
扉を開いて(上場郵政 大解剖)
- 2015年03月29日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年3月29日(日)晴れのち一時雨
・上場郵政、大解剖。超大型IPO、実力と影響。
今年秋の新規株式公開(IPO)目指す日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険。初回の売却規模は計1兆〜2兆円。
1987年NTT <9432> [終値7485円]、98年NTTドコモ <9437> [終値2120.5円]に次ぐ超大型案件となる可能性が高い。
日本郵政の上場の成否分けるのが、創業事業である郵便事業に立て直し。
目指すのが1995年の民営化、2000年の上場経て、国際物流会社として業容拡大したドイツポスト。
かんぽ生命は新規契約増やして利益確保する一方、融資機能がほとんどないゆうちょ銀は利ザヤ稼げず、じり貧に。
・上場郵政、大解剖。
秋の上場目指す日本郵政。国内郵便がじり貧の中、活路見出すのが国際物流。
同時に上場する傘下のゆうちょ銀行・かんぽ生命とともに、その実力。
日本郵政、豪物流大手トール・ホールディングス買収で日本郵政の物流事業は2兆5000億円程度の規模、
目標の「世界トップ5の物流会社」が視野に入る。
M&A(買収・合併)の経験豊富なトールをうまく活用し、2の矢、3の矢放つことが欠かせない。
・上場郵政、大解剖。
かんぽ、郵政ブランドで契約増。ゆうちょ銀、現状は「巨大な国債ファンド」。
かんぽ生命、民営化以降の新保険契約は12月末時点で1309万件、かんぽの保険契約全体の4割に膨らむ。
他の生保が注力する医療保険やがん保険といった利益率の高い新分野への進出が欠かせない。だが政府の認可が必要。
ゆうちょ銀行、郵便貯金の残高は昨年12月時点で179兆円、三菱UFJFG <8306> [終値752.2円]の預金額上回り、国内最大。
だが貸出はわずか3兆円弱で、総資産の5割超を国債に投じている。
国債利回り低迷する中、収益力はメガバンクに大きく見劣り。住宅ローンなど新規事業始めるには政府の認可が必要。
民業圧迫との批判からなかなか実現せず。
結局、「上場企業・ゆうちょ銀行」に残された道は高配当利回り株として、個人投資家に安定的に保有してもらうこと。
「不動産投資信託(REIT)と同水準の利回り」が1つの目安、足元では3%程度。
上場に向けて、どんな株主還元策出してくるかが今後の焦点。
・上場郵政、大解剖。
今秋上場控え、運用面でも収益力向上が欠かせないゆうちょ銀とかんぽ生命。
そのカギはこれまでほとんど手を付けていない株式運用。「いつでも株式を買えるよう体制整え始めている」と市場関係者。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の次、株式市場が期待するのが、ゆうちょ銀とかんぽ生命。
ゆうちょ銀の昨年末の総資産207兆円のうち、株式はわずか9億円。
金銭信託内の約1.8兆円(昨年9月末)合せても総資産の1%未満。
仮に総資産の2%の株を保有する地方銀行と同程度に引き上げるなら2兆円。5%の大手銀行並みなら8.5兆円の買いが必要。
かんぽ生命、昨年末総資産85兆円のうち国内株は約1%の9500億円。仮に民間生保並みの6%程度にするなら買い増しは約4兆円。
・上場郵政、大解剖。
今秋予定日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社同時上場。3社合計の初回売却規模は1兆〜2兆円に。
昨年77社が新規株式公開(IPO)したが、その資金吸収額は合せて約1兆円。今回はわずか3社でこの吸収額を上回る可能性。
まさに前例のない規模のIPO。「換金売りが目立つようになる」との声も。
相場全体が弱いと、この「売り圧力」が上値抑える可能性も。
過去資金吸収量が巨大だったIPOの時期には、日経平均株価が軟調だったケースも少なくない。
98年10/22に上場したNTTドコモ <9437> [終値2120.5円]、吸収額は2兆1255億円と90年代では最大。
上場固まった9月中旬に1万4000円台だった日経平均は、10月上旬には一時1万3000円前後まで下落。
10年4/1上場した第一生命 <8750> [終値1733.5円]1兆円の資金吸収。日経平均は上場後に下げ基調に転じた。
郵政3社の上場は、「今は東証1部の売買代金が2兆円超える水準で、需給悪化の懸念はない」とも。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的マネ―が買い支える構図があるのも追い風。
もっとも、今秋には米国が利上げに踏み切るとの見方もあり、投資家のリスク回避姿勢が一時的に高まる曲面もありそう。
「需給環境が弱い中での上場になれば、日経平均も調整含みになる懸念はある」との声も。
