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扉を開いて(それでも円安が来る)

2013年11月10日(日)曇りのち雨

・それでも円安が来る。需給構造、大転換の重み。
 1ドル=97円台半ばまで進んだ8日の東京外国為替市場、国内輸入企業が円高局面で将来の円売り、ドル買い価格を有利にするため動く。
 為替予約に受け手となった金融機関は将来の受け渡しに備えて市場に円売り・ドル買い注文を出す。水面下ではこんな需給の動き。
 「注文状況を見ると輸入企業の円売りの方が、輸出企業の円買いより圧倒的に多い」といった声が為替市場では頻繁に聞こえる。

 足元で短期筋の動きに変化も。「円売りを再開するヘッジファンドが出始めたようだ」と。
 賃上げの流れが強まって、デフレ脱却の確度が高まれば、再びアベノミクスを材料にした円売りが機能しやすくなるとの見立て。

・それでも円安が来る。覆った為替の常識。円の需給構造が大転換、貿易赤字が定着し、為替取引の過去の常識はもはや通用しない。
 見えてくるのは中長期での円安トレンド。日本の貿易収支9月で15ヵ月連続の赤字。過去最長の連続赤字記録更新中。
 企業の為替取引に置きなおすと、輸出で得たドルなどの外貨を売り、円を買いたい輸出企業が少数派に転落し、
 輸入代金を支払う外貨を得るために円を売りたい輸入企業が多数派になったということ。
 輸入企業が多くなれば、為替の実需取引では円売り・外貨買いの注文がだぶつく。
 円高が進めば進むほど有利な取引が出来るが、待ってる余裕はもはやなく。
 半面輸出企業は「どっしり構えて、円を買うタイミングはまだ先だ止まっている」。
 輸入企業は円売り急ぎ、輸出企業は円買いのタイミングを待つ。実需の常識は様変わり。

 今回は「円安になっても輸出数量が昔のように戻らないのは明らか」と。
 製造業の海外移転に電気機器などの国際競争力の低下重なり、円安になっても輸出増加見込みにくいため。

・それでも円安が来る。金融緩和の行方、円安促進も。 
 日米金融政策の今後の動き、米国では金融緩和縮小開始巡る議論、一方日本は金融緩和継続。
 米連邦準備理事会(FRB)が緩和縮小を打ち出すと同時に日銀が追加緩和に動くことが市場の「円安パワー」最も強力な組み合せ。
 米国側でドル高要因、日本側で円安要因がそれぞれ生じるためで、こうした事態を早めに織り込み「2015年前半から円安・ドル高進む」。
 日米金融政策見比べると「出口」に近いのは米国で、その差が円安パワー生むものの、そこへの道のりは平たんではない可能性も。

・それでも円安が来る。
 中長期の円安・ドル高シナリオ彩るのは、貿易赤字の定着や日米金融政策の動向だけではない。
 円の「売り手」がそこかしこに潜んでいる。

 「円キャリー取引の増加」裏付けるものが日銀まとめた外国銀行の本支店勘定、支店から本国への送金量。
 じわりと増加傾向で足元ではおおむね7兆円前後。数年来の高い水準。
 運用先となる高金利・新興国市場が落ち着けば円キャリー取引がさらに勢いづく環境整う。

 デリバティブ(金融派生商品)からも読み取れる。通貨オプション市場で「リスクリバーサル」という指標が急上昇。
 円を売る権利(円プット)と円を買う権利(円コール)のどちらが需要が強いかを反映する指標。
 10月末4ヵ月半ぶりにプラスに転じ、潮目変わりつつある。

 国内でも円の「売り手」増殖。財務相まとめた対外証券投資、国内投資家は9月まで3ヵ月連続で海外の中長期債買い越し。
 個人投資家、外貨投信買いも大枠では円キャリー取引と同じ仕組みに。金利差広がれば人気盛り上がっても不思議なく。
 さらに来年からは少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)始まる。個人マネー外貨買い・円売りに動けば為替相場への影響は息長く。

