
扉を開いて(日銀2%の呪縛)
- 2014年10月26日
- 株式投資・経済ニュース全般
2014年月日(日)曇りのち雨
・日銀、2%の呪縛 ゆがむ市場、相次ぐマイナス金利
日銀 <8301> [終値48350円]9/9のオペ(公開市場操作)で、短期国債をマイナス金利で買い入れ、市場には衝撃走った。
債券市場では金利低下(価格上昇)に拍車、財務省今月23日実施した新規発行の3ヵ月物国債入札は、金利初めてマイナスに。
借金する国が「利子を受け取る」異例の事態。上場投資信託(ETF)は買い入れを続けた結果、日銀の時価ベース保有額は市場全体の約5割に達する。
物価上昇率は8月に消費増税の影響除いたベースで前年同月比で1%前半まで鈍化し、日銀目標とする「2%」には遠く及ばない。
4-6月期実質国内総生産(GDP)は年率で7.1%減と「プチ景気後退」とも指摘。
安倍晋三首相は年内に、予定通り来年10月に消費税率10%に引き上げるかどうか判断。政府・日銀が景気テコ入れへ追加策打ち出すとの見方根強い。
「消費再増税の環境整えるために追加緩和するという発想はない」と日銀幹部。
そこで「来年1月緩和説」浮上。消費増税決まった後なら日銀の独立性という看板に傷つくこともない。
マイナス金利が続けば、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などの運用が困難になり、個人投資家も損失被りかねない。
足元の日本経済にとって、人手不足などの供給力要因が問題になっている。この局面で金融政策強化しても「副作用の方が大きい」との指摘も。
日銀31日、金融政策決定会合で14年度の成長率予測引き下げる一方、「2年で2%」の目標は堅持する見通し。
日銀は緩和の功罪を両にらみしながら、一段と険しい道のりを進んでいく。
・日銀、2%の呪縛 副作用も異次元。
金利もらって借金、債券市場、緩む規律。日銀が昨年4月に導入した異次元緩和。
年間60兆〜70兆円のペースでマネタリーベース(資金供給量)を増やす目標に、国債や上場投資信託(ETF)などの大量買い入れ続けている。
日銀の資産は急膨張、国内総生産(GDP)比で5割超の規模に達した。
想定外の水準まで金利低下が進む債券市場。関係者「市場が機能しなくなった」との声が確実に増えている。
将来的には「市場機能喪失による金利急騰リスク」が懸念されるとも。
日銀が支配強める債券市場。
何らかのショックに見舞われてたり、あるいは量的緩和を将来終了する際に、予想を超えた混乱が生じる恐れも否定しきれず。
・日銀、2%の呪縛 ETF、日銀が5割保有。不動産投資信託(REIT)、国内外勢そろって買い越しの怪。
ある珍現象が不動産投資信託(REIT)市場で話題、東証が9/12発表、REITの8月分の投資主体別売買状況、
「投資信託」と「銀行」、「生保・損保」、信用金庫など「その他金融機関」がそろって買い越し。
これら5つの投資主体が軒並み買い越すのは、過去10年(120ヶ月)でわずか4回。売り手は「個人」、公募増資などで買ったREITの利益確定。
「日本ビルファンド <8951> [終値553000円]=5%弱、オリックス不動産投資法人 <8954> [終値140600円]=2%弱・・・」
各REITの日銀による保有比率で5%がその上限。保有枠に余裕がある銘柄を先回りして買っておき、最後は日銀に売却する段取り。
上場投資信託(ETF)市場でも、買い入れ続ける日銀の存在感は日々強まっている。
日銀のETF保有残高は簿価ベースで約3兆円に到達。時価換算(市場推計)、約4兆4000億円と指数連動型上場投資信託(ETF)全体の5割程度と。
20兆円以上抱える年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や8兆円弱の日本生命保険に次ぐ、「ニッポン株式会社の大株主」となっている。
「日銀のETF買いは投資家の買い安心感を醸成し、下値を切り上げる要因となっている」と。
・日銀、2%の呪縛 物価上昇率は防衛ライン目前。実質賃金、最大の減少。
8月の消費者物価指数(CPI)前年同月比3.3%のプラス、直近ピークの5月から0.4ポイント低下。消費増税の影響除くと物価上昇率は1.3%と、
黒田東彦日銀総裁が「割ることはない」と繰り返してきた1%の防衛ラインは目前。「追加緩和必要」との声も一部出る。
