
扉を開いて(円安株高 新地平へ)
- 2015年05月31日
- 株式投資・経済ニュース全般
2015年5月31日(日)くもり
・円安株高、新地平へ。1ドル=130円が変える風景。
一気に進んだ円安・ドル高のシナリオには伏線があった。
5月中旬、都内での政府関係者と外国為替市場参加者の非公式会合での出来事。
政府関係者の発言は「年内に1ドル=130円になる可能性もあります」。
相場に火をつけたのが、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長。
「年内のある時点で利上げの最初の段階に進むのが適切だ」。
膠着していた円相場は金利差拡大の思惑から一気に円安・ドル高に動く。
外為市場では早くも「次のメドは128円、130円」との声が飛び交う。
海外投資家も新たな地平見つめる。「長期投資手掛ける欧米のバリュー系資金が現物買いに動いている。」
年初から5月下旬までの外国人による日本株買越額は累計2兆円超。
海外勢の日本株買い意欲はアジアや欧州の個人にも広がる。
タイ・バンコクでは、日本の中小型株で運用する「トリガー・ファンド」と呼ぶ金融商品求める行列出来る。
4%値上がりすれば配当出し、さらに4%上がれば繰り上げ償還、短期勝負の設計。
販売予定の5億バーツ(約19億円)は7分で売れ切れ。
日本株は適温か、それとも過熱か。記録づくめの円安・株高相場の新たな地平について考えてみよう。
・円安株高、新地平へ。日本株、適温か過熱か。
株式市場のプロは、上値メドやリスクをどう見ているのか。外為市場でも、一段の円安が進む素地。
日本株支える要因の一つとして複数の市場関係者が挙げるのが、海外勢の日本企業に対する視線の変化。
焦点は日本企業の「コーポレートガバナンス(企業統治)改革」。「配当を増やす可能性の高い銘柄は」。
・円安株高、新地平へ。海外投資家けん引。「年内2万4000円」も。
上値どこまで:日経平均株価が2万円に乗せた4月下旬比、対ドルの円相場は4円ほど円安方向に進む。
決算発表シーズンの終了直後は「今期は円安の追い風が弱まる」との見方大勢。
多くの輸出企業が想定する為替レートは1ドル=115円前後。業績上振れする「のりしろ」少ないと見られた。
だか、円安進み「のりしろ」再び広がり、風景一変。
BNPパリバ証券岡沢恭弥グローバルマーケット統括本部長、年末株価2万3000円。円安による株高効果意識。
三井住友アセットマネジメント石川雅浩シニアストラテジスト、
日経平均が2万1000円に到達するのは「時間の問題」、年末2万2000円目指すと予想。
日興アセットマネジメント神山直樹チーフ・ストラテジスト、年末上値2万2500円と予想。
BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン王子田賢史・日本株式運用部長、「出遅れ銘柄」の多さ注目。
今後1年間という期間で下値1万8000円とする一方、上値も2万4000円があるとみる。
UBS証券大川智弘氏、1万9000円〜2万1000円。
DIAMアセットマネジメント坪田好人氏1万9000円〜2万3000円。
・円安株高、新地平へ。株主還元の余力に注目。
ねらい目の銘柄:プロが推薦する株高時代の投資術とはどんなもの。
BNPパリバ証券岡沢恭弥氏「個人投資家には、配当利回りに着目した銘柄選びを勧めたい」と話す。
トヨタ <7203> [終値8604円]など主力株や割安感のある銀行株に投資妙味がある。
BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン王子田賢史氏「景気敏感株は上昇余地ありそう」。
ただ景況関連でも「商品(コモディティー)関連銘柄は魅力的とは言えない」と指摘。
・円安株高、新地平へ。米利上げより中国警戒。
リスク要因は:意外にも米国の利上げが調整の引き金引くとの見方は少数派。
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が経済データを慎重に見極める姿勢示し、
年内利上げが始まっても、そのペースは非常に緩やかになるとのコンセンサスがある。
グリーンスパン元議長が2004年に始めた前回の利上げ局面も、実際株価が下落したのは3年程経過してから。
DIAMアセットマネジメント坪田好人氏「TOPIX、日経平均ともあと5〜7%程度に上昇は見込めるが、
一段の上昇試せるかは分からない」と。一段の上昇は経済改革の進捗次第ということになる。
外部要因では「リスクはなんといっても中国」との声多い。
