
扉を開いて(不動産 過熱の先)
- 2015年08月09日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年8月9日(日)曇り時々晴れ
・不動産 過熱の先 群がる緩和マネー、個人も踊る。
東京建物 <8804> [終値1726円]タワーズマンション「ブリリアタワーズ目黒」
グレード高く高層階の「プレミアム住戸」100平方メートル超の3億円近い住戸に25組の申し込み。
「高いが値下がりはしない」と購入検討する富裕層が後を絶たない。
都心など最上階を中国人が買い占める事例も相次ぐ。
2008年秋のリーマン・ショックを機に、冬の時代が訪れた日本の不動産市場。
それが12年の安倍晋三政権の誕生で一変。富裕層が不動産に照準あわせた。
欧米やアジアの余剰資金も円安で割安になった日本の物件を目指す。内外の緩和マネーが合流し、価格膨張招く。
・不動産 過熱の先 主役は富裕層と海外マネー
新築マンション高騰、都心で局所バブルに。六本木一等地「アークヒルズ仙石山レジデンス」58平方メートル物件、
1億2400万円で売りに出た。2012年分譲価格は6890万円で3年で1.8倍。
上昇率は千代田、港、豊島の3区が高く、下落は江東、墨田、品川も湾岸エリアに限れば値上がり目立つ。
相続増税対策で買う人急増。アベノミクスの波に乗り、身の丈以上の買い物できる「転売組」も。
熱を帯びるマンション市場に中国やシンガポールなど外国人が加わった。外国人が東京の不動産は割安と考える。
・不動産 過熱の先 動く海外ファンド オフィス・ホテル・・・広がる投資先。
多くの海外投資家にとって、日本は長らく「手つかず」の市場。世界の主要都市と比べれば過熱感はまだ薄い。
東京の高格付けオフィスの投資利回りの国債利回りに対する上乗せ幅(スプレッド)は2.85%と
ロンドンやニューヨークはもちろん、香港、ソウルなどアジアの年より大きい。
投資対象が広がる一方、「そろそろ日本の不動産が売り時と考える海外ファンドも増えている」との見方も。
・不動産 過熱の先 都内マンションもはや高嶺の花 年収倍率・バブル指数は「警戒」レベル。
4月の日銀「金融システムリポート」では不動産会社による土地や建物への投資の対国内総生産(GDP)比率で
過熱度測る指標が、通常の「緑」から過熱感示す「赤」。
東大大西顕准教授が計測する首都圏不動産のバブル指標は、2012年秋から断続的に警戒レベルの「1」超えている。
都内の新築マンションの平均分譲価格を平均世帯年収で割って求める「年収倍率」はすでにバブルの兆候示す。
昨年10.6倍となり、09年のミニバブル末期上回り2000年以降では最高に。
一般サラリーマンにとって年収の7倍超える不動差の購入は難しく、都内のマンションの多くは既に高嶺の花。
・不動産 過熱の先 不動産価格の急騰、賃料上昇遅れ警戒。
東証REIT指数足元で1750程度と昨年末から約7%下落。軟調な背景は2つの「想定外」。
不動産価格が急速に上昇し、REITが新規で買う物件の収益性が低下。物件取得による増配効果が小さくなった。
(供給量が増えて)市場の規模自体が拡大したため、賃料改善は以前より緩やかにしか進まず。
2つの「想定外」背景に、REIT指数は不動産株に対しても出遅れが鮮明になっている。
不動産株が不動産価格の上昇で収益環境が改善しているのに対して、REITへの資金流入は細ってきた。
米利上げを年内に控え長期金利の先高懸念が浮上、「利回り商品」でもあるREITが敬遠されている面もある。
多くのREITが値を下げる中、投資家の資金は一部の銘柄に集中。代表例が主にホテルに投資しているREIT。
インヴィンシブル <8963> [終値66600円]32.4%高、星野リゾート・リート <3287> [終値1356000円]7.2%高、
ジャパン・ホテル・リート <8985> [終値79700円]3.5%高とホテル系は全て逆行高に。
・不動産 過熱の先 オフィスビル、冷静さ残る争奪戦、なお高い利回り差、実需も裏付け。
注目したいのが不動産の「キャップレート」。家賃収入から管理費など除いた純収益を、不動産評価額で割って算出。
一方で長期金利は不動産に投資するための資金の調達コストを意味する。
両者の差が開くほど、投資家のリターンも大きくなる。
不動産投資信託(REIT)が15年1-6月に取得したオフィスビルのキャップレートは単純平均で4.36%。
ミニバブル末期の08年(4.36%)下回るが、長期金利との差はミニバブル時より1%ほど大きい。