「例えばゆうちょ銀が上場すると、銀行セクターの流通株の時価総額は1〜2%増える」と指摘。他の銀行株を手放す展開も。
日本郵政なら陸運株が影響受ける可能性がある。
東証株価指数(TOPIX)などの指数に採用されれば、連動するインデックスファンドの「リバランス」も起こり得る。
・先週の日経平均株価は1万9285円で取引終え、前週末比274円安と週間では7週ぶりに下げた。
米国株が調整局面に入ったとの見方が広がり、外国人投資家が利益確定に動いた。
当面上値を追いにくいとの見方も出始めた。下げのきっかけは米国株の調整。ダウ工業株30種平均は26日までに4日続落。
20日からの下げ幅は449ドルに。26日には半導体大手サンディスクが業績予想下方修正。
3月末のは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株買いが一巡するとの指摘も。
・日銀 <8301> [終値48000円]4月1日、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)発表。
市場予想では前回の2014年12月調査に比べ大企業の製造業、非製造業ともに業況判断指数(DI)が改善する見通し。
製造業では自動車が好調な一方で、設備投資の回復の鈍さが機械などに表れやすい。
消費増税の影響も小売りやサービスなど非製造業に残り、改善は小幅にとどまる見通し。
・米労働省4/3、3月の雇用統計公表。
非農業部門の雇用者数や失業率など、雇用情勢は改善続く見通しだが、焦点は同時に発表となる賃金動向。
今後の金融政策占う意味では賃金上昇に弾みがつくのかが焦点。
非農業部門の雇用者数について、市場予想は25万人前後の増加。失業率は横ばい(2月5.5%)。
2月の股間あたり賃金は前月比で0.1%増、前年同月比2.0%増にとどまる。3月予想も2.0%増と鈍い。
3月の雇用統計発表日は祝日で株式市場は休場。債券や為替の動きが投資家の受け止め方を知る手掛かりとなる。
・ギリシャ資金繰り正念場。欧州連合(EU)からの金融支援受けるための構造改革などのリスト27日提出。
EUなどの債権者は28日にも改革案の審査始める見通し。
ギリシャは当面の債務返済に必要な金融支援得られなければ、4月中にも資金が枯渇するとの見方も。
・パナソニック <6752> [終値1576.5円]27日、5日ぶり反発。昨年来高値更新。
2016年3月期の事業方針、市場予想上回る営業利益予想公表、1兆円の「戦略投資枠」打ち出し、攻めの姿勢評価。
・発掘実力企業:地方の有力企業(4)北越工業 <6364> [終値956円]国内外の好調な受注背景に業績伸ばす。
2015年3月期の連結業績は2ケタの増収増益、純利益は前期に続いて最高益更新する見通し。
20年開催される東京五輪見据え、首都圏で再開発進むとの観測から「建設機器リース会社からの引き合いがけん引」。
売上高の35%占める輸出は円安追い風に、米国向けが堅調。東京五輪だけでなくリニア中央新幹線の工事開始の後押しも。
・会社がわかる 特集大塚商会 <4768> [終値5160円]人材不足の中小企業に対するIT(情報技術)化支援が得意分野。
2015年12月期連結純利益が3期連続過去最高更新する見通し。
今後は社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度に伴う需要も見込める。
国内特化の戦略変えず、システム構築からオフィス用品の販売まで「欲しいものが何でもそろう」体制で事業拡大目指す。
・株価指数などに連動する上場投資信託(ETF)市場が拡大。国内で上場するETF(上場投資証券ETN含む)今年3月、200本超。
株高や日銀 <8301> [終値48000円]の買い入れによる知名度向上受け、国内外の運用会社がETFの新規上場加速。
2001年に現在のETFが登場、08年に指数の多様化可能になったのをきっかけに本数増加。
11年に100本の大台に乗り、15年3月末時点で209本に。純資産も15年1月末時点で11兆円に達し、11年末比4倍に膨らむ。
・日本株相場に上げ一服感。米国株が軟調に推移、中東での地政学リスクが意識され、
堅調だった電気機器や海運などの景気敏感株に利益確定の売りが集まった。
個人の押し目買い意欲は旺盛で、下値は限定的との見方がなお多いが、当面は上値の重い展開に。
米市場ではインテルやサンディスクなど景気先取りする半導体株が大きく下落、日本の関連業界にも売り波及。
日立ハイテク <8036> [終値3635円]SUMCO <3436> [終値2033円]値下がり上位。
もう一つの逆風がサウジアラビアがイエメンへの軍事介入。地政学リスクが意識され始めている。
両国周辺海域は石油輸送などの要衝で、川崎汽船 <9107> [終値328円]日本郵船 <9101> [終値351円]など海運株急落。
テクニカル指標でも相場の過熱感は後退。
