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扉を開いて(郵政株 上場前夜)

2015年10月11日(日)曇り時々雨

・郵政株、上場前夜 配当に人気、課題は成長力。
 11/4上場する日本郵政 <6178> 、ゆうちょ銀行 <7182> 、かんぽ生命保険 <7181> 3社、
 8日にブックビルディング(需要予測)入り、
 証券会社は個人投資家への内々の営業から、購入希望者募る段階へ。
 970万口超の売り出し株の8割弱は国内の個人投資家向けになる。

・郵政株、上場前夜 「貯蓄から投資」を象徴する大イベント。
 3社合計の売り出し規模は最大1兆4362億円。1998年のNTTドコモ <9437> [終値2181.0円]以来の大型IPO。
 三菱UFJ銀行 <8306> [終値776.1円]通じた三菱モルガン・スタンレー証券の口座開設数は前年同期比4.6倍。
 開設者には、郵政3社株に関心持つ人も多い。公開に向け投資家は順調に集まりつつある。
 そのカギは「とにかく無理をしない価格設定」に尽きると。
 7日決まった仮条件は日本郵政 <6178> 1100〜1400円と、9/10時点想定価格(1350円)から下に幅広げた。
 仮条件の上限で見た3社のPBR(株価純資産倍率)は0.4〜0.6倍台、配当利回りは2%台半ば、
 ディフェンシブ銘柄として割安感と配当利回りの高さが個人を引き付ける。
 年間配当は1株当たり日本郵政が46円、ゆうちょ銀行 <7182> が50円、かんぽ生命保険 <7181> は56円。

・郵政株、上場前夜 問われるIPO後。
 安定した配当収入期待する株式投資初心者巻き込んだIPOであり、
 株式売却は2022年度まで数回に分けて進む計画に。
 この2つの背景もあり郵政3社は、
 公開時に脚光を浴びた後に業績も株価も長期低迷する「上場ゴール」となることが許されない。
 「初値は問題ない。その後も抽選で買えなかった個人の買いで、需給面から株価は上がっていく」との声も。
 だがあるファンドマネージャーは郵政3社の成長シナリオが見えず、買い進める考えはないも。

 「貯蓄から投資」を推し進めて日本を「1億総投資時代」へいざなうのか。あるいはNTT株の轍を踏むか。
 真価が問われるのは上場後。

・郵政株、上場前夜 
 超大型の新規株式公開となる郵政3社の同時上場だが、証券会社の販売現場が「消化」に苦しむ様子は無い。
 売れ行きに手ごたえ感じる理由は「割安で配当利回りが高い」というのが一致した意見。
 仮条件の上限で売り出し価格が決まれば、年換算した配当利回りは、日本郵政 <6178> 3.29%、
 ゆうちょ銀行 <7182> 3.45%、かんぽ生命保険 <7181>2.55%に達する。

 PBR(株価純資産倍率)で見た割安さは強い。日本郵政は0.41倍、ゆうちょ銀行は0.47倍、かんぽ生命0.67倍。

 課題は成長率。かんぽ生命は5期前比1割近い増益見込むが、ゆうちょ銀は横ばい、日本郵政は減益。
 このことはPER(株価収益率)で評価した場合は郵政3社が必ずしも割安でないことにつながる。
 3社のPERは16〜17倍、成長性への期待が高いヤマトHD <9064> [終値2442.0円]PER24.15倍、
 セブン&アイ <3382> [終値5490円]PER25.21倍、除けば、主要銘柄のなかではむしろ割高。
 ただ、郵政3社が1株利益伸ばし、PERでみた割高感を解消できれば、
 資産価値や株主還元で評価した割安さに脚光が集まる可能性がある。

