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扉を開いて(ドル独歩高の危うさ)

2014年12月7日(日)晴れのち曇り

・ドル独歩高の危うさ 120円時代の裏側、ひずむ市場。
 1ドル=119円90銭前後での膠着が午前9時から14時間も続いた4日の円相場。
 舞台裏は複数の外為関係者は数千億円もの円買い・ドル売り注文を特定の水準で出した大口投資家らと、
 円安の流れは変わらないと見る市場参加者との戦い。
 大きな流れには勝てず、午後11時過ぎ円相場は7年ぶりに「120円時台」に舞い戻る。
 原動力は金融政策の二極化。欧州中央銀行(ECB)は4日に国債買い取る量的緩和を踏みとどまったが、
 「来年初め」に決断するとドラギ総裁は明言。日銀 <8301> [終値49000円]も緩和路線突き進む。
 対照的に景気の順調な回復で利上げが視野に入るのが米国。

 投資先を冷徹な目で選ぶマネーが今向かうのは米国。ドルへの資金流入が止まらない。
 一人勝ちの色彩が強まる米国。似たような状況が1990年代にもあった。
 ドイツは東西ドイツの統一に手間取り経済低迷。世界の工場として急成長した日本もバブル崩壊で失速。 
 ドイツを今の欧州、日本を中国に置き換えれば構図はさほど変わらず。「90年代にうまく機能した投資戦略を参考にしている」。

 欧州や新興・資源国が揺らげば、影響は米国にも跳ね返ってくる。きな臭さも増してきた。 

・ドル独歩高の危うさ ドル大回帰、光と影。
 ドルは対円だけでなく他の通貨に対しても強い「独歩高」。金融政策が二極化、米国買いに拍車。米利上げが波乱の目。
 「状況が金融危機前夜の2006年にかなり似てきた」。投資家のリスクテークが過剰に。とりわけ債券市場が過剰とやんわり警鐘も。

 マネーが米国に集中する現象映すドル高局面は過去にも。
 90年代のアジア危機、00年代の世界金融危機といずれも発生前にはドル高局面を迎えている。
 三度目の正直となるか、それとも同じ過ちを繰り返すか。世界は岐路に立ちつつある。

・ドル独歩高の危うさ 好調米国、ドル高いつまで黙認。消費拡大効果と企業業績への影響、損得勘定。
 「よほどのことがない限り、米国から円安・ドル高へのけん制は出ない」と日本の国際金融筋の読み筋。
 ドルの独歩高に沈黙を守る米政府。米景気の力強さと「利上げ前夜」という環境が、マネーを世界中から引き寄せる。
 それが株高の原動力となる一方、原油安に伴うガソリン安は消費者の懐を温め、経済を元気づける。

 ガソリン安の米経済への好影響は侮れない。その恩恵は740億ドル(約9兆円)に及ぶとゴールドマン・サックスレポート。
 消費者のガソリン支出の削減という「あぶく銭効果」が個人消費を活気づかせ、米国の成長率を0.2〜0.3%押し上げるとはじく。

 ドル高に負の面は、企業業績への影響。
 7-9月期円相場の期中平均は1ドル=約104円。その後円安が121円台に進むなどドルの独歩高には弾みがつく。
 つられるように市場の業績予想も10月時点の2ケタ増益から、12月に入って増益率が6.4%まで縮小。
 10-12月期決算への影響を確認することになるのは年明け。

 損得勘定を天秤にかける米政府。ドル高黙認が変わるリスクは残っている。

・ドル独歩高の危うさ 商品安、悩ましい低インフレを誘発。警戒感強める先進各国中銀や市場関係者。
 11月下旬、欧州最大のヘッジファンド、ブレバン・ハワードが商品ファンドの閉鎖抜向けた準備に着手。
 アダとなったのは原油価格の急落などによる運用成績の大幅な悪化。
 市況の悪化で商品運用からの資金流出に歯止めかからず。
 商品市況の総合的な値動き示すロイター・コアコモディティーCRB指標は、4年ぶりの安値圏に低下。
 バークレイズ11/7付リポート、商品指数の解約額は昨年通年の2.4倍に。
 商品安の一因はドル高。ドルが上昇基調強めたことで、商品の売り誘っていると。
 原油に至っては供給量を大幅に引き上げたシェール革命という本丸の「供給ショック」が加わり、価格の下落に弾みつく。

