ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表(CEO) 菊池真氏株式ミナー
ミョウジョウ・アセット・マネジメント(株)代表取締役 菊池真氏
約3ヵ月に一回の株式セミナーが2014年3月29日(土)東京人形町で開催いたしました。
12月の前回(2013.12.21)の見通し、上にも下にもいきにくい展開。
流れの想定は変更ありませんが、時間軸(推移のスピード)が後ろ倒しになってきてるようだと申し上げました。
日経平均株価は1万5000円台ボックスで推移位を想定しました。
ただ1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて想定レンジを1000円ほど引き下げて、14000円台ボックスに変更。
新興国各国は、インフレ鎮静化と通貨防衛のために、景気のさらなる悪化を覚悟に金融引締め政策しか取れず、
アルゼンチン、トルコ、南アフリカなど利下げ合戦、長期化となっています。
1月のFOMCで、市場は新興国への配慮があるかどうか気にしていたところ、答えは「無い」でした。
それを理由に想定ボックスレンジを引き下げました。その後は実際に14000円台中心ののボックス相場となっています。
【短期的見通し】
短期とはおよそ3ヵ月以内とします。
4月8日の日銀金融政策決定会合で黒田東彦総裁は追加金緩和措置に出ると予想しています。
黒田総裁は「恰好付け。言い切り型。」
周りからの見られ方を相当意識していると思われます。
良い恰好の3つの条件は「美しい大義名分」「後手に回るのではなく先手」「サプライズ」
前回(昨年12月)セミナー時は4月に追加緩和するとの見方も多かったが、そこでの追加緩和だと「サプライズ」ではなくなる。
黒田総裁は「サプライズ」にならないのは面白くない。
そこで12月から3月にかけて目先追加緩和がないと言い続ける。
今マーケット関係者の多くは7〜8月かそれ以降といった予想になっています。
まんまと黒田総裁の策略にはめられたようなところ。
いまでは3つの条件がすべてそろっている。
3ヵ月前のマーケットは「イケイケ」も現在は「もやもや」と不安も入りまじりすっきりしない状況。
ここでの追加緩和ではサプライズで株価上昇と。
ただ追加緩和決定でも中長期外人投資家は様子見姿勢継続。
売りも買いもしないと・・・
短期の外人投資家は買ってくると思います。
今回の緩和では、昨年4月の時と比べて期間も値幅も出ない。
期間は2〜3週間、値幅は年末の高値トライも、抜けない・・・
4月8日は日経平均で1万4500円どころからスタートか?
指数で10%ほど上昇すると思われ、取りに行く価値はあります。
最後の円安株高となると予想いたします。
そこでの「現物」は何が上がるか?
金融緩和で円安にもなるが、円安の恩恵を受ける企業ではなく、金融緩和で恩恵を受けそうというイメージの業種。
金融不動産関連が動きの主導役ではないかと。
それも「ボロ株」の方が上昇力が強いかと・・・
アイフルやケネディクスといった個人投資家が触ったことがあり、高値から大幅下落した銘柄。
3〜5割上がるような銘柄も出てくると思いますが、上昇中に売却して利益を取っておきましょう。
上げ足が止まった途端、信用の買残も多く、バラバラと売りが出ることになりそうですから。
飛び降り必須の短期勝負と割り切って行ってください。
【中期的見通し】
前回ははっきりしなかった時間軸がここへきてクリアになりました!!
すでに過去半年間、中長期の外国人は動いていません。
彼らは「何を見極めようとしているのか」
日本株は中長期の外国人が買えば「上昇トレンド」となり、売れば「下降トレンド」となります。
彼らが動かない時期は短期投資家主体のボックス圏「横ばい」の動き。
現在では1万4200〜1万4800円(レンジの外側の上下200円は抵抗帯)の往来に。
中長期の外国人は、2014年度の企業業績と成長戦略の本気度を見極めてようとしています。
2014年の企業業績はどうなるか?
たしかに2013年度は好業績でした。
ただマーケットも既に来期を見たがっています。
変動要因は大きく3つあります。
1つ目は為替の影響です。円安の業績押し上げの感応度はそれほどではないものの、方向性はまだ円安は業績の押し上げです。
2012年度の平均為替レートは83円でした。
13年度平均は100円と約17円の円安効果となります。
14年度はどうなりますか?
平均レートが118円になれば、13年度と同様な円安効果が生まれますが、
平均が118円ということは瞬間130円とかになる必要があり、そこまで行かないのであれば為替効果は減少となります。
2つ目は国内景気要因で、国内では4月からの消費増税の影響が大きい。
最近の日経新聞の記事には一部分に焦点を当て、消費増税の影響は少ないとの記事も多いですが・・・
本当にそうでしょうか。
国民から広く浅く消費税を集めて、公共事業に配分。
影響がないわけはないでしょう。
ベアが上がると言っても0.5〜1%、物価が1.3%上昇、そして消費税が3%上がります。
トヨタの下請け会社など、80円から100円への為替の上昇で原材料価格が上昇していますが、
価格転嫁は「ゼロ」といった企業も多く、従業員の給料など上げることが出来るのでしょうか?
