
扉を開いて(衆院解散 市場も走る)
- 2014年11月16日
- 株式投資・経済ニュース全般
2014年11月16日(日)晴れ時々曇り
・衆院解散 市場も走る。増税先送りで円安・株高、波乱の予兆も。
追加緩和の熱狂が冷め切らないうちに突風のように吹き始めた解散風。消費再増税延期・衆院解散にらんだ投資戦略に動き出した。
現在議席数は自民294、公明31。選挙は波乱がつきものも、議席多少減らしても与党優勢は揺るがないとの見方が市場では大勢。
急速に進む円安・株高の背景にはアベノミクス第2幕への期待感がある。
日経平均株価先週1週間で610円(3.6%)上昇。14日には取引時間中に1万7520円まで上げた。
市場では近いうちに1万8000円に到達、さらに第1次安倍政権での高値1万8261円うかがうとの声もある。
アベノミクス最大の成果の円安進行。それを演出した日銀との連携に溝が出来る懸念浮上。
1ドル=116円台まで一気に進んだ円安に、日本売りの兆しを指摘する声もある。
アベノミクスの先行きはこれまで以上に波乱含み。
・衆院解散 市場も走る。アベノミクスの行く先は。増税延期解散というリアリズム。
今を選ぶのは、16年12月の衆院任期満了から日程を逆算して「早いうちの解散が最も勝算が立つ」と判断したから。政権維持のリアリズム。
足元の株価好調頼りにしての「早いうち解散」はじり貧リスクを極小化する合理的な選択肢にも見えてくる。
再増税延期なら、社会保障・税一体改革を巡る自民、公明、民主の3党動意の骨格修正。解散・総選挙で信を問う旗印にもなる。
11/17のGDP速報値の発表直後に再増税延期決め、間髪入れず年末総選挙に打って出る「奇襲作戦」が視野に入った。
安倍晋三首相は17日、帰国する。
・衆院解散 市場も走る。7-9月GDP、回復望み薄。個人消費に弱さ、人手不足も重荷。
7-9月期実質GDPの民間予想は中央値が年率換算で前期比2.0%増。当初の年率で前期比4%程度の成長と見られていた。
民間予想では個人消費の弱さが目を引く。台風や集中豪雨など夏場の天候不順が響くも、増税の影響で消費者の心理が冷え込んでいる可能性高い。
GDPの成長率を大きく下押しするのは民間在庫。予測では7-9月期のGDPを0.2%押し下げるとの見方が多い。
輸出の伸びも限定的。7-9月期の輸出は民間予測の中央値が前期比1.0%増。輸出企業は現地生産を進めている。
失業率が3%台半ばで推移し、有効求人倍率も1倍台維持するなど、雇用面では人手不足が続いている。
設備投資は堅調、在庫調整も一巡しつつある。「プチ景気後退」局面は足元で反転しているとの見方も一部にある。
・衆院解散 市場も走る。内需関連株が軒並み上昇。政策期待で教育や建設にも物色余地。
10月末の日銀「ハロウィーン緩和」に続き、大きなサプライズとなった解散総選挙と消費再増税の延期観測。
にわかに「海外投資家には日本株の持ち高を改めて高めるほかはないとのムードがでてきた」とも。
時価総額3000億円以上の東証1部銘柄対象、先週の株価上昇率(7日と14日の終値比較)ランキング、上位に小売り、住宅、不動産目立つ。
4月の消費増税の影響で国内景気が予想外に冷え込み、内需関連株は出遅れが目立っていたものも買いやすい要因。
1位大陽日酸 <4091> [終値1290円]株価上昇率20.8% 2位飯田GHD <3291> [終値1406円]18.8% 3位しまむら <8227> [終値11180円]16.7%
4位ネクソン <3659> [終値1167円]16.0% 住友鉱 <5713> [終値1702.5円]13.9% 6位高島屋 <8233> [終値1069円]13.4%
・ロシアの通貨、ルーブルの対ドル相場が下落続けている。14日、1ドル=47ルーブル台まで下がり、終値ベースで過去最安値更新。
ロシア中央銀行は10日、ルーブルを変動相場制に移行。
ロシアの経済実態に変化はなく、逆に変動幅の撤退で無制限にルーブル安が進むとの観測から再びルーブル売りが優勢となり、
ロシア中銀の賭けは早くも裏目に出た。もし「ルーブル危機」が再来するなら、世界経済も悪影響から免れない。
・上場企業の2014年4-9月期決算発表がほぼ出そろった。経常利益は前年同期比で1割程度のの増益で、海外での需要増や円安の進行が支えた。
足元の為替レートは企業の想定超えて円安が進んでいる。
輸出企業の上振れで15年3月期の企業業績は連結経常利益が金融危機前の08年3月期の過去最高益更新するのが確実に。
トヨタ <7203> [終値6969円]マツダ <7261> [終値2782.0円]は北米の自動車販売好調が業績押し上げ。
セイコーエプソン <6724> [終値5090円]は新興国で拡大するプリンターの需要取り込み、大幅増益となった。
ファナック <6954> [終値20590円]ファクトリーオートメーション(FA)機器などが好調で、