 先進国を覆う低インフレの兆候を助長する商品安のインパクトに市場関係者も身構えはじめた。
 「2014年は『成長』が重要だったが、15年は『ローフレーション(低インフレ)』がテーマになる」との声。

・ドル独歩高の危うさ 原油安が迫る新興国の選別。ロシアなど資源輸出国に試練、金融政策も左右。
 史上最安値更新中のロシア通貨ルーブルは年初来で4割下落。
 通貨安で輸入コストが上がり、11月のインフレ率は前年同月比9.1%上昇と3年ぶりの水準に跳ね上がった。
 資源安と通貨安のダブルパンチが景気の下振れ懸念を広げ、株価も年初来で4割近く下落。

 次のアルゼンチン、産油国ベネゼエラが市場の標的となりつつある。輸出収入の9割を原油に頼る同国にとって原油安は致命的。
 ドル高と資源安の影響受けにくい「インドや台湾などには投資妙味がある」

 「資源安が新興国の金融政策も二極化させる」
 ロシアやブラジルが利上げに動く一方、インドの他インドネシアは景気刺激へ利下げが出来る環境にある。
 政策の差はさらなる景気の強弱を生む。ドル高と資源安は優勝劣敗を一段と鮮明にする。

・個人投資家はこの投資環境の中でどんな戦略を建てればいいのか。複数の金融機関の見通しから「ドル高」下の戦略。
 市場では「債券より株式が投資妙味が大きい」というのがコンセンサス。
 妙味があるとされる株式だが、選考されているのは新興国より先進国。中でも米国株には強気な見方が多い。
 「米国は欧州などに比べ企業業績の伸びが大きい」点が理由と。
 ただ米国株は史上最高値圏、PER(株価収益率)も17倍台と過去平均より高めの水準。
 「投資指標面で割安感のある欧州株や日本株の方が上昇余地が大きい」と一部指摘も。

 為替は利上げの開始が見込まれるドルとポンドが上昇するとの見方で市場は一致。売られるのと見られているのはユーロと新興国。
 日銀の大規模金融緩和背景に円も、対ドルでの下落が予想される通貨の一つ。

 もっともドル高シナリオが崩れる可能性は常に意識しておく必要がある。
 米景気の回復がもたつけば、マネーを引き寄せる磁力は弱まる、資源国などの危機が巡り巡って米国に跳ね返る可能性もある。
 
・日経平均株価の上昇基調が続き、2007年7月以来の1万8000円台が目前。
 5日シカゴ市場ではすでに日経平均先物(期近もの)の終値は1万8000円超え。
 衆院選の与党勝利で積極的な金融緩和策が続くとの思惑から、円安が進んだのが背景。
 原油安も重なり、企業業績の拡大期待が高まっている。
 これまでの株価上昇で、東証1部の今期予想PER(株価収益率)は前週末時点で17.6倍と約1年半ぶりの高水準。
 選挙後も株高が持続するかは不透明。

・中国は今週、2015年の経済政策運営の方針決める「中央経済工作会議」開く。
 経済の「新常態(ニューノーマル)」を唱え成長鈍化も容認する習近平指導部は、
 この会議で15年の経済成長率目標を「7%前後」と3年ぶりに引き下げる公算が大きい。
 中国経済の減速を反映した目標設定になりそうで、中国への輸出で経済成長を続けてきた資源国初め、世界経済への影響が広がりそう。

・「3月にキプロスで開く理事会で反対論を押し切って量的緩和を決めたい」。
 欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁の4日の記者会見を要約するとこんな内容に。
 最後の切り札として温存してきた国債の買い取りという金融緩和策の「解禁」が目前に。
 すでに理事会では、量的緩和の推進派が多数を占めている。残るはドイツやオランダの中銀総裁ら7〜10人。
 来年3月の理事会で量的緩和に賛成か反対化の採決に踏み切り、数の力に頼って強行採決するのがドラギ戦略。
 量的緩和を決めるのに「全会一致の必要はない」と会見で言い切った。

