
扉を開いて(波乱の火種)
- 2015年07月05日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年7月5日(日)雨
・波乱の火種 緊張の夏 ギリシャ劇場が鳴らす警鐘。
欧州連合(EU)などが求める緊縮策の是非を問う国民投票の結果がどちらに転んでも、混乱必至。
チプラス首相は先の読めない脚本を次々に繰り出す。後に待つのはユーロ崩壊という悲劇か。
日本株も、ギリシャ問題で一時動揺も比較的楽観論も広がりつつある。
世界を見渡すと波乱の火種がそこかしこにある。
過熱感が指摘される中国株は6月中旬の高値から直近までに約3割下落。投資家は市場から逃げ始めた。
米国では利上げ観測がくすぶる。緩和マネーが支えた新興国から資金流出すると見た投資家は動き始め、
トルコリラやインドネシアルピアが下落、新興国通貨の動き示す指数は一時3週間ぶりの安値圏に沈んだ。
6/29、米自治領プエルトリコの債務問題が急浮上。720億ドル(約8兆8000億円)に膨らんだ負債の返済難しく。
著名債券投資家ビル・グロス氏は投資家向け書簡で、
市場に潜むリスクとしてギリシャ、中国の急激な信用拡大、新興国のドル建て債務など挙げた。
ギリシャ問題は、公的部門が支える市場のひずみを映す。
ひとたびどこかが綻べば、足をすくわれかねない。「波乱の夏」の予感に、投資家はどう備えるべきか。
・波乱の火種 緊張の夏 蓄積するマグマ 総点検。
ギリシャ:債務返済、2050年代まで延々。反緊縮、南欧諸国への波及警戒。
国民投票の結果がどうあれ、いばらの道。問題の長期化は避けられず。
大きな節目は7/20、欧州中央銀行(ECB)保有する35億ユーロの国債が償還期限を迎え早急に対応する必要。
ギリシャに待つのは「返済地獄」。今年だけで約250億ユーロの返済が控える。
約1300億ユーロと政府債務の4割占めるEUが、
ユーロ圏の財政支援目的に設立した欧州金融安定基金(EFSF)への返済は、2050年代まで延々続く見通し。
国民が緊縮策受け入れなければ、さらに厳しい道が待つ。
ギリシャ政府に年金や公務員給与支払う余裕なく、借用証書の発行で代用すると事実上二重通貨。
市場は他の南欧諸国への波及警戒。
ギリシャ情勢次第では市場警戒、南欧諸国の国債売り加速するリスクも。
中国:群衆のパニック売り 官制相場揺らす。株価急落、一因の信用取引規制見送り。
売りの中心は売買の6〜8割占める個人投資家。株券担保に資金借り投資資金膨らませる信用取引で、
返済迫られた投資家が資金確保するため株式売却迫られている。
慌てた中国政府はなりふりかなわぬ株価下支え策も、効果出ていない。
リーマン・ショック以降、当局は確信犯的にバブル起こして景気下支えしようとしてきた。
インバウンド消費へのい期待が高まっていた日本にとっても、中国の株安は対岸の火事ではない。
新興国:トルコと南アフリカに資金流出懸念。米利上げ警戒、経常赤字・対外債務を注視。
米国が今後利上げに動けば、
緩和マネーが支えていた新興国の株式・為替市場からマネーが一斉に流出しかねず。
6月月間でインド株式市場から8.8億ドルの海外資金流出と。インドネシアは3.1億ドル、タイは3.1億ドル、
フィリピンは2.6億ドルにのぼる。
「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5人組 ブラジル、南アフリカ、トルコ、インド、インドネシア)」で
トルコと南アフリカから資金量出が懸念。
だが市場に不意打ちくらわすのはフラジャイル・ファイブ以外の国かもしれない。
米ゴールドマン・サックスがウクライナがデフォルト(債務不履行)に陥るかもしれないとのリポート出す。
ベネゼイラも予断許さない。市場関係者はプエルトリコ財政の行方に関心寄せる。
米国の地方債ファンドの7割がプエルトリコ債を保有するとされる。
有事の金:欧州中銀、囲い込みに動く。ギリシャ周到に準備?4年前から買戻し。
ギリシャは中央銀行が金を買い進め、「万一」にすでに備えているとの見方もある。
ドイツなど主要国の各中銀も国外で保管する金を自国に移送し始めた。
・波乱の火種 緊張の夏 日本株、荒波に耐える銘柄を探る。
リスク回避曲面で値持ち、注目「ネオ・ディフェンシブ」
「リスク回避」局面で下げが小さかった主な銘柄。
日経平均との連動性を測る「β(ベータ)値」(過去180日間)が低い銘柄が多い。
β値は1ならば値動きがほぼ完全に連動すること示し、0に近づくほど連動性が薄い。
大塚HD <4578> [終値3933.5円]週間株価騰落率▲0.6% β値0.74