中国が政策フル動員しても成長目標を達成できなければ、地方政府の債務問題など想像以上に深刻で、
解決に長い時間がかかることを意味するため。
目先のリスク要因は「海外要人発言」を挙げる声も。
米国では16年に大統領選控える。「ドル高の負の側面に言及する発言も」。
欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁のコメントにも要注意。
・円安株高、新地平へ。年末へかけ相場を動かしそうなイベント。
6月:石油輸出国機構(OPEC)定例総会
主要7ヵ国(G7)首脳会議
米連邦公開市場委員会(FOMC)
日本政府が成長戦略と財政健全化計画策定
7月:BRICS首脳会議
米連邦公開市場委員会(FOMC)
8月:米カンザスシテイー連銀経済シンポジウム(ジャクソンホール)
9月:国連総会
米連邦公開市場委員会(FOMC)
自民党総選挙
日本郵政、ゆうちょ銀、かんぽ生命3社が東証上場見通し
10月:国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会
米連邦公開市場委員会(FOMC)
11月:20ヵ国・地域(G20)首脳会議
12月:米連邦公開市場委員会(FOMC)
スペイン総選挙(予定)
東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)発足
・円安株高、新地平へ。節目ごとに市場の中身は大きく変わった。稼ぐ力の向上、裏打ち。
東証1部時価総額:バブル高値(1989年12月)606兆円 ITバブル高値(2000年4月)466兆円 2015年5月606兆円
時価総額上位3銘柄:89年 NTT <9432> [終値8669円]日本興業銀行 住友銀行
00年 NTTドコモ <9437> [終値2236.0円]NTT トヨタ <7203> [終値8604円]
15年 トヨタ 三菱UFJ <8306> [終値321.2円]NTT
PER(株価収益率):89年61.7倍 00年132.5倍 15年17.6倍
PBR(株価純資産倍率):89年5.5倍 00年2.6倍 15年1.4倍
1ドル=円:89年143円40銭 00年105円47銭 15年123円47銭
長期金利:89年5.62% 00年1.82% 15年0.39%
実質GDP:89年402兆円 00年474兆円 15年532兆円
日経平均:89年3万8915円 00年2万0833円 15年2万0655円(5/28)
・円安株高、新地平へ。検証130円シナリオ。政府も「円安容認」。
外国為替市場では「1ドル=130円も視野に入ってきた」との見方も浮上。
3つの側面で、もう一段の円安進む素地がそこかしこにある。
1つ目は政府も円安容認。円が7年10ヵ月ぶりの安値(1ドル=122円台)に下落した26日、
菅義偉官房長官は足元の動き巡り「急激な変動には当たらない」と発言、市場は「円安容認」と受け止めた。
2つ目は根強いドル需要。海外投機家は今後、新規の円売りやドル買いの取引を始めやすくなっているとの見方。 海外投機筋の円売りの持ち高の縮小。シカゴマーカンタイル取引所(CME)通貨先物取引の統計で、
投機筋による円の売越額は4月末で、686億円と、
異次元緩和導入で最大だった13年12月末の25分の1程度までに縮小。
一方、ドルの買越額もこの1年ほどで半減している。身軽になった投資家は投資余力高めている。
日本で外国為替証拠金(FX)取引手掛ける個人投資家の動向からも読み取れる。
ドルの対円取引は5/22に売り越しになった。12年12月の統計開始以来、初めてのこと。
日本の「リアルマネ―」が、円相場に影響及ぼすとの見方も多い。
生命保険会社や年金基金などは対外投資拡大させている。
資産構成の変更で海外投資活発にしている年金は年明け以降、月額平均1兆円規模で海外の債券や株式購入。
指標面でも、先行きの一段の円安示すサインが出ている。
通貨オプション市場の参加者が予想する変動率(インプライド・ボラティリティー)は3ヵ月物で9%台に上昇。
変動するなら円安方向、円を売る権利(円プットオプション)の需要、買う権利(円コールオプション)上回る。 海外投機家中心に、先々の円安進行に張る投資家の多さがうかがえる。
チャート面でも円安進行が示唆。チャート分析から今後のメドは「128円45銭が視野」と指摘。
大和総研リポート、7月以降に10円円安・ドル高が進むと、
翌16年度には実質国内総生産(GDP)成長率を0.5%分押し上げると試算。
ただ「円安はマクロ経済にプラスだが、格差もたらす」とまとめ。