 なぜ今回でなく3月なのかは、理事会の分裂を出来るだけ避けたいとのこと。ぎりぎりまで反対派を説得する構え。
 2つ目は司法リスクと政治リスクの回避。
 3つ目がユーロ圏では12月中旬以降はクリスマス休暇となり、1月中旬まで経済活動は「機能停止状態」となる。
 その前に量的緩和に踏み切っても、効果が休暇で中断されてしまいかねず。

・ブラジル中央銀行が金融引き締め再び加速。3日に2会合連続の利上げ決定。
 利上げ幅を前回10月会合の0.25%から0.5%に広げ、政策金利は年11.75%まで上昇。物価上昇への対応に追われているため。
 市場では2015年もブラジル経済の苦境が続くとの見方が一段と強まっている。

・2014年1〜11月だけ見ても米国雇用者数の伸びは過去14年間のどの年間総数をも上回る265万人に達しており、
 米労働市場の好調ぶりうかがえる。
 市場の関心は16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と終了後のイエレンFRB議長の定例記者会見の発言に。
 フィッシャーFRB副議長は、事実上のゼロ金利解除まで『相当な期間』を置くとした一節について「削除の時期が近付いた」と発言。
 一方で同氏は13年春の出口戦略を巡る混乱を教訓に、「市場にサプライズを与えたくない」と極めて重要な本音もらす。

 FRBの政策使命は雇用と物価安定の2つ。イエレン氏は「来年9月ごろまで忍耐強く利上げを我慢せざるを得ない」との観測も根強い。

・大塚HD <4578> [終値3652.0円]米製薬ベンチャーアバニアファーマシューティカルズを35億3900万ドル(約4200億円)で巨額買収。
 市場が懸念したのは2つ。買収額の妥当性と、主力薬「エビリファイ」の特許切れ後の業績不安を払しょくできなかったところ。
 株主還元への期待が薄れたのも株価下落の一因との声も。

・発掘実力企業:上場5年以内の成長銘柄(5)メドピア <6095> [終値1495円]
 インターネット上で共有する医師向けの交流サイト(SNS)「Medpeer(メドピア)」運営。
 今年9月末時点で会員数7万人超、医師の4人に1人が利用。2015年9月期の単独税引き利益前期比11%増、1億6700万円見込む。
 収益の約9割が製薬会社からの広告収入。9月からは医療機器に対する口コミサイト「医療機器評価掲示板」サービス開始。
 ほかにも普及が進む電子カルテの共有やデータ活用した新規事業の創出も模索。

・海運大手の2015年3月期の連結業績に上方修正期待高まる。円安進行と燃料価格の下落といった外部要因が利益押し上げるため。
 足元の水準が続けば、日本郵船 <9101> [終値349円]商船三井 <9104> [終値382円]川崎汽船 <9107> [終値315円]の
 3社合計2015年3月期連結経常利益は会社予想より400億円上振れ。
 120円前後の円安水準で郵船100億円、商三井約100億円、川崎汽船50億円弱上振れ。
 燃料値下がりで郵船80億円弱、商三井20億円強、川崎汽90億円強増益効果。3社の中では川崎汽の業績が大きく上振れへ。

・会社がわかる 特集清水建設 <1803> [終値794円]業績回復が顕著。
 「建築のシミズ」と称されてきたが、東日本大震災からの復興などに沸く土木工事でも存在感示す。
 労務費高騰の影響からいち早く脱し、2015年3月期は連結純利益が前期比69%増の240億円、
 リーマン・ショック前の07年3月期以来の水準に回復。海外事業の育成も進め、収益基盤の安定目指す。

・輸出企業の株価が騰勢強めている。先週の円相場は7年4ヵ月ぶりとなる1ドル=120円台。
 急速に円安が進む中、業績への好影響が株価に十分反映されておらず、さらに上昇余地があると見られている。
 「急ピッチな円安にアナリスト予想の上方修正が追い付かず、株価に出遅れ感が残る」と指摘。

