
扉を開いて(緩和マネーどこへ)
- 2015年04月26日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年4月26日(日)晴れ
・緩和マネーどこへ。踊り場の米国株、日欧中に勢い。
年内の利上げ観測が浮上する米株式市場を警戒し、日本と欧州へ。「崩れない相場」が持続する条件探る。
リーマン・ショック後、09年3月に始まった米国株のブル(強気)相場に変調の兆し。
15年1-3月期の米主要企業の1株当たり利益は09年以来の減益に沈み、
年内にも米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利解除控える。
ナスダック総合株価指数は24日も最高値更新も、ダウ工業株30種平均は今年に入り一進一退繰り返す。
世界の株式型ファンドの資金流出入調査するEPFRグローバル、
15年1月から4月下旬までに米国から約790億ドル(約9兆4000億円)もの資金が流出。日本は140億ドルの資金流入。
欧州は570億ドル流入。ロンドン株も3/20、史上初めて7000ポイント上回った。
緩和マネーの変化を19日、中国追加金融緩和が後押し、日欧の株価押し上げる原動力になった。
日欧中の市場にも不安要因はある。
企業業績が好調な日本は、投資など国内需要の回復が遅れ、アベノミクスへの信頼感が高まらず。
欧州ではギリシャのデフォルト(債務不履行)の可能性残り、中国は景気減速が鮮明のなってきた。
・緩和マネーどこへ。崩れない相場の持続力。
米国:高値圏でも3つのハードル
「利上げの副作用耐えられるか」「ドル高の影響輸出減どこまで」「原油安も逆風、企業業績に試練」
厳しい環境下で米企業は強さを示せるか。世界の株式相場が今年直面する最大の試練のひとつ。
日本:試される企業の変革力。企業統治改革などによる日本の企業の変化が「看板倒れ」に終わるとの疑念も。
懐疑派の根拠、1つは企業の「本気度」測りかねること。
2つ目は国内外の経済の低成長。低成長は先進国共通の悩み。「社会保障改革など財政再建への課題が手つかず」との指摘も。
欧州:ギリシャ債務問題、市場の過小評価に警鐘。
欧州の強い相場がギリシャ問題の深刻さを覆い隠したままでは、足をすくわれかねない。
中国:経済成長の鈍化。市場の加熱抑制課題。
中国では株式相場のバブル懸念が膨らんでいる。中国1-3月期の実質国内総生産(GDP)伸び率が7.0%と6年ぶりの低い水準。
景気の減速が鮮明になってきたにもかかわらず、上海総合指数は4000の大台突破、過去1年間の上昇率は5倍超える。
マクロ経済の減速は追加政策への期待で逆に買い材料となっており、いまや株高要因。
株式相場の熱気、20日現地時間午後2時50分すぎ、9999億元(約19億3500億円)示した上海証券取引所の売買代金が突然、
更新できなくなった。取引所のシステムの欠陥で1兆元までしか表示できないため。
海外投資家は、中国政府がバブルのリスクをどこまで制御できるか見極める必要がある。
・緩和マネーどこへ。米株高、自社株買いが支え。
ゴールドマン・サックス推計、企業は2014年に4290億ドル(約51兆円)の株式を買い越し。リーマン・ショック以降最高額。
家計は470億ドル、年金は1360億ドルの売り越し。
米調査会社EPFRグローバル、
株式型ファンドは14年1年間では600億ドル超の買い越しだったが、2015年に米国株を大きく売り越し。
自社株買い、15年には4500億ドルまで膨らみ、「株式市場には差し引き2200億ドルの資金が流入する」と予想も。
強気派が、米国株が大崩れしないとみる根拠の一つ。
米国株を売却した資金はどこに流れているのか。「東証マザーズはその候補」と。
日本の中小型株に投資する米国ファンドの資金流出入試算、3月下旬以降だけで1億ドル近くも買い越し。
伸び悩んでいた東証マザーズ指数の反転と軌を一にする動き。「出遅れ感が強い中小型株に対する外国人の関心は強い」と。
米企業の業績鈍化や利上げに身構えるマネーは、欧、日に流れ込み株高演出。