純利益は943億円と前年同期比88%増、4-9月期として3期ぶりに過去最高更新。
三菱電機 <6503> [終値1431.5円]もスマートフォン(スマホ)関連での生産設備の自動化投資が拡大しFA危機が好調。
消費増税先送り観測で、国内消費低迷の懸念は和らいでいる。円安進行も踏まえると、業績が大きく上振れる可能性も高まっている。
・中国経済の減速 一段と鮮明に。強気の習近平国家主席、語らぬ次の成長けん引役。
国家統計局13日発表、1-10月の固定資産投資額は伸び率が約13年ぶりの低水準。政府目標7.5%成長の達成は難しくなりつつある。
・日揮 <1963> [終値2808.0円]などプラント大手3社の2014年4-9月期連結決算13日出そろう。
決算数値からは株式市場を覆っていたロシアやイラクなどの地政学リスクの後退も読み取れた。
各社とも先行き慎重なスタンス崩さず、株価の反応も鈍い。背後には原油安が影響も。
・発掘実力企業:上場5年以内の成長銘柄(2)日本アクア <1429> [終値3630円]住宅向け断熱材の販売・施工手掛ける。
独自のウレタン断熱材「アクアフォーム」。作業単純で工期短くて済み、人手もかからない。
足元で強化しているのはマンションやビルなど鉄筋建築向けの断熱材工事。
木造住宅向けのシェア拡大はしばらく続きそうだが、将来は人口減少で住宅市場の拡大が頭打ちになるとみて、新規市場の開拓急ぐ。
・2014年4-9月期のゼネコン決算は首都圏の再開発需要など受け、業績の上方修正の連続。通期で上振れ余地のある企業も多い。
鹿島 <1812> [終値469円]は過去に受注した工事で想定外の労務コスト負担が増え、業績を下方修正。
・ブリヂストン <5108> [終値3881.5円]2014年1-9月期の連結決算、純利益が前年同期比15%増の2256億円と1-9月期で過去最高更新。
北米事業の好調が全体をけん引。原材料価格の低下、円安が続けば、14年12月期通期の業績が上振れる可能性が大きい。
・会社がわかる 特集豊田通商 <8015> [終値3881.5円]自動車以外の分野でも存在感。
約2300億円投じて買収した仏商社のCFAO活用、アフリカでのビジネスを強化。
エネルギーや資源開発、さらに生活・環境分野への投資も積極的に進める。
トヨタ <7203> [終値6969円]の先兵の役割だけでなく、総合商社として力の底上げ目指す。
本籍トヨタ、現住所商社の姿勢。「配当性向は最低25%を維持」。
・犬や猫などの医療費補償するペット保険市場が急拡大。背景はペットの健康に気を配る飼い主の増加や、ペットの高齢化に伴う医療費の高額化。
国内大手でペット保険に参入したのは、あいおいニッセイ同和損害保険。
T&Dホールディングス <8795> [終値1447.5円]がペット保険扱う少額短期保険会社買収。外資ではアクサ損害保険が力入れる。
これまでペット保険リードしてきた専業のアニコム損害保険も獲得した6割のシェアを新規参入組に譲るつもりはない。
親会社アニコムHD <8715> [終値1433円]の株価も上昇基調。
・日本株市場で高値警戒感が広がっている。日経平均株価は追加緩和が決まった10/31から11/14までの2週間で1832円(11.7%)上昇。
テクニカル分析では、複数の指標で過熱シグナルが点灯。市場では「いったん調整があってもおかしくない」との声も。
日経平均は4日続伸、2007年7月以来、7年4ヵ月ぶりの高値。25日移動平均線からのかい離率は10.03%と昨年5/22(10.06%)以来の高水準。
株価の勢い示す相対力指数(RSI)も、日経平均が「買われすぎ」にあることを示す。
14日間ベースの指数は14日時点で89%に達し、一般的に「買われすぎ」の目安とされる70%を上回る。
足元の相場が先物主導で急伸していることも気にかける市場関係者も多い。
NT倍率は昨年末以来の水準まで上昇。「株価上昇は続かなそう」との声も多い。
東証1部今期予想PER(株価収益率)は14日、平均17.2倍まで拡大。米国17.4倍(13日時点)に迫る。
・原油価格が一段安。国際指標の北海ブレンド原油は13日1バレル77ドルまで下落、約4年ぶりの安値。
石油輸出国機構(OPEC)が27日、生産枠の引き下げ見送るとの観測強まっているため。直近高値を付けた6月下旬から3割下落。
サウジアラビアだんまり。
「原油安によってシェールオイルの増産続ける米国に打撃与える一方、政治的に対立するイランをけん制するため」との思惑が浮かぶ。
原油の消費国が多い北半球は今後冬場入り、暖房用の需要が増加する。
もし暖冬で季節需要が期待外れに終われば、原油価格の下落に拍車がかかる懸念もある。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は変動の激しい相場展開が続きそう。
先週までに衆院解散・総選挙や消費増税見送りなどの材料を織り込み、この1ヵ月で3000円近く上昇。市場関係者からは利食い売り警戒。