 トヨタ <7203> [終値7742円]3日、2015年1-3月期に国内で減産すると伝わったものの、5日まで6営業日連続で年種来高値更新。
 ホンダ <7267> [終値3738.0円]も週間で5%上昇。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は確りした展開か。
 14日の総選挙で与党が優勢とする世論調査受け、株高・円安の背景となってきた安倍晋三首相の政策が継続されるとの期待が
 一段と広がり、買い安心感誘いそう。先週末の米雇用統計が市場予想を上回ったことも支援材料。
 日経平均株価は2007年7月以来1万8000円を回復するとの見方が多い。週間で460円上昇、11/28から6日続伸。
 東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が120%超えるなど過熱感も意識され始めている。
 11月中旬に10%程度まで開いた25日移動平均からの上方乖離率は、足元では4%程度までに低下。
 今週8日発表の7-9月期の国内総生産(GDP)改定値は上方修正されるとの見方が多い。
 11月の景気ウォッチャー調査や10月の機械受注の発表も予定。
 12日には株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)が算出されるメジャーSQが控えるが、波乱を予期する市場関係者は少ない。

 日経平均採用銘柄のPER(株価収益率)は17倍に近づき、割安感は薄れている。
 一時的に調整する場面もありそうだが、下値では「日銀の上場投資信託(ETF)買いや企業の自社株買いが株価を支える」との声多い。

・Wall Street:今週の米株式相場は1万8000ドルの大台に乗せるかどうかが注目。
 11月の米雇用統計が市場の予想以上の改善示したのを受け、米景気の先行きへの期待感から株式が買われた。
 市場関係者の間では、今月16、17日実施の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、
 タカ派が今回の雇用統計を材料に早期利上げの必要性主張するとみる向きが多い。

 今週注目される経済指標は、11日発表の11月の米小売り売上高。下落に続く原油価格の動向からも目が離せない。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち17指数が上昇。

上昇1位上海週間騰落率9.5%(13年末比騰落率38.8%)2位ギリシャ7.2%(▲11.2%)3位日本2.6%(10.0%)8位米国0.7%(8.3%)
下位25位ロシア▲6.7%(37.0%)24位ブラジル▲5.0%(0.9%)23位アルゼンチン▲2.3%(77.7%)22位カナダ▲1.8%(6.3%)

 2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン77.7% 2位上海38.8% 3位インド34.4% 4位トルコ25.7% 5位タイ23.0% 
 最下位ロシア▲37.0% 24位ギリシャ▲11.2% 23位韓国▲1.2% 22位オーストラリア▲0.7% 21位英国▲0.1% 20位ブラジル0.9%

・眠れるマネー動かすガバナンス改革。
 企業に積極的な経営促す「コーポレートガバナンス・コード」が年内にもまとまる。
 導入によって注目集める銘柄は。改革のムードが広がる中、対応に動き出す企業を追った。

 「コーポレートガバナンス・コード」目的:企業価値の最大化。
 社外取締役という「外部の声」が経営に規律もたらし、眠っている資金が設備投資や配当、自社株買いなどに回れば、
 経済の長期低迷打破する原動力になるとの認識。

 「スチュワードシップ・コード」目的:受益者(個人や年金加入者)の利益最大化。

 ROE(自己資本利益率)上昇の潜在力がある企業スクリーニング

 ホキメディカル <3593 [終値5820円]ROE7.8% 自己資本比率89.2% 生化学工業 <4548> [終値2034円]7.5% 88.7%
 
 日本デジタル研究所 <6935> [終値1733円]6.7% 72.6% ダイセキ <9793> [終値2058円]7.9% 78.9%

 株主還元余力の大きい企業 

 西武HD <9024> [終値2435円]自己資本増加額に対する総還元額の比率(直近5期)11.4% 京成 <9009> [終値1398円]11.8%

 スギHD <7649> [終値4990円]16.8% アインファーマシー <9627> [終値3450円]16.9%

 JR東海 <9022> [終値17115円]13.6% リニア新幹線の建設という巨額投資プロジェクト控えキャッシュ持っておきたいと例外。

(日経ヴェリタス)

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