小野薬 <4528> [終値13520円]0.6% 0.85 エムスリー <2413> [終値2654円]7.6% 0.67
ファミリーマート <8028> [終値5760円]2.7% 0.49 テンプHD <2181> [終値4425円]0.6% 0.81
大成建 <1801> [終値737円]4.1% 0.68 H2Oリテイ <8242> [終値2751円]6.5% 0.64
もう一つのポイント 業績の裏付け+上振れ期待で見極め
ギリシャ問題が世界の金融システムを即座に揺るがす事態にならなければ
「低金利背景に日本株や欧州株への資金流入は続く」との声も多い。
不安定な相場でこそ業績の裏付けのある銘柄を選ぶこと。
業績の上振れk体が大きい主な銘柄
リスク回避の動きが一段と進む局面では、配当余力や現預金といった財務内容にも投資家の目は向かいやすい。
小野薬 <4528> [終値13520円]通期経常利益の会社計画に対する上振れ率24.6% 4-6月期通期会社計画進捗率34.8%
マキタ <6586> [終値6990円]24.4% 28.2% バンナムHD <7832> [終値2340円]24.2% 30.5%
日本空港ビル <9706> [終値7020円]23.9% 31.9% ローム <6963> [終値8200円]22.7% 26.5%
横河電 <6841> [終値1545円]20.8% 22.7% アルプス <6770> [終値3885円]19.6% 21.5%
・ギリシャや中国など外部環境に投資家が神経とがらせる中、日本株も足踏み。
日経平均株価は6/29に前週末比596円(2.9%)安と1年5ヵ月ぶりの下げ幅記録、
7/3終値は2万0539円と週間で166円(0.8%)下げた。
市場では先行きへの楽観が支配的だが、相場の調整リスクに身構える投資家も増え始めた。
「プット・コール・レシオ」は3日、1.38とほぼ5年ぶりの水準に上昇。市場の弱気心理が高まっているようだ。
短期調整見こし、オプション市場で保険掛けつつも、現物株を売り急ぐ動きは今のところ限定的。
・企業の設備投資復調示す。
日銀 <8301> [終値5100円]企業短期経済観測調査(短観)によれば2015年度は11年ぶりの大きな伸び率。
9日内閣府は5月の機械受注統計発表。市場予想前月比5%減と、3ヵ月ぶりに落ち込む。
好調な企業業績や消費回復の兆しが見え始める中、一時的な小休止か、中国景気減速が響き踊り場になるか注目。
街角の景気認識は改善基調。内閣府は8日、6月の景気ウォッチャー調査発表。
ギリシャの混乱も他の欧州諸国に波及すれば、欧州への輸出滞る可能性もある。
外需低迷が日本の生産活動に影響しかねない点は気懸り。
・今週から米主要企業の2015年4-6月期決算発表始まる。市場予想では純利益が前年同期比3%減。
四半期ベースでは金融危機後の09年7-9月期以来、5年9ヵ月ぶりの減益になる。
特にエネルギー関連企業は1年前比、原油安の影響で苦戦した公算が大きい。
ドル高進行も幅広い業種に逆風だったと見られる。
・「止血」から成長へ、ソニー <6758> [終値3503.5円]の決断。
公募増資など4400億円調達、主に世界シェア首位の画像センサーの増産投資に充てる。
2015年3月期まで痛み伴うリストラ進め、ようやく「止血」から「成長」へカジを切り始めた。
画像センサーは今のところライバルは見当たらず、作った分だけ売れる状態、唯一の懸念が生産能力の不足だった。
旺盛な需要背景に今後の収益増も見込みやすい。
18年3月期にデバイスの営業利益最大で前期比2倍の1800億円に伸ばす方針。
リスク事業をコントロールし、強い事業を軸にした成長シナリオ描けるか。
・発掘実力企業:ネット社会を支える(5)SHIFT <3697> [終値1104円]
業務用ソフトウエアやスマートフォン(スマホ)用ゲームなどには「バグ」と呼ぶシステム上の不具合がつきもの。
誤作動の原因に。SHIFTはバグ検出に特化し、IT(情報技術)企業のほか大手銀行、証券会社などに顧客層広げる。
これまで約300社の900製品以上テスト。
ソフト開発するプログラマーは「全体の約4割の時間をエラー検査に費やしている」とみる。
SHIFTの代行活用すれば、プログラマー本来の開発により集中しやすくなる。
好調な業績に対して株価は3日終値で1104円と1/15に付けた年初来高値(1712円)に比べ36%安に沈む。
技術の進歩が速いソフト業界ではバグの検出力が信用につながる。「次の一手」にも注目集まる。
・会社がわかる 特集積水化学工業 <4204> [終値1496円]
独自のプラスチック技術生かした自動車ガラス向けや携帯端末むけの樹脂加工品などが好調。
