
扉を開いて(2万円、今度は本物か)
- 2015年11月29日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年11月29日(日)晴れのち曇り
・2万円、今度は本物か。相場の持続力、徹底分析。
静かな強気が積み上げる2万円。日経平均先物では26,27日と一時2万円超えたが、
先週の東京市場は高揚感に欠け、東証1部の売買代金は連日で2兆円前後と平時の水準にとどまる。
浮かび上がるのは、下値をゆっくり拾う海外の投資マネーの再来。
米ブラックロックで970億ドル(約12兆円)運用するダン・チャンビー氏
「今、最も有望な資産は日本株」と言い切る。
3〜5年先まで上昇が期待できそうな銘柄を割安なうちに買っている。
米テキサス州教職員退職年金基金(資産約15兆円)ディビッド・ケリー会長も
「日本の企業業績は内需回復追い風に来年以降も伸びる」と日本株推す。
東京証券取引所の投資部門別売買動向、
海外勢は10月下旬から5週連続で日本株買い越し、海外マネーの日本回帰裏付ける。
世界の投資家が見据えているのは流動性相場の第2幕。
ドル高・円安基調が強まったところへECBが追加緩和に踏み切れば、投資マネーは日本株に流れ込む。
世界の成長に陰りが見える中で日本株の魅力が相対的に増している。
といって日本株すべてが底上げされる局面ではない。
戻り待ちの売り圧力の強さを警戒する声も。
先物取引に伴う裁定買い残は20日時点で3兆5654億円と、およそ半年ぶりの高水準。
利益確定のための解消は大きな売り圧力。
ここ20年あまりの日経平均株価をみても、2万円超えてははじき返されており、上昇持続のハードルは低くはない。
売りを跳ね返し、相場を持続させるのはどんな銘柄か。
例えば、オークマ <6103> [終値1092円]
急落時に大きく下げたまま出遅れて、成長投資や業績の上方修正している企業。
2017年3月期にも増益期待できるカルビー <2229> [終値5130円]のような企業。
・2万円、今度は本物か。大台に再挑戦、静かな強気。
2万円台回復に向けた原動力は、
自動車や鉄鋼、電子部品といった中国発の株安でひときわ大きく下げた銘柄の株価の戻り。
「下げたら買う」投資が積み重なり、市場全体を押し上げている。
「リバーサル(逆転)」組のこのところの躍進ぶりは目覚ましい。
27日までに安値から44%戻したマツダ <7261> [終値2534.0円]
中国経済の減速に独フォルクスワーゲンのディーゼル不正による連想売りが重なり、
反発前の株価は6月高値から安値まで36%下落。
TDK <6762> [終値8740円]も同じく逆転組で、9月に高値から38%安い水準に沈んだ後、35%戻した。
一方、年初来高値を付けた6月までの上昇局面で相場けん引したのは、食品株や小売株だった。
外部環境の変化に左右されにくいディフェンシブ銘柄のうち、
業績が安定的に伸びている企業に資金が流れ込み続けた。
今後の相場の持続力のカギを握るのは「逆転組」の上昇余地。
三菱UFJモルガン古川真氏
「株価が下落していた銘柄の中でも業績に安心感が出た銘柄には今後も投資資金が向かいそうだ」と読む。
・2万円、今度は本物か。海外マネー回帰、欧州からの流入も。
持続力占う上では、中長期マネーの動向がカギ。
東証投資部門売買動向によると、海外勢は6月上旬から10月上旬にかけて日本株を4.3兆円売り越した。
足元では約1.1兆円買い越し。海外の長期資金は日本株回帰強めている。
「特に欧州マネーの流入期待がある」との声も。
・2万円、今度は本物か。
この先当面の相場展開読み解くうえでヒントは、チャートや株式需給動向の分析。
日本株相場は10月以降、ほぼ一本調子で上昇してきただけに、短期的には上値が重くなるとの見方も出ている。
「裁定買い残が昨年以降のピーク水準に近付いており、過熱感が高まっている」。
ほかにも短期的な過熱感示す指標がある。
1つが相場の勢い表す「RSI(相対力指数)」。過去14日間の相場の上昇幅と下落幅を使って算出する指標。
70%以上だと「買われすぎ」とみなす。27日時点日経平均のRSIは70.58%で、この水準に達している。
もう1つは「騰落レシオ」で、上昇した銘柄数と下落した銘柄数から算出、過去25日間の平均値で見ることが多い。
東証1部騰落レシオは27日時点で122.07%と、「買われすぎ」の目安である120%を上回っている。
「心理的な節目の2万円超えると達成感から短期的な調整局面に入りやすくなる」とも。
その場合の下値のメドを200日移動平均線の1万9400円前後とも。
標準偏差を使って統計的で見た現在の株価水準や相場のトレンドを示す「ボリンジャーバンド」では
