
扉を開いて(日銀サプライズ再び)
- 2014年11月02日
- 株式投資・経済ニュース全般
2014年11月2日(日)曇りのち晴れ
・日銀サプライズ再び 円安・株急騰、その先は 「黒田トレード第2幕」が始まった。
「まさしく奇襲攻撃」。日銀 <8301> [終値49000円]は市場の不意ついて追加金融緩和実施。
緩和決定(13時44分ごろ)伝わり、日経平均3分で400円高、終値755円高、1万6413円と約7年ぶりの高値付けた。
日銀サプライズは海外にも波及、香港、シンガポールなど軒並み上昇。日本時間夜になり米国市場ではダウ工業株30種平均が最高値更新。
外国為替市場では円が一時1ドル=112円台と、6年10ヵ月ぶりの円安水準に。
今回のキーナンバーは「3」。
日銀は長期国債の保有残高の伸びを年間50兆円から80兆円と30兆円拡大。
買い入れ国債の平均年限も最大3年伸ばす、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の買い入れ額も3倍にする。
「アベノミクスは終わっていないという強力なメッセージを市場に発した」との指摘も。
同日夕には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株買い増しの方針決定。政府も経済対策へ補正予算編成に動き出した。
「緩和」「年金マネー」「財政」という即効性のある政策3点セットそろえ、市場へのインパクトを高めようとしたとの見方は多い。
用意周到な奇襲攻撃の効果はどこまであるか。
市場では株高・円安・債券高の基調は続くとの見方がコンセンサス。今年度末に向け日経平均株価は1万7500〜1万8000円に上昇するとの声多い。
ETFの購入額を年3兆円に増やす施策注目。需給面の下支え要因になり、買い安心感につながりやすい。
追加緩和が市場をゆがめると懸念する声も根強い。
抜本的な構造改革がない中での追加緩和に対し、海外から「治療せずに問題症状を抑える薬をさらに投与しているだけ」との声も。
・日銀サプライズ再び アベノミクス再点火か。
「黒田バツーカ2」「10・31ショック」「ハロウィーン緩和」追加緩和に虚を突かれた投資家たちの間で驚きの表現。
専門家たちの先行きの見方。
株式市場は先高感。日経平均株価今年度末には1万7000円超えるとの見方多い。
「日本の政策に対する期待が冷え切っていた海外投資家にも一定の驚きを与えられたはず」と指摘。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株保有の拡大との「合わせ技」も、心理的効果を考える上では見逃せない。
債券市場では長期金利の一段の低下(国際価格の上昇)は確実との見方が大勢。
今回の見直しでは長期国債の買い入れだけで、マネタリーベースの増加目標80兆円すべてをカバーする内容に変わった。
買い入れる国債の平均残存期間を従来の「7年程度」から「7〜10年程度」に延長決定。
外国為替市場では見方ばらつく。
1ドル=117円 「日米金融政策の違いを強烈に印象づけた」ため。実質ベースで日米金利差拡大、ドル高・円安促すとの見立て。
110〜112円。現状とほぼ同水準。
「今回の追加緩和とGPIFの運用見直しで円安材料は出尽くし。今後はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に即した調整が入る」とみる。
「購買力平価」だと円の適正水準は90円前後との分析もあり、一方向の円安は考えにくいとの見方につながる。
今回の追加緩和に伴い、消費再増税が実施される確度が高まったとの指摘も。
政府が確りと「第三の矢」で日本経済の体力を引き上げていかないと、今回の追加緩和の効果は意外と短いものになってしまう恐れも。
・日銀サプライズ再び 日銀の賭け、副作用に解見えず。
追加策の柱は、資金供給量(マネタリーベース)の増加ペース。従来60兆〜70兆円から80兆円へと引き上げ。
そのため日銀は自らの総資産を膨張させる必要がある。
特に長期国債購入額は年80兆円と従来比30兆円増やす。今後月8兆〜12兆円の国債を市場から吸い上げることになる。
国債が品不足になれば、金利には低下圧力がかかる。0.5%割り込んだ長期金利について、市場関係者の一部では、「いずれ0.1%まで下がる」とも。
このタイミングで黒田東彦日銀総裁はカードを切った背景は、原油価格の下落が一つ。
円安がエネルギー価格の上昇に拍車をかけ、家計や中小企業への悪影響が増す恐れ。しかし秋に入って急落。
「今のタイミングなら批判避けられる」と判断、原油安利用した可能性も。
今回の追加緩和の決定は9人の政策委員のうち、5人の賛成で決まった。1票差の決定は極めて異例。