3つ目は海外景気要因ですが、新興国が通貨防衛するための利上げ競争続きそうです。
インフレ鎮静化と通貨防衛のためには、金融引き締め策の強化を続けるしかありません。
フラジャイル5(脆弱な5通貨)と呼ばれるブラジルレアル、インドルピー、インドネシアルピア、トルコリラ、南アフリカに対する
ビジネスをやっているところは2013年より影響を受けることに。
また中国では今まで見られなかったことが、ここへきて見られるようになってきた。
見られるようになってきたということは、もう隠しきれないということかもしれません。
水面下では相当に痛んでいると想定できます。
それまでは中国では政府や銀行の救済により、社債のデフォルトは回避されてきました。
ところが今年になって、初めて中国市場で社債デフォルトが起こりました。
中国で社債がデフォルト(債務不履行)となり、これを救済していたらきりがない状況になってきたとも・・・
中国向けビジネスも悪影響。
2014年度の企業業績は減益となる。
業績以外のもう一つの注目点は追加成長戦略の本気度。
今までのモノは外国人投資家は全く評価していない。
昨年末ぐらいから外国人の一部には「いい加減に待たせるな」「出ないかもしれない」とも。
6月までは「待ち」の姿勢も「お茶を濁したものしか出ない」と・・・
ゴールデンウィーク(GW)前後から企業決算と6月には追加成長戦略発表。
各企業は景気の先行きに不透明要因多い中、下方修正を避けるために慎重な2014年度業績見通しを発表、
過度な増益期待の剥落(はくらく)。
全体としての企業増益見通しはは微増益くらいのスタートになるのでは?
中長期の外国人投資家は「あれ?!」となる。
ただし、まだ「こりゃだめだ!売りだ!」にはならない。
アナリストらは企業予想は控えめとコメント。
しかし買い増しに繋がるとは思えず、株価上昇が続くとは考えられない。
なぜなら短期筋は株価がここまで上昇しているだけに行動は利益確定優先に。
6月末までに発表される成長戦略の内容は、またしても中長期外人にとっては期待外れなものに。
中長期の外国人投資家は「おい!!」となる。
7月終わりから8月初め、4-6月期業績や統計が出る。
1-3月期に消費増税前倒しの影響、4-6月は反動減で消費増税の悪影響、
しかし7-9月期は回復するという「希望的観測」を各証券会社は言い続ける。
中長期の外国人投資家は「もういい!!」となり、日本株売却に回り8月から急角度で日経平均株価は下落すると予想する。
日経平均株価は1万4000円を下にブレークするするのが8月に。
【もう一つ重要なこと】円安進行して1年以上経つのに輸出増加につながらず。
円安で輸出が増やせる経済構造でなくなってしまっている。
貿易収支は赤字拡大、経常収支は赤字転落。
(強烈な円安要因。円安株高という相関は崩壊に向かい、それぞれ独自の動きに)
4月の買で儲ける最後のチャンスでは円安・ドル高で105円を抜く。
107〜108円があるのではないかと思っています。
株が下がると最初は円高に引っ張られ、1万4500円では106〜105円となるのでは・・・
ただ時間の問題でドル円の中長期の円安ドル高のステージに入る。
株は下落のステージ入りする寸前。
8月が怖い。
2007年と同じ足ではないかと思われます。
ウクライナ問題はもう過去のモノ。
波乱要因にはならない。
安倍晋三首相は既得権益者と戦う気概がないので、岩盤規制の緩和には踏み込めない。
安倍さんは受け売りの人。
自分で考え作った政策などない。
経済対策は全て受け売りで、つまり思い入れがない。
「混合診療全面解禁し保険適用範囲を基礎診療だけに絞り込む」ような踏み込みがあると外国人は大喜びして買ってきそうですが・・・
10月あたりから「安倍降ろし」が始まるかもしれません。
年末までに早ければ辞任も。
2015年末まで、安倍首相が首相を続けられることはないと思っています。
株価が「アベノミクス」の通知表。
株価が下がったら、ますます外人は「アベノミクスはダメだ」と・・・
黒田東彦日銀総裁が4月に金融緩和を実施しないと、
4-6月の経済状況がはっきりしてから追加緩和すると言っても、4-6月の数字が出ていないから7月には出来ず。
8月には出来るが、それでは完全に「後手」。恰好悪い。
2014年末に日経平均が1万円を割り込む可能性も低くない。
【長期的見通し】
これまでと変わらず。
日米の金融政策の方向は円安ドル高進行(過度な円安進行)。
日本でインフレは発生するが、所得増加を伴わないコストプッシュ・インフレ、最終的には
国内機関投資家が国債保有リスクを取り続けることができなくなり、長期金利上昇で財政は行き詰まりへ。
状況を天気に例えます。
天気図で見ますと台風が発生しています。
まだまだ東京は晴天が続いていますが、確実に台風は来ています。
天気予報では実感がわかず、実際に雨が降ってこないと信じられない人も多いかもしれません。
でも、一粒でも雨が降ってきたと自分で思ったら観念して、僕のシナリオを信じてください。
会場はまたしても「し〜ん」となってしまっております。
次回は6月後半から7月にお会いしたいとおもいます。(2014.3.29)
【追伸】
もし4月に追加金融緩和が行われなかったらとの質問がありました。
そうなったら4〜5月初めのの上げ分がなくなるボックス圏で1万4200〜1万4800円(プラスマイナス200円)
ほどの動きがGW前後の業績発表時期まで続き、その後、追加成長戦略への失望、7月から8月に判明する
4−6月の景気落ち込みと言う流れに繋がって下落していくと予想します。
追加緩和が8月や9月にあったとしても、
それはもはや株価のごく短期的なリバウンド材料にしかならないでしょう。