まだまだ上昇トレンドにある。
・2万円、今度は本物か。業績予想に裏付け、出遅れ株に妙味あり。
9月末に1万7000円割った日経平均株価。その後のリバウンド局面で上昇率大きかったのが、中でも値を下げた銘柄群。
「リバーサル」と呼ばれる現象、2015年夏の市場の混乱の場面でも当てはまる。
日本株は割安感がほぼ解消、テクニカル面では過熱感もくすぶる。
これからの銘柄選択で注目されるのは「リバーサルのローテーション」で
出遅れ株への循環物色と言い換えることもできそう。
単純に下落した銘柄が買われるわけではない。市場は利益成長を求めている。
「リバーサル」の賞味期限はそれほど長くはない。一巡後は、より長い目で見た成長力を見極める局面に移る。
・2万円、今度は本物か。今期業績が堅調でも株価下落率が大きい銘柄。
アルパイン <6816> [終値1687円]6/24からの株価騰落率▲% 16年度3月期予想利益伸び率10.2%
オークマ <6103> [終値1092円]▲24.0% 12.7% 大陽日酸 <4091> [終値1173円]▲23.9% 30.0%
デサント <8114> [終値1466円]▲22.2% 15.8% 住友ゴム <5110> [終値1678円]▲18.4% 9.0%
ヤクルト <2267> [終値6110円]▲17.4% 19.7% 東京製鉄 <5423> [終値774円]▲15.8% 14.3%
日揮 <1963> [終値2088円]▲13.5% 142.4% クレセゾン <8253> [終値2361円]▲13.1% 204.9%
・2万円、今度は本物か。来期業績に視線。円安一巡後の成長力。2017年3月期増益期待が高い企業。
大同特鋼 <5471> [終値518円]17年3月期予想純利益伸び率43.6% 16年3月期予想純利益伸び率21.3%
古河電工 <5801> [終値264円]30.2% 35.7% レオパレス <8848> [終値725円]24.7% 18.6%
カルビー <2229> [終値5130円]24.7% 18.6% Jパワー <9513> [終値4020円]23.4% 4.5%
リロHD <8876> [終値13510円]18.7% 22.7% 小糸製作 <7276> [終値4945円]18.7% 12.3%
・2万円、今度は本物か。低い信用倍率、個人の売り圧力小さく。信用倍率が低く個人の持ち株比率が高い銘柄
ダスキン <4665> [終値2268円]信用倍率0.08倍 個人持ち株比率45.2%
京阪電鉄 <9045> [終値829円]0.08倍 48.8% スズケン <9987> [終値4870円]0.11倍 33.9%
ホキメデ <3593> [終値6300円]0.14倍 33.5% 東建コーポ <1766> [終値9790円]0.45倍 33.3%
エディオン <2730> [終値984円]0.16倍 39.0% 京王 <9008> [終値1009円]0.18倍 34.7%
・トルコ、ロシア機撃墜で地政学リスクが原油相場押し上げ。中東巡るリスクが改めて意識。
ロシアとトルコの関係が悪化すれば、輸出に響きかねない糸の警戒感につながっている。
もっとも、原油相場が本格的に反発するとの見方は少ない。
需給のゆるみの解消には時間がかかるうえ、
12/4に予定されている石油輸出機構(OPEC)総会で、加盟国が協調減産で合意する可能性も低いため。
米利上げが決まれば、リスク資産である原油に売り圧力が強まるとの見方もある。
・欧州中央銀行(ECB)12/3、独フランクフルトの本部で理事会開く。
市場関係者は追加緩和決めるのは既定路線と。
市場の関心はすでに緩和策の中身に移っており、現在実施している量的緩和(QE)の期間を延長したり、
銀行がECBにお金を預ける際にカ化kル金利を下げたりするとの観測が広がっている。
一方、米連邦準備理事会(FRB)は12/15〜16の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決めるかどうかの岐路に立つ。
その確度占う11月の米雇用統計が12/4に公表。非農業部門の雇用者20万人前後増加予想。
米欧の金融政策の方向の違いがより鮮明となり、ドル高・ユーロ安に弾みがつきそうだ。
・米著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ、
2015年7-9月期に米IBM株買いましたことが明らかに。
14四半期連続の減収で、株価もさえないIBM。同社株に積極投資するバフェット氏の狙いは何か。
株主還元の自社株買い?それとも人工知能(AI)技術の将来性?