日経平均は1月半ば以降、25日移動平均を上回って推移してきたが、急速に差が縮まる。
25日平均割り込むと、上昇相場の雰囲気も変わる可能性も。
今年に入って日本株を1兆5000億円売り越している個人投資家が、株価調整を買いチャンスと捉えているため。
「不透明感は多いが、大崩れはしない相場」との声が市場関係者から聞こえた。
・外国為替市場で円相場の先行きが見えにくくなっている。
3/10には1ドル=122円台と約7年8ヵ月ぶりの円安・ドル高水準つけたが、その後流れが反転。
26日には1ヵ月ぶりに118円台前半に。米国の利上げ見通しが今年6月から後ずれしているため。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万9000円台前半での上値の重い展開に。
米国株式相場が不安定で、日本株も利益確定の売りが出やすい地合いと。1万9000円を一気に割り込むとの見方も。
ただ出遅れていた個人の買いも予想され、下値は限られそう。週末にかけては米雇用統計にらみ様子見姿勢強まる可能性も。
市場を不安定にする主な要因は米国株の調整。米主要500社業績は1-3月期に減益に転じ、4-6月も減益となる見通し。
「米企業の業績自体が崩れるとなれば、リスク回避ムードから日本株への投資も手じまう動きが強まる」との指摘も。
30日に2月の鉱工業生産指数、4/1に3月の日銀短観発表。2日にはセブン&アイ <3382> [終値5114.0円]など小売りの決算。
国内景気の回復が確認されれば、買い材料になりそう。
・Wall Street:今週の米株式相場はもみ合いの展開か。3月の雇用統計は3日発表。株式市場は祝日で休場。
ダウ工業株30種平均は先週1週間で約2.3%下落。
バイオ関連株や半導体関連株が先導して下げ、市場の一部では「バイオ株のバブルがはじけた」との声も。
2月の米耐久財受注や2014年10-12月期の米実質国内総生産(GDP)確定値が予想を下回るなど米マクロ景気の先行きにも懸念。
市場関係者の間では引き続き、米連邦準備理事会(FRB)の利上げのスタンスへの関心が高い。
・ランキング:東証1部、時価総額1000億円以上の企業対象、
現預金と有価証券の合計から有利子負債など引いた「ネットキャッシュ」について総資産に占める比率が高い企業ランキング
1位SANKYO <6417> [終値4320円]ネットキャッシュ比率61.74% 新商品がヒットしなければ資金繰り厳しくなるため。
「ROE(自己資本利益率)向上へ施策を考える必要があるとは認識している」とも。
2位任天堂 <7974> [終値18205円]60.87%
3位ユーグレナ <2931> [終値1918円]56.07% 60億円の現預金保有「バイオ燃料の量産工場建設に備えるため」
14位栗田工 <6370> [終値2920円]32.33% 海外買収(300億円超)や自社株買い(100億円)活用に積極的に。
19位ドトール・日レスHD <3087> [終値2039円]26.65% 298億円現預金。「機動的にM&A(買収・合併)」資金確保。
25位アスクル <2678> [終値2786円]23.27% ネットキャッシュは300億円弱と高水準。ROE高めたいと。
31位京セラ <6971> [終値6555円]21.83% 余剰資金の有効活用が課題。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち指数が上昇。
上昇1位ギリシャ週間騰落率3.3%(13年末比騰落率▲33.9%)2位上海2.0%(74.4%)3位フィリピン0.8%(33.8%)4位香港
0.5%(5.1%)
下位25位アルゼンチン▲6.3%(97.8%)24位ベトナム▲4.2%(9.3%)23位ブラジル▲3.6%(▲2.7%)18位米国▲2.3%(6.9%)13
位日本▲1.4%(18.4%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン97.8% 2位上海74.4% 3位フィリピン33.8% 4位インド29.7% 5位インドネシア26.3%
最下位ロシア▲40.6% 24位ギリシャ▲33.9% 23位ブラジル▲2.7% 22位韓国0.4% 21位英国1.6% 20位香港5.1%
・黒田日銀、3年目の正直なるか。異次元緩和から丸2年。為替や株価など市場は好転する一方、物価2%目標はなお遠い。
2年間の通信簿は「辛くも可」。孤高の戦い、見通せぬ「出口」。長期金利今年になって流動性が一段と細り、振れ幅大きく。
日銀が待ち受けているのは四面楚歌のような状況。2%という目標に物価が届かなければ、追加緩和圧力が高まるのは必至。
一方、物価上昇が加速しても、インフレ対応の「出口戦略」という難題に直面する。(日経ヴェリタス)
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