薄氷踏んで異次元緩和第2幕始めた日銀だが、その副作用に目をつぶったまま第3幕に入ることは極めて難しそうだ。
・日銀サプライズ再び 米利上げ「来年半ば」説、再浮上。
10/29、米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で決めたのは、3次にわたって続いた量的金融緩和策(QE)の終了。
金融市場にとってQE終了は織り込み済み。焦点はFRBが利上げを始める時期に集まる。ゼロ金利解除は「2015年半ば」が有力な説として再浮上に。
「イエレンFRB」はゼロ金利状態からの出口戦略円滑に進められるか、試練迎える。
・日銀サプライズ再び FRB、何でもやった6年間。
世界を混乱の境地に陥れた2008年秋のリーマン・ショック。
その発火点になった米国での経済のかじ取り担う米連邦準備理事会(FRB)が過去6年間やってきたことは「出来ることは何でもやる」に尽きる。
08年11/25、市場の動揺を抑え込む「QE1」に始まったFRBの量的緩和策がおよそ6年にわたって断続的に続いた。
国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの買い入れでFRBのバランスシートは4.5兆ドルと危機前の5倍の規模に膨れ上がっている。
「バイバイQE」。米経済が独り立ちしつつある今、市場では「QE4は必要ない」との見方広がっている。
・約130兆円の公的年金運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が10/31、基本ポートフォリオ(資産構成割合)の見直しに踏み切った。
国内株、外国株の割合をともに12%から25%に引き上げる一方、国内債による運用は60%から35%まで縮小する。
当面は日本株に強い買い需要が見込まれるが、より大きい価格変動リスクにさらされることにもなる。
「安全」から「リターン」に大きく舵を切った。見直し前のポートフォリオでは7%だったリスクは今回、13%弱まで上昇。不確実性も増す。
・2015年10月に予定する消費再増税を巡る議論が今週から本格化。政府は有識者や専門家から意見を聞く「点検会合」4日から18日にかけて計5回開催。
安倍晋三首相は年内に最終判断を下す。安部首相が重視するのは各界の有識者の意見に加え、7-9月期の国内総生産(GDP)。
12/8発表の改定値確認した上で判断下すとみられる。
再増税見合せるなら「子育て支援拡充の財源としたい公明党方反対が高まる可能性」や「アベノミクスの失敗」と野党が攻勢強める。
・欧州中央銀行(ECB)の次の一手に市場関係者の関心が高まる。
6日定例理事会開き、追加緩和策の可能性など議論する見通し、社債買い入れなどが候補に挙がっている。
ユーロ圏の国債を大規模に買い入れる量的金融緩和策(QE)の導入には依然として慎重とみられる。
・会社がわかる 特集日本農薬 <4997> [終値1115円]2014年9月期決算の3期連続で営業最高益更新。好業績支えるのが独自の技術開発力。
日本農薬の強み象徴する隠れたトップシェア製品が「水虫薬」。国内シェア3割超。
第一三共 <4568> [終値1656.5円]一般用水虫薬「ピロエース」に採用。今年4月北米で現地製薬大手通じ発売。大化けする可能性もある。
2018年度売上高1000億円(14年9月期見通しは560億円)目指す。けん引役は海外事業。長期的には(現在17位)世界で売上高トップ10入り目指す。
M&A(買収・合併)活用、年2〜3ヵ国ペースで新規開拓。今後は借り入れによる資金調達も選択肢に入る。
農薬市場の拡大は続いているうえ、円安で競争力もつくなど事業環境は良くなっている。同社PER(株価収益率)は約13倍、同業他社比割安に。
13日決算発表がカギ。「15年9月期以降の業績をどう示すかに注目」。
・主要生命保険9社の2014年度下期(14年10月〜15年3月期)の運用計画と相場見通しが出そろう。
米国経済の回復で米長期金利が上昇する一方、日本の長期金利は低水準で推移するとの判断から、外国債券に運用資金を手厚く半分する動きが鮮明。
日米金利差拡大背景に円安基調の持続を予想する会社が多い。主要生保9社のうち6社が、下期に外債の残高増やす計画打ち出す。
為替ヘッジ(回避)しないオープン外債積み増す動きが特に目立つ。オープン外債は円安が進むと、円換算した価格が上がり、収益高まる。
リーマン・ショック以降続いてきた株式投資の圧縮傾向は、中堅生保中心に反転の動き。
・世界の株式市場で、景気の変動に左右されにくいディフェンシブ銘柄の株価の戻りが目立つ。
日本株は10/31、日銀による追加の金融緩和決定で急伸したが、9月末からの1ヵ月間を見るとディフェンシブ株の物色が顕著。
欧州や中国の景気減速やエボラ出血熱の感染拡大など不安材料は根強く残る。リスクを避けた「消去法の買い」とも。