CPIの鈍化する要因、まず原油価格の下落。WTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)足元1バレル81ドル程度、5月比2割程度安く。
もう一つは消費増税による打撃。実質賃金は4月以降、8月まで5ヵ月連続で前年同月比3%台のマイナス続く。この結果節約志向、日用品価格下落へ。
いまの日本経済にとって「最大の問題は供給力不足」。
長期のデフレ・景気低迷受けて企業は生産能力を絞り続け、少子高齢化によって働き手も減少。
景気のもたつき受け、9月の日銀短観では全規模・全産業の業況判断DIが小幅に悪化したのに、雇用人員判断DIが示す人手不足感はさらに強まった。
・日銀、2%の呪縛 「年度内に追加緩和」が過半。
市場アンケート、国債買い入れ拡大は少数派。
「次の一手」日銀ウォッチャーや市場関係者21人い緊急アンケート、2014年度内に追加緩和に踏み切るとの回答が11人と全体の過半数。
動いた場合、その中身は。14人回答で上場投資信託(ETF)など「リスク資産の買い入れ拡大」。
「JPX日経インデックス400に連動したETFなど買入れ対象の多様化図る」とのアイデアも。
次の回答が多かったのが「物価目標の達成時期をあとにずらす」こと。
国債買い入れ「拡大する」との回答9人。
一方、追加緩和は「ない」との回答は7人と、3割強占めた。理由は現状維持でも日銀は物価目標達成できるとの見方。
緩和の副作用を重く見る向きもある。
追加緩和への根強い期待と副作用への警戒感がアンケートからは読み取れる。金融政策の手綱さばきはますます難しくなっている。
・ユーロが対ドルで弱含んでいる。ユーロ安を誘う材料が多く並んでいることから、市場では長期的なユーロ安を見込む声が増えている。
ユーロ売り誘ったのは、欧州中央銀行(ECB)が追加緩和策として社債の購入検討しているとの21日の報道。
欧米の金融政策の方向性の違いも売り材料。米連邦準備理事会(FRB)は月内にも量的金融緩和第3弾(QE3)終了する予定。次は利上げに。
さらなる金融緩和見込むECBとの姿勢の違いは一段と鮮明になる。年内1ユーロ=1.24ドルまで下落するとの声が多い。
・米利上げ時期、再び焦点。
米連邦準備理事会(FRB)は28、29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)開く。一昨年秋に始めた量的金融緩和第3弾(QE3)の終了決める見通し。
欧州や中国の景気減速懸念がくすぶる中、量的緩和策の終了前にした10月半ば、世界の市場混乱に直面。
米エコノミストらの間では予定通りQE3は終わるとの見方が圧倒的。
9月のFOMC声明では、量的緩和策の終了から「相当の期間」事実上のゼロ金利政策維持するとした文言堅持。
「相当な期間」の言い回しがどう変わるか市場は注目。今回記者会見は予定されてなく、投資家は29日公表される声明のみが頼り。
翌30日発表される7-9月期米国内総生産(GDP)速報値も、米経済の状況と利上げ時期占う材料となりそう。
・中国23日閉幕した共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で「法による統治」強化打ち出す。経済立て直しは同国にとって喫緊課題。
インフラ・住宅投資に代わるけん引役育成急ぐ。
公平なルール整備、将来のイノベーション(技術革命)もたらすような設備投資や研究開発促す努力が欠かせない。
・富士フイルム <4901> [終値3587.5円]西アフリカ中心にエボラ出血熱の感染が拡大していることを受け、熱い視線。
製薬子会社開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」が、エボラ出血熱にも効くと指摘。利益への寄与は10億円程度。
今秋新しい経営計画公表予定、さらなるM&A(買収・合併)など、ヘルスケア事業の売上高1兆円達成に向け具体的な成長戦略示すことは不可欠に。
・発掘実力企業:上場5年以内の成長銘柄(1)エニグモ <3665> [終値1135円]
人気サイト「BUYMA(バイマ)」サイト運営。出品者と購入者の個人間取引仲介するユニークな事業モデル、業績急拡大。
バイマの特徴は商品の買い付けから値付け・発送まで「パーソナルショッパー」と呼ぶ個人が行うこと。