急な円安に歯止めがかからなければ、経済へのマイナス影響懸念する声が増える可能性もある。
・米国株の上昇に一服感も。
ダウ工業株30種平均は19日に過去最高値1万8312ドル39セント付けたあと、1万8000ドル台前半で一進一退の動き。
企業業績や一部の景気指標は堅調な半面、米利上げ観測を背景にしたドル高に対する警戒感がくすぶっている。
米国買いを続けてきたグローバルマネーは金融緩和続く日本や欧州へと軸足移しつつある。
市場の不安心理映すVIX(恐怖)指数はじわり上昇し始めている。
利上げに身構える米国株は静かに調整局面を迎えつつあるかもしれない。
・財務省6/1に2015年1-3月期法人企業統計発表。
民間エコノミストは14年10-12月期に引き続き、売上高・経常利益ともに増加見込む。
注目は景気のけん引役として期待されている設備投資の動向。
法人企業統計でも設備投資は増加基調示すと見ている。
・「東南アジアの優等生」の異名持つマレーシアの経済、社会が揺れている。
国営不動産開発会社「1MDB」の資金繰り悪化が発端、ナジブ首相の責任問う声も高まっている。
1980年代以降成長支えてきた国主導の開発モデルが壁にぶつかっていることも示す。
マレーシアは1人当たり国内総生産(GDP)は1万ドル超え、同国政府は2020年の先進国入り目標掲げる。
高い水準の所得をさらに高めるためには、創造性の高い新たな産業興す以外に道はなく。
・発掘実力企業:北米で稼ぐ企業(8)(おわり)IDEC <6652> [終値1072円]
「制御用リレー」部品で米国市場開拓。
米国での制御用リレーのシェアは15%で、日本勢ではオムロン <6645> [終値5790円]に次ぐ位置。
国内ではパナソニック <6752> [終値1831.0円]やオムロンが先行、出遅れ否めず。
米国で躍進できたのは他の日本勢より早く進出した効果。
制御機器の6割は日本から輸出。円安進行の恩恵受け安く、売り上げの伸びの半分は為替要因。
米国以外の地域でも制御部品で高いシェア得ることが課題。
・会社がわかる 特集住友林業 <1911> [終値1622円]新たな成長段階に入ってきた。
日本国土の900分の1という広大な土地を持つ「大地主」だが、
木にこだわり抜いた住宅事業は高単価でも着実に顧客獲得。
2016年3月期は初めて連結売上高が1兆円超え、経常利益は365億円と最高益の連続更新見込む。
1棟当たりの平均販売価格は、15年3月期実績で3580万円。
大和ハウス <1925> [終値2987.0円]3060万円上回り、
高単価の3階建て以上得意とする積水ハウス <1928> [終値2075.5円]3565万円とほぼ並ぶ。
高単価の理由は徹底した「木」へのこだわり。木質住宅一筋、材質には妥協しない。
期待は海外事業、「日本の住宅業界内で事実上トップになる海外事業の収益を一段と強化していくことが必要」。
・欧米アジアの株マネーの好循環が株式相場を押し上げ、29日まで日経平均株価は11日続伸に。
足元で目立つのは銀行株や電力株など出遅れ業種への買い。
循環物色の活発化は買い遅れを警戒する投資家の資金呼び込み、一段の株高促している。
日経平均は急ピッチの上昇で目先はいったん調整する可能性が高い。
ただ多彩なテーマで循環物色はまだ続きそうで「中長期的な株高は続く」との期待は大きい。
・上海株が乱高下。上海総合指数28日は前日比6.5%安で取引終え、29日も一時下落率が4%超える場面も。
背景には、これまで急騰支えてきた中国政府の株高支援姿勢に対する信頼が揺らいでいることがある。
急落のきっかけは政府系ファンド中国投資(CIC)傘下の国有投資会社、
中央匯金投資が国有銀行など中国の金融株を売却が市場に衝撃。
中央匯金投資は上海総合指数が2000前後で低迷していた2013〜14年、
しばしば国有銀行株を買い増しし、相場を下支え。
事実上の株価維持策(PKO)担う部隊と市場でみなされていた。
その中央匯金投資が初めて銀行株を売却したことで、
中国政府が過熱相場の「抑制に乗り出した」との見方が市場で膨らみ、急落まねく。
・OUT Look:今週の株式相場、日経平均株価は上値を試す展開か。
IT(情報技術)バブル期の2000年4月(2万0833円)上回る可能性高まっている。
ただ週末には米雇用統計控えており、週後半は持ち高調整の売りが出て上昇基調が一服するかもしれない。
日経平均は5月に5%高となり、5ヵ月連続上昇を記録。焦点は6/1に発表される1-3月の法人企業統計。
設備投資額の増加基調が続いた場合、「企業業績が一段と拡大する期待高まる」との見方。