・郵政株、上場前夜 日本郵政 日本郵便
 ゆうちょ銀行 <7182> と、かんぽ生命保険 <7181>に利益のほとんどを依存する日本郵政 <6178>。
 今後、金融2社の持ち分は50%をめどに段階的に下げられ、
 持ち分が10%減るごとに、日本郵政の連結純利益は400億円程度目減りする。
 日本郵政は、海外M&A(合併・買収)に活路求める。
 「ユニバーサルサービス」の義務が課されている状況では思い切ったリストラはできず、
 大幅な収支改善は見込みにくい。日本郵政の成長戦略は不安定な要素をはらむ。

・郵政株、上場前夜 ゆうちょ銀行
 ゆうちょ銀の運用資産は総額206兆円(2015年6月末)。うち日本国債は101兆円で構成比は49%。
 10年には総資産の8割占めていた国債の割合が、初めて50%割り込んだ。
 代わりに増えたのは、国債より高利回りが見込める株式や外国証券。株式は2兆3000億円、外国証券は37兆円。
 ゆうちょ銀は民営化後に、株式投資やシンジケートローン参加認められるようになった。
 預入限度額の引き上げは、実現した場合の時期や規模によって、ゆうちょ銀の業績を大きく左右する。 

・郵政株、上場前夜 かんぽ生命
 個人保険のシェアは年換算保険料ベースで国内首位。
 2014年度末時点で14%弱と日本生命保険(13%)や第一生命保険 <8750> [終値2080.0円](9%)上回り、
 民営化前の旧簡易保険分合算すれば24%。
 財務面でも保有する有価証券などの含み益が推定で約1兆3000億円ある。
 それでも将来的な規模の「縮小」が懸念されるのは、かんぽ生命が3つの課題抱えるからだ。
 
 まず旧簡保の契約満了。順次満了を迎える中、
 全額かんぽ生命の収入となる新契約に移行できれば増益要因も、実際には他社商品を選ぶ取りこぼしも。
 
 2つ目の悩み、国内市場の縮小は各社共通。新商品テコにシェア延ばす狙い。

 3つ目の課題は、他社が注力する利益率の高いがん保険などには参入していないこと。
 業務提携するアフラックのがん保険を受託販売も、直接参入には政府の認可が必要。
 海外の保険会社のM&A(合併・買収)も原則できず。
 当面、大きな成長を期待するよりも、「収益と配当の安定性」が投資の手掛かりといえる。

・郵政株、上場前夜 懸念の換金売り。
 郵政3社の上場では最大1兆4362億円の資金を市場から吸収する。
 昨年1年間の新規株式公開(IPO)による資金吸収額9800億円を上回る規模だけに、
 市場全体への影響には注意が必要。 
 まず懸念されていたのが、購入資金ねん出のための個人の換金売り。
 市場の押し下げ要因となるとの見方も、警戒感は薄らいできた。
 ある個人は「そんな配当あるんやったら、ゆうちょ銀から(貯金)引き出しで買うわ」との声。
 営業現場からは保有銘柄の乗り換えより、新規資金の流入や待機資金の再稼働が目立つ。
 IPO後に想定される影響で代表的なのは株価指数への組み入れ。
 3社は東証株価指数(TOPIX)への組み入れが確実視、
 MSCIやFTSEなど海外の指数算出会社の指数にも組み入れられる可能性高い。
 組み入れられれば、指数に連動して機械的に運用する「パッシブ型ファンド」の注文が入る。
 3社には買い、既存銘柄には売りの要因となる。
 MSCIなどの指数の組み入れ早くて11月半ば。TOPIXへの組み入れは12/29に。

・郵政株、上場前夜 
 売り出し価格決定は、ゆうちょ銀行 <7182> かんぽ生命保険 <7181> 2社が19日、日本郵政 <6178> 26日。
 その後証券会社ごとに抽選・配分の結果に応じて上場日11/4に株式受け取る(電子記録)ことになる。

