引が広がっている。
日経平均オプション取引で、株価指数を一定の価格で買う権利(コールオプション)に資金が流入。
特に1万6500円や1万6750円など足元の相場よりもやや高い行使価格のコールに、海外投資家や個人の買いが集まっている。
日経平均株価は先週末に反落して終えたが、市場ではなお先高観が強い。
相場の先高感が強いと、コールの買いが増え、先安観が強いとプット(売る権利)の買いが増える傾向にある。
プットの未決済残高がほぼ横ばいで推移する一方、コールは増加。
コールの未決済残高をプットの残高で割った比率は、1倍割れが続いていたが、12日に4ヶ月ぶりに1倍台回復。その後も1倍付近での推移。
市場では1ドル=109円台と1ヵ月で5円以上も進んだ円安を背景に、企業業績の拡大期待が強まっている。
短期的には一段の円安・株高に振れる可能性もあるとみて、「(経済のマクロ指標などをもとに投資行動を決める)
グローバルマクロ系のヘッジファンドが1万6500〜1万8000円を中心にコールを買っている」(外資系証券の幹部)との声が出ている。
需給面の不安も浮上している。割高な先物を売り割安な現物を買う裁定取引が活発化。
東京証券取引所によると、裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)は19日で3兆6000億円と、約8ヵ月ぶりの高水準。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万6000円台前半中心に堅調に推移しそう。
高値警戒感も出ているが、円安による業績拡大期待を背景に、投資家の買い意欲は強い。
国内外の経済指標の結果次第で相場が神経質に反応する可能性も、緩やかな株高基調は続くとの見方が多い。
26日の米株は反発したため週明けの日本株は上げて始まる可能性が大きい。
今週は注目材料が目白押し。10/1に日銀が発表する9月の企業短期経済観測調査(短観)。
大企業の景気動向指数(DI)は6月調査のプラス12から小幅悪化が見込まれる。
「景気対策や日銀の追加緩和に対する期待感が強まり、相場支える」との指摘も。
週末にかけては売りに押されやすい展開も予想される。10/3夜には9月の米雇用統計発表。
2日の欧州中央銀行(ECB)理事会では資産担保証券(ABS)買い取りオペレーション(公開市場操作)の詳細が示される予定。
量的緩和に関するドラギ総裁の発言も注目。
・Wall Street:中東発の地政学リスクの高まりで乱高下していり米株式相場が落ち着き取り戻せるかが今週の焦点。
10/3発表の9月の米雇用統計に関心が集中。
先週はダウ工業株30種平均の変動幅は5営業日すべてで100ドルを上回った(下落3日、上昇2日)。
米量的緩和的策(QE)の縮小開始観測で相場が動揺した昨年6月以来の現象。テロとの戦いの戦線拡大に投資家の警戒感強まった。
もっとも先週は米国景気の回復ぶりを示す指標も相次ぐ。「期待外れ」(イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長)だった住宅販売が一転急増。
4-6月期の米国内総生産(GDP)も上昇修正。9月雇用統計もその流れ引き継げるかどうか。
非農業部門雇用者草加数8月に14万人台とさえない結果。市場は「集計上のノイズ」と気にしなかったが、2ヵ月不振が続けば話は違ってくる。
「20万人台」の成否がポイント。
2日は欧州中央銀行(ECB)理事会。ドラギ総裁のQE導入に対する認識が前向きなものであれば、ポジティブサプライズとなりそう。
・ランキング:今年度上半期上昇ランキング 時価総額100億円以上上場企業対象、3月末比株価上昇率。日経平均株価は半年間で9%上昇。
1位アドテックプラズマテクノロジー <6668> [終値24000円]騰落率566.7% 半導体向け電源の販売伸びる。上方修正が切っ掛け。
2位アクセルマーク <3624> [終値3995円]470.7% 新作ゲームの貢献始まる。
3位ミクシィ <2121> [終値5690円]400.0% スマートフォン(スマホ)向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」大ヒット。
10位クラリオン <6796> [終値464円]186.4% 自動車周辺認識する車載カメラの販売好調、受注増見込む。
13位サマンサタバサ <7829> [終値1106円]176.5% 若い女性向け中心とするバック販売大手、消費増税後も売れ行き好調。
田淵電機 <6624> [終値1533円]112.6% 太陽光普及で「パワーコンディショナー」扱い、業績拡大期待。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち22指数が下落。
上昇1位アルゼンチン週間騰落率8.2%(13年末比騰落率132.5%)2位タイ1.0%(23.2%)3位上海0.8%(11.0%)5位日本▲0.6%(▲0.4%)
下位25位ギリシャ▲5.4%(▲6.6%)24位南アフリカ▲3.6%(7.3%)23位ドイツ▲3.2%(▲0.6%)22位トルコ▲3.0%(10.1%)7位米国▲1.0%(3.2%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン132.5% 2位インド25.8% 3位フィリピン23.3% 4位タイ23.2% 5位インドネシア20.1%
最下位ロシア▲19.9% 24位ギリシャ▲6.6% 23位英国▲1.5% 22位オーストラリア▲0.7% 21位ドイツ韓国▲0.6% 20位日本▲0.4%
(日経ヴェリタス)
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