エニグモは決済代行、出品者と購入者からそれぞれ取引価格の5〜7%の手数料得る。
パーソナルショッパーは海外で働く駐在員の配偶者中心に世界109ヵ国、6万人以上にのぼる。バイマ登録会員数は年間3〜4割ペースで増加。
今年8月200万人超。希少性の高い商品を日本にいながら手ごろな値段で買えることは評判、取引総額年間200億円超える見込み。
個人間取引につきものの金銭トラブルに対し、補償体制整え、顧客の安心感につながる。
8月から地域限定でテレビCM放映。知名度高まってきた。去年から今年にかけ韓国・米国でも現地版バイマ開き、
日本語のコンテンツをネット上で翻訳し販売する電子書籍サイトや、中古品扱うフリマアプリも手掛ける。
中期経営計画2017年1月期営業利益30億円、19年1月期同50億円を掲げる。
・日本電産 <6594> [終値6908円]22日発表、2014年4-9月期連結決算、
自動車や家電向けモーターなどがけん引、純利益前年同期比37%増の372億円と6年ぶりに最高益更新。
四半期ごとの恒例化した「通期予想の上方修正」なく、発表翌日の株価4%安。
永守重信会長兼社長、企業買収に意欲見せ、成長継続に自信。
現預金残高2772億円と過去最高水準、資金調達環境も整い大規模なM&A(買収・合併)事業拡大へ意欲。
・会社がわかる 特集三井金属 <5706> [終値268円]スマートフォン(スマホ)や自動車向けの金属材料・製品で3つの「世界シェア1位」商品持つ。
知る人が知るグローバルニッチ(隙間)企業。
スマホの心臓部半導体の回路基板に貼り付ける極薄銅箔「マイクロシン」世界シェア9割。
二輪車の排ガス浄化触媒も世界シェア6割。自動車用ドアロック、スライドドアに使うサイドドアロック世界シェア2割弱と首位。
2016年3月から三井金が約4ぶんの1の権益持つチリのカセロネス銅鉱山の収益が、通期で貢献する。銅価格に変動に収益左右されることにも。
・世界の株式市場で荒い値動きが続く中、投資家の安全志向強めている。
先週(20-24日)の1週間で759円(5.2%)高と反発、今年最大の上げ幅記録した日経平均株価。主力株でも株価の戻りには差が出ている。
起きているのは自己資本利益率(ROE)の高い銘柄など集中的に買われる「質への逃避」。
足元で買われているのはもともと高値圏であった銘柄が中心。売られすぎと思われる銘柄を拾い上げる動きは鈍い。
良品計画 <7453> [終値14400円]エービーシー・マート <2670> [終値6000円]象徴。ROE2ケタで22日から24日、年初来高値更新。
一方、PBR(株価純資産倍率)1倍割れの野村不 <3231> [終値1651円]オリックス <8591> [終値1310.0円]は前週一段安、年種来安値。
東証1部上場銘柄対象に9/25~の騰落率、PBR2倍以上、ROE8%以上の銘柄は平均で6%安と全体相場(7.7%安)より下げが小さい。
一方PBR1倍未満、ROE5%未満の銘柄は8%安。多少割高でも収益力のしっかりした銘柄を買うマネーの安全志向が見て取れる。
今週も重要イベント、26日欧州中央銀行(ECB)域内銀行対象とした資産健全性審査結果公表。
28〜29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)。
今週から国内企業の4-9月期決算発表本格化。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は強含む展開か。米国の景気回復懸念が後退、円相場の上昇には一服感も。
国内外で相次ぐ主力企業の決算発表への期待感も株式相場支えそう。エボラ出血熱の感染拡大などの悪材料も多い。
28〜29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)控え、週前半は神経質な展開となる可能性も。
前週(20〜24日)の日経平均は759円上昇、前の週(14〜17日)の下げ幅ほぼ打ち消した。
「ヘッジファンドによる持ち高調整の売りは一巡してきた」との指摘も。国内年金や個人投資家の買い越しも目立ってきた。
31日日銀金融政策決定会合。会合後に黒田東彦日銀総裁の会見に注目。
・Wall Street:今週は国際的な注目イベント相次ぐ。
米株式相場への影響想定されるのが米連邦公開市場委員会(FOMC)。29日会合終了後に声明文が焦点。