金融緩和で長期金利が0.4%前後の水準に沈んでいるため。
オフィスビルの取得競争が激しいものの、投資家は相対的高い利回り確保できている。
REIT市場をみても、分配金利回りの市場平均と長期金利の差は3%程度。
国債利回りの低下に悩む金融機関にとってはり力が残る水準。
不動産の「買い手」の変化指摘する声も多い。
07年ごろは「欧米の投資銀行など足の早いマネーが中心」で、少ない元手を借り入れで膨らませ投資していた。
その分、金融危機では資金繰りが急速に悪化し不動産投資が急減する要因に。
一方足元で存在感高めているのは「政府系ファンドや欧米の大型年金」。
好立地の優良不動産への長期投資が中心に資金引き上げる可能性は低いとみられる。
・原油や金など国際商品価格が下落。
代表的な商品指数であるロイター・コアコモデティーCRB指数は7月後半から下げ足速め、
7日時点で198.32と2008年リーマン・ショック後下回り12年ぶりの安値で推移。
足元で下げ足速めているのが原油。米指標WTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)
7日に1バレル44ドル下回り、4か月半ぶりの安値。
市場関係者の間では、今後も中国需要の伸びは期待できないことから、WTIは40ドル割れを意識した声も聞かれる。
商品相場の下落は投資家心理悪化。米株式市場ではエクソンモービルなどエネルギー関連株の下落基調強まっている。
早期利上げ観測が強まれば、ドル高進み、ドル建てで決済される国際商品の割高感高まる。
特に金利がつかない金からは資金が流出する。
日本経済にとっては原油安などは好材料。ただ中国や資源国の景気悪化が加速すれば、輸出関連企業には逆風に。
・中国経済が力強さ失っている。7%成長は確保したものの、生産・投資・消費はそれぞれ低迷。
中国政府は景気刺激策などでテコ入れ図り、これがどこまで中国経済を沙汰支えするかが当面の焦点。
今週は7月の経済統計が相次いで発表される。
中国経済減速の影響は世界に広がり、回復途上の欧州経済にも響く可能性がある。
8/12には、7月の社会消費品小売総額(消費)、固定資産投資(設備投資)、工業生産(生産)が発表される。
これまで最も不振が目立つのが設備投資。
・米連邦準備理事会(FRB)による利上げ開始時期を占う上で注目された7日発表の7月の米雇用統計。
非農業部門の雇用者数前月比21万5千人増加。3ヵ月連続で好調の目安となる20万人の大台超え、
市場では「9月利上げの可能性が高まった」との声広がった。
だが、イエレン議長が重視している賃金の伸びは相変わらず鈍いままで、9月の利上げを決定づけたとは言い切れない。
7日の米株式市場は雇用統計受けて続落。終値は約半年ぶりの安値。
イエレン議長が特に重視する9つの雇用関連指数(イエレン・ダッシュボード)注目。
うち5つが雇用統計で7月の数字発表。前月比ではまちまちも、前年同月比では改善は明白。
金融緩和の正常化に向けて一歩踏み出す意思を固めてもおかしくない数字。
・発掘実力企業:ネット社会を支える(10)ラック <3857> [終値1390円]セキュリティー対策のプロ集団。
監視担当の人材育成が高く評価されている。
「セキュリティーはヒト対ヒト。働くスタッグはハッカーと渡り合えるほど」とそのスキルに絶対の信頼寄せる。」
本来はシステム開発事業が主体、今はセキュリティー対策との両輪、
2016年3月期連結業績は、純利益前期比5%増、13億円と最高見込む。
セキュリティー関連事業の比重さらに高めていく考え。
・会社がわかる 特集日本製紙 <3863> [終値2108円]震災から復活、構造改革で反転攻勢へ。
「紙」中心で稼ぐ体制から、エネルギーや化成品、紙おむつなどの日用品でバランス良く稼ぐように変革を急ぐ。
東日本大震災で傷んだ財務基盤が正常化、2018年3月期までの中期経営計画では
3年間で稼ぎ出す営業キャッシュフローすべてを成長分野を中心とした投資に回すことを明らかに。
・日本の株式市場で「物言う株主(アクティビスト)」の存在感が高まっている。
先週(3〜7日)の日経平均株価は0.7%高にとどまったが、
米サード・ポイントによる株式取得が表面化したスズキ <7269> [終値4599.0円]は週間で6%高。
投資余力が増しているアクティビストにとって、企業統治改革がテーマとなっている日本株は格好の投資対象。
アクティビストの大量保有きっかけに株価が上昇する事例も目立つ。
半導体商社エクセル <7591> [終値1876円]7/13村上世彰氏の保有明らかになり、一時21%高。