・日経平均株価は10/9に前日比297円高の1万8438円となり、1か月ぶりの高値。
 週間では713円高と約2か月半ぶりの上げ幅を記録。
 リスク資産への投資控える「リスクオフ」に歯止めがかかった起点は前の週末にあった。
 日本時間2日午後9時半に発表された9月の米雇用統計。
 雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回り、急速に米利上げの年内先送り観測が台頭した。
 中国経済成長鈍化が鮮明となる中でも米国は利上げに向かうという『ダブルパンチ』に市場がおびえた結果。
 利上げが当分ないなら、少なくとも1つのパンチは避けられる。
 日銀 <8301> [終値43800円]の追加緩和に対する期待感も日本株の相場上昇後押しした。
 日本郵政グループ3社上場という政治的に失敗できないイベントも11/4に迫り、
 「外堀を埋められた日銀は追加緩和に踏み切らざるを得ないとの見方は多い」。
 中国の成長鈍化という問題は残ったまま。
 市場関係者がリスク性資産に積極的に投資する「リスクオフ」にまで踏み出せるかは、まだ疑問が残る。

・民間調査会社不動産研究所(東京・新宿)15日、9月の首都圏の新築マンション発売戸数発表。
 東京都心部では富裕層の需要が旺盛で、価格が高騰するなかでも堅調な販売が続くとの見通し。
 ただ、一般サラリーマンには手が届きにくい水準まで価格は上昇し需要には限りがあると
 供給戸数は低調水準が続く公算。

・米連邦準備理事会(FRB)の年内利上げは困難との見方が市場で急速に強まっている。
 8日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で
 「(中国など新興国経済の減速が)米国の経済成長にいくらかの影響与える恐れがある」との
 認識が明らかになり、新興国経済に対するFRBの警戒姿勢が改めて確認されたため。
 米シカゴ・マーカンタイル取引所算出、政策変更の市場予想映し出す「Fedウオッチ」では、
 2日の雇用統計発表前はン年内利上げの確率は40%超が、8日時点では38%に低下。
 米株式市場では当面は緩和マネーの流入が続くとの期待感から、買いが広がり、大幅高。
 8日には1か月半ぶりに1万7000ドル台回復。
 ローレンス・サマーズ元財務長官、
 過去20年間利上げ確率が70%に達さない限り、FRBが利上げに踏み切ったことはないという。
 年内のFOMCは10/27-28、12/15-16の2回。

・発掘実力企業:ネット社会を支える(17)システナ <2317> [終値1134円]ネット不正送金、アプリで防ぐ。
 2014年4月サービス開始、15年9月時点で東京スター銀行など8行に提供している。
 ソフト開発の経験が少ない地銀中心に広まっており、「証券会社などの金融機関向けにも事業広げる予定」。
 通信とデジタル端末を繋ぐ技術ノウハウ持っており、
 カーナビゲーションシステムや電子書籍向けにも守備範囲広げる。
 「IoT(インターネット・オブ・シングス)」の拡大は追い風、社会インフラ関連にも参入し始めた。
 今後はスマホが普及し始めたアジアでの需要の取り込みも目指す。
 2016年3月期連結売上高は前期比8%増、400億円。純利益同2.1倍の20億円見込む。

・会社がわかる 特集リンテック <7966> [終値2762円]現在半導体製造現場での需要開拓、業績伸ばす。
 自動車のIT(情報技術)化など半導体需要の広がりが今後も成長支える。
 2017年3月期には連結営業利益が過去最高益の水準に届きそうな勢い。
 半導体製造で使われる粘着テープで今後の社運かける。
 粘着テープ市場では日東電工 <6988> [終値8271円]古河電工 <5801> [終値213円]などとの競争激しく。
 株主還元の強化、市場注目。実施すれば、買い材料になる公算大きく。

・10年近く経営課悪化に苦しんできた消費者金融業界に薄明かりが差し込み始めた。
 大手3社の貸付金残高は9期ぶりに増加し、8月末は1年前より2.7%増。保証事業も収益の第2の柱に育つ。
 アイフル <8515> [終値467円]、金融支援で返済猶予されていた融資を前倒し完済。
 「過払い金」の返還負担はなお大きいが、経営安定へ業況が改善してきた。 

・環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意に達し、
 農業や食品、倉庫などTPP発効の恩恵受ける銘柄が関心集めている。
 