10月の日経平均株価の高低差示す値幅は1881円で、2013年5月(2038円)以来の大きさ。業種別で堅調だったのは鉄道・バスと小売り。
10月の上昇率:京成 <9009> [終値1297円]上昇率17.7% ヤマトHD <9064> [終値2359.5円]15.6% 味の素 <2802> [終値2103.0円]15.2%
塩野義 <4507> [終値2852円]13.4% 三菱地所 <8802> [終値2795.5円]13.2% 日本水産 <1332> [終値327円]13.1%。
・原油価格の下落で主な石油製品の店頭価格が下げ足速めている。特にガソリンは約7ヵ月ぶりの安値水準。
一般に円安が進めば原油の輸入コストがかさみ、価格転嫁通じて石油製品の価格は押し上げられる。
一方原油はドル建てで取引、ドル高は消費国の通貨安招き、輸入コスト増が需要減退通じて、原油安につながる。
現状では円安よりも原油安のインパクトが強い。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は一段の上値を追う展開か。
日銀の追加金融緩和や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国内株比率引き上げなど株価を押し上げる材料は多い。
先週(10/27-31日)日経平均は1122円上昇。31日終値は1万6413円、2007年11月以来約7年ぶりの高値。2週連続の上昇で月初からの下げ打ち消した。
市場で期待を集めているのが海外投資家の動向。10月第3週まで3週連続で売り越していた外国人が第4週(20-24日)に買い越しに転じている。
日銀は今回の追加緩和で上場投資信託(ETF)の買い入れ拡大発表、JPX日経インデックス400に連動するETFが対象に加わる。
主力株には資金流入の思惑が広がりそう。
今週も主要企業の決算発表相次ぐ。4日ソフトバンク <9984> [終値7939円]5日トヨタ <7203> [終値6498円]が4-9月期決算発表予定。
6日に欧州中央銀行(ECB)理事会、7日10月の米雇用統計。
・Wall Street:今週の米株式相場は1万7000ドル前半の高値圏でもみ合う展開に。10月の雇用統計はじめ重要経済指標発表。
ダウ工業株30種平均は先週末、1万7390ドルと最高値更新。
主要企業の決算発表手掛かりに、投資家が米景気や企業業績の先行きに自信取り戻しつつある。
7日発表の雇用統計は非農業部門雇用者増加数市場予想は23万人前後。失業率は前月比横ばいの5.9%とみられる。
・ランキング:決算発表後の株価上昇率ランキング (10/17〜10/31)
1位東芝テック <6588> [終値778円]上昇率29.24% 29日発表2014年4-9月期連結決算純利益前年同期比32%増の51億円。
2位小野薬 <4528> [終値11140円]28.79% 3位三菱地所 <8802> [終値2795.5円]28.71% 4位アイフル <8515> [終値450円]28.21%
5位小糸製作所 <7276> [終値3285円]28.12% 発行ダイオード(LED)ランプ販売に力。「ノーベル賞」で物色。
11位京阪電鉄 <9045> [終値545円]24.15% 大阪USJで「ハリーポッター」テーマエリア人気でホテル追い風。
19位東京電力 <9501> [終値397円]22.91% 増益報道手掛かりに週間で17%上昇。
25位西松建設 <1820> [終値円535]21.87% 好調な受注環境続く中、工事採算の改善進む。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち24指数が上昇。
上昇1位日本週間騰落率7.3%(13年末比騰落率0.8%)2位ロシア5.3%(▲24.3%)3位ブラジル5.2%(6.1%)4位上海5.1%(14.4%)11位米国3.5%(4.9%)
下位25位ギリシャ▲7.6%(▲21.2%)24位インドネシア0.3%(19.1%)23位カナダ0.5%(7.3%)22位スペイン1.3%(5.7%)21位トルコ1.5%(18.8%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン104.4% 2位インド31.6% 3位フィリピン22.5% 4位タイ22.0% 5位ベトナム・インドネシア19.1%
最下位ロシア▲24.3% 24位ギリシャ▲21.2% 23位英国▲3.0% 22位ドイツ▲2.4% 21位韓国▲2.3% 20位フランス▲1.5% (日経ヴェリタス)
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