売買は活発、一時的に1万8000円に迫る可能性も否定できず。10月半ば以降、外国人が買い、個人が売るいつものパターンで急ピッチで上昇。
下値のめどは1万7100円前後とみる市場関係者が多かった。
「選挙後に安倍晋三政権が長期安定政権になり、各種の経済政策が前進するとの期待が高まっている」。
下げ局面では活発な買いが入り、一時的に上値を追う可能性もある。
・Wall Street:今週の米株式相場は過去最高値圏で底堅く推移しそう。
順調に続く米景気の拡大背景に強気の見方が多く、下値不安は小さい。
19日公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録注目。
先週(10〜14日)のダウ工業株30種平均は週間で60ドル高と4週連続で上昇。
17日にはニューヨーク連銀の製造業景気指数が公表。事前の市場予想はおよそ12、前月の6.2から改善見込む。
・ランキング:決算発表一段落。通期予想に対し営業利益の進捗率が高い銘柄ランキング。上位には不動産や運輸、電子部品関連が目立つ。
トップ、プレサンスコーポ <3254> [終値3400円]営業進捗率104.7% 近畿や東海地方での分譲マンション販売好調。
2位富士機械製造 <6134> [終値1079円]86.5% 3位戸田建設 <1860> [終値467円]78.2%
4位江崎グリコ <2206> [終値4265円]75.9% アジアでの収益上向く。10日に冷菓値上げ、収益改善につながる可能性も好感。
9位川崎汽船 <9107> [終値292円]69.2% 追い風は円安と燃料安。下期想定為替レート1ドル=105円。
14位WOWOW <4839> [終値5050円]64.9% 全米オープンで錦織圭選手大活躍。開局以来の新規加入。
18位東日本旅客鉄道 <9020> [終値8947円]63.4% 訪日外国人の増加や雇用環境の改善による定期券販売伸び、鉄道収入堅調。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち18指数が上昇。
上昇1位トルコ週間騰落率4.2%(13年末比騰落率19.8%)2位日本3.6%(7.4%)3位上海2.5%(17.1%)4位香港2.3%(3.4%)
下位25位アルゼンチン▲7.9%(80.9%)24位ブラジル▲2.7%(0.5%)23位ギリシャ▲2.2%(▲23.4%)14位米国0.3%(6.4%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン80.9% 2位インド32.5% 3位フィリピン22.5% 4位タイ21.3% 5位トルコ19.8%
最下位ロシア▲29.8% 24位ギリシャ▲23.4% 23位韓国▲3.3% 22位ドイツ▲3.1% 21位フランス▲2.2% 20位英国▲1.4%
・不動産投資信託(REIT)投資、日銀追加緩和で買い入れ額は3倍、年900億円に。
どんな銘柄がどの程度買われるか。不動産価格への影響は。買い入れのルール検証。
2014年は年後半からの緩和拡大なので、11月、12月は買い入れペース速め年間では400億円購入する。
15年は通年で900億円買う計画、順調なら同年末には日銀のREIT保有残高は2700億円に達する見通し。
日銀の買い付けがある日は午前の取引で東証REIT指数が必ず下落している。今回の金融緩和後12億円買い入れ。
どの銘柄を買うかは、格付けダブルA格相当以上。日銀は各REITの時価総額5%以下までしか買わないという「縛り」も設けている。
日本ビルファンド <8951> [終値610000円]ジャパンリアルエステイト <8952> [終値586000円]
保有率5%近くに達し、買い入れ対象から外れているようだと。
上場から日が浅い銘柄は買い入れ余地が残りやすい。
日本プロロジスリート <3283> [終値257400円]野村不動産マスターファンド <3285> [終値145000円]は日銀保有率1%未満。
イオンリート <3292> [終値159500円]はダブルA格も、10月末時点では買い入れ実績なし。
最短で2年後に買い増せなくなる可能性があり、日銀が早晩、REIT買い入れの条件の緩和迫られるとの見方浮上。格付けをシングルAまで広げる案。
ジャパン・ホテル・リート <8985> [終値71700円]や平和不動産リート <8966> [終値91900円]など11銘柄対象に。
「東証REIT指数に連動する上場投資信託(ETF)を買い入れ対象に加える」とのアイデアも。
REIT指数連動型のETFは「NEXT FUNDS東証REIT指数連動型上場投信」 <1343> [終値1844円]など4本。 (日経ヴェリタス)
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