先週の米株式相場は今年最大の上げ幅記録。
30日発表の7-9月期米国内総生産(GDP 速報値)も注目。
前期比年率で実質3%(4-6月は4.6%)の「高成長」が見込まれ、3%を下回るようだと失望感。
欧州では26日ユーロ圏大手銀行ストレステストの結果が出る。
26日ブラジル大統領の決算投票実施。
・ランキング:配当利回りが高く割安な2月期決算企業ランキング 予想PER(株価収益率)が15倍以下対象。
1位ありがとうサービス <3177> [終値2119円]配当利回り3.870% 年間配当前期実績から7円増やす。
2位富士エレク <9883> [終値1316円]3.799% 情報機器向けメモリー販売増。
3位キリン堂HD <3194> [終値668円]3.743% 4位和田興産 <8931> [終値650円]3.385%
5位アルバイトタイムス <2341> [終値272円]3.309% 雇用改善、業績の伸び期待。予想PER(株価収益率)10倍台と割安。
25位岡谷鋼機 <7485> [終値6950円]2.158% 名証で上場、売買広がりにくく。
28位パルコ <8251> [終値868円]2.074% 都市部好調、地方の回復が焦点。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち21指数が上昇。
上昇1位ギリシャ週間騰落率6.4%(13年末比騰落率▲14.7%)2位日本5.2%(▲6.1%)3位トルコ5.1%(+17.1%)9位米国2.6%(1.4%)
下位25位ブラジル▲6.8%(+0.8%)24位ロシア▲3.4%(▲28.1%)23位上海▲1.7%(8.8%)22位南アフリカ▲0.1%(2.9%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン95.8% 2位インド26.8% 3位フィリピン20.6% 4位インドネシア18.7% 5位タイ18.6%
最下位ロシア▲28.1% 24位ギリシャ▲14.7% 23位日本▲6.1% 22位ドイツ▲5.9% 21位英国▲5.3% 20位韓国▲4.3%
・円乱高下、輸入企業どう動く。
ニトリ <9843> [終値6560円]為替対応5カ条
一、前の期に比べ5円以上の円安・ドル高になる前に予約を完了
一、3〜5年の円相場トレンドを見据える。3ヵ月ごとに方針決定
一、米国経済、金融政策の動向を重視して潮目をとらえる
一、要人発言などによる短期的な振れに一喜一憂しない
一、金融機関やアナリストの円相場見通しは参考にしない
1ドル=1円の円高で営業利益14億円増え、円安なら同額に利益が減る。
「少なくとも向こう2年は円安が続くと見る。過去5年円高が続けば、その後3〜4年は円安続くのが経験則」
エービーシー・マート <2670> [終値6000円]いまのところ静観の構え。円安が進むと訪日外国人の購買力高まる。
「1ドル=110円ぐらいまでの水準であれば仕入れコストの増加吸収できる」
ファーストリテイリング <9983> [終値36745円]為替予約を2〜3年の比較的長めの期間で実施、相場変動に応じて定期的に見直し。
円安は海外事業にとって追い風、従来t比べ円安進行が損益に与える影響は全体でみて大きくないという見方も。
青山商事 <8219> [終値2545円]店頭で扱う商品の9割は輸入。新たな為替予約は控える方針。
かつて長期為替予約に伴い多額のデリバティブ(金融派生商品)評価損出したけいいがあり、
予約に頼らず生産コストの安い東南アジアへの生産移管や販売価格への転嫁で吸収する考え。
ANAHD <9202> [終値244.2円]2015年3月期に必要な為替取引の75%分、日本航空 <6201> [終値2878円]は85%分為替予約。
16年3月期についてもともに4割予約済み。
主要企業、今後の円相場、輸入企業は2015年にかけて1ドル=115円まで円安・ドル高進むとの回答が大勢占める。
円高方向では105円までとの回答が多く、100円超える円高想定する企業はなし。(日経ヴェリタス)
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株式会社アスリーム
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