一方、米連邦準備理事会(FRB)による緩和マネー期待できなくなった米企業は、自社株買いという自助努力で株価下支え。
ムーディーズは米企業が債務不履行に陥る確率が短期間で上昇するとは見ていないが、
成長が止まれば、割高気味な水準まで買われた今の株価は維持できないとする。
・日経平均株価は22日、終値で2万円台回復、約15年ぶりの高値に。
先週の上昇相場演出したのはメガバンクなど出遅れ感のあった金融株。
日銀 <8301> [終値53000円]による追加金融緩和期待囁かれる中、海外の短期筋などが買い主導した模様。
一方、2015年3月期決算発表始まり、中期的な投資を考える投資家が個別株の業績見通しや株主還元策に敏感に反応。
「海外投資家のガバナンスに対する関心高い。今後は配当性向引き上げによる増配に注目が集まる」との指摘も。
・ユーロ圏財務相会合24日、「ゼロ回答」に。4月末を期限としてきた融資再開交渉の結末が5月以降にずれ込むのは必至に。
「財政改革が確り進むという確証がなければ、融資の再開はない」「責任はギリシャにある」とデイセルブルム議長批判。
市場はこのまま融資が再開されず、ギリシャ政府が資金不足からデフォルト(債務不履行)起こすリスク意識し始めた。
ギリシャは7月、8月に大量の国債償還迎え、計100ユーロ超という巨額の資金が新たに必要となる見通し。
7月以降は新たな金融支援が必要になる公算が大きい。
ギリシャが4月末の資金繰り乗り切った場合、次の節目となるのが、次回のユーロ圏財務相会合設定された5/11。
・ファナック <6954> [終値26500円]27日、2015年3月期連結決算発表。アナリスト向けに4年ぶりの決算説明会も開く予定。
株主還元策の行方に注目集まる。有力アナリスト間では、まずは連結配当性向を引き上げるとの見方が多い。
現在30%の連結配当性向を40〜50%に引き上げる可能性があると見る。
・発掘実力企業:北米で稼ぐ企業(4)ダイオーズ <4653> [終値901円]
企業向けにコーヒーマシン貸出し、飲み物の補充や機器のメンテナンスで稼ぐOCS(オフィスコーヒーサービス)事業を主力。
1988年に進出した米国では現在大手2社に次ぐシェア3位に食い込む。
2015年3月期連結営業利益15億円のうち5割強の8億円を米国部門で稼ぎ出す見込み。
一段の上値追うには、日米に次ぐ成長の柱として位置づけるアジア事業の収益化も必要になりそう。
・会社がわかる 特集スマホ経済圏 急拡大一服、業績に明暗。
市場の選別も進む中、端末メーカー、電子部品、素材、通信会社、ソフトという代表的関連5業種について見通し探る。
端末メーカー:ソニー <6758> [終値3739.0円]
2015年3月期世界のスマートフォン市場(台数ベース)は12億3000万台と、前期比17%増。
5年前比では6倍以上に膨らみ、端末メーカーはじめ関連業種の収益けん引。足元で台数の伸びは1割前後に鈍る。
小米(シャミオ)など中国メーカーが低価格攻勢で躍進しているため。
シェアが大きく動く端末メーカーが、スマホ経済圏の台風の目になっている。
米調査会社IDC、2014年10-12月の世界出荷台数は米アップルが2ポイント強伸ばし20%弱と、首位韓国サムスン電子に肉薄。
シャミオシェア4%強と2ポイント伸ばしトップ5に。サムスンは20%強と9ポイント下げ。
電子部品:村田製作所 <6981> [終値16640円]TDK <6762> [終値8480円]など業績好調。
TDK前期連結営業利益が前の期比約9割増の700億円に拡大。アップルだけでなく、中国勢向けにも好調。
ヒロセ電機 <6806> [終値17170円]前期は営業利益、前の期比5%減。サムスン向け低迷。
素材:シャープ <6753> [終値268円]大口顧客のシャミオからの受注苦戦、
ジャパンディスプレイ <6740> [終値510円]などライバルの攻勢受け納入価格が下落。前期は2期ぶりの赤字に転落。
そのKJディスプレイも、シャープとの競争は一段と激化が見込まれる。
今後も「勝ち馬」に乗れるか、他社にない技術や価格優位性を持つかが明暗分けそう。