2016年3月期の連結純利益は550億円と過去最高見込む。
電力を自給自足する次世代型住宅の利益率高めるほか、環境・インフラ関連事業の見直しも進める。
3事業の強み生かし、経営目標で掲げる営業利益率10%の早期達成目指す。
ROE(自己資本利益率)は現在10.9%だが、早期の13%を目標。
・株式市場で輸出株を選別、物色する動き強まっている。
米国で稼ぐ企業の株価が底堅い反面、中国や欧州での売上高が大きい銘柄は下げがきつい。
円安が進み、輸出株全体見れば業績の上振れ期待は大きいが、輸出先の違いで業績の格差が生まれやすい。
株価の二極化の流れは今後も続きそう。
3日の株式市場で日経平均株価は4日続伸。4日間の値上がり幅は429円と週初の下落幅(596円)の7割取り戻す。
けん引役は小売りや医薬品など業績のブレが少ない業種。
・原油価格が下落。国際指標WTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル7ドルを下回り、
終値ベースで2ヵ月ぶりの安値に。
ギリシャ債務問題の混迷が長引き、リスク資産である原油は売られやすい。
イランの核交渉大詰め迎え、イラン産原油の輸出が増えるとの観測も相場押し下げ。
原油市場では需給の緩みの解消にめどが立たない。
サウジアラビアやイラクなど市場シェアの確保優先、増産続ける。
・OUT Look:今週の株式市場は、日本時間6日朝方に大勢判明する見通しのギリシャ国民投票の結果に左右。
地元メディアの世論調査では財政緊縮策の受け入れ派が増えている。
賛成多数なら混迷の度合い薄れて世界の金融市場が落ち着き、日経平均株価も上昇しそう。
円高にも巻き戻しが入りそう。
一方、緊縮策拒否すると、週初の日経平均は下げて始まる可能性が高い。
今週は主要な小売株の決算発表相次ぐ。7日セブン&アイ <3382> [終値5333.0円]ローソン <2651> [終値8560円]
9日ファーストリテイリング <9983> [終値55740円]予定。
週末10日に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2014年度の運用報告も。15年3月末資産構成比率明らかに。
懸念材料は米国と中国。
今後の米経済指標の内容次第で、利上げ時期先送りされるとの観測台頭するなら日本株も神経質に反応しそう。
中国株は人民銀行が利下げに動いたにもかかわらず下げ止まらない。
中国景気を冷やす要因になれば、日本株相場も無縁ではいられない。
・Wall Street:今週の米株式相場は5日実施のギリシャの国民投票の結果に大きく左右されそう。
欧州連合(EU)などが求める財政緊縮策の受け入れが決まれば安心感からひとまず買いが広がると見られる。
一方緊縮策の拒否を国民が選択すれば、
ユーロ圏からの離脱が現実味帯び先行き不透明感一段と高まり、大幅な下落は避けられず。
利上げ時期の見極めでは、8日発表される6/16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の内容がヒントにも。
6日5月の米ISM非製造業景況指数、7日に5月の米貿易収支発表。
10日イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が経済見通しに関するスピーチに注目。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要24の株価指数(ギリシャ休場)のうち5指数が上昇。
上昇1位ベトナム週間騰落率6.0%(14年末比騰落率13.0%)2位インドネシア1.2%(▲4.7%)3位インド1.0%(2.2%)
4位アルゼンチン0.7%(37.1%)5位韓国0.7%(9.9%)7位日本▲0.8%(17.7%)
下位24位上海▲12.1%(14.0%)23位スペイン▲5.2%(4.9%)22位フランス▲5.0%(12.5%)
21位ドイツ▲3.8%(12.8%)12位米国▲1.2%(▲0.5%)
2014年末比騰落利率 1位アルゼンチン37.1% 2位日本17.7% 3位ロシア16.3% 4位上海14.0%
5位ベトナム13.0% 6位ドイツ12.8%
最下位トルコ▲5.3% 24位インドネシア▲4.7% 23位ギリシャ▲3.5%(先週まで) 22位スイス▲0.8%
21位米国・タイ▲0.5% 19位英国0.3% 18位台湾0.5%
(日経ヴェリタス)
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