IBMの年次報告書を50年間読んだという彼の目には何か特別なIBMの成長力が見えるのか。
・発掘実力企業:ネット社会を支える(23)イトクロ <6049> [終値2119円]
全国47都道府県の約3万8000の学習塾検索、口コム評価など見られるサイト「塾ナビ」を運営。
塾ナビへの掲載自体が塾にとっては広告で、利用者から資料請求や入会があれば成功報酬得る。
親子が塾選びで最も参考にするのは、実際に通っている人による講師の評判や教室の雰囲気といった口コミ情報。
「塾ナビ」は約10万件という豊富な口コミ数が売り物。
今後は塾選びの際の定番ツールになるように利便性高め、掲載数と利用者数増やす。
・会社がわかる 特集TISホールディングス <3608> [終値881円]
婦人服大手サンエー・インターナショナルと東京スタイルが統合、2011年に発足。
かつて東京スタイルが村上世彰氏率いる「村上ファンド」と委任状争奪戦展開、
直近も同氏による株価操縦疑惑など因縁残る。
会社自体は、ブランド見直しで今や経営も衣替え。攻めの改革急ぐ。
市場からは「変革に対する意思の強さ」があると評価。
採算悪化した11ブランド廃止、8月まで292店舗閉鎖。
持ち合い株見直し加速、10日には40億円の自社株買い。
小売り株全体の低迷で、直近は上値が重い。
・先週(24〜27日)の日経平均株価はその前の週末比、わずか4円(0.02%)高にとどまった。
26日は2万円まで8円、27日は6円に迫ったが、売りのエネルギーも大きかった。
上値阻む材料の1つはパリの同時テロ。業種別日経平均の下落率上位は空運、銀行、保険などが並ぶ。
上値を重くするより大きな要因が、年金の売り。
東証取引所投資部門別売買動向では、年金基金の動向は「信託銀行」の動きに表れる。
27日発表売買動向では、信託銀行は11月第3週(16〜20日)に1556億円売り越し、4週連続の売り越し。
売越合計額は6000億円弱と同期間買い主体だった海外投資家(約7700億円)の大部分を消し去った。
年金基金は株価が上がると資産全体に占める株式比率が高まるので、資産比率維持するために株式を売る。
これを「リバランス」という。
一方、上昇の原動力は「夏場に売っていたマクロ系ヘッジファンドのかいっ戻し」と。
裏付ける指標はNT倍率。27日終値では12.47と約3か月ぶりの高水準にある。
ヘッジファンドは現物株よりも流動性が高い日経平均先物で日本株売買することが多いため、
そうした買いが入ると日経平均先物が先行して上昇、NT倍率が高まりやすい。
日経平均が2万円超えて上昇するにはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)で新たな材料が必要。
・外国為替市場でユーロが約7か月ぶりの安値圏に下落。25日1ユーロ=1.05ドル台半ば。
春の1.04ドル台のユーロ安水準割り込めば、約13年ぶりの1ユーロ=1ドルの節目も視野に。
背景は欧州中央銀行(ECB)が12/3の理事会で追加金融緩和に踏み切るとの観測の強まり。
もっともすでに市場では追加緩和そのものは織り込まれつつある。
にもかかわらずユーロ安が進むのは、ECBが踏み込んだ緩和策実施するとの見方が広がっているため。
内容が期待以下だった場合、ユーロ安の流れに歯止めがかかる可能性がある。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は2万円超えの再挑戦となる。
買い材料は、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和や、国内鉱工業生産指数改善が期待できそう。
ただし2万円近辺では売り圧力がなお残る。総じて大台を挟んでもみ合う展開に。
2万円超えとなるきっかけの経済イベントは目白押し。
30日に日本の鉱工業生産指数、QUICKコンセンサスでプラス1.8%、
7-9月期国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナスだっただけに、
「生産が本当に回復しているかどうかを確認する重要な指標」となる。
中国製造業PMIや米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数など注目指標公表相次ぐ。
・Wall Street:今週の米株式相場は経済指標の結果見ながら緩やかに上昇しそう。
週末4日に控える11月の雇用統計。堅調な内容となれば、
市場はいよいよ12/15〜16に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてカウントダウンに入る。
欧州中央銀行(ECB)に対しては追加金融緩和期待が強まっている。
3日に開かれる理事会で緩和決めた場合、米国市場でも買いが優勢になりそう。
・ランキング:10万円以内で購入でき、割安感のある株の上昇率ランキング。
1位アクリーティブ <8423> [終値563円]昨年末比株価上昇率 150.2%
外貨対応のレジシステム受託する事業伸びる。
2位秀英予備校 <4678> [終値637円]106.1% 3位ディア・ライフ <3245> [終値433円]103.8%
13位イトーキ <7972> [終値923円]48.9% オフィス用家具の需要拡大。
15位レオン自動機 <6272> [終値774円]45.5% 製パン機械が好調。
18位新日本建設 <1879> [終値685円]42.4% 大幅上方修正を好感。
19位ミロク情報サービス <9928> [終値858円]42.1% マイナンバー追い風に最高益。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち17指数が下落。
上昇1位韓国週間騰落率2.0%(14年末比騰落率5.9%)2位ドイツ1.6%(15.2%)3位インド1.0%(▲5.0%)
4位英国0.6%(▲2.9%)8位日本0.0%(13.9%)
下位25位アルゼンチン▲7.1%(53.5%)24位トルコ▲6.3%(▲11.8%)23位上海▲5.3%(6.2%)
22位ブラジル▲4.7%(▲8.3%)11位米国▲0.1%(▲0.1%)
2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン53.5% 2位ドイツ・フランス15.2% 4位日本13.9% 5位ロシア8.5%
6位ノルウェー6.9% 7位ベトナム6.8%
最下位ギリシャ▲21.4% 24位インドネシア▲12.7% 23位トルコ▲11.8% 22位台湾▲9.8%
21位カナダタイ▲8.6% 21位ブラジル▲8.3%
(日経ヴェリタス)
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