積水化 <4204> [終値1633円]
中国中信に需要取り込み、電極間の信号を伝達する導電性微粒子や、部品とめる両面テープなど好調。
住友化 <4005> [終値699円]東レ <3402> [終値1049.5円]は偏光フィルムなどの単価下落が進む。
通信会社:明暗分けたのはiPhone(アイフォーン)への取り組みのスピードなど。
先行ソフトバンク <9984> [終値7747円]の国内携帯事業は底堅く推移した。
携帯契約に占めるスマホの比率が5割超えたKDDI <9433> [終値2913.5円]も前期連結営業利益は7300億円と前の期比10%増。
NTTドコモ <9437> [終値2277.0円]
iPhone導入で出遅れ、営業利益は6400億円と2割強減り、携帯3社で最下位になった公算大きく。
16年3月期はこきゃぅ取り込むサービスの差が収益の明暗分けそう。
ソフト:スマホ用ゲーム各社は収益のブレが大きい。
「モンスターストライク(モンスト)」が伸びたミクシィ <2121> [終値4750円]課金収入が増え、前期に黒字転換。
グリー <3632> [終値784円]ヒット作配信できず、のれんの減損などもあり15年6月期通期の連結最終損益ゼロの見通し。
ガンホー・オンライン <3765> [終値460円]15年12月期連結営業利益前期比伸び悩みそう。
いずれの業種も、現在の勝ち負けの関係が明日も続くとは限らない。収益環境の変化に神経研ぎ澄ます必要がありそうだ。
・投資家の間で企業業績への警戒感がじわりと広がっている。
3月期決算発表では、同時に開示される会社の今期見通しが使用予想下回る例が相次ぐ。
欧州向け売上高が大きい企業は、足元の円高・ユーロ安が逆風になるとの見方から株価の出遅れが目立つ。
良好な需給に支えられた強気相場の裏で、業績面を軸とした銘柄の選別が始まったよう。
欧米に比べて高い予想増益率は、海外マネー呼び込む要因の一つ。良好な需給が強気相場作り出し、
日経平均は22日、約15年ぶりに終値で2万円超えた。
米調査会社フャクトセット、TOPIXの予想PER(株価収益率)は15.9倍と約2年ぶりの高水準、割安感は薄れた。
「2ケタ増益」の前提が崩れると株価は上値追いにくくなる。
マツダ <7261> [終値2492.5円]エムスリー <2413> [終値2435円]
24日に慎重な会社計画出し、週初の株価反応に注目集まる。
精密機器株は予想公表前から調整色強めている。
セイコーエプソン <6724> [終値2168円]日経平均が終値で2万円に乗せた22日に、年初来安値更新。
業種別日経平均株価「精密機器」は3月下旬から軟調な値動き、上昇相場に乗り切れていない。
精密機器は欧州地域での売上比率が比較的高い。前期想定為替レートw1ユーロ=135〜140円で見てる企業多かった。
足元はユーロ安進み、今期は輸出採算の悪化など通じて為替が業績にマイナスに働くと見られている。
慎重な見通しで株価が下がる「ガイダンスリスク」が早くも警戒。
・ナスダック総合指数23日に2000年のIT(情報技術)バブル時の高値抜き、過去最高値更新。
原油安やドル高の逆風でダウ工業株30種平均の上値が重い中で、15年ぶりの節目越え。
ITバブル時100倍超えたナスダック市場のPER(株価収益率)は20倍台まで低下、過熱感は解消された。
高値更新の陰の立役者は医薬分野。00年3月時点で時価総額の65%占めた「テクノロジー」の割合は、現在42%。
「ヘルスケア」は7%から17%へと割合高めた。ヘルスケア分野は原油安やドル高の影響が限定的。
ナスダックの懸念材料はゼロ金利政策の解除。年後半にかけては波乱含みの展開となる可能性もある。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は2万円台維持できるかの正念場迎える。
前週末24日の米国株式市場は続伸、シカゴ市場の日経平均先物も6月物は2万0070円で取引終了。
週明けの日本株は上げで始まる可能性が大きい。ただ日銀の金融政策巡る思惑が交錯しやすく、荒い値動きになりそう。