買い増し判明した黒田電気 <7517> [終値2484円]も、昨年末比約5割高。
アクティビストの運用資産昨年末、過去最高の1192億ドル(約14兆円)。運用先として日本株が注目。
・先週(3〜7日)の外国為替市場では円相場が一時1ドル=125円前半つける場面が相次いだ。約2ヵ月ぶりのドル高水準。
金融政策で「ハト派」と見られていた米アトランタ連銀ロックハート総裁が9月の利上げに前向きな姿勢見せ、
7月の米サプライマネージメント協会(ISM)非製造業景況指数が10年ぶりの高水準となり、
これまで意識されていた124円台半ばのラインを突き破った格好。
さらに7日、市場が注目した7月の米雇用統計は非農業分野の雇用者数が前月比で21万5000人増。
市場予想は下回ったが堅調な内容、「9月利上げの芽がついえるような内容ではない」。
今後は125円台での展開も増えてきそう。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は弱含みの展開か。
7日の日経平均は前日比60円高の2万724円となり、6/24に付けた年初来高値(2万868円)に近づく。
「日本株の独歩高が続くことは神田得にくく、高値では利益確定の売りが出やすい」との声も。
米雇用の改善受け、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ9月に利上げに踏み切るとの見方強まった。
早期利上げの警戒感から、米株式市場は軟調な展開続いており、日本株もつれ安となるリスクも高まっている。
アジアの株式市場も不安定要因。米利上げに加え、原油など商品価格の下落が新興国からの資金流出につながる。
日本固有の懸念材料としては、安倍晋三内閣の支持率。
一方、日経平均の下値は限定的。「2万円に近づく水準では押し目買いが入りやすい」とも。
一時的な調整が入っても、日経平均の中長期的な上昇局面は続くとの見方が多い。
・Wall Street:今週の米株市場は足元で弱含んでいる主要株価指数が反転の切っ掛け材料が出るかが焦点。
経済指標の内容が「強すぎず、弱すぎず」の適温示すかに注目集まる。
ダウ工業株30種平均は先週末まで7営業日連続で下落。
原油先物相場の下落や、早期の米利上げもありうるとも警戒が重荷となり、ずるずると下げが続いた。
今週の注目材料は消費者の動向。13日に7月の小売売上高、14日に8月の米消費者態度指数(速報値)発表。
10日のロックハートアトランタ連銀総裁の講演注目。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち7指数が上昇。
上昇1位上海週間騰落率2.2%(14年末比騰落率15.8%)2位ドイツ1.6%(17.2%)3位フランス1.4%(20.6%)
4位日本0.7%(18.8%)5位アルゼンチン0.6%(30.2%)
下位25位ギリシャ▲15.2%(▲18.1%)24位ブラジル▲4.5%(▲2.9%)23位オーストラリア▲3.7%(1.6%)
22位ロシア▲3.1%(5.3%)18位米国▲1.8%(▲2.5%)
2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン30.2% 2位フランス20.6% 3位日本18.8% 4位ドイツ15.8%
5位上海15.8% 6位ベトナム10.7%
最下位ギリシャ▲18.1% 24位台湾▲9.3% 23位インドネシア▲8.7% 22位トルコ▲8.5%
21位タイ4.6% 20位ブラジル▲2.9%
・高級ホテル予約サイト「一休.com」運営する一休 <2450> [終値2657円]8月に新規上場から10周年迎える。
森正文社長「これからはM&A(買収・合併)や新規事業の立ち上げなど攻めの経営に切り替える」と意気込む。
足元では外国人の訪日客増加の追い風も吹く。
外国人が一休を利用するわけではないが、旅行客が増えると、宿泊単価が上がる。
宿泊料金の一定割合を手数料として受け取る一休にとっても売上高の増加につながる。
2015年4-6月期の経常利益は前年同期比53%増と、4-6月期として過去最高。
年間750億円の取扱高を5年後に2000億円にする高い目標掲げる。 (日経ヴェリタス)
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株式会社アスリーム
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