一方、日経平均がITバブル時の高値超えた場合、「株価指標やテクニカル面での過熱感強まる」と。
週足チャートを見るとその週の安値が前週の高値を3週連続で上回る「三空」出現。売りサインとして警戒も。
5月は連騰続きだったこともあり「相場が調整した場合、押し目買いが入りやすい」とも。
売買代金が増加傾向で、売りをこなしやすいとの見方もある。
主力株に利益確定売りが出る一方、中小型株や新興株などの出遅れ銘柄物色する展開も考えられる。
波乱があるとすれば海外材料が引き金と。
5日に5月の米雇用統計の発表、ギリシャが国際通貨基金(IMF)へ3億ユーロ返済する期日迎える。
・Wall Street:今週の米株式相場は重要な指標の公表相次ぐ。
米サプライマネジメント協会(ISM)の景況感指数や個人消費に続き、6/5に5月米雇用統計。
ギリシャ財政問題も5日にヤマ場迎え、投資家が積極的に動きにくい一進一退の展開になりそう。
米国株式相場は高値警戒感強く、上値が重い展開が続く。
雇用統計後のダドリー総裁の講演は金融政策の方向性探る材料になる。
・ランキング:企業営業益、アナリストが会社予想より「強気」に見ている企業ランキング
1位石油資源開発 <1662> [終値4155円]
会社予想に対するアナリストの強気度合い97.37% アナリスト予想の営業利益180億円 会社予想91.2億円
2位コナミ <9766> [終値2325円]62.20% 275.74億円 170億円 スマホ向けゲームが業績けん引
3位スクウェア・エニックス <9684> [終値2717円]55.42% 264.21億円 170億円
6位東京製鉄 <5423> [終値968円]32.13% 158.56億円 120億円 コスト削減なら増益確保。
8位前田建設 <1824> [終値880円]25.00% 125億円 100億円 受注時の利益率改善評価。
10位商船三井 <9104> [終値427円]24.12% 397.17億円 320億円 コンテナ船の採算改善。
25位江崎グリコ <2206> [終値5440円]13.33% 170億円 150億円 菓子事業の好調見込む。
・世界市場往来:先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち4指数が上昇。
上昇1位オーストラリア週間騰落率1.9%(14年末比騰落率7.2%)2位日本1.5%(17.8%)3位ベトナム1.4%(4.4%)
4位台湾0.0%(4.2%)5位インド▲0.5%(1.2%)7位上海▲1.0%(42.6%)8位米国▲1.2%(1.1%)
下位25位ロシア▲7.8%(22.5%)24位アルゼンチン▲5.7%(25.9%)23位ドイツ▲3.4%(16.4%)
22位南アフリカ▲3.3%(5.3%)21位トルコ▲3.3%(▲3.2%)
2014年末比騰落利率 1位上海42.6% 2位アルゼンチン25.9% 3位ロシア22.5% 4位日本17.8%
5位フランス17.2% 6位ドイツ16.4%
最下位トルコ▲3.2% 24位インドネシア▲0.2% 23位ギリシャ・タイ▲0.1%
21位米国1.1% 21位インド1.2% 20位カナダ2.6%
・人工知能(AI)新たな商機、マネー動く。
人工知能関連の主な国内ベンチャー
上場企業:UBIC <2158> [終値935円]文書やメールなどのビッグデータ分析手掛ける。
ブレインパッド <3655> [終値1116円]個人データから企業が求める人材抽出する技術開発。
テクノスジャパン <3666> [終値3000円]将来の優良顧客をデータから算出するサービス展開。
KADOKAWA <9468> [終値1763円]人工知能研究所設置。コンピューター棋士とプロ対決試合開催。
非上場企業:ZMP(東京・文京)自動運転システム開発。ソニー <6758> [終値3862.0円]との共同研究。
HEROZ(東京・港)オンライン対戦ゲームアプリ(応用ソフト)開発。
メタップス(東京・新宿)アプリに利用データを収集・分析し、広告配信などに活用。
(日経ヴェリタス)
———————————————————————–
株式会社アスリーム
INTERNET MEDIA OF INVESTMENT NEWS
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-14-5
URL : http://koronoasa.com/
———————————————————————–
記事の続きはコロ朝プレミアムで!