・2013年終盤から14年末までの円相場アンケート、専門家21人見通し。1ドル=98〜103円。14年末では105年より円安・ドル高水準も多く。

・米金融緩和の縮小は、円安予想の一端支える一方、新興国には試練もたらしそうと。
 投資マネーは経常収支や成長力モノサシに新興国通貨をふるいにかける。
 
・欧州中央銀行(ECB)7日に利下げに踏み切る。見事な「ドラギマジック」打ち出した格好に。
 「物価上昇圧力の低下」が理由も、足元で進むユーロ高是正との見方も少なくない。
 日経通貨インデックス、5月以降もっとも下落率大きかったのがインドネシアルピア。
 ブラジル、インドが続き、南アフリカランドも厳しい。
 韓国ウォンが上昇率最も高く対ドルでウォン高と円安同時に進めば日本企業の競争力向上と。

・欧州中央銀行(ECB)7日の理事会で0.25%の利下げ決めた。
 「即断即決」「有言実行」ドラギECB総裁評価固まった半面、金融緩和いとわぬ「ハト派」の印象も強めた。
 
・想定外となった米雇用統計発表受け8日、米金融市場は興味深い反応示す。
 緩和縮小前倒し観測から、債券相場急落(長期金利は急上昇)、ダウ工業株30種平均は大幅上昇、最高値更新。
 米株式相場はやや強気に傾いている。

・トヨタ <7203> [終値6200円]2014年3月期連結営業利益見通し1兆9400億円から2兆円2000億円に引き上げ。
 控えめにもみえる修正。通期での最高益更新が十分射程に入る。

・発掘実力企業:すてきナイスグループ <8089> [終値228円]増収率が高い7
 独自の耐震住宅に力。今期売上高二桁増になる一方、営業利益は1%増の28億円にとどまる。
 輸入木材の価格上昇、建築現場での職人不足による労務費上昇も重荷になる。

・サントリー食品 <2587> [終値3250円]25872013年12月期連結決算下方修正。一時3%安、投資家冷ややかに反応。
 9月買収した欧州飲料事業が今後収益に貢献との見方多く、来期の業績期待する声根強い。
 主力ブランドシリーズの特定保健用食品「伊右衛門特茶」好調。
 成長トレンドが来期以降も続くとの期待続く。海外での飲料需要の伸び一段と取り込めるとみる。

・ニコン <7731> [終値1725円]
 2014年3月期レンズ交換式カメラ販売台数見込み655万台から620万台に引き下げ。価格競争も厳しくなる。

・会社がわかる 特集NTTドコモ <9437> [終値1549円]苦しむ携帯の雄試される底力。
 市場は足元の契約者数の伸び悩みだけでなく、中長期の成長性にも懸念している。

・日経平均株価の上昇期待が急速にしぼむ。水を差しているのは個人投資家の売りが需給悪化招くというシナリオ。
 一つは信用買い。5/31申し込み信用買い残高は3兆1719億円と今年のピーク。信用取引は半年以内に株を売って決済する仕組み。
 5月のピークからこの月末で半年迎えるが、まだ決済していない投資家も多く。
 もう一つが東証が5日実施した空売り規制見直しも需給悪化懸念招く。

・原油価格下落。米国でのシェールオイルの増産などで原油の供給増える一方、世界的に需要の拡大は鈍るとの見方。

・OUT Look:今週の株式相場は1万4000円前後でもみ合う展開か。
 先週の下落で値ごろ感強まっているほか、堅調な企業業績も買いを後押ししそう。
 証券優遇税制の終了など背景に売りが膨らむとの見方も多く一進一退の展開予想される。
 目先下値は限定的として、日本株の割安さ注目する声増える。
 今週は7〜9月期の国内総生産発表。

・Wall Street:今週の米株式相場は最高値更新した前週相場の勢い維持できるかどうか注目。
 政府機関の一部閉鎖や雇用や消費への影響が懸念されていたが、ここへきて景況への楽観論目立ってきた。
 今後の株式相場は楽観論が長続きするかが方向性左右。
 今週は小売チェーン最大手ウォルマート・ストアーズの決算発表。年末商戦の動向占ううえでも個人消費への市場関係者の関心高い。

・プロの相場観 向こう1週間の【ブルベア調査】強気派16% (前回比-4)弱気派44%(同+5)中立派40%(同+1)

・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち17指数が下落。

上昇1位アルゼンチン週間騰落率3.9%(12年末比騰落率85.5%)2位インドネシア1.0%(3.7%)3位米国0.9%(20.3%)14位日本▲0.8%(35.5%)
 下位25位フィリピン▲3.5%(9.3%)24位トルコ▲3.4%(▲5.5%)23位ブラジル▲3.3%(▲14.3%)22位ロシア▲2.7%(▲6.0%)

(日経ヴェリタス)

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