今週最大のイベントは30日の金融政策決定会合。市場関係者の多くは現状維持。
「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で2015年度の物価上昇率見通し従来の1%からどれだけ引き下げるかが主な論点。
「金融政策が現状維持となると、短期筋は失望売りに動くだろう」とみて、
日経平均が1万9000円台後半まで下げる展開もありうるとの予想も。
ただ「一時的な下げは格好の買い場に映る」との声も。
注目したいのが、大型連休控える週末5/1の動き。
東京市場が休みの間に海外市場で相場の風向きが変わるリスクがあるため、一般的に連休前は積極的な取引が控えられる。
週末終値で2万円台保てるか、日本株の先行き占う重要なポイントになりそう。
・Wall Street:今週の米株式相場は神経質な展開か。
先週にナスダック総合指数が最高値更新。ダウ工業株30種平均も1週間で1.42%上昇、市場に高値警戒感も強まっている。
注目されるのが29日1-3月期米実質国内総生産(GDP)速報値。成長率年率で1.0%程度への減速予想。
同日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文も発表。米連邦準備理事会(FRB)の景気認識を市場参加者は注視。
今週はアップル、ファイザーなど主要企業の決算も相次ぐ。石油大手エクソンモービル、シェブロンの決算も。
・ランキング:今期営業利益を増益と予想する東証1部上場の2月期決算企業対象に、テクニカル面で出遅れている銘柄。
75日移動平均線に比べて24日終値がどのくらい割安か、その大きさを順にランキング。
1位古野電気 <6814> [終値1033円]75日移動平均線かい離率-7.79%
2位あさひ <3333> [終値1074円]-5.83% 3位パイプドビッツ <3831> [終値1791円]-4.33
6位ハイディ日高 <7611> [終値2971円]-2.96% 足元予想PER(株価収益率)は約23倍ですでに高水準。
13位Olympicグループ <8289> [終値809円]-0.64% 株価に与える材料乏しく株価横ばい。
15位チヨダ <8185> [終値2617円]-0.45% 前期まで業績相次ぎ下方修正、16年2月期予想が株価押し上げる力乏しく。
19位エーアイテイー <9381> [終値481円]0.48% 純利益の全株主に配分。増税後材料出尽くし。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち21指数が上昇。
上昇1位ブラジル週間騰落率4.9%(14年末比騰落率13.2%)2位ギリシャ4.4%(▲7.8%)3位アルゼンチン4.1%(44.6%)9位日本1.9%(14.7%)
下位25位インド▲3.5%(▲0.2%)24位タイ▲0.7%(3.9%)23位ベトナム▲0.4%(3.7%)22位ノルウェー▲0.1%(12.6▲%)11位米国1.4%(1.4%)
2013年末比騰落利率 1位アルゼンチン44.6% 2位上海35.8% 3位ロシア31.2% 4位フランス21.7% 5位ドイツ20.5%
最下位ギリシャ▲7.8% 24位トルコ・インド▲0.2% 22位米国1.4% 21位スイスベトナム3.5% 20位ベトナム3.7%
・生命保険大手がリスク取る資産運営に動き出す。国債中心から株式や外債への分散投資加速する。
日本株の4%前後握る生保の振る舞いが変われば、市場も変化迫られる。
自己資本利益率(ROE)重視、スマートベータの活用、企業との対話。
生保各社の取り組みは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の動きとも重なる。(日経ヴェリタス)
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株式会社アスリーム
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