 TPPで原料を低コストで輸入できるようになるのが食品業界。
 茶葉が17%の関税が6年目に撤廃されることから、伊藤園 <2593> [終値2556円]3%高。
 冷凍食品のニチレイ <2871> [終値785円]冷凍倉庫の稼働率向上への期待も加わり、10/7まで6連騰。
 物流関連は貿易量拡大するとの思惑から、
 横浜冷凍 <2874> [終値979円]三菱倉庫 <9301> [終値1554円]にも買いが集まった。 
 
 農業支える分野へも物色に沸く。
 クボタ <6326> [終値1864.5円]13%上昇、サカタのタネ <1377> [終値2212円]12%上昇。

 医療分野での規制緩和で需要の拡大が期待されているのが、
 富士フイルム <4901> [終値4666円]など医療機器メーカー。

・不動産投資信託(REIT)が上昇基調。
 東証REIT指数は6日に終値で1700台回復、8/21以来1か月ぶりの高値。
 背景は日銀の追加金融緩和への期待。

・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は1万8000円台半ばで一進一退の展開か。
 前週の日本株大幅高をもたらした売り方の買い戻しは今週も続く可能性がある。
 一方、一部投資家の利益確定の売りも出そうで、上値を押さえる要因と。
 日経平均株価は9/29の直近安値(1万6930円)から8営業日で約1500円上昇。
 10/30の金融政策決定会合控えて「日銀の追加緩和期待が根強い中では積極的に株を売る主体は限られる」。
 8月下旬に株価急落してから、何度か「リバウンド」試した日経平均は1万9000円近辺ではじき返されてきた。
 この水準で利益確定の売りや戻り待ちの売りが出やすいため。
 新たな好材料が出ない限り、相場の上昇余地は限られ、膠着感がにじむ場面も。
 中国貿易統計が13日発表。16日、都内で黒田東彦日銀総裁挨拶。

・Wall Street:今週の米株式相場は波乱含みの展開か。
 米統計の公表が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ巡る思惑が相場を揺さぶりそうだ。
 米連邦準備理事会(FOMC)メンバーの講演も多く、発言内容には注目が集まる。
 注目指標は15日ニューヨーク連銀フィラデルフィア連銀が公表する10月の景況感指数。
 製造業の景況悪化に歯止めがかかるかが注目。
 14日には9月の小売売上高公表。予想では前月比0.2%増と緩やかな拡大が見込まれている。

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち25全指数が上昇。

上昇1位ロシア週間騰落率15.8%(14年末比騰落率12.0%)2位アルゼンチン9.6%(30.2%)
 3位インドネシア9.1%(▲12.2%)4位スペイン7.4%(0.3%)20位日本4.0%(5.7%)21位米国3.7%(▲4.1%)

2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン30.2% 2位ロシア12.0% 3位フランス10.0% 4位南アフリカ8.7% 
 5位ベトナムドイツ7.8% 6位ノルウェー6.0%
 
 最下位ギリシャ▲18.1% 24位インドネシア▲12.2% 23位台湾▲9.3% 22位トルコ▲7.6% 
 21位タイ▲5.8% 21位香港▲4.9%

・心の投資術(下)合理的に判断するために。
 合理的な投資家になるためには、投資するときに自分の心を落ち着かせ、
 恐怖や過度な期待を克服し、自身を律する自分なりのルールを持つことが重要。
 そして忘れてならないのが、経営の基礎的な状況(ファンダメンタルズ)をきちんと理解すること。
 経済が上向きか、下向きか、方向感捉えることは、投資の基本。
 2014年以降の株価を先進国と新興国に分けてみると、おおむね似通った動き示す。
 相場の下落時には新興国が先に下落し、それを先進国が追いかける状況に。
 不安定な相場だからこそ、無理しないことも重要。相場が自分の考えに合わなければ、意図的に休めばいい。
 暴落は時として優良な銘柄を割安な水準で買うチャンスにもなります。

